誘拐された総理大臣

The Kidnapped Prime Minister
  • 放送履歴

    1991年02月26日 22時00分〜 (NHK総合)
    1992年04月30日 17時05分〜 (NHK総合)
    1998年11月05日 15時10分〜 (NHK総合)
    2003年06月19日 18時00分〜 (NHK衛星第2)

    2016年02月27日 16時00分〜 (NHK BSプレミアム)
    2016年08月03日 17時00分〜 (NHK BSプレミアム)

    1990年02月25日 (英・ITV)

  • 原作邦訳

    「首相誘拐事件」 - 『ポアロ登場』 クリスティー文庫 真崎義博訳
    「総理大臣の失踪」 - 『ポアロ登場』 ハヤカワミステリ文庫 小倉多加志訳
    「誘拐された総理大臣」 - 『ポワロの事件簿1』 創元推理文庫 厚木淳訳
    「首相誘拐事件」 - 『クリスティ短編集2』 新潮文庫 井上宗次・石田英二訳
  • OPクレジット

    DAVID SUCHET // HUGH FRASER / PHILIP JACKSON / PAULINE MORAN / 誘拐された総理大臣, THE KIDNAPPED PRIME MINISTER / Dramatized by CLIVE EXTON
  • EDクレジット

    原作 アガサ・クリスティー 脚本 クライブ・エクストン 監督 アンドリュー・グリーブ 制作 LWT(イギリス) / 出演 ポワロ(デビッド・スーシェ) 熊倉一雄 ヘイスティングス(ヒュー・フレイザー) 富山敬 ジャップ警部(フィリップ・ジャクソン) 坂口芳貞 ミス・レモン 翠準子  ドッジ 内田稔 ダニエルズ中佐 外山高士 ダニエルズ夫人 中西妙子  大木民夫 八木光生 中村秀利 滝雅也 沢木郁也 水鳥鉄夫 田浦環 広瀬正志 / 日本語版 宇津木道子  山田悦司 福岡浩美 南部満治 金谷和美
  • ハイビジョンリマスター版EDクレジット

    原作 アガサ・クリスティー 脚本 クライブ・エクストン 演出 アンドリュー・グリーブ 制作 LWT (イギリス) / 出演 ポワロ(デビッド・スーシェ) 熊倉 一雄 ヘイスティングス(ヒュー・フレイザー) 富山 敬/安原 義人 ジャップ警部(フィリップ・ジャクソン) 坂口 芳貞 ミス・レモン(ポーリン・モラン) 翠 準子  ドッジ 内田 稔 ダニエルズ中佐 外山 高士 ダニエルズ夫人 中西 妙子  大木 民夫 八木 光生 中村 秀利 滝 雅也 沢木 郁也 水鳥 鐵夫 田浦 環 広瀬 正志 倉持 良子 田中 英樹  日本語版スタッフ 翻訳 宇津木 道子 演出 山田 悦司 音声 金谷 和美 プロデューサー 里口 千
  • オリジナルEDクレジット

    Hercule Poirot: DAVID SUCHET / Captain Hastings: HUGH FRASER / Chief Inspector Japp: PHILIP JACKSON / Miss Lemon: PAULINE MORAN / Mrs Daniels: LISA HARROW / Commander Daniels: DAVID HOROVITCH / Sir Bernard Dodge: RONALD HINES / Lord Estair: PATRICK GODFREY / Major Norman: TIMOTHY BLOCK / Egan: JACK ELLIOTT / Landlady: KATE BINCHY / Fingler: MILO SPERBER / Prime Minister: HENRY MOXON / Sergeant Hopper: OLIVER BEAMISH / Shi Mong: ANTHONY CHINN / Transport Superintendent: ROY HEATHER / Urchins: DANIEL JOHN, SAM CLIFTON / Stunts: NICK GILLARD // Developed for Television by Picture Partnership Productions // (中略)Assistant Director: SIMON HINKLY / Location Manager: NIGEL GOSTELOW / Script Supervisor: SHEILA WILSON / Production Co-ordinator: MONICA ROGERS / Accountant: JOHN BEHARRELL / Camera Operator: JAMIE HARCOURT / Focus Puller: HUGH FAIRS / Grip: JOHN ETHERINGTON / Boom Operator: RUDI BUCKLE / Gaffer: DEREK RYMER / Art Director: PETER WENHAM / Set Dresser: CARLOTTA BARROW / Production Buyer: LUDMILLA BARRAS / Property Master: MICKY LENNON / Construction Manager: LES PEACH / Dubbing: PETER LENNARD, MIKE MURR, RUPERT SCRIVENER / Post Production Superviser: RAY HELM / Panaflex 16(R) Camera by Panavision(R) / Grip Equipment by Grip House Ltd / Lighting & Generators by Samuelson Lighting Ltd / Made at Twickenham Studios, London, England / Costume Designer: LINDA MATTOCK / Make up Supervisor: ROSEANN SAMUEL / Sound Recordist: KEN WESTON / Titles: PAT GAVIN / Production Manager: MARTIN BOND / Casting: REBECCA HOWARD, LUCY ABERCROMBIE / Editor: DEREK BAIN / Production Supervisor: DONALD TOMS // Production Designer: ROB HARRIS // Director of Photography: IVAN STRASBURG // Theme Music: CHRISTOPHER GUNNING / Incidental Music: FIACHRA TRENCH / Conductor: DAVID SNELL // Executive Producer: NICK ELLIOTT // Producer: BRIAN EASTMAN // Director: ANDREW GRIEVE
  • あらすじ

