三幕の殺人
Three Act Tragedy

放送履歴

日本

オリジナル版(90分00秒)

  • 2012年02月06日 22時00分〜 (NHK BSプレミアム)
  • 2014年01月09日 16時00分〜 (NHK BSプレミアム)
  • 2017年01月07日 16時00分〜 (NHK BSプレミアム)
  • 2017年06月14日 16時00分〜 (NHK BSプレミアム)

海外

  • 2010年01月01日 21時50分〜 (諾・NRK1)
  • 2010年01月03日 21時00分〜 (英・ITV1)
  • 2010年05月12日 20時00分〜 (典・TV4)
  • 2011年06月19日 21時00分〜 (米・PBS)

原作

邦訳

  • 『三幕の殺人』 クリスティー文庫 長野きよみ訳
  • 『三幕の殺人』 ハヤカワミステリ文庫 田村隆一訳
  • 『三幕の悲劇』 創元推理文庫 西脇順三郎訳
  • 『三幕殺人事件』 新潮文庫 中村妙子訳

原書

  • Three Act Tragedy, Collins, 1934 (UK)
  • Murder in Three Acts, Dodd Mead, January 1935 (USA)

オープニングクレジット

日本

オリジナル版

三幕の殺人 // DAVID SUCHET / Agatha Christie POIROT / THREE ACT TRAGEDY based on the novel by Agatha Christie / Screenplay NICK DEAR / JANE ASHER, KATE ASHFIELD / SUZANNE BERTISH, ANNA CARTERET / ANASTASIA HILLE, ART MALIK / TONY MAUDSLEY, KIMBERLEY NIXON / RONAN VIBERT, TOM WISDOM / and MARTIN SHAW / Producer KAREN THRUSSELL / Director ASHLEY PEARCE

エンディングクレジット

日本

オリジナル版

原作 アガサ・クリスティー  脚本 ニック・ディア 演出 アシュレイ・ピアース 制作 ITVスタジオズ/WGBHボストン アガサ・クリスティー・リミテッド (イギリス・アメリカ2009年)  声の出演 ポワロ(デビッド・スーシェ) 熊倉一雄  チャールズ・カートライト(マーティン・ショー) 佐々木勝彦  エッグ・リットン・ゴア(キンバリー・ニクソン) 坂本真綾 メアリー・リットン・ゴア(ジェーン・アッシャー) 相沢恵子  シンシア・デイカーズ 唐沢潤 デリク・デイカーズ 水内清光  ミュリエル・ウィルズ 山像かおり クロスフィールド 石田圭祐  押切英季 浜田賢二 坂本大地  曳地伸之 羽鳥靖子 まさきせい  安芸けい子 古川玲 菊本平 塩谷綾子  <日本語版制作スタッフ> 翻訳 日笠千晶 演出 佐藤敏夫 音声 田中直也

DVD版

原作 アガサ・クリスティー  脚本 ニック・ディア 演出 アシュレイ・ピアース 制作 ITVスタジオズ/WGBHボストン アガサ・クリスティー・リミテッド (イギリス・アメリカ2009年)  声の出演 ポワロ(デビッド・スーシェ) 熊倉一雄  チャールズ・カートライト(マーティン・ショー) 佐々木勝彦  エッグ・リットン・ゴア(キンバリー・ニクソン) 坂本真綾 メアリー・リットン・ゴア(ジェーン・アッシャー) 相沢恵子  シンシア・デイカーズ 唐沢潤 デリク・デイカーズ 水内清光  ミュリエル・ウィルズ 山像かおり クロスフィールド 石田圭祐  押切英季 浜田賢二 坂本大地  曳地伸之 羽鳥靖子 まさきせい  安芸けい子 古川玲 菊本平 塩谷綾子  <日本語版制作スタッフ> 翻訳・台本 日笠千晶 演出 佐藤敏夫 調整 田中直也 録音 岡部直樹 プロデューサー 武士俣公佑 間瀬博美  制作統括 小坂聖 山本玄一

