黄色いアイリス
The Yellow Iris

放送履歴

日本

オリジナル版

  • 1994年02月05日 22時00分〜 (NHK総合)
  • 1995年09月04日 17時15分〜 (NHK総合)
  • 1996年03月25日 17時15分〜 (NHK総合)
  • 1999年01月07日 15時10分〜 (NHK総合)
  • 2003年09月12日 18時00分〜 (NHK衛星第2)

ハイビジョンリマスター版

  • 2016年07月02日 16時00分〜 (NHK BSプレミアム)
  • 2016年12月07日 17時00分〜 (NHK BSプレミアム)

海外

  • 1993年01月31日 (英・ITV)

原作

邦訳

  • 「黄色いアイリス」 - 『黄色いアイリス』 クリスティー文庫 中村妙子訳
  • 「黄色いアイリス」 - 『黄色いアイリス』 ハヤカワミステリ文庫 中村妙子訳
  • 「黄色いアイリス」 - 『砂に書かれた三角形』 創元推理文庫 宇野利泰訳

原書

雑誌等掲載

  • The Yellow Iris, The Strand, August 1935 (UK)
  • Case of the Yellow Iris, The Hartford Courant, 10 October 1937 (USA)

短篇集

  • The Yellow Iris, The Regatta Mystery, Dodd Mead, 1939 (USA)
  • The Yellow Iris, Problem at Pollensa Bay and Other Stories, Collins, November 1991 (UK)

オープニングクレジット

日本

オリジナル版

名探偵ポワロ / DAVID SUCHET // HUGH FRASER / PAULINE MORAN / 黄色いアイリス, THE YELLOW IRIS / Dramatized by ANTHONY HOROWITZ

ハイビジョンリマスター版

名探偵ポワロ / DAVID SUCHET / AGATHA CHRISTIE'S POIROT / 黄色いアイリス // HUGH FRASER / PAULINE MORAN / THE YELLOW IRIS / Dramatized by ANTHONY HOROWITZ

エンディングクレジット

日本

オリジナル版

原作 アガサ・クリスティー 脚本 アンソニー・ホロウィッツ 監督 ピーター・バーバー・フレミング 制作 LWT(イギリス) / 出演 ポワロ(デビッド・スーシェ) 熊倉一雄 ヘイスティングス(ヒュー・フレイザー) 富山敬 ミス・レモン 翠準子  ラッセル 小林修 アンソニー 鈴置洋孝 ポーリン 小山茉美  弥永和子 松島みのり 矢田耕司 辻親八 石森達幸 松村彦次郎 簗正昭 山下啓介 / 日本語版 宇津木道子  山田悦司  福岡浩美 南部満治 金谷和美

ハイビジョンリマスター版

原作 アガサ・クリスティー 脚本 アンソニー・ホロヴィッツ 演出 ピーター・バーバー・フレミング 制作 LWT (イギリス)  出演 ポワロ(デビッド・スーシェ) 熊倉 一雄 ヘイスティングス(ヒュー・フレイザー) 富山 敬/安原 義人 ミス・レモン(ポーリン・モラン) 翠 準子  ラッセル 小林 修 アンソニー 鈴置 洋孝 ポーリン 小山 茉美  弥永 和子 松島 みのり 矢田 耕司 辻 親八 石森 達幸 松村 彦次郎 簗 正昭 山下 啓介 後藤 淳一 坂本 圭 関 幸司  日本語版スタッフ 翻訳 宇津木 道子 演出 山田 悦司 音声 金谷 和美 プロデューサー 里口 千

海外

オリジナル版

Hercule Poirot: DAVID SUCHET; Captain Hastings: HUGH FRASER; Miss Lemon: PAULINE MORAN; Barton Russell: DAVID TROUGHTON; Anthony Chapell: DORIAN HEALY; Pauline Wetherby: GERALDINE SOMERVILLE; Lola: YOLANDA VASQUEZ; Iris Russell: ROBIN McCAFFREY; Stephen Carter: HUGH ROSS; Luigi: JOSEPH LONG; General Pereira: STEFAN GTYFF; Hotel Receptionist: ARTURO VENEGAS; Mr. Grove: LEONARD MAGUIRE; Singers: CAROL KENYON, TRACY MILLER / Developed for Television by Carnival Films; (中略) Production Designer: TIM WIMBLE; Director of Photography: NORMAN LANGLEY B.S.C.; Music: CHRISTOPHER GUNNING; Executive Producer: NICK ELLIOTT / Producer: BRIAN EASTMAN; Director: PETER BARBER FLEMING

あらすじ

 レストラン〈ル・ジャルダン・デ・シーニュ〉がロンドンにオープンしたその日、ポワロの部屋の郵便受けには一輪の黄色いアイリスが入れられていた。それはポワロに2年前のアルゼンチンでの未解決事件を思い起こさせる……

事件発生時期

1936年某月?

