複数の時計
The Clocks

放送履歴

日本

オリジナル版(90分00秒)

  • 2012年02月07日 22時00分〜 (NHK BSプレミアム)
  • 2014年01月16日 16時00分〜 (NHK BSプレミアム)
  • 2017年01月28日 16時00分〜 (NHK BSプレミアム)
  • 2017年07月05日 16時00分〜 (NHK BSプレミアム)

海外

  • 2009年12月30日 21時35分〜 (諾・NRK1)
  • 2010年05月19日 20時00分〜 (典・TV4)
  • 2011年06月26日 21時00分〜 (米・PBS)
  • 2011年12月26日 21時00分〜 (英・ITV1)

原作

邦訳

  • 『複数の時計』 クリスティー文庫 橋本福夫訳
  • 『複数の時計』 ハヤカワミステリ文庫 橋本福夫訳

原書

  • The Clocks, Collins, 7 November 1963 (UK)
  • The Clocks, Dodd Mead, 1964 (USA)

オープニングクレジット

日本

オリジナル版

複数の時計 // DAVID SUCHET / Agatha Christie POIROT / THE CLOCKS based on the novel by Agatha Christie / Screenplay STEWART HARCOURT / FRANCES BARBER, STEPHEN BOXER / TOM BURKE, PHIL DANIELS / BEATIE EDNEY, GUY HENRY / ANNA MASSEY, GEOFFREY PALMER / TESSA PEAKE-JONES, BEN RIGHTON / LESLEY SHARP, ABIGAIL THAW / JASON WATKINS, JAIME WINSTONE / Producer KAREN THRUSSELL / Director CHARLES PALMER

エンディングクレジット

日本

オリジナル版

原作 アガサ・クリスティー  脚本 スチュワート・ハーコート 演出 チャールズ・パーマー 制作 ITVスタジオズ/WGBHボストン アガサ・クリスティー・リミテッド (イギリス・アメリカ2009年)  声の出演 ポワロ(デビッド・スーシェ) 熊倉一雄  コリン・レース(トム・バーク) 浜野基彦 シーラ・ウェブ(ジェイム・ウィンストーン) 山本雅子  ハードカッスル警部 浦山迅 ペブマーシュ 谷育子 マーティンデール 亀井芳子  ハムリング 松永英晃 ジョー・ブランド 後藤哲夫 バル・ブランド 渡辺真砂子  堀越真己 佐藤あかり 水野ゆふ 真矢野靖人 斉藤貴美子  樋渡宏嗣 茶花健太 安奈ゆかり 吉祥美玲恵 石原由宇  <日本語版制作スタッフ> 翻訳 中村久世 演出 佐藤敏夫 音声 田中直也

DVD版

原作 アガサ・クリスティー  脚本 スチュワート・ハーコート 演出 チャールズ・パーマー 制作 ITVスタジオズ/WGBHボストン アガサ・クリスティー・リミテッド (イギリス・アメリカ2009年)  声の出演 ポワロ(デビッド・スーシェ) 熊倉一雄  コリン・レース(トム・バーク) 浜野基彦 シーラ・ウェブ(ジェイム・ウィンストーン) 山本雅子  ハードカッスル警部 浦山迅 ペブマーシュ 谷育子 マーティンデール 亀井芳子  ハムリング 松永英晃 ジョー・ブランド 後藤哲夫 バル・ブランド 渡辺真砂子  堀越真己 佐藤あかり 水野ゆふ 真矢野靖人 斉藤貴美子  樋渡宏嗣 茶花健太 安奈ゆかり 吉祥美玲恵 石原由宇  <日本語版制作スタッフ> 翻訳・台本 中村久世 演出 佐藤敏夫 調整 田中直也 録音 岡部直樹 プロデューサー 武士俣公佑 間瀬博美  制作統括 小坂聖 山本玄一