海外

オリジナル版

Hercule Poirot: DAVID SUCHET; Sir Charles Cartwright: MARTIN SHAW; Egg: KIMBERLEY NIXON; Sir Bartholomew Strange: ART MALIK; Miss Milray: SUZANNE BERTISH; Cynthia Dacres: ANASTASIA HILLE / Captain Dacres: RONAN VIBERT; Miss Wills: KATE ASHFIELD; Lady Mary: JANE ASHER; Mrs Babbington: ANNA CARTERET; Reverend Babbington: NIGEL PEGRAM; Oliver Manders: TOM WISDOM / Coroner: MICHAEL HOBBS; Annie: JODIE McNEE; French Boy: JAMES HURRAN; Supt Crossfield: TONY MAUDSLEY; Marton: PRUE CLARKE; George: DAVID YELLAND / (中略) / Composer: CHRISTIAN HENSON; Poirot Theme: CHRISTOPHER GUNNING; Editor: DAVID BLACKMORE; Production Designer: JEFF TESSLER; Director of Photography: PETER GREENHALGH BSC; Line Producer: MATTHEW HAMILTON / Executive Producer for WGBH Boston: REBECCA EATON / Executive Producers for Chorion: MATHEW PRICHARD, MARY DURKAN / Executive Producer: MICHELE BUCK; Executive Producer: DAMIEN TIMMER; © Agatha Christie Ltd. (a Chorion company) 2009 / A Co-Production of itv STUDIOS and WGBH BOSTON in association with Agatha Christie Ltd (a Chorion Company)

あらすじ

 有名な俳優サー・チャールズ・カートライトが開いたパーティーの席上で牧師が変死した。牧師は殺害の動機など考えられない人物だったため、ポワロは他殺説を支持しなかったが、やがて同様の状況でサー・チャールズの友人のサー・バーソロミューが急死する……

事件発生時期

某年8月 〜 9月

主要登場人物

エルキュール・ポワロ私立探偵
サー・チャールズ・カートライト俳優
サー・バーソロミュー・ストレンジ精神科医、愛称トリー
エッグ・リットン・ゴアサー・チャールズの友人
レディー・メアリー・リットン・ゴアエッグの母
スティーブン・バビントン牧師
バビントン夫人バビントン牧師の妻
ミルレーサー・チャールズの秘書
デリク・デイカーズ大尉
シンシア・デイカーズデリクの妻、ドレスメーカー
ミュリエル・ウィルズ劇作家、筆名アンソニー・アスター
オリバー・マンダーズエッグの友人
アニーサー・バーソロミューのメイド
マーガレット・ド・ラッシュブリッジャーサー・バーソロミューの患者
クロスフィールド警視
ジョージポワロの執事

