ヒッコリー・ロードの殺人
Hickory Dickory Dock

放送履歴

日本

オリジナル版

  • 1996年12月30日 17時05分〜 (NHK総合)
  • 1997年11月07日 25時00分〜 (NHK総合)

ハイビジョンリマスター版

  • 2016年08月20日 15時00分〜 (NHK BSプレミアム)
  • 2017年01月25日 16時00分〜 (NHK BSプレミアム)

海外

  • 1995年02月12日 (英・ITV)

原作

邦訳

  • 『ヒッコリー・ロードの殺人』 クリスティー文庫 高橋豊訳
  • 『ヒッコリー・ロードの殺人』 ハヤカワミステリ文庫 高橋豊訳

原書

  • Hickory Dickory Dock, Collins, 31 October 1955 (UK)
  • Hickory Dickory Dock, Dodd Mead, November 1955 (USA)

オープニングクレジット

日本

オリジナル版

海外ドラマ // 名探偵ポワロ / AGATHA CHRISTIE'S POIROT / DAVID SUCHET // DAVID SUCHET / PHILIP JACKSON / PAULINE MORAN / HICKORY DICKORY DOCK, ヒッコリー・ロードの殺人 / Based on the novel by AGATHA CHRISTIE / Dramatized by ANTHONY HOROWITZ

ハイビジョンリマスター版

名探偵ポワロ / DAVID SUCHET / AGATHA CHRISTIE'S POIROT / ヒッコリー・ロードの殺人 // DAVID SUCHET / PHILIP JACKSON / PAULINE MORAN / HICKORY DICKORY DOCK / Based on the novel by AGATHA CHRISTIE / Dramatized by ANTHONY HOROWITZ

エンディングクレジット

日本

オリジナル版

原作 アガサ・クリスティー 脚本 アンソニー・ホロウィッツ 監督 アンドリュー・グリーブ 制作 LWT(イギリス) / 声の出演 ポワロ(デビッド・スーシェ) 熊倉一雄 ジャップ警部(フィリップ・ジャクソン) 坂口芳貞 ミス・レモン(ポーリーン・モラン) 翠準子  サリー 戸田恵子 ナイジェル 家中宏 レナード 辻谷耕史 コリン 水野龍司 パトリシア 安達忍 バレリー 勝生真沙子 シーリア 潘恵子  京田尚子 此島愛子 荒川太郎 大木民夫 有本欽隆 藤本譲 中田和宏 増岡弘 磯部弘 / 日本語版スタッフ 宇津木道子  兼子芳博 南部満治 浅見盛康  山田悦司

ハイビジョンリマスター版

原作 アガサ・クリスティー 脚本 アンソニー・ホロヴィッツ 演出 アンドリュー・グリーブ 制作 LWT (イギリス) / 出演 ポワロ(デビッド・スーシェ) 熊倉 一雄 ジャップ警部(フィリップ・ジャクソン) 坂口 芳貞 ミス・レモン(ポーリン・モラン) 翠 準子  サリー 戸田 恵子 ナイジェル 家中 宏 レナード 辻谷 耕史 コリン 水野 龍司 パトリシア 安達 忍 バレリー 勝生 真沙子 シーリア 潘 恵子  京田 尚子 此島 愛子 荒川 太朗 大木 民夫 有本 欽隆 藤本 譲 中田 和宏 増岡 弘 磯部 弘 山内 勉 渡辺 英雄  日本語版スタッフ 翻訳 宇津木 道子 演出 山田 悦司 音声 兼子 芳博 プロデューサー 里口 千

海外

オリジナル版

Directed by: ANDREW GRIEVE / Produced by: BRIAN EASTMAN / Exective Producer: SARAH WILSON / Assosicate Producer: CHRISTOPHER HALL; Music: CHRISTOPHER GUNNING / Director of Photography: CHRIS O'DELL; Editor: DEREK BAIN; Sound Recordist: KEN WESTON / Production Designer: ROB HARRIS; Costume Designer: ANDREA GALER; Make up: SUZAN BROAD / Hercule Poirot: DAVID SUCHET; Japp: PHILIP JACKSON; Miss Lemon: PAULINE MORAN; Sally Finch: PARIS JEFFERSON; Nigel Chapman: JONATHAN FIRTH; Leonard Bateson: DAMIAN LEWIS; Colin McNabb: GILBERT MARTIN; Valerie Hobhouse: ELINOR MORRISTON; Patricia Lane: POLLY KEMP; Celia Austin: JESSICA LLOYD; Mrs Hubbard: SARAH BADEL; Mrs Nicoletis: RACHEL BELL; Mr Casterman: GRANVILLE SAXTON; Sir Arthur Stanley: DAVID BURKE; Mr Endicott: BERNARD LLOYD; Butcher: TERRY DUGGAN; Jarrow Marcher: MARK DENNY; Passport Officer: TONY KIRWOOD; Customs Officer: PETER GALNCY; Giorgios: ANDY LENDEN; Journalists: MARK WEBB, ANTHONY HOUGHTON, TERRY FRANCIS; Pharmacist: ALEC LINSTEAD; Chief Inspector: BRIAN McDERMOTT; Vicar: JOHN WEBB / (中略) / A CARNIVAL FILMS PRODUCTION in assosiation with LWTP

あらすじ

 ミス・レモンの姉、ハバード夫人が管理人をしている学生寮では、次々に妙なものが紛失するという事件が起きていた。相談を受けたポワロは講演と称して学生寮に乗り込むが、そこに邪悪な気配を感じ取る……

事件発生時期

1934年4月上旬?

