負け犬
The Underdog

放送履歴

日本

オリジナル版

  • 1994年05月21日 21時30分〜 (NHK総合)
  • 1995年09月06日 17時15分〜 (NHK総合)
  • 1996年03月08日 17時15分〜 (NHK総合)
  • 1999年01月06日 15時10分〜 (NHK総合)
  • 2003年09月09日 18時00分〜 (NHK衛星第2)

ハイビジョンリマスター版

  • 2016年06月25日 16時00分〜 (NHK BSプレミアム)
  • 2016年11月30日 17時00分〜 (NHK BSプレミアム)

海外

  • 1993年01月24日 (英・ITV)

原作

邦訳

  • 「負け犬」 - 『クリスマス・プディングの冒険』 クリスティー文庫 小笠原豊樹訳
  • 「負け犬」 - 『クリスマス・プディングの冒険』 ハヤカワミステリ文庫 小笠原豊樹訳

原書

雑誌等掲載

  • The Under Dog, Mystery Magazine, 1 April 1926 (UK)
  • The Under Dog, London Magazine, October 1926 (USA)

短篇集

  • The Under Dog, The Under Dog and Other Stories, Dodd Mead, 1951 (USA)
  • The Under Dog, The Adventure of the Christmas Pudding, Collins, October 1960 (UK)

オープニングクレジット

日本

オリジナル版

名探偵ポワロ / DAVID SUCHET // HUGH FRASER / PAULINE MORAN / 負け犬, THE UNDERDOG / Dramatized by BILL CRAIG

ハイビジョンリマスター版

名探偵ポワロ / DAVID SUCHET / AGATHA CHRISTIE'S POIROT / 負け犬 // HUGH FRASER / PAULINE MORAN / THE UNDERDOG / Dramatized by BILL CRAIG

エンディングクレジット

日本

オリジナル版

原作 アガサ・クリスティー 脚本 ビル・クレイグ 監督 ジョン・ブルース 制作 LWT(イギリス) / 出演 ポワロ(デビッド・スーシェ) 熊倉一雄 ヘイスティングス(ヒュー・フレイザー) 富山敬 ミス・レモン 翠準子  アストウェル夫人 小沢寿美恵 リリー 土井美加 ルーベン 川久保潔  平田広明 田中秀幸 麦人 有本欽隆 村松康雄 塚田正昭 秋間登 星野充昭 西村未来 / 日本語版 宇津木道子  山田悦司  福岡浩美 南部満治 金谷和美

ハイビジョンリマスター版

原作 アガサ・クリスティー 脚本 ビル・クレイグ 演出 ジョン・ブルース 制作 LWT (イギリス)  出演 ポワロ(デビッド・スーシェ) 熊倉 一雄 ヘイスティングス(ヒュー・フレイザー) 富山 敬/安原 義人 ミス・レモン(ポーリン・モラン) 翠 準子  アストウェル夫人 小沢 寿美恵 リリー 土井 美加 ルーベン 川久保 潔  平田 広明 田中 秀幸 麦人 有本 欽隆 村松 康雄 塚田 正昭 秋間 登 星野 充昭 西村 未来 深水 由美 大鐘 則子 板倉 光隆  日本語版スタッフ 翻訳 宇津木 道子 演出 山田 悦司 音声 金谷 和美 プロデューサー 里口 千

海外

オリジナル版

Hercule Poirot: DAVID SUCHET; Captain Hastings: HUGH FRASER; Miss Lemon: PAULINE MORAN; Lady Astwell: ANN BELL; Lily: ADIE ALLEN; Sir Reuben: DENIS LILL; Charles: JONATHAN PHILLIPS; Horace Trefusis: BILL WALLIS; Victor Astwell: IAN GELDER; Humphrey Naylor: ANDREW SEEAR; Gladys: LUCY DAVIDSON; Parsons: JOHN EVITTS; Sergeant: MICHAEL VAUGHAN; Receptionist: CHARLES ARMSTRONG; Stunts: SIMON CRANE / Developed for Television by Carnival Films; (中略) Production Designer: ROB HARRIS; Director of Photography: CHRIS O'DELL; Music: CHRISTOPHER GUNNING; Executive Producer: NICK ELLIOTT / Producer: BRIAN EASTMAN; Director: JOHN BRUCE

