高齢者は複合的な運動をすることで、より健康になる

2009年06月18日…No.090618-062

高齢者(65歳以上)に適した運動として、一般的に“有酸素運動”が勧められていますが、カナダのクイーンズ大学の研究チームによって、「高齢者は、有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせた“複合的な運動”をすることで、さらに身体機能を改善することができる」との報告がなされました。

研究チームは、ほとんど体を動かさない肥満の高齢者(60〜80歳)136人を対象に、「有酸素運動(30分×5回/週)のみを行うグループ」「筋力トレーニング(20分×5回/週)のみを行うグループ」「複合的な運動(※1)を行うグループ」「全く運動をしないグループ」の4グループに分けて、6ヵ月間の比較調査を行いました(無作為割付)。

その結果、複合的な運動のグループは有酸素運動のみのグループと比べて、身体機能が大幅に改善することが明らかになりました。また複合的な運動のグループは、全く運動をしないグループと比べて、身体機能だけでなく、糖尿病など慢性疾患のリスク因子である“インスリン抵抗性(※2)”も改善することが確認されました(*筋力トレーニングのみのグループには、インスリン抵抗性の改善は見られませんでした)

研究者の一人であるRobert.Ross博士は、「ガイドラインでは週に150分(30分×5回/週)以上の有酸素運動が推奨されているが、今回の研究で、週に90分の有酸素運動と60分の筋力トレーニングの組み合わせが、高齢者にとって最適な運動プログラムあることが明らかになった。こうした複合的な運動を日課にすることで、健康にプラスの効果がもたらされるようになる」と述べています。

※1「有酸素運動(30分×3回/週)」+「筋力トレーニング(60分×1回/週)」

※2インスリン抵抗性(インスリンに抵抗性が生じる状態)とは、糖の代謝に必要なホルモンであるインスリンが血中に分泌されていても、エネルギー源としてのブドウ糖を細胞内に取り込む作用が低下し、血糖値が下がりにくくなる状態を指します。

出典:『Archives of Internal Medicine 2009年1月26日号』

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