主要登場人物

エルキュール・ポワロ私立探偵
アーサー・ヘイスティングスポワロのパートナー、大尉
フェリシティ・レモンポワロの秘書
バートン・ラッセルソブリン石油の経営者
アイリス・ラッセルバートンの妻
ポーリン・ウェザビーアイリスの妹
アンソニー・チャペル新聞記者、ポーリンの婚約者
スティーブン・カーターラッセルの共同経営者
ローラ・バルデスダンサー
ルイジ・デ・モニコ〈ル・ジャルダン・デ・シーニュ〉のオーナー
ペレイラアルゼンチンの将軍
グローブウェザビー家の顧問弁護士

解説、みたいなもの

 原作では冒頭に女性からの謎めいた電話を受けたポワロがレストランに出向き、そこで事件を防ごうと推理をめぐらせる筋書きで、アイリスの死については曖昧にしか描かれなかったが、ドラマでは2年前にポワロが立ち会いながら解決できなかった事件としてはっきりと描かれる。また、テーブルを囲んでいた6人の設定も、原作より互いに密な関係に変更された。加えて結末も、ドラマならではの視覚的な効果を狙った演出が加えられている。原作の短篇はのちに長篇『忘られぬ死』へと拡張されたが、『忘られぬ死』にはポワロは登場しない。
 レストラン〈ル・ジャルダン・デ・シーニュ〉で歌われる歌は歌詞が原作と微妙に変更されており、曲もドラマオリジナルのようだ。作詞と作曲もしくは編曲を担当したと思われるニール・リチャードソンは、これまでにも劇中で生演奏されるバンド音楽の作編曲を複数の作品で担当している。
 ブエノスアイレスでの事件の発生年は、墓に書かれたアイリスの没年から1934年と思われるが、史実では、アルゼンチンでクーデターが起きてイリゴーエン大統領が失脚したのは1930年のこと。クーデターについてはアンソニーがポワロに「大統領は軍とカトリックを巧みに利用してきたんですが、そのどっちかが見限るでしょう」と説明しているが、世界恐慌による貿易の減少を受けて国内経済が悪化したことへの不満や、ファシズムの台頭がその背景にあったようだ。同じくアンソニーの台詞で当時79歳とされている大統領は、実際には1852年の生まれなので1930年なら78歳。1934年なら82歳になるところだが、その前年の1933年に80歳で亡くなっており、1934年時点ではすでに故人。[1]
 ハイビジョンリマスター版では「二重の手がかり」でヘイスティングスが南米に牧場を開くという夢を語っていたが、序盤のポワロの台詞から、ブエノスアイレスでクーデターがあった年にはすでにヘイスティングスがアルゼンチンで牧場を営んでいたことがわかる。本作の原作にはヘイスティングスは登場せず、アルゼンチンの彼の牧場に向かう途中でポワロがブエノスアイレスでの事件に立ち合うのも前述のとおりドラマオリジナルだが、ポワロがヘイスティングスの牧場を訪ねようとして事件で果たせない展開は、「ビッグ・フォー」の原作冒頭を思い起こさせる。
 バートン・ラッセルの客間には漢字の書がかかっており、それぞれ「觀濤」「松涛」と読める。
 ハイビジョンリマスター版ではポワロがアイリスの墓の場所に言及する場面があり、それによればノーフォークのリーパムということだが(ただし、日本語ではノーフォークであることまでしか触れない)、これは「マースドン荘の惨劇」でマースドン・リーの村の撮影がおこなわれた町。ただ、今回のロケ地はリーパムの教会ではないようだ。
 最後にポワロとヘイスティングスがフィッシュ・アンド・チップスを食べる場所はバターシー・パークの北西の端で、画面奥に見えるのは「コックを捜せ」に登場したアルバート・ブリッジ。ここでのやりとりの前提になった、ポワロがヘイスティングスに「イギリスには料理はない。あるのは食べ物だけ (The English, they do not have a cuisine, my friend. They have only a food.)」と言った場面は「名探偵ポワロ」オリジナル版ではカットされたが、この経緯を踏まえると、「イギリス料理」を口に入れたときのポワロの表情の変化や、勢いよく口に運び始める前にヘイスティングスから顔をそらすスーシェの演技が細かさがよくわかる。
 ロンドンの〈ル・ジャルダン・デ・シーニュ〉がオープンしたジャーマン・ストリートはピカデリーの一本南を並行して走る通りだが、撮影がおこなわれたのは「プリマス行き急行列車」「盗まれたロイヤル・ルビー」に登場したアデルフィ・ホテル横手のロバート・ストリート。バートン・ラッセルの邸宅は、ロンドン北部ハムステッドのフログナル・ウェイにあるサン・ハウス。アルゼンチンの場面の撮影は「エジプト墳墓のなぞ」と一緒にスペインで撮影されたようで、オテル・グランデはアルメリアの市庁舎、ブエノスアイレス監獄はアルメリア近郊の古い牢獄で撮影されているが、本作では Agatha Christie's Poirot のエンディングにスペインのスタッフはクレジットされていない。
 バートン・ラッセル役のデビッド・トロートンは、ジョン・ネトルズ主演の「バーナビー警部」の一篇、「小説は死のささやき」のブライアン・クラッパー役でも見ることができる。また、スティーブン・カーター役のヒュー・ロスも、ジュリア・マッケンジー主演の「ミス・マープル5」の「青いゼラニウム」にカーマイケル裁判長役で出演。このほか、ジェレミー・ブレット主演の「シャーロック・ホームズの冒険」シリーズでは、ローラ役のヨランダ・バズクウェズを「サセックスの吸血鬼」のカルロッタ・ファーガスン役で、またルイジ役のジョセフ・ロングを「赤い輪」のエンリコ・フィルマーニ役で見ることができる。
 日本では当初、「なぞの遺言書」「イタリア貴族殺害事件」の間に放送されたが、最初の再放送から「負け犬」「死人の鏡」の間に放送順が変更されている。
 本篇とは関係ないが、下で紹介しているビデオのテープ側面に貼られたラベルには、タイトルが「黄色いアリス」と誤記されている。
 » 結末や真相に触れる内容を表示
  1. [1] 中川文雄, 松下洋, 遅野井茂雄, 『世界現代史34 ラテンアメリカ現代史II』, pp. 332-342, 索引3, 山川出版社, 1985

