運動は血管を若返らせることができる

2007年9月26日…No.070926-030

米国のコロラド大学のChristopher A. DeSouza博士の研究チームによって、「定期的な有酸素運動をすることで血管を若返らせることができる」という報告がなされました。

血管は、年齢とともに収縮して柔軟性を失い、それが高血圧や心不全・冠状動脈疾患などのリスクを高めると言われています。これまで運動によって血管の老化を防止できることは明らかにされていませんでしたが、今回の研究は、それを裏付ける結果となっています。

研究チームは最初に、血管を収縮させる作用のあるエンドセリン−1(※1)と老化の関係について調査を行いました。座っている時間の多い20代の男性(13人)と60代の男性(15人)を対象に前腕の血管機能を測定した結果、年配の男性ほどエンドセリン−1による血管収縮作用が増大することが明らかになりました。

次に、60代の男性を「1時間の有酸素運動を週に5日行うグループ(8人)」と「これまで通りの生活を続けるグループ(7人)」に分けて、血管収縮作用と運動の関係について調査を行いました。3ヵ月の比較調査の結果、運動をしたグループは、これまで通りの生活を続けたグループより、エンドセリン−1による血管収縮作用が著しく軽減し、血管機能が改善したことが確認されました。

研究者は、「ふだんあまり体を動かすことのない人達が、60歳を越えてから運動を始めても、循環器系を高める効果が得られるようになる。運動を始めるのに遅すぎることはない」と述べています。

※1エンドセリン−1は、血管の内皮細胞から発見された強力な血管収縮物質です。体のさまざまな生理機能に関係し、病気の発現にも関与していることが知られています。エンドセリン−1は21個のアミノ酸で構成され、3種類あるエンドセリンの中で、特にエンドセリン−1は血管の内皮で非常に多くつくられています。

出典:『Hypertension Vol.50 2007年 8月号』

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