     国際連盟の会議に出席するべく渡仏した首相が誘拐されたという。会議までに残された時間は32時間と15分。この差し迫った状況にも関わらず、ポワロは渡仏前の首相がイギリスで受けた襲撃事件ばかりを調べて、一向にフランスへ渡る気配を見せないのだが……
  • 事件発生時期

    某年某月中旬
  • 主要登場人物

    エルキュール・ポワロ私立探偵
    アーサー・ヘイスティングスポワロのパートナー、大尉
    ジェームス・ジャップスコットランド・ヤード主任警部
    フェリシティ・レモンポワロの秘書
    サー・バーナード・ドッジ外務省の事務次官
    トニー・ダニエルズ首相の秘書官、英国海軍中佐
    イモジャン・ダニエルズダニエルズ中佐の元妻
    ジョン・パトリック・イーガン首相の車の運転手
    ノーマン英国陸軍少佐
  • 解説、みたいなもの

     第一次大戦中の事件の打ち明け話というスタイルの原作に対し、ドラマでは具体的な時期への言及はないものの、他の作品と同時期の事件として扱われている。そのため、犯行の手口などは原作と同じだが、時代背景や事件の動機に大きな変更が加えられた。また、政府高官2人が直にポワロを訪ねて国家的重大事件を持ち込むというホームズ譚の「第二の汚点」(『シャーロック・ホームズの帰還』所収)を思わせる冒頭の展開や、ベルギー国王からの推薦にポワロが感激する場面なども、大時代的と判断されたのか劇中では描かれなかった。フランスに渡った直後にとんぼ返りする展開もなく、総理大臣の誘拐という重大事件の割には、淡々とした印象を残す。会議開始までの猶予が24時間から32時間(プラス15分)に延びているのは、依頼の時間を昼間に変更した関係か。強い印象を残すダニエルズ夫人は、ドラマで追加された登場人物。
     フィングラー氏が言う「有名なお店でつくりたければどうぞつくってください、みんな私の弟子ですよ」の“有名なお店”は、原語では Savile Row という地名。これはロンドンにある有名な紳士服の仕立屋が立ち並ぶ通りで、日本語の背広はこの“サビル・ロウ”が訛ったとも言われる。日本に置き換えると、「銀座でつくりたければ……」といったイメージだろうか。
     ポワロがイーガンの部屋でマリア像を見てアイルランド出身と見抜いたのは、聖母マリアを飾るのはカトリックの慣習であり、アイルランド以外のイギリスではプロテスタント(英国国教会)が主流のため。
     ポワロがホテルで考え事を終えたあと、ドッジ次官が「港に戻るんだ」と言うが、「名探偵ポワロ」では港のシーンはまるまるカットされてしまっており、一行は一度も港に立ち寄らないので、違和感を感じた人があるかもしれない。なお、このホテルや港付近の撮影はケント州のドーバーでおこなわれており、港湾局や商業興信所の建物が撮影に使われているという。また、冒頭でジャップ警部が首相を待っている鉄道駅も旧ドーバー・マリン駅。
     ヘイスティングスの愛車、ラゴンダが久しぶりに登場し、カーチェイスを繰り広げる。ヘイスティングスによるカーチェイスの場面はこれまでにも何度かあったが、ラゴンダでのカーチェイスは初めて。このサマースコート村周辺のカーチェイスはサリー州ウォーキング郊外のオックハムから始まるオックハム・レーンで撮影されているが、ヘイスティングスたちの車はこのオックハム・レーンのあちこちを西へ向かったり東へ向かったりしている上、のちにヘイスティングスがダニエルズ夫人に撒かれる場所や、ポワロに連絡を入れる電話ボックスの前は(ハイビジョンリマスター版でないとカットされているが)その前に同じ場所を通過していたりする。また、カーチェイスのBGMは「ダベンハイム失そう事件」のテーマ曲のアレンジで、同作品のレース場でジャップ警部の財布がひったくられる場面でも使われていた。
     フィングラー氏の仕立屋やイーガンのフラットの撮影がおこなわれたのは、ベスナル・グリーンのバーネット・グローブおよびキルター・ストリート。ポワロが訪れた外務省は現地。ウィンザーからダチェットへの幹線道路は、カーチェイスも撮影されたオックハム・レーンの西側終点の三叉路。首相の手当てをした病院を捜している途中で立ち寄り、ドッジ次官が電話で連絡をしていたのは、エガムにあるタワー・ガレージという建物で、現在はフェラーリ社店舗。ダニエルズ中佐のマンションの所在地はフィッツロヴィアのウェルズ・ミューズで、ダニエルズ夫人の家があったのはクラパムのクレセント・グローブ。バークシャーにあるというサマースコート館は、ケント州グリーンハイスにあるイングレス・パークのイングレス・アビー。
     ダニエルズ中佐役のデビッド・ホロビッチは、ジョーン・ヒクソン主演の「ミス・マープル」シリーズでスラック警部を演じている。
     ハイビジョンリマスター版ではポワロの部屋の電話がアップになる場面を見ることができ、ダイヤルに TRAFALGAR 8317 と書かれているのが見えるが、ポワロの部屋の電話番号はトラファルガーの8137番。これは「死者のあやまち」の原作の設定で、ドラマの他作品でも名刺や電話にそのように書かれているのを見ることができる。
     » 結末や真相に触れる内容を表示原作の舞台となっていた第一次大戦末期は、復活祭蜂起鎮圧後の処断への反発からアイルランド独立の気運が高まっていた頃で、そうした背景がアイルランド系の名字を持つ運転手のオマーフィに疑いの目を向けさせたが、真相はドイツ人スパイの暗躍だった。しかし大戦間に時代設定を移したドラマではドイツ人スパイにそこまで直接的な行動をとらせるわけにもいかなかったのか、原作でミスリードに過ぎなかったアイルランド問題が犯行の動機として取って代わっている。劇中当時のアイルランドは独立を果たして10年以上が経っていたものの、現在もブリテン島と連合王国を構成する北東部(北アイルランド)はイギリスの一部として残っていた。これは、北東部ではイギリスからの入植者であるプロテスタントが主流派として社会的に優位に立っており、アイルランド全体としての独立となると、全島では多数派を占めるカトリックに対して、自分たちが少数派に転落するのを恐れたのが理由だった。当時の北アイルランドのカトリックはプロテスタントの優位を脅かさないよう被差別的な扱いを受けており、それがしばしばアイルランドの統一を求める勢力の過激な行動を誘発する一方、プロテスタント側からも苛烈な報復がおこなわれ、1933年から1935年にかけては暴動がつづいていた。[1][2][3]
     ダニエルズ中佐の父親がアスキス首相と袂を分かつ原因になったというアイルランド自治法案は、グラッドストン内閣の頃から自由党の懸案だった法案で、数度の否決を経て1914年に成立の見通しとなった。しかし、アイルランド自治を望まない北東部からの強硬な反対によりアイルランド情勢が不安定化したため部分的な内容となった上、第一次大戦の勃発を受けて実施が延期された。[1][2][3]その後の中佐の行動を鑑みると、父親はおそらく、情勢に関わらずアイルランド自治を推進するべきと主張したのだろう。
     ダニエルズ夫人の生家であるコニマラ伯爵家のコニマラとはアイルランド西部の地名であり、ここはカトリックが主流の地域。