解説、みたいなもの

 原作は1935年発表。原題の Three Act Tragedy は〈三幕で構成された悲劇〉という意味で、単に登場人物が演劇関係者というだけでなく、原作では実際に、第一の死にまつわる第一幕、第二の死から始まり殺人の確信を得る第二幕、そして真相に至る第三幕という構成を取っているほか、冒頭に「演出 サー・チャールズ・カートライト」や「照明 エルキュール・ポワロ」といった芝居仕立ての配役が紹介されていた。こうした演出は、1930年に初の自作の芝居『ブラックコーヒー』を上演し、1933年には「エッジウェア卿の死」で女優を物語の中心に据えたクリスティーの、演劇への興味の高まりを反映したものだろうか。ドラマでも、パンフレットの配役紹介を思わせる関係者の紹介場面、第一の死と第二の死の被害者の顔などにスポットライトを当てるような画面効果、テーブルなどを真正面から映すカメラワーク、スモークのなかに浮かび上がる看板など、演劇を意識したと見られる演出が多数なされている。撮影時期は2009年6月頃、日本語音声の収録は2011年1月~2月頃か[1][2]
 原作では、『謎のクィン氏』などでハーリ・クィン氏のワトソン役を務めるサタスウェイト氏がサー・チャールズやエッグとともに素人探偵を演じていたが、「死人の鏡」同様に氏の出番はなく、3人の調査を見守る立場だったポワロが積極的に捜査に参加する。この変更によって、中期の謎解き主体の原作を持ちながら、「アクロイド殺人事件」のようにポワロとサー・チャールズの友情をクローズアップしたドラマになっている。ポワロの吹替を担当した熊倉一雄さんも、二人の友情や、引退した俳優が物語の中心にいることなどから、この作品をお気に入りの一作として挙げていた[3][4][5]。なお、原作の主要な登場人物からはもう一人、女優のアンジェラ・サットクリフが省略されている。
 主なロケ地はロンドン及び周辺諸州。冒頭および解決篇の舞台となる劇場は、2012年からミュージカル「マンマ・ミーア」の上演先となったロンドンのノヴェロ劇場。カラスの館の外観は、「誘拐された総理大臣」のダニエルズ中佐や「プリマス行き急行列車」のハリデイ親子のフラット内部、そして「マギンティ夫人は死んだ」ではカーペンター夫妻の家として使われたセント・アンズ・コートだが、実際のセント・アンズ・コートは内陸にあり、海から望む場面は合成と見られる。この館を望む海沿いの場面はコールトン・フィッシュエーカー敷地内およびその近海で撮影されており、海に浮かぶ小島はミュー・ストーン。邸内のパーティーが開かれたホールは「ナイルに死す」でリネットとサイモンが出逢ったエルサム・パレスのエントランス・ホールで、館周辺を歩くサー・チャールズが渡る橋もエルサム・パレスの敷地内にある。また、森のなかの塔はフォーリー・コートのもの。このフォーリー・コートは、ジュリア・マッケンジー主演「ミス・マープル4」の「魔術の殺人」でストーニーゲイツの撮影にも使われている。一方、メルフォート療養所の邸宅部分はジェラルディン・マクイーワン主演の「ミス・マープル」の「パディントン発4時50分」でラザフォード・ホールとして使われていたネブワース・ハウスだが、病院部分はエルサム・パレスで撮影された。英国内および南仏を走る汽車の映像は、同じ「パディントン発4時50分」や、やはり「ミス・マープル4」の一篇としてドラマ化された「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」、および「青列車の秘密」のものを一部加工、もしくは加工を排して使いまわしており(そのために発車場面のみ季節が冬である)、モンテカルロのマジェスティック・ホテルを外側から写した映像も、「青列車の秘密」のヴィラ・マルゲリータのもの。しかし、ホテル内部はロンドンのワンズワース・タウン・ホールで撮影されており、同じ場所が「夢」ではファーリーズ食品のホールとして使われていた。また、バローデイル署内外や、雨のなかエッグとミス・ミルレーが出会った新聞売りの前、ポワロがミス・ミルレーを待ち伏せていたボロディン・マンション入り口なども同所。エッグがシンシア・デイカーズに会いに行ったのはロンドンのクラリッジ・ホテル。このホテルは「鳩のなかの猫」で大公がシャイスタ王女を招いた先として名前だけ登場していた。バビントン牧師の遺体発掘がおこなわれたルーマスの教会はリトル・マーローのセント・ジョン・バプテスト教会で、ミス・ミルレーの母親を訪ねたギリングの川沿いの教会はビシャムのオール・セインツ教会だが、ギリングの教会前の広場はセント・ジョン・バプテスト教会前のチャーチ・レーンで撮影されている。