ロケ地写真

カットされた場面

日本

オリジナル版

[01:28/0:48]朝のポワロとヘイスティングスの会話前半、イギリス料理の話
[16:37/0:58]ポワロがホテルから連れ出される場面の最後 〜 軍の建物に連行されたポワロがペレイラ将軍の取り調べを受ける場面
[18:12/3:03]〈ル・ジャルダン・デ・シーニュ〉へ向かうポワロとヘイスティングスの会話 〜 ルイジとポワロたちの会話 〜 劇場でのダンスのリハーサルの様子 〜 ローラとの会見
[20:55/0:19]記者が群がるソブリン石油の玄関ホールを抜けるポワロとヘイスティングス
[24:52/0:37]ポワロのマンション外観 〜 〈ル・ジャルダン・デ・シーニュ〉へ行く準備をするポワロとミス・レモンの会話

映像ソフト

  • [VHS] 「名探偵エルキュール・ポアロ 第32巻 黄色いアイリス」(字幕) 日本クラウン
  • [DVD] 「名探偵ポワロ 21 黄色いアイリス, なぞの遺言書」(字幕・吹替) ビームエンタテインメント(現ハピネット・ピクチャーズ
  • [DVD] 「名探偵ポワロ [完全版] 21 黄色いアイリス, なぞの遺言書」(字幕・吹替) ハピネット・ピクチャーズ
  • [BD] 「名探偵ポワロ Blu-ray BOX Disc 11 黄色いアイリス, なぞの遺言書, イタリア貴族殺害事件, チョコレートの箱」(字幕/吹替) ハピネット・ピクチャーズ
2018年6月9日更新