象は忘れない
Elephants Can Remember

放送履歴

日本

オリジナル版

  • 2014年09月08日 21時00分〜 (NHK BSプレミアム)
  • 2015年03月01日 16時00分〜 (NHK BSプレミアム)
  • 2016年01月05日 23時45分〜 (NHK BSプレミアム)
  • 2017年02月04日 16時00分〜 (NHK BSプレミアム)
  • 2017年07月12日 16時00分〜 (NHK BSプレミアム)

海外

  • 2013年06月09日 20時00分〜 (英・ITV1)
  • 2013年09月06日 20時10分〜 (波・Ale Kino+)

原作

邦訳

  • 『象は忘れない』 クリスティー文庫 中村能三訳
  • 『象は忘れない』 ハヤカワミステリ文庫 中村能三訳

オープニングクレジット

日本

オリジナル版

象は忘れない // DAVID SUCHET / Agatha Christie POIROT / ELEPHANTS CAN REMEMBER based on the novel by AGATHA CHRISTIE / Screenplay NICK DEAR / ALEXANDRA DOWLING, IAIN GLEN / FERDINAND KINGSLEY, VANESSA KIRBY / GRETA SCACCHI, VINCENT REGAN, DANNY WEBB / and ZOË WANAMAKER as Ariadne Oliver / Producer DAVID BOULTER / Director JOHN STRICKLAND

エンディングクレジット

日本

オリジナル版

原作 アガサ・クリスティー Agatha Christie  脚本 ニック・ディア 演出 ジョン・ストリックランド 制作 ITVスタジオズ/エーコン・プロダクションズ マスターピース/アガサ・クリスティー・リミテッド (イギリス 2013年)  声の出演 ポワロ(デビッド・スーシェ) 熊倉一雄  アリアドニ・オリヴァ(ゾーイ・ワナメイカー) 山本陽子  シリア・レーブンズクロフト(バネッサ・カービー) 甲斐田裕子 マリー・マクダーモット(アレキサンドラ・ダウリング) 小林さやか  ウィロビー博士 押切英希 バートンコックス夫人 一城みゆ希 ゼリー 那須佐代子  ビール警部 石田圭祐 ギャロウェイ警視 小島敏彦 デスモンド 野沢総  マッチャム夫人 菅原チネ子 カーステアズ 藤夏子 ローズンテル夫人 礒辺万沙子  井上裕子 有川知江 こねり翔 荻沢俊彦 タナカサキコ 星野健一  <日本語版制作スタッフ> 翻訳 澤口浩介 演出 佐藤敏夫 音声 小出善司

DVD版

原作 アガサ・クリスティー Agatha Christie  脚本 ニック・ディア 演出 ジョン・ストリックランド 制作 ITVスタジオズ/エーコン・プロダクションズ マスターピース/アガサ・クリスティー・リミテッド (イギリス 2013年)  声の出演 ポワロ(デビッド・スーシェ) 熊倉一雄  アリアドニ・オリヴァ(ゾーイ・ワナメイカー) 山本陽子  シリア・レーブンズクロフト(バネッサ・カービー) 甲斐田裕子 マリー・マクダーモット(アレキサンドラ・ダウリング) 小林さやか  ウィロビー博士 押切英希 バートンコックス夫人 一城みゆ希 ゼリー 那須佐代子  ビール警部 石田圭祐 ギャロウェイ警視 小島敏彦 デスモンド 野沢総  マッチャム夫人 菅原チネ子 カーステアズ 藤夏子 ローズンテル夫人 礒辺万沙子  井上裕子 有川知江 こねり翔 荻沢俊彦 タナカサキコ 星野健一  <日本語版制作スタッフ> 翻訳・台本 澤口浩介 演出 佐藤敏夫 調整 小出善司 録音 黒田賢吾 プロデューサー 武士俣公佑  制作統括 小坂聖