海外

オリジナル版

Hercule Poirot: DAVID SUCHET; Annabel Larkin: OLIVIA GRANT; Fiona Hanbury: ANNA SKELLERN; Lt. Colin Race: TOM BURKE; Sven Hjerson: ANDREW HAVILL; Mrs Swinburne: VICTORIA WICKS / Sheila Webb: JAIME WINSTONE; Nora Brent: SINEAD KEENAN; Miss Martindale: LESLEY SHARP; Miss Pebmarsh: ANNA MASSEY; Inspector Hardcastle: PHIL DANIELS; Constable Jenkins: BEN RIGHTON / Mrs Hemmings: BEATIE EDNEY; Rachel Waterhouse: ABIGAIL THAW; Matthew Waterhouse: GUY HENRY; Vice Admiral Hamling: GEOFFREY PALMER; May: PHOEBE STRICKLAND; Jenny: ISABELLA PARRISS / Val Bland: TESSA PEAKE-JONES; Joe Bland: JASON WATKINS; Christopher Mabbutt: STEPHEN BOXER; Professor Purdy: ANDREW FORBES; Marlina Rival: FRANCES BARBER; Stunt Co-ordinator: TOM LUCY / (中略) / Composer: CHRISTIAN HENSON; Poirot Theme: CHRISTOPHER GUNNING; Editor: MATTHEW TABERN; Production Designer: JEFF TESSLER; Director of Photography: PETER GREENHALGH BSC; Line Producer: MATTHEW HAMILTON / Executive Producer for WGBH Boston: REBECCA EATON / Executive Producers for Chorion: MATHEW PRICHARD, MARY DURKAN / Executive Producer: MICHELE BUCK; Executive Producer: DAMIEN TIMMER; © Agatha Christie Ltd. (a Chorion Company) 2009 / A Co-Production of itv STUDIOS and WGBH BOSTON in association with Agatha Christie Ltd (a Chorion Company)

あらすじ

 ポワロは劇場で旧知の青年コリンと出会う。コリンはスパイ事件の調査中、ある家から飛び出してきた娘に出くわした。その家には、住人であるミス・ペブマーシュも見知らぬ男が刺殺されて横たわっており、しかもたくさんの時計が持ち込まれて置かれていた……

事件発生時期

不詳

主要登場人物

エルキュール・ポワロ私立探偵
コリン・レース海軍大尉、 MI6 所属
フィオナ・ハンベリーコリンの同僚、恋人
アナベル・ラーキンコリンの同僚、ドイツのスパイ
ハムリング副提督、コリンの上官
R・H・カリー身元不明の被害者
シーラ・ウェブカベンディッシュ秘書紹介所職員、死体の発見者
ノーラ・ブレントカベンディッシュ秘書紹介所職員
キャシー・マーティンデールカベンディッシュ秘書紹介所所長
ミリセント・ペブマーシュウィルブラハム・クレセント19号住人
ヘミングスウィルブラハム・クレセント20号住人
マシュー・ウォーターハウスウィルブラハム・クレセント18号住人
レイチェル・ウォーターハウスウィルブラハム・クレセント18号住人、マシューの妹
ジョー・ブランドウィルブラハム・クレセント61号住人
バレリー・ブランドウィルブラハム・クレセント61号住人、ジョーの妻
クリストファー・マバットウィルブラハム・クレセント62号住人
ジェニー・マバットウィルブラハム・クレセント62号住人、クリストファーの娘
メイ・マバットウィルブラハム・クレセント62号住人、クリストファーの娘
マリーナ・ライバルカリーの妻と名乗る女
ジェンキンズ巡査
ハードカッスル警部