    [1] 波多野裕造, 『物語 アイルランドの歴史』, pp. 212-213, 217-225, 251-252, 中央公論新社, 1994
    [2] W・A・スペック, 『イギリスの歴史』, pp. 203-205, 213-214, 創土社, 2004
    [3] 堀越智, 『北アイルランド紛争の歴史』, pp. 68-76, 105-116, 論創社, 1996
  • ロケ地写真


  • カットされた場面

    [04:17/0:19] ヘイスティングスが車に群がっていた子供たちを追い払う場面
    [05:50/0:36] 外務省の内外をポワロが歩く場面
    [13:24/1:54] イーガンの部屋をあとにするポワロ一行 〜 海沿いの道路を走り抜ける車 〜 港で船に乗るのを嫌がるポワロ 〜 ホテルへ向かうポワロと併走する車
    [16:26/0:40] ポワロが病院巡りをする場面の一部
    [32:03/1:45] ヘイスティングスとダニエルズ夫人のカーチェイス 〜 ヘイスティングスからの連絡を待つポワロたち 〜 再びカーチェイス 〜 ジャップ警部が浮浪者逮捕・釈放の報を受ける場面
  • 映像ソフト

    【VHS, LD】 「名探偵ポアロシリーズ Vol.5 総理大臣の失踪, 〈西部の星〉盗難事件」(字幕) ハミングバード
    【VHS】 「名探偵エルキュール・ポアロ 第18巻 総理大臣の失踪」(字幕) 日本クラウン
    【DVD】 「名探偵ポワロ 10 誘拐された総理大臣, 西洋の星の盗難事件」(字幕・吹替) ビームエンタテインメント(現ハピネット・ピクチャーズ
    【DVD】 「名探偵ポワロ [完全版] 10 誘拐された総理大臣, 西洋の星の盗難事件」(字幕・吹替) ハピネット・ピクチャーズ
    【BD】 「名探偵ポワロ Blu-ray BOX Disc 5 二重の罪, 安いマンションの事件, 誘拐された総理大臣, 西洋の星の盗難事件」(字幕/吹替) ハピネット・ピクチャーズ
  • 同原作の映像化作品

    【アニメ】 「アガサ・クリスティーの名探偵ポワロとマープル 第9話〜第10話 総理大臣の失踪」 2004年 監督:高橋ナオヒト 出演:里見浩太朗、折笠富美子、野島裕史、屋良有作、田中敦子
2017年8月8日更新


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