あらすじ

 アストウェル化学の社長サー・ルーベンが書斎で撲殺された。警察は甥のチャールズを逮捕したが、その不愉快な性格から卿を疎む人間は多かった。チャールズは無実だというレディー・アストウェルの直感に、ポワロは捜査に乗り出す……

事件発生時期

1936年6月下旬

主要登場人物

エルキュール・ポワロ私立探偵
アーサー・ヘイスティングスポワロのパートナー、大尉
フェリシティ・レモンポワロの秘書
サー・ルーベン・アストウェルアストウェル化学社長
レディー・ナンシー・アストウェルサー・ルーベンの妻
チャールズ・レバソンサー・ルーベンの甥、ヘイスティングスの友人
ビクター・アストウェルサー・ルーベンの弟
ホレース・トレフューシスアストウェル化学主席化学者
リリー・マーグレイブレディー・アストウェルの話し相手
パーソンズ執事
グラディスメイド
ハンフリー・ネイラーホテル滞在客

解説、みたいなもの

 今回は原作から大小さまざまな変更が加えられているが、登場人物に関するものではビクターとトレフューシスの変更が大きい。ビクターは荒っぽい短気な性格から、サー・ルーベンと対照的な大人しく思慮深い性格に変更され、想いを寄せる相手も変更されて、〈負け犬〉の一人になっている。また、トレフューシスはサー・ルーベンの秘書からアストウェル化学の主席研究員に置き換えられた。チャールズの友人という設定でヘイスティングスも追加されたが、原作でジョージが担った犯人特定の決定打を提供する役割は委譲されず、この決定打は完全にカットされてポワロの心理分析と動機の暴露のみによって犯人が指摘される。
 ゴルフをやるかと訊かれたポワロが「たまにです、ムッシュウ・レバソン」と答える場面があるが、原語では 'Rarely, Monsieur Laverson.' と答えており、これは「まずやらない」くらいのニュアンス。当初の台本では日本語程度のニュアンスの台詞だったようだが、スーシェの、ポワロは絶対にゴルフなどしないという意見により、現在の台詞に変更になったようだ[1]。もっとも、「ミューズ街の殺人」では、ポワロが実際にゴルフクラブを握って、コースに立っていたはずなのだけれど。一方、のちの「ゴルフ場殺人事件」では、ヘイスティングスにゴルフをやってみるよう勧められて、「小さなボールをたたいて芝生の小さな穴に入れる。遠慮します、ポワロの趣味には合いません」と言っている。
 サー・ルーベンの書斎にかけられている絵は、レンピッカの「ドクトゥール・ブカールの肖像」の顔の部分をサー・ルーベンの顔に置き換え、背景にアストウェル化学の建物を配したもの。
 逃げたチャールズを追跡する場面で、森の中の道を走り抜けるパトカーが映る部分(2箇所)は、ほかの場面より映像の色合いが淡くなっているが、ここは「なぞの盗難事件」でポワロとヘイスティングスがバンダリン夫人を追跡している場面の使いまわし。また、リリーがロンドンへ向かう際の汽車の映像は「プリマス行き急行列車」からの使いまわしで、パディントン駅に到着する場面だけ機関車正面の番号が異なるのも、「プリマス行き急行列車」では別の汽車だった映像をつないでいるため。
 背景の説明やアドリブなどのために原語では台詞のない箇所に日本語音声で台詞が入っていることはよくあるが、ロンドンへ向かう車の中でのポワロの台詞はすべて日本語音声のみ。
 ハイビジョンリマスター版では、キャプテンズ・プレートの初日、サー・ルーベンが夫人に、「週末 (this weekend)」にトレフューシスを招待していると告げ、夫人からは同じ日にチャールズも友人(つまりヘイスティングスとポワロ)を呼んでいると言われる場面がある。このとき、サー・ルーベンのデスクの上にあるカレンダーは23日になっているが、同日、ポワロたちがチェックインしたホテルの宿帳に書き込んだ日付は June 24th (6月24日)。冒頭にトレフューシスが読んでいる手紙の消印から舞台は1936年であることがわかり、1936年ではこれらは火曜日もしくは水曜日なので、いずれにせよ「週末」は数日後のはずだが、トレフューシスやポワロたちが招待されたディナーも同日のことのように見える。事件翌日のやりとりでは、サー・ルーベンがチャールズへの金銭の支給を打ち切ると脅したのが「昨日」とされており、これがキャプテンズ・プレート初日帰宅後のチャールズとサー・ルーベンの会話のことを指すとすれば、やはりすべて同日のことということになる。おそらくは、脚本上ではキャプテンズ・プレートの初日を週末と想定していたのが小道具などのスタッフに伝わらず、設定に齟齬が出たのだろう。