 その白い見た目にも関わらず「カラスの館」と名前をつけられたサー・チャールズの邸宅は、原語での名前は Crow's Nest という。直訳すれば「カラスの巣」だが、これは船のマストに設けられた見張り台のことで、海を見渡すその立地と、ヨットを趣味とするサー・チャールズの好みが表れている。また、その所在のコーンウォールとはグレート・ブリテン島南西端に位置する地方で、「コーンワルの毒殺事件」で「コーンワル」とカタカナ表記されていたのと同じ場所である。
 ポワロとサー・チャールズの出会いは、日本語だと「チャールズに初めて会ったのはかなり前になるんですが、それっきりで」とポワロが説明するが、原語では 'I was introduced to Sir Charles at a bridge party. Oh, it is now ma... many years. (サー・チャールズに紹介されたのはあるブリッジパーティーでした。もうだいぶ……昔のことです)' という台詞で、初対面以来長く会っていなかったというニュアンスはない。また、サー・チャールズが〈カラスの館〉売却の意向を明らかにしたのに対してポワロが「今度はロンドンでお目にかかれますね」と言った台詞も、原語だと 'Well, then we may resume our weekly lunches at the Ritz. (なら、またリッツ・ホテルでの毎週のランチを再開できますね)' という表現で、かつてのサー・チャールズとポワロの親しさのほどがわかる。一方、ジョージもサー・チャールズと面識があるところは、日本語でもそのまま。
 サー・チャールズが引退した理由をストレンジ先生が「まあ、それなりの魂胆があったのさ」と言ったところは、原語だと 'Well—cherchez la femme, old fruit, that's all I'll say. (まあ、 cherchez la femme とだけ言っておきましょう)' という表現で、 cherchez la femme とは直訳すれば「女を捜せ」という意味のフランス語だが、「動機は常に女」というニュアンスで慣用的に使われる。
 パーティーの参加者が紹介される中でエッグが読んでいる Travels in Arabia (アラビア旅行記) の著者として書かれているのは、「死との約束」に登場したセリア・ウェストホルム卿夫人。ポワロがマジェスティック・ホテルで読んでいるのはシェークスピアの『テンペスト(あらし)』で、読み上げているのは第四幕第一場。
 第一の事件のあと、森のなかをポワロと歩いているときにエッグが「(サー・チャールズのように)経験豊かなほうが血が通っている感じがするもの――ロビンとちがって」と言うが、原語だと「ロビン」とは名前を挙げずに him (彼) と言っていて、これはこのとき正面から近づいてきたオリバーを指す。つづく会話もオリバーとエッグの関係についてである。
 サー・チャールズのパーティーでストレンジ先生がデイカーズ大尉に「グッドウッドの予想は?」と訊くが、グッドウッドとは「イタリア貴族殺害事件」で舞台になったチチェスターの近郊にある競馬場の所在地で、毎年7月と8月にレースがおこなわれる。そして、その1か月後のストレンジ先生のパーティーが「セント・レジャーという馬のレースにあわせて」毎年ひらかれているというポワロの台詞から、第2の事件が9月、第1の事件が逆算して8月の出来事であることがわかる。ちなみに、「ABC殺人事件」で第4の事件の日にドンカスター競馬場でおこなわれていたのが、その「セント・レジャーという馬のレース」。ただし、撮影時期は前述のとおり6月頃で、劇中に登場し、台詞でも言及されるルピナスの花の開花時期も6月から7月頃。
 サー・チャールズが「この帽子はロンドン警視庁の幹部を演じたときのだ」と言う台詞があるが(ただし、原語では 'I wore this as "Galbraith of the Yard". (これは〈警視庁のガルブレイス〉役でかぶったんだ)' という台詞で、「ガルブレイス」が幹部かどうかは判然としない)、サー・チャールズを演じるマーティン・ショー自身も、日本でも地上波放送された「特捜班CI-5」のドイル役のほか、P・D・ジェイムズ原作のドラマ「アダム・ダルグリッシュ警視」シリーズや、「第三の女」の脚本を手がけたピーター・フラナリーがドラマ脚色を担当した「孤高の警部 ジョージ・ジェントリー」シリーズなど、複数の刑事ドラマシリーズで主演を務めてきたことで知られる。スーシェとの共演は「特捜班CI-5」以来とのこと[6]
