チョコレートの箱
The Chocolate Box

放送履歴

日本

オリジナル版

  • 1993年07月10日 21時30分〜 (NHK総合)
  • 1994年03月03日 17時05分〜 (NHK総合)
  • 1995年08月22日 17時15分〜 (NHK総合)
  • 1998年12月24日 15時10分〜 (NHK総合)
  • 2003年07月24日 18時00分〜 (NHK衛星第2)

ハイビジョンリマスター版

  • 2016年07月23日 16時00分〜 (NHK BSプレミアム)
  • 2016年12月28日 17時00分〜 (NHK BSプレミアム)

海外

  • 1993年02月21日 (英・ITV)

原作

邦訳

  • 「チョコレートの箱」 - 『ポアロ登場』 クリスティー文庫 真崎義博訳
  • 「チョコレートの箱」 - 『ポアロ登場』 ハヤカワミステリ文庫 小倉多加志訳
  • 「チョコレートの箱」 - 『ポワロの事件簿2』 創元推理文庫 厚木淳訳

原書

雑誌等掲載

  • The Clue of the Chocolate Box, The Sketch, 23 May 1923 (UK)
  • The Chocolate Box, The Blue Book Magazine, February 1925 (USA)

短篇集

  • The Chocolate Box, Poirot Investigates, Dodd Mead, 1925 (USA)
  • The Chocolate Box, Poirot's Early Cases, Collins, September 1974 (UK)

オープニングクレジット

日本

オリジナル版

名探偵ポワロ / DAVID SUCHET // PHILIP JACKSON / チョコレートの箱, THE CHOCOLATE BOX / Dramatized by DOUGLAS WATKINSON

ハイビジョンリマスター版

名探偵ポワロ / DAVID SUCHET / AGATHA CHRISTIE'S POIROT / チョコレートの箱 // HUGH FRASER / PHILIP JACKSON / PAULINE MORAN / THE CHOCOLATE BOX / Dramatized by DOUGLAS WATKINSON

エンディングクレジット

日本

オリジナル版

原作 アガサ・クリスティー 脚本 ダグラス・ワトキンソン 監督 ケン・グリーブ 制作 LWT(イギリス) / 出演 ポワロ(デビッド・スーシェ) 熊倉一雄 ジャップ警部(フィリップ・ジャクソン) 坂口芳貞  ビルジニー 鈴木弘子 デルラール夫人 鳳八千代 サン・タラール 阪脩 シャンタリエ 仲村秀生 松岡文雄 大宮悌二 林一夫 佐古雅誉 さとうあい 篠原大作 北村弘一 / 日本語版 宇津木道子 山田悦司  福岡浩美 南部満治 金谷和美

ハイビジョンリマスター版

原作 アガサ・クリスティー 脚本 ダグラス・ワトキンソン 演出 ケン・グリーブ 制作 LWT (イギリス)  出演 ポワロ(デビッド・スーシェ) 熊倉 一雄 ジャップ警部(フィリップ・ジャクソン) 坂口 芳貞  ビルジニー 鈴木 弘子 デルラール夫人 鳳 八千代/福井 裕子 サン・タラール 阪 脩 シャンタリエ 仲村 秀生/園江 治 松岡 文雄 大宮 悌二 林 一夫 佐古 正人 さとう あい 篠原 大作 北村 弘一 田中 完 三宅 健太 今村 俊一  日本語版スタッフ 翻訳 宇津木 道子 演出 山田 悦司 音声 金谷 和美 プロデューサー 里口 千

海外

オリジナル版

Hercule Poirot: DAVID SUCHET; Chief Inspector Japp: PHILIP JACKSON; Madame Deroulard: RASALIE CRUTCHLEY; Virginie Mesnard: ANNA CHANCELLOR; Gaston Beaujeu: DAVED DE KEYSER; Claude Chantalier: JONATHAN HACKETT; Xavier St. Alard: GEOFFREY WHITEHEAD; Boucher: MARK EDEN; Jean-Louis Ferraud: JONATHAN BARLOW; Paul Deroulard: JAMES COOMBES; Francois: PRESTON LOCKWOOD; Denise: LINDA BROUGHTON; Jeanette: KIRSTEN CLARK; Coroner: MICHAEL BEINT; Marianne Deroulard: LUCY COHU; Henri: RICHARD DERRINGTON; Stunts: SY HOLLAND / Developed for Television by Carnival Films; (中略) Production Designer: ROB HARRIS; Director of Photography: CHRIS O'DELL; Music: CHRISTOPHER GUNNING; Executive Producer: NICK ELLIOTT / Producer: BRIAN EASTMAN; Director: KEN GRIEVE