 ハイビジョンリマスター版の日本語では、巡査部長がサー・ルーベン・アストウェルを「サー・アストウェル」と呼ぶ場面があるが、「サー (Sir)」はナイトないしは準男爵の称号を持つ人物のファーストネームないしはフルネームにつける敬称で、名字のみとつなげた「サー・アストウェル」という呼び方はしない。
 ポワロがロンドンの自室で血のついたハンカチを取り出しながら言う「メイドがテーブルに刺さっていたナイフの先で指を切った」場面は、「名探偵ポワロ」オリジナル版ではカットされて見られない。
 アストウェル化学の工場として撮影に使われたのは、ノッティンガムシャーのビーストンにある英国大手製薬会社ブーツの工場。吹き抜けが印象的な内部は D10 ビルディングで、外観として映るのは D6 ビルディング。キャプテンズ・プレートが開催されたアジサイの美しいゴルフ場は、サリー州にあるセント・ジョージズ・ヒル・ゴルフ・クラブ。サー・ルーベンの自宅は、スタッフォードシャーのブライス・ブリッジにあるアップランズという邸宅。エキシビション・ロードにさしかかったポワロたちやリリーが走っている通りはケンジントン・ゴアで、その奥に見える円形の建物はロイヤル・アルバート・ホール。ただし、リリーはそのケンジントン・ゴアを往ったり来たりしているほか、ヘイスティングスの言葉と異なり、エキシビション・ロードはそのときの進行方向からすると左手にある。そして、彼らが乗りつけたインペリアル・カレッジ・ロンドンの敷地北側に位置するアストン・ウェッブ・ビルディングは、エキシビション・ロードではなく、それと交差するプリンス・コンソート・ロードに面している。パディントン駅で降りたリリーがタクシーに乗ったのも、実はインペリアル・カレッジ構内のオブザヴァトリー・ロード。なお、ロイヤル・アルバート・ホールおよびプリンス・コンソート・ロードは、ピーター・ユスチノフ主演の「エッジウェア卿の死」で謎解きからエピローグの舞台にもなった場所である。
 サー・ルーベン役のデニス・リルは、フランセスカ・アニス主演の「二人で探偵を」シリーズの一篇、「サニングデールの怪事件」でホラビー・ジュニアを演じているほか、ジェレミー・ブレット主演の「シャーロック・ホームズの冒険」では、「もう一つの顔」、「ブルース・パーティントン設計書」、「マザランの宝石」の3作品でブラッドストリート警部を演じている。また、トレフューシス役のビル・ウォーリスは、ジョン・ネトルズ主演の「バーナビー警部」の一篇、「森の蘭は死の香り」のドクター・レシター役でも見ることができる。
 ロンドンへ向かうネリーが乗ったバスは、「愛国殺人」でポワロが田舎へアグネスに会いに行ったときに乗ったのと同一ナンバーの同じバス。
  1. [1] David Suchet and Geoffrey Wansell, Poirot and Me, pp. 139, headline, 2013

ロケ地写真

カットされた場面

日本

オリジナル版

[01:33/0:46]夜のアストウェル化学、侵入するハンフリーと研究室のトレフューシスの様子の一部
[02:40/0:45]ポワロがミス・レモンの催眠術を受けている場面の前半、ヘイスティングスが現れるまで
[06:20/1:03]ご満悦のポワロの最後 〜 モン・ルポ荘でのサー・ルーベン夫妻の会話
[15:24/1:15]警察がモン・ルポ荘に到着する場面 〜 書斎でのポワロたちと警察の捜査の様子 〜 部屋で血の付いたシャツを洗うチャールズ
[20:20/2:04]食堂でのポワロ、パーソンズ、グラディスのやりとり
[22:25/0:22]研究室でのポワロとトレフューシスの会話の後半

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2018年4月18日更新