主要登場人物

エルキュール・ポワロ私立探偵
ジェームス・ジャップスコットランド・ヤード主任警部
フェリシティ・レモンポワロの秘書
フローレンス・ハバードミス・レモンの姉、学生寮の管理人
シーリア・オースティン学生寮の住人、化学専攻
コリン・マックナブ学生寮の住人、心理学専攻
パトリシア・レイン学生寮の住人、政治学専攻
サリー・フィンチ学生寮の住人、イギリス文学専攻
バレリー・ホブハウス学生寮の住人、ファッション専攻
レナード・ベイトソン学生寮の住人、医学部生
ナイジェル・チャップマン学生寮の住人、中世史・考古学専攻
クリスティーナ・ニコレティス学生寮の経営者
サー・アーサー・スタンリー著名な政治家
エンディコットスタンリー卿の友人、弁護士
ジョン・キャスタマン学生寮を見張っている男

解説、みたいなもの

 制作の中心を短篇から長篇に移しての第1作目(イギリスでは2作目)。この作品以降、日本では年末年始に新作の長篇を2本ずつ放送するというスタイルが続くことになった。
 原作は1955年発表の長篇小説で、第二次大戦後の時代を舞台とする原作の、実質的に初めての映像化(「盗まれたロイヤル・ルビー」「スペイン櫃の秘密」の原作は1960年の発表だが、戦前に発表された短篇を原型として中篇に拡張したもの)。しかし、ドラマでは時代をいつもの1930年代に移しており、第二次大戦後ならではの国際色豊かな若者が集う学生寮という原作の舞台からも、イギリス人以外の登場人物はほとんどカットされた(ただし、若い外国人が容疑者の事件について警察が学生寮を調べにきたというエピソードはそのまま)。ほかに原作との変更点で大きなものは、モルヒネを盗み出した人物がナイジェルからコリンに変更されてコリンが前半の主要な容疑者となる点や、スタンリー卿が著名な政治家にされて序盤から露出が増えていること、サリーの素性、バレリーの出生など。また原作にない要素として、ポワロとジャップ警部の文化や好みの違いがユーモラスに強調して描かれ、冷酷な犯行の印象を和らげている。なお、ラストの二人の会話は日本語だとただのユーモラスな会話だが、原語で聞くとかなりきわどいブリティッシュ・ジョークであることがわかる。
 舞台となっている時期は、劇中でジャローのデモ行進がベッドフォードに到着というニュースが聞けることからは1936年の10月と推測されるが、学生寮でのポワロの講演に関する貼紙には Thursday 5th April とあり、1930年代で4月5日が木曜日なのは1934年のみ。舞台が1934年であるとすると、スタンリー・ボールドウィンが首相であると思われる点(1930年代中の在任期間は、1935年6月〜1937年5月)とも矛盾する。なお、劇中では大学構内の桜が咲いており、季節は春である。
 原題の Hickory, Dickory, Dock はマザーグースの歌の一節。本作の劇伴やエンディングテーマもこの歌の冒頭のメロディを取り込んでいるほか、事件の推移をネズミが見守っているような演出はこの歌の歌詞になぞらえたもので、ネズミが時計を駆け下りるのも、歌詞どおりに2度ともちゃんと時計が1時を打ったとき。しかし、時計が指す時刻はポワロが謎解きをしている途中で一度巻き戻る。
 「名探偵ポワロ」オリジナル版ではジャップ警部の自宅が初登場。ハイビジョンリマスター版では「愛国殺人」で登場済みだが、オリジナル版ではその場面がまるまるカットされていたため、本作が初登場となった。ただ、今回のジャップ警部の自宅は、キッチンにかかっているカーテン以外、「愛国殺人」のときとは別物に見える。今回の舞台が1934年と1936年のいずれであれ、「愛国殺人」の舞台が1937年であることを考えると、このあとで引越しをしたようだ。なお、ジャップ警部の自宅は「愛国殺人」の前述の場面のほか、本作や「チョコレートの箱」、そしてのちの「アクロイド殺人事件」の原語音声でもロンドン西部郊外のアイゾルワースにあることになっていて、本作冒頭のアレン精肉店で首肉を注文した警部に「それはアイゾルワースに限ります」とポワロが言ったのは、「警部の地元ではそういうものを食べるかもしれないけれど……」という含みがある。
 スタンリー卿の「卿」は英語の Lord や Sir の訳語として使われるが、サー・アーサー・スタンリーの敬称 Sir はフルネームもしくはファーストネームにつける敬称で、英語では Sir Stanley という言い方にはならない。