解説、みたいなもの

 原作は1963年発表。原作のコリンが調査するスパイ事件はその発表時期を反映して共産主義勢力との軋轢が背景にあったが、やはり1930年代後半に舞台設定されたと思われる本作は、ヒットラー率いるドイツとの問題が背景となっており、舞台もヨーロッパ大陸への玄関口であるドーバーに変更された。その他の変更点では、ウィルブラハム・クレセントの住人に何人か変更があるほか、シーラの同僚の名前がエドナからノーラになったりしている。また、「ヒッコリー・ロードの殺人」のように、シーラの出生についても触れられずに終わる。撮影時期は2009年5月末〜6月頃。
 冒頭でポワロが観劇しているオリヴァ夫人作の芝居「善きサマリア人 (The Good Samaritan)」はドラマオリジナルの設定。男性の方の登場人物が、オリヴァ夫人の擁する名探偵スヴェン・ヤルセンで、顎鬚という外見的特徴や、フィンランド人なのにスウェーデン人と間違えられるところなどにポワロとの対比が見える。クリスティー自身も劇作には熱心で、ポワロものの小説も多数舞台化しているが、そのすべてでポワロは登場人物からはずされてしまっており、クリスティー自身の手によるポワロものの戯曲は、原作となる小説がない『ブラック・コーヒー』のみとなった。
 ドーバーが舞台となるのは「誘拐された総理大臣」以来。ドーバー城やセント・マーガレッツ・ベイが現地として撮影に使われているほか、ウォータールー・クレセントのチャーチル・ホテルがキャッスル・ホテルとして登場する。チャーチル・ホテルは「誘拐された総理大臣」でホテルとして使われた港湾局の建物の隣に当たり、カットのあった「名探偵ポワロ」オリジナル版でも画面奥に映っているのを垣間見られる(そのさらに奥にはドーバー城のシルエットも)。一方、劇中ではドーバーということになっているいくつかの場面はロンドン周辺でも撮影されており、ウィルブラハム・クレセントのロケ地はロンドンのソーンヒル・クレセント、カベンディッシュ秘書紹介所やミス・ペブマーシュが勤めるライト氏の写真館があるウェストポート・パレードは「エッジウェア卿の死」でペニーの帽子店があったデュークス・ロード。警察署のオフィスは、ポワロの住むホワイトヘイブン・マンションことフローリン・コートのすぐ近く、セント・ジョン・ストリートにあるファーミロー・ビルディング内。ハードカッスル警部たちがマリーナ・ライバルを追っていったのは、「第三の女」でオリヴァ夫人が入り込んだり、サー・ロデリックがタクシーに乗ったりしたテンプル地区で、フィオナがアナベルに見つかって逃げる途中の場面や、マバットの勤めるアームストロング・オードナンスも、テンプル・チャーチ東のキングズ・ベンチ・ウォークで撮影された。冒頭ポワロが「善きサマリア人」を観劇しているのは「マギンティ夫人は死んだ」のキルチェスター劇場ことリッチモンド劇場内部で、「ダベンハイム失そう事件」ではポワロたちがここでマジックショーを観たほか、その舞台にはスーシェ自身も何度も立ったことがある。ハードカッスル警部おすすめのパブのトラベラーズ・インも実際にはリッチモンド劇場に間近いサン・インで、入り口のドアのガラスをよく見ると、トラベラーズ・インではなくサン・インと書かれているのが見える。審問が開かれたのはサリー州庁舎内で、「杉の柩」のエリノアや「五匹の子豚」のキャロラインの裁判が開かれた法廷も同所。
 原作のコリンは『ゼロ時間へ』などで活躍するバトル警視の息子と言われるが、原作の記述では父親はただ「警視」とだけで具体的な名前は明示されていなかった。「名探偵ポワロ」では「ひらいたトランプ」でバトル警視がウィーラー警視に置き換えられたためか、「ナイルに死す」に登場したレイス大佐の息子ということになっている。ちなみに、コリンを演じるトム・バーク自身の父親は「ヒッコリー・ロードの殺人」でスタンリー卿を演じたデビッド・バークで、母親は「葬儀を終えて」でモード・アバネシーを演じたアンナ・コルダー・マーシャル。
 冒頭のタイトルバックで流れている曲は Kiss a Dream 。
 舞台でスヴェン・ヤルセンが言うフィンランド語の「プナ・シリ (puna silli)」は英語に直訳すれば red helling (赤いニシン) で、これは「本来の目的や真相から人の注意をそらすもの」という意味を持つ英語の慣用句であることから「攪乱」という日本語になる。また、芝居「善きサマリア人」について、ポワロがコリンに「原作者が友人でね」と言うが、原語ではこれに対応する意味の発言はしていない。おそらくは吹替の尺あわせとして無難な台詞を挿入しようとしたと思われるが、劇場のポスターには「脚本 アリアドニ・オリヴァ」と書かれており、「原作」ではなくオリヴァ夫人が戯曲を直接執筆していることと矛盾してしまった。