あらすじ

 ベルギーで叙勲を受けることになったジャップ警部とともに再び故郷ブリュッセルを訪れたポワロ。懐かしい旧友たちとの再会の中、話はポワロがベルギー警察時代に手がけて失敗したという事件へ……

事件発生時期

(現在) 不詳
(過去) 1913年

主要登場人物

エルキュール・ポワロ私立探偵
ジェームス・ジャップスコットランド・ヤード主任警部
ポール・デルラールベルギーの大臣
マダム・デルラールポールの母
マリアンヌ・デルラールポールの妻、故人
ビルジニー・メナールマリアンヌの従妹
フランソワデルラール家の執事
ザビエール・サン・タラール伯爵ポールの友人
ガストン・ボージュデルラール家の友人
クロード・シャンタリエポワロの友人、警察官
ジャン・ルイ・フェローポワロの友人、薬剤師
ブシェール警視

解説、みたいなもの

 ポワロがベルギー警察時代に手がけた事件を描いた作品。ポワロがいつも上着の襟につけているブローチの秘密や、ジャップ警部のミドルネーム(ドラマオリジナルの設定)も明らかになる。なお、原作では1893年のこと(「エンドハウスの怪事件」の原作による。ただし、1936年刊行の「ひらいたトランプ」の原作では、この事件を指すと思われるポワロの前回の「失敗」が28年前とされている)となっているが、そのまま40年以上も前に位置づけるのはさすがに無理があったのか、ドラマでは第一次大戦前夜という設定。「名探偵ポワロ」では、冒頭のマリアンヌの死が1911年という字幕が出るので、ポールの死は1913年ということになる。
 原作はポワロ物の最初の短篇連載の掉尾を飾った作品で、ポワロがヘイスティングスを相手にロンドンの自室で回顧談をする設定だったが、ドラマではその相手がジャップ警部に変更、実際にブリュッセルに赴き、ポワロの話によって現在と過去が交錯しながらストーリーが進んでいく。また、ポワロの完全な失敗談という位置づけだった原作に対し、ドラマでは最後の最後でポワロ自ら誤りに気づく筋書きになった。原作のイギリス人ウィルスンの役どころはデルラール家の隣人ガストン・ボージュに変更され、シャンタリエやジャン・ルイ、ブシェール警視らはドラマオリジナルの人物(ただし、ジャン・ルイの代わりの薬剤師は原作にも登場)。ビルジニーがデルラールに想いを寄せていたという設定はなくなり、若きポワロとの間に淡いロマンスが用意された。
 原作のポール・デルラールは、ブリュッセルに住まいを持つもののフランスの代議士で、政教分離をめぐってカトリック教会と対立する立場にあった。しかしドラマの彼はベルギーの大臣になり、その立場にはベルギー国内の民族間対立が絡む。1830年にネーデルラント連合王国から独立して成立したベルギーは、フラマン語(オランダ語)を母語とする住民とフランス語(ワロン語)を母語とする住民からなる多言語国家だったが、独立に際して主導的役割を果たしたフランス系住民の発言力が成立当初から強く、公的な場ではフランス語のみが実質的な公用語だった。しかし社会的地位の低いフラマン系住民のほうが人口比率では多数派であり、19世紀にかけてフラマン語の地位向上を求める運動がつづいた。その一定の成果として、1898年には法律上フラマン語はフランス語と同等と認められたものの、大学教育や軍隊では以降もなおフランス語が唯一の使用言語であり、教会の司教たちもフランス語に固執していたとされる。こうした事情が、軍隊でフラマン語の使用を義務づけようとしたポールが「リベラル」と見なされたり、教会に対して批判的だった背景にある。[1][2]
 ブリュッセルでのロケ地は、オテル・メトロポール(ポワロとジャップ警部が滞在したホテル)、最高裁判所(ポールの検死審問がおこなわれた場所)、凱旋門のあるサンコントネール公園(ジャップ警部が記念写真を撮ったり、ビルジニーが容疑者を自白させる大胆な計画をポワロに持ちかけた場所)、グラン・プラース(ポワロとフランソワがチェスをしたカフェや、ジャップ警部が受勲した市庁舎のある広場)、ヨーロッパ最古のショッピング・アーケードと言われるギャルリー・サン・チュベール(ポワロとビルジニーが2度目に会ったカフェのあるアーケード)、ジャルダン・ボタニーク大通りとマニ通りの角にあるボタニーク薬局(ジャン・ルイの薬局)、最高裁判所を画面奥に望むミニーム通り(ポワロのアパート)、トラム博物館(トラムのターミナル)。撮影はほかにベルギー第二の都市アントワープでもおこなわれており、冒頭でブリュッセル駅とされているのは実はアントワープの中央駅。デルラール邸も、アール・ヌーボー建築が立ち並ぶことで知られるアントワープのコーヘルス・オジレイ通りにある。サン・タラール伯爵の館は、ブリュッセル近郊のグラン・ビガール城
 ポワロの口から出る「アバクロンビーの事件」は、「スタイルズ荘の怪事件」でも言及される、ベルギー警察時代のポワロとジャップ警部が協力して解決した偽造事件(ただし、「スタイルズ荘の怪事件」の日本語音声では「アバークロンビー」と発音)。本作では「警部にはアバクロンビーの事件以来、何度もベルギー警察に力を貸していただきました」とあり、この事件がポワロとジャップ警部が最初に協力した事件であったことがわかる。