海外

オリジナル版

Hercule Poirot: DAVID SUCHET; General Ravenscroft: ADRIAN LUKIS; Lady Ravenscroft: ANNABEL MULLION; Ariadne Oliver: ZOË WANAMAKER; Mrs Burton-Cox: GRETA SCACCHI / Doctor Willoughby: IAIN GLEN; Detective Inspector Beale: VINCENT REGAN; Marie: ALEXANDRA DOWLING; Celia Ravenscroft: VANESSA KIRBY; Julia Carstairs: CAROLINE BLAKISTON; Zelie Rouxelle: ELSA MOLLIEN; Mrs Buckle: MAXINE EVANS / Mrs Matcham: HAZEL DOUGLAS; Mrs Willoughby: JO-ANNE STOCKHAM; Desmond Burton-Cox: FERDINAND KINGSLEY; Superintendent Garroway: DANNY WEBB; Dorothea Jarrow: CLAIRE COX; Madame Rosentelle: RUTH SHEEN; Stunt Co-ordinator: TOM LUCY / (中略) / Composer: CHRISTIAN HENSON; Poirot Theme: CHRISTOPHER GUNNING; Editor: MICHAEL HARROWES; Production Designer: JEFF TESSLER; Director of Photography: GAVIN FINNEY BSC; Line Producer: MATTHEW HAMILTON / Executive Producer for Acorn Productions Limited: HILARY STRONG; Executive Producer for Agatha Christie Limited: MATHEW PRICHARD / Executive Producers: MICHELE BUCK, KAREN THRUSSELL, DAMIEN TIMMER; © Agatha Christie Ltd 2013 / A Co-Production of itv STUDIOS, Agatha Christie, Acorn Productions

あらすじ

 オリヴァ夫人は推理作家大賞の授賞式会場で奇妙な依頼を受ける。13年前の名付け子の両親の事件で、父親が母親を殺したのか、母親が父親を殺したのかを調べてほしいという。一方、ポワロは友人ウィロビー博士の父親の殺害事件の調査に赴くが……

事件発生時期

1938年

主要登場人物

エルキュール・ポワロ私立探偵
アリアドニ・オリヴァ推理作家
シリア・レーブンズクロフトオリヴァ夫人の名付け子
アリステア・レーブンズクロフトシリアの父、退役した将軍、13年前に死亡
マーガレット・レーブンズクロフトシリアの母、13年前に死亡
ドロシア・ジャローマーガレットの姉、13年前に死亡
デスモンド・バートンコックスシリアの婚約者、音楽院生
バートンコックス夫人デスモンドの養母
デビッド・ウィロビーポワロの友人、精神科医、博士
T・ウィロビーウィロビー博士の父、精神科医、教授
マリー・マクダーモットウィロビー博士のアシスタント
ジュリア・カーステアズオリヴァ夫人の友人
マッチャム夫人オリヴァ夫人のばあや
ゼリー・ルーセルレーブンズクロフト将軍の元秘書
ビール警部、ウィロビー事件担当
ビル・ギャロウェイ元警視、レーブンズクロフト事件担当