 ポワロたちがバローデイル署を訪ねる直前、 BARROWDALE という看板に「バローデイル署」という字幕が出るが、この看板は鉄道駅を思わせるもので、バローデイル署への到着というより、バローデイルの駅ないしは町への到着を表していると思われる。
 シンシア・デイカーズがミス・ウィルズのことを「トゥーティングに住んでいるらしいけど、さもありなんだわ」という台詞に出てくるトゥーティングとは、かつて夏目漱石が下宿していたことでも(日本人に)知られる南ロンドンの町。テムズ川の南岸には概して一等地はないというイメージがあり、これはそれを踏まえての発言である。
 サー・チャールズがニコチンを「庭師が薔薇の手入れに使うやつだよ (often used by gardeners to spray their roses with)」と説明したとき、レディー・メアリーが「用途は広いですわ」と言うが、原語だとこれは 'I use it. Everyone does. (わたしも使いますわ。誰でもそうでしょ)' という表現。この表現からは彼女も薔薇の手入れが趣味と察せられ、冒頭の〈配役〉紹介のときに彼女が薔薇と一緒に映されたのもそのためと見られる。また、のちにバビントン夫人がルピナスの花について「でもアブラムシの駆除に、とても手間がかかるんです」と言った台詞も、原語では 'But I have such trouble with greenfly, I have to spray them constantly. (でもアブラムシがとても厄介で、定期的に手入れをしないと)' という表現。これらはいずれも、犯行に使われたニコチンを二人が入手できた可能性を示唆する。
 サー・チャールズが「トリーが人をからかうのを見たことがない」と言うが、ストレンジ先生は〈カラスの館〉でミス・ミルレーを冗談のだしにしていたはず。原語は 'Tollie would never have spoken to the staff like that. (トリーはスタッフにそんなことを言うやつじゃなかった)' という表現。なお、原作では日本語のような意味あいの台詞だったのだが、ドラマでは、原作だとその前の場面でメイドの台詞に含まれていた要素を織り込み、対象をスタッフに限定した内容になっている。また、前述のストレンジ先生の冗談も、ドラマのみのもの。
 メルフォート療養所での調査中、サー・チャールズのポケットチーフの形が場面によって変わる。前述のようにメルフォート療養所は複数の場所に分けて撮影をしており、撮影ごとに衣装の微妙な差が出たのだろう。
 オリバーが事故を装ってストレンジ先生のパーティーに来いという指示にしたがった理由を「君(エッグ)がいると聞いて――それにチャールズ・カートライトも」と言うが、サー・チャールズは当時フランスにいることになっていたはず。後半部分は原語だと 'And I knew Charles Cartwright was in France. (それにチャールズ・カートライトがフランスなのも知っていたし)' という台詞で、日本語は「それにチャールズ・カートライトも(いないし)」と聞くべきか。
 ポワロの部屋でひらかれたシェリー・パーティーでかかっている曲は、シューマンのアラベスク・ハ長調・作品18。
 ポワロに届いた電報の宛名書きから、「ひらいたトランプ」以降に使用されているポワロの新居の住所がわかる。それによれば、所番地は以前のロンドン西一区サンドハースト・スクエアから変わりなく、ホワイトヘイブン・マンション内の部屋番号のみが56B号室から203号室(「複数の時計」の原作の設定と同じ)に変更になっている。
 ポワロがカードの家を建てるのに使っていた〈ハッピー・ファミリー〉とは同じ家族のカードを集めるゲームで、「死との約束」の原語音声では、ボイントン一家の集結をジェラール医師がこのゲームに喩えていた。日本語ではエッグが「ミスター・グリッツは八百屋さん」と説明するが、画面に映るカードに書かれたとおりミスター・グリッツは grocer であり、これは青果以外の食料雑貨も扱う。
 ポワロがエッグとサー・チャールズの結婚に「岩のように揺るがない幸せを」と願ったのに対して、エッグが「チャールズにあなたは岩だと伝えるわ」と受けたのは、ポワロの台詞が原語だと 'but the happiness that endures—happiness that is build upon the rock (揺るがない幸せ――岩の上に築かれる幸せを)' という表現だったためで、幸せの基盤となる岩がすなわちサー・チャールズとなる。