 盗難事件の相談を持ち込んだハバード夫人にポワロが言う「これはお礼を言わなくては」という台詞は、原語だと 'I must congratulate you, Madame Hubbard. (これはお祝いを言わなくては)' という台詞で、「ユニークですてきな問題」に出合って喜ぶ想定がハバード夫人に置かれており、夫人の当惑とミス・レモンの目配せがいっそう際立つ。
 講演会前のディナーの席や大学の図書館での会話に、サリーがフルブライトの奨学金を受けている旨の台詞があるが、この奨学金は1946年にアメリカの上院議員ジェームス・ウィリアム・フルブライトによって設立されたもので、劇中の1930年代には存在しなかった。また、バレリーが授業の一環として働いているファッションハウスは原語だと Sabrina Fair という名前であることがわかり、映画「麗しのサブリナ」の原作となった舞台のタイトルにちなんだものと思われるが、その舞台の初演も1953年。これらはいずれも原作の設定をそのまま流用したもので、時代が原作発表時の1955年であれば問題のない設定だった。
 ポワロの講演会の晩にバレリーが着ている服は、「西洋の星の盗難事件」でマリー・マーベルがポワロに真相を告げられる場面で着ていたのと同じ服。
 ポワロがサリーの前で、キーツと見せかけてシェリーの詩を暗唱してみせる場面があるが、キーツとシェリーはともに英国のロマン派詩人で友人関係にあった。シェリーの2度目の妻メアリは、『フランケンシュタイン』などの著者としても知られる。
 ミス・レモンが出した舌平目のミルク煮について日本語で「レモン風ですわ」と言った台詞は、原語だと 'Lemon sole.' という台詞で、これは魚自体の種類の名前。ただ、その前の場面では彼女は買い物籠からレモンを取り出しており、実際にレモン風味でもありそう。
 ヒッコリー・ロードの撮影が行われたのはセント・ポール大聖堂近くのカーター・レーンで、寮の建物は実際にはロンドン・セント・ポールズ・ユースホステル。また、地下鉄のヒッコリー・ロード駅とされている建物も実際には地下鉄駅ではなく、構内はノーザン線のモーデン駅で撮影されたようだ。一方、冒頭でポワロとジャップ警部が訪れたアレン精肉店はマウント・ストリートに実在する。寮の学生たちが通う大学は、「24羽の黒つぐみ」にも登場のユニバーシティ・カレッジ・ロンドン。バレリーが授業の一環として働いていたファッションハウスは、チャンドス・ストリートからクイーン・アン・ストリートへの曲がり角にあるチャンドス・ハウス。ジョルジョスの店がある通りは、リバプール・ストリート駅近くのブラッシュフィールド・ストリート。スタンリー卿の葬儀がおこなわれたのは、ブロンプトン共同墓地
 スタンリー卿役のデビッド・バークは、ジェレミー・ブレット主演の「シャーロック・ホームズの冒険」シリーズにおいて、「ボヘミアの醜聞」から「最後の事件」までの13話でドクター・ワトスン役を演じている。また、サリー役のパリス・ジェファーソンも、同シリーズの「未婚の貴族」にヘンリエッタ・ドーラン役で出演している。さらに、ニコレティス夫人役のレイチェル・ベルは、ジョーン・ヒクソン主演の「ミス・マープル」シリーズの一篇、「ポケットにライ麦を」のジェニファー・フォーテスキュー役で、キャスタマン氏役のグランヴィル・サクストンは、フランセスカ・アニス主演の「二人で探偵を」シリーズの一篇、「謎を知ってるチョコレート」のバートン医師役で見ることができる。
 アレン精肉店の前でジャップ警部が買った新聞と、ポワロが朝食の席で読んでいた新聞は、裏面に載っている記事がまったく同じに見える。また、事件解決の日の朝、ホワイトヘイブン・マンションの4階、正面から見て右側の窓に、朝食を摂っているポワロとおぼしき人影が見えるが、ポワロの部屋は6階の左側のはず。

ロケ地写真

カットされた場面

日本

オリジナル版

[0:11:29/0:23]タイプした手紙に間違いを見つけてミス・レモンを呼ぶポワロ
[0:37:36/0:17]スタンリー卿が入院する場面
[0:45:45/1:19]パブでの学生たちの会話
[0:56:53/0:34]コリン逮捕の翌朝のポワロとジャップ警部の会話冒頭
[1:04:20/0:25]ポワロがリュックサックを切っているところへミス・レモンが買い物から戻ってくる場面
[1:36:28/0:19]ジャップ警部宅でのポワロと警部の会話冒頭

映像ソフト

2018年6月16日更新