解説、みたいなもの

 原作は1972年に刊行。「ポワロ最後の事件」と銘打たれた1975年刊行の「カーテン 〜ポワロ最後の事件〜」の原作は第二次大戦中に執筆されたと言われており、本作の原作がクリスティーが最後に執筆したポワロ譚となった。「象は忘れない」というタイトルの由来は原作でしか言及されないが、インドで鼻に縫い針を刺された象が、そのことを忘れずに何年もしてから仕返しをしたという逸話に基づいている。
 本作の原作はしばしば、提示される謎が物語の興味を持続させるには弱いという批判を受けており、実際、主演のスーシェも本作の映像化には困難を感じていたという[1]。そのためか、原作ではマーガレットとドロシアの姉妹の関係を語る証人の一人に過ぎなかったウィロビー医師をドラマではポワロの友人とし、原作では初めから故人として登場したウィロビー医師の父親の殺害事件を現在の事件として追加している。この脚色に伴って配されたマリー・マクダーモットやビール警部はドラマオリジナルの登場人物。このビール警部の追加によってギャロウェイ警視はややムードメーカー的な存在に追いやられ、原作でギャロウェイ警視を紹介したスペンス警視も「ハロウィーン・パーティー」同様に出番を削られることになった。同じく、原作には登場していたミス・レモンの出番もない。撮影は2013年1月10日に開始し、2月上旬までおこなわれた[2][3]。吹替音声の収録は同年10月だが、熊倉一雄さんのポワロの台詞は別収録だったようだ。
 第10シリーズ以降、ホワイトヘイブン・マンションの外観が映る場面はずっと同一の映像を(場合によっては色合いの調整や合成を加えて)使いまわしていたが、本作では新たにマンションの外観や玄関前を映す場面が多数撮影された。その際、入り口のひさしにあるマンション名の表示は第10シリーズと同様だが、玄関前の昇り段の両脇に置かれた植木はなくなっている。なお、ポワロがマンションからタクシーで向かったはずのウィロビー研究所も、実はマンションが撮影されたチャーターハウス・スクエアのすぐ奥、ラットランド・プレースにあり、ポワロがパリから帰ったあとにオリヴァ夫人が訪ねてくる場面では、マンション前からウィロビー研究所が見えないように車を置いて隠しているが、車の窓とドアの隙間から、実は一瞬だけ研究所の建物が見える。また過去の作品でも、ときどき(たとえば「コックを捜せ」で最初にマンションの外観が映る場面や、「アクロイド殺人事件」でマンション前の公園をポワロとジャップ警部が歩いている場面など)マンションの向かって左側に研究所の建物が映っている。一方、逆にシリアが研究所を訪問した際には、第1シリーズで何度も映ったマンション前の守衛所が画面奥に見える。
 序盤、ポワロの呼びかけにジョージが答えるが姿は見せない。このときの声はいつもの坂本大地さんではなくレーブンズクロフト将軍役のこねり翔さんがかけ持ちしており、原語音声でもデビッド・イェランドのものではないようだ。デスモンドが2度目にポワロのマンションを訪ねた場面ではわずかに姿を見せるが、画面に映るのは腕から先のみで、こちらも代役と見られる。
 ポワロの書斎に置かれたオリヴァ夫人の著作群のうち、テーマカラーが橙色の The Widow's Veil と、薄紫色の To Kill a Dream の2冊だけは背表紙の円のなかにシンボルが描かれておらず、 The Widow's Veil の方は本の厚みとカバーの背表紙もあっていない。
 ポワロがオリヴァ夫人にする「かなりの労力を要しますが、何もしないことです」という反語性を強調したアドバイスは、原語だと 'and this, I advise you to do most strenuously, is nothing.' という表現。日本語は most strenuously (労力をかけて, 断固として) を do にかかるものと取ったようだが、 advice にかかるものとして「そしてこれを私は強くお勧めしますが、何もしないことです」とも取れる。
 マーガレット・レーブンズクロフトがカツラを使っていた理由について、ジュリア・カーステアズが「癌か何かで禿げたのかもしれないけど」と推測を口にする場面があるが、癌の際の脱毛は抗癌剤の副作用に起因するもので、まだ抗癌剤による化学治療がおこなわれていない1920〜30年代では時代にあわない。
 ホワイトヘイブン・マンション前でビール警部にオリヴァ夫人が「サセックスで連日象を追いかけてるの」という台詞の原語は 'I've spent all day driving round Sussex, chasing elephants. (象を追いかけて一日中サセックスを車で走りまわっていたの)' という表現で、ジュリア・カーステアズとマッチャム夫人への訪問は同日のことであり、ここは朝からの聞き込みが終わって夜にポワロを訪ねてきたという場面だった。
 ギャロウェイ警視が口にする「罪は古いほど影が長い (Old sins have long shadows)」は、日本語訳は異なるが「ハロウィーン・パーティー」でもポワロが言及するクリスティーが好んだテーマ。罪は遠い過去のものであっても長く影響を残すものだという意味で、どんどん過去に離れても現在に届くためには確かに影が長くなっていかないといけないのだが、決して古い罪ほど影響が強まるニュアンスはない。
 ユージン・アンド・ローズンテルがかつて店を構えていたというボンド通りのあるメイフェア地区はロンドンの一等地。オリヴァ夫人が住まいはメイフェアと言った途端にローズンテル夫人の態度が変わったのもそのためで、これが南ロンドンのトゥーティング・ベックに移ったということは、言外に美容院が流行の先端からはずれたことを感じさせる(ちなみに、類似の文脈でトゥーティングが言及されていた「三幕の殺人」も、やはり本作と同じニック・ディアの脚本である)。なお、ボンド通りについてローズンテル夫人が「バートのボンド通りよ、憶えてる?」と言った台詞は、原語では 'Bond Street, Bert. Remember?' という台詞で、ここの Bert は地名ではなく男性名の呼びかけ。おそらくは“ユージン”の本名(の愛称)がバートなのだろう。