 ホテルに着いたジャップ警部が「長旅はだめだと言ってうちのは来なかったんですが、やっぱりブリュッセルまでは遠いですな」と言った台詞は、原語では 'Pity Emily couldn't come. Still, I think she's right. Brussels is a far cry from Isleworth.' と言っている。これの far cry は「大違い」といった意味で、「あいにくうちのは来られなかったですが、それで正解ですよ。ブリュッセルはアイゾルワースとはまるで違う」ということ。アイゾルワースというのはロンドン西部郊外にある町で、ジャップ警部の自宅はここにある設定となっている。
 フランソワがチョコレートの箱を持っていった理由について、日本語ではポワロが「女友達にやるためにチョコレートの箱を取っていたんです」と言うので、箱そのものをプレゼントにしようと、処分されるはずの空の箱を保管していたように聞こえるが、カフェでその女友達が帰ったあとにも箱はテーブルに残されているし、中にチョコレートも入っている。原語では 'The servant, François, had taken the box of chocolates to give to a lady friend. (女友達にやるためにチョコレートの箱を持っていったんです)' という台詞で、あえて保管していたというニュアンスはなく、中のチョコレートを女友達にやるために、まだ中身の入っている箱を持ち去ったのだろう。また、その後の「私たち二人はカフェに座ってチェスをしました。チョコレートの残りを食べながら」という台詞の前半部は、原語だと 'I found them seated at a cafe, playing chess, (私は二人がカフェに座ってチェスをしているのを見つけました)' となっており、カフェでチェスをしていたのも、チョコレートの残りを食べたのも、フランソワと女友達の話。フランソワとポワロも確かにそのあとカフェでチェスをしているが、ポワロは勧められたチョコレートを断っており、「二人」をポワロたちと取ってしまうと、「二人が生きていたということは、その箱には毒は入っていなかったわけだ」というジャップ警部の推理も「そのとおり」とは言い切れない。
 人はしばしば自分の仕事道具で人を殺すものだという例としてポワロが「鍛冶屋はハンマーで」と言うところは、原語だと鍛冶屋ではなく stone-mason (石工)。
 ベルギー時代のポワロのアパートの部屋の壁には、ホワイトヘイブン・マンション56B号室で果物の鉢が置かれたサイドボードの上の壁にかけられているのと同じ絵が飾られている。この絵は「スタイルズ荘の怪事件」でのスタイルズ・セント・メリー村の仮住まいにも飾られていた。
 ポワロがビルジニーから贈られるブローチは、実際にはギャバン・ライリーというニュージーランド人宝飾デザイナーの手になるもので、 amphora と呼ばれる古代ギリシャの取っ手付の壺を象っている[3]
 ジャップ警部以外の登場人物はすべてベルギー人のはずだが、原語音声では皆、きれいな英語で話しており、ポワロだけがいつもどおりの訛った英語を話している。
 デルラール老夫人役のロザリー・クラッチリーは、ジョーン・ヒクソン主演の「ミス・マープル」の一篇、「牧師館の殺人」のリドレー夫人役のほか、ジェレミー・ブレット主演の「シャーロック・ホームズの冒険」の一篇、「ノーウッドの建築士」のレキシントン夫人役や、ジョン・ネトルズ主演の「バーナビー警部」の一篇、「森の蘭は死の香り」のルーシー・ベリンジャー役などでも見ることができる。また、ジャン・ルイ・フェロー役のジョナサン・バーローは、同「シャーロック・ホームズの冒険」の一篇、「ボスコム渓谷の惨劇」でサマビー警部役を、執事のフランソワ役のプレストン・ロックウッドは、同じく「ミス・マープル」の一篇、「バートラム・ホテルにて」でペニファーザー牧師を演じている。ジュリア・マッケンジー主演の「ミス・マープル4」では、ビルジニー・メナール役のアンナ・チャンセラーが「殺人は容易だ」のリディア・ホートン役、マリアンヌ・デルラール役のルーシー・コフーが「ポケットにライ麦を」のパトリシア・フォーテスキュー役で出演。
 ジャン・ルイ・フェローの吹替を担当した林一夫さんは、ドラマシリーズ「ロイヤル・スキャンダル 〜エリザベス女王の苦悩〜」の第2回「王室存続の危機」でハロルド・ウィルソン首相を演じたフィリップ・ジャクソンの吹替も担当している。
 » 結末や真相に触れる内容を表示
  1. [1] 栗原福也, 『ベネルクス現代史』, pp. 125-128, 山川出版社, 1982
  2. [2] 小島健, ベルギー連邦制の背景と課題, 2011
  3. [3] Gavan Riley Silver Jewelry - ARTISTS - JEWELLERY