 コリンが「ぼくは…… MI6 なんです」と自己紹介し、ポワロもその意を汲み取る場面があるが、イギリスの秘密情報部 (Secret Intelligence Service) を便宜置籍的に MI6 と呼ぶ用例が見られるようになったのは第二次大戦初期のこととされ[1]、ぎりぎり時代に合わない。なお、 MI6 とは Military Intelligence, Section 6 (諜報部第6課) の意味で、国内の治安維持を目的とする MI5 (保安局) に対し、国外の案件を担当する。小説や映画の〈007〉シリーズの主人公、ジェームス・ボンドが所属する設定となっているのもここ。
 ヘミングス夫人がミス・ペブマーシュのことを「もし彼女が猫だったら、あのT・S・エリオットも、おそらくたじたじでしょうね」と評した台詞に出てくるT・S・エリオットは英国の詩人・批評家。原語では 'I think if she were a cat, she'd be one of T. S. Eliot's practical cats, don't you?' という表現で、これはミュージカル「キャッツ」の原作となった詩集 Old Possum's Book of Practical Cats の題名を踏まえたものであって、いわばミス・ペブマーシュは「キャッツ」の一員として登場しそうな個性だということ。なお、エリオットのつづりは Eliot なので、 T. S. Eliot を逆からつづると toilest になる。「トイレット」のつづりは toilet 。
 ジョー・ブランドの「切り裂きジャックのような連続殺人事件の記事を読むたびに思っていたんですよ」という台詞で言及される〈切り裂きジャック (Jack the Ripper)〉とは、すくなくとも1888年に5人の女性を殺害した連続猟奇殺人犯。また、その原語 'You read about these murders, don't you, Jack the Ripper, Brides-in-the-Bath Smith.' でのみ言及される Brides-in-the-Bath Smith とは、1910年頃、複数の妻を浴槽で溺死させたジョージ・ジョセフ・スミスのこと。
 ブランド夫妻のなれそめの「ドーバーのミカドという芝居」は、「ドーバーのミカド」という題名ではなく、ドーバーで上演された「ミカド」の意。この「ミカド」は、日本が舞台であるという体裁で初演当時のイギリスを風刺した喜歌劇である。
 最初の事件の日にノーラが言っていた話は、原語だと 'I stunt off to lunch, and the heel snaps in a grate like a twig in a storm.' で同じだが、日本語だと「なのにマンホールの蓋の穴にヒールがはまっちゃって」だったものが、回想シーンでは「ランチに行こうとしたらヒールがマンホールの蓋に引っかかってもげたの」に変わる。
 マバットの娘たちが庭で見つけたコインの金額「2ポンド6ペンス」は原語だと 'About two and six.' で、これは「だいたい2シリング6ペンス」。なお、6という値は「だいたい (about)」とつけるには中途半端に見えるかもしれないが、1シリングは12ペンスなので、要は「2シリング半くらい」ということ。
 写真館でポワロが目的の写真をすみやかに見つけて言った「実に楽でした」は、原語だと 'Luck, it has struck. (運がよかったんです)' という表現で、これはジョー・ブランドが運の良し悪しについて力説していたときの表現を受けたもの。
 舞台上のスヴェン・ヤルセン役を演じたアンドリュー・ヘイヴィルは、デビッド・ウォリアムズとジェシカ・レイン主演の「トミーとタペンス ―2人で探偵を―」シリーズ「秘密機関」ではジェームズ・ピール役を、トビー・ジョーンズ主演の「検察側の証人」ではクリフォード・スターリング弁護士役を演じている。ミス・ペブマーシュ役のアンナ・マッセイは、ジョン・ネトルズ主演の「バーナビー警部」シリーズ「小説は血のささやき」のオノーリア・リディアード役で見ることができるほか、 BBC 制作の Agatha Christie: A Life in Pictures では老年のクリスティーを演じた。ヘミングス夫人役のビーティ・エドニーは「スタイルズ荘の怪事件」のメアリ・カベンディッシュ役、マリーナ・ライバル役のフランシス・バーバーは「ベールをかけた女」の〈ベールをかけた女〉役以来の再出演。ハムリング副提督を演じるジェフリー・パーマーは、本作品の演出を務めたチャールズ・パーマーの父。
 事件解決の日にミス・マーティンデールが着ているエメラルドグリーンのスーツは、「あなたの庭はどんな庭?」でチャーマンズ・グリーンに出かけたミス・レモンが着ていたのと(スカーフはないけれど)同じ服。
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  1. [1] SIS – Our History

ロケ地写真

カットされた場面

なし

映像ソフト

  • 「名探偵ポワロ NEW SEASON DVD-BOX 4」に収録
2019年6月21日更新