 ポワロとマリーのあいだで「イギリスへ来たのは去年の夏ですね?」「ええ、半年前、フランス号で」「では、その年の3月はまだボストンに?」というやりとりがあるが、原語では「去年の夏」は last summer、「その年の3月」は March of this year なので、本来は「この前の夏」「今年の3月」と訳すべきところ。したがって、撮影時期は年明けだが、劇中では年内の設定のようだ。
 2回のウィロビー邸訪問ではどちらも、屋外の場面では降っていなかった雪が、屋内の場面では窓の向こうで激しく降っており、それぞれをまとめて撮影したことが推察される。
 ポワロと初めて対面したバートンコックス夫人が言う「フランスの方? フランス語は嫌いよ」は、原語では 'Is he a French? I can't stand the French.' という台詞で、嫌っているのはフランス語ではなくフランス人(「フランス語」の意味では French に the はつけない)。その直前の場面で明らかになった、デスモンドとゼリーの関係が背景にある台詞であったと思われる。これが日本語で「フランス語」と訳されてしまったのは、直前のポワロの「光栄です、マダム」が、原語では «Enchenté, madame.» とフランス語だったからだろうか。
 コンサートでデスモンドが演奏したバッハのゴールドベルグ変奏曲は、「第三の女」でもポワロがラジオで聴いていた。
 ゼリーを説得するポワロの言葉は、原語で聞くと 'Mademoiselle, neither you nor I are married. Well, we may never be married, but they should be. (マドモワゼル、あなたも私も独身で、これからも結婚しないかもしれない。でもあの二人は結婚するべきです)' という台詞で、お互いに独身を通す孤独な身であればこその逆説的な共感に訴えるものとなっている。
 エンディングクレジットで制作に名を連ねるマスターピースは、アメリカの公共放送 PBS のメンバーである WGBH が手がける、英ドラマの放送枠なのだが、第13シリーズでは「ビッグ・フォー」「死者のあやまち」「カーテン 〜ポワロ最後の事件〜」の制作にしか参加しておらず、本作と「ヘラクレスの難業」のオリジナルのエンディングクレジットでは名前を挙げられていない。 PBS で放送されたのも「ビッグ・フォー」「死者のあやまち」の2作品のみで、残る3作品のアメリカでの公開は、インターネットでの番組配信サービス Acorn TV での配信となった。
 冒頭などオーバークリフ荘(崖の上の家の意)の奥に映る美しい白堊の崖は、サセックス州イーストボーンの西に位置するセブン・シスターズと呼ばれる石灰岩質の崖で、オーバークリフ荘やレーブンズクロフト事件の現場はそのさらに西にあるシーフォード・ヘッド。ただし、オーバークリフ荘の建物とサセックスの景色は明らかな合成である。その合成されたオーバークリフ荘には、ロングクロス・フィルム・スタジオマナーハウスが使われた。年間推理作家大賞の授賞式会場は、「青列車の秘密」にも登場したロンドンのパークレーン・ホテル。ジュリア・カーステアズの邸宅とマッチャム夫人の家はグレイズ・コートで、ジュリアの邸宅が本館、マッチャム夫人の家がダウワー・ハウス(未亡人用の別棟)。ウィロビー博士のケント州の自宅はネザーワイルド乗馬場。ウィロビー研究所の地下は、ジュリア・マッケンジー主演「ミス・マープル4」の「魔術の殺人」でストーニーゲイツ地下が撮影されたのと同じ場所。
 デスモンドのファイルを調べにウィロビー研究所を訪れたときにポワロが登り段をあがる映像は、ウィロビー教授殺害発覚の日にタクシーを降りて登り段をあがったときの使いまわし。また、ポワロがパリへ向かう場面の汽車の映像は「オリエント急行の殺人」からの使いまわし。ただ、汽車が線路を駆け抜ける映像は左右反転に加えて線路奥に雪がなく、映像を加工したか、もしくは「オリエント急行の殺人」で加工する前の映像を利用していると思われる。
 ギャロウェイ警視を演じるダニー・ウェブは、「コックを捜せ」のトウィッケナム駅のポーター役以来2回目の「名探偵ポワロ」出演。レーブンズクロフト将軍役のエイドリアン・ルーキスは、ジェレミー・ブレット主演の「シャーロック・ホームズの冒険」中「這う人」のジャック・ベネット役や、ジョーン・ヒクソン主演の「ミス・マープル」の「カリブ海の秘密」のティム・ケンドル役で見ることができる。一方、ジェラルディン・マクイーワン主演の「ミス・マープル」シリーズでは、バートンコックス夫人役のグレタ・スカッキを「親指のうずき」のタペンス役、ビール警部役のヴィンセント・リーガンを「バートラム・ホテルにて」のミッキー・ゴーマン役、ローズンテル夫人役のルース・シーンを「牧師館の殺人」のタラント夫人役で見ることができるほか、前述のダニー・ウェブも「バートラム・ホテルにて」にムッティ役で出演。「シャーロック・ホームズの冒険」シリーズには、ジュリア・カーステアズ役のキャロライン・ブラキストンも「三破風館」の公爵未亡人役で出演。
 最初にポワロがウィロビー研究所を訪れた際、ウィロビー博士の部屋の窓の外にグリーンバックが……
 » 結末や真相に触れる内容を表示
  1. [1] Mark Aldridge, Agatha Christie on Screen, pp. 277, Palgrave Macmillan, 2016
  2. [2] David_Suchet on Twitter: "I start filming ELEPHANTS CAN REMEMBER on Jan 10th"
  3. [3] David_Suchet on Twitter: "One more week to film ELEPHANTS and then its THE BIG FOUR"

ロケ地写真

カットされた場面

なし

映像ソフト

  • 「名探偵ポワロ NEW SEASON DVD-BOX 5」に収録
2018年7月7日更新