 ポワロが全貌に気づいて「目から鱗が落ちた――解けた!」と言っているのに、横にいたエッグが何も反応を示さないのは、原語だと 'But Poirot has been blind. Blind! (ポワロは何も見ていませんでした。何も見ていなかった!)' と直接的でない表現になっているため。
 エッグ役のキンバリー・ニクソンは子供の頃からポワロのファンだったそうで、撮影終了後、スーシェはポワロの蝶ネクタイを巻いたカラーをプレゼントしたという[6]
 レディー・メアリー役のジェーン・アッシャーはケーキデザイナーとしても知られ、クリスティーの生誕120周年であった2010年には、『予告殺人』に登場するケーキ〈甘美なる死(デリシャス・デス)〉を彼女が具体的なレシピに仕上げ、クリスティーの別荘であったグリーンウェイ・ハウスなどでそのケーキが提供された。[7]
 当初、ロッド・スチュアートの娘であるキンバリー・スチュアートが、原作には存在しないドリスという役で出演すると発表されたが、「(キンバリーの)スケジュール上の都合」によりキャンセルされた[8][9]
 エッグ役のキンバリー・ニクソンは、ジュリア・マッケンジー主演の「ミス・マープル6」の一篇「グリーンショウ氏の阿房宮」のルイザ・オクスリー役、レディー・メアリー・リットン・ゴア役のジェーン・アッシャーは、ジェラルディン・マクイーワン主演の「ミス・マープル」の一篇「牧師館の殺人」でレスター夫人役で見ることができる。また、オテル・マジェスティクでポワロに風船をぶつけた男の子役のジェームス・ハランも、同「ミス・マープル3」の「無実はさいなむ」でシリル・プライス少年を演じていた。このほか、ジェレミー・ブレット主演の「シャーロック・ホームズの冒険」シリーズでは、バビントン夫人役のアンナ・カータレットを「金縁の鼻眼鏡」のアンナ役で、ジョン・ソウ主演の「主任警部モース」シリーズでは、ミス・ミルレー役のスザンヌ・バーティッシュを「消えた装身具」のシェリル・ベインズ役で見ることができる。
 劇作家ミス・ウィルズの吹替を担当した山像かおりさんは、秋之桜子の名前で自身も劇作・脚本を手がけ、2015年にはアニメ「映画Go!プリンセスプリキュア」などの脚本も担当している。また、クロスフィールド警部の吹替を担当した石田圭祐さんとは夫婦共演でもあり、その石田圭祐さんは BBC 制作のドラマ「ABC殺人事件」でジョン・マルコヴィッチ演じるポワロの吹替を担当。
 ポワロたちの乗った汽車の窓の向こうが暗いとき、窓ガラスに映っている姿の向きが……
 » 結末や真相に触れる内容を表示
  1. [1] あおさんのブログ 『ご臨終』メンバー紹介 その5 小野寺亜希子
  2. [2] 「ご臨終」パンフレット, 2011
  3. [3] BSプレミアム 黄金の扉「名探偵ポワロ〜三幕の殺人・オリエント急行の殺人ほか」, NHK, 2012
  4. [4] 「熊倉一雄インタビュー」, 『NHK ウィークリーステラ』 2014年9月12日号, pp. 25, NHKサービスセンター, 2014
  5. [5] 「熊倉一雄インタヴュー」, 『ハヤカワミステリマガジン』 No. 705 2014年11月号, pp. 42, 早川書房, 2014
  6. [6] David Suchet and Geoffrey Wansell, Poirot and Me, pp. 255, headline, 2013
  7. [7] BBC - An Agatha Christie birthday cake to die for
  8. [8] Rod Stewart's girl Kimberley moves from reality TV shows to Poirot | Daily Mail Online
  9. [9] Kimberly Stewart's new acting 'career' suffers a setback as Poirot role falls through | Daily Mail Online

ロケ地写真

カットされた場面

なし

映像ソフト

  • 「名探偵ポワロ NEW SEASON DVD-BOX 4」に収録

同原作の映像化作品

  • [TV] 「三幕の殺人」 1986年 監督:ゲイリー・ネルソン 出演:ピーター・ユスチノフ(福田豊土)、ジョナサン・セシル(羽佐間道夫)
2019年7月13日更新