ロケ地写真

カットされた場面

日本

オリジナル版

[06:36/0:33]ボージュがデルラールをいさめる場面
[10:17/0:25]ビルジニーに呼ばれたレストランでのポワロとアンリの会話
[12:19/0:20]サン・タラールが現れる直前の、レストランでのポワロ、ジャップ警部、シャンタリエの会話
[14:29/0:36]デルラール邸の前でのポワロ、ビルジニー、老夫人の会話
[16:29/0:18]ポワロがデルラール邸の台所でメイドたちに紹介される場面
[20:20/2:02]薬局の場面の最後、考えるポワロ 〜 路面電車の駅でシャンタリエがポワロをつかまえる場面 〜 ブシェール警視とポワロのやりとり 〜 アーケードを歩くポワロ 〜 カフェでの会話前半、シャンタリエがいる部分
[24:40/0:48]叙勲会場前の様子 〜 叙勲会場でのポワロとジャップ警部の会話
[26:30/0:31]叙勲後のパーティの場面前半
[29:45/0:26]オペラを見るビルジニーとサン・タラール 〜 ポワロがサン・タラールの館で引き出しやマントルピースを捜し、ため息をつく場面

映像ソフト

  • [VHS] 「名探偵エルキュール・ポアロ 第29巻 チョコレートの箱」(字幕) 日本クラウン
  • [DVD] 「名探偵ポワロ 22 イタリア貴族殺害事件, チョコレートの箱」(字幕・吹替) ビームエンタテインメント(現ハピネット・ピクチャーズ
  • [DVD] 「名探偵ポワロ [完全版] 22 イタリア貴族殺害事件, チョコレートの箱」(字幕・吹替) ハピネット・ピクチャーズ
  • [BD] 「名探偵ポワロ Blu-ray BOX Disc 11 黄色いアイリス, なぞの遺言書, イタリア貴族殺害事件, チョコレートの箱」(字幕/吹替) ハピネット・ピクチャーズ
2018年9月12日更新