Y1会社は、A会社を100%子会社とする親会社である。A会社においては、経営状態が悪化して債務超過となり、業績回復の見込みもなくなった。A会社の取締役Y2は、破産の申立を行うことにした。しかし、Y1会社は、A会社の再起を図る方針を立て、取締役Y2に対して破産の申立をしないよう要請ないし命令した。Y1会社は、A会社の再起を図る方針に従って、まず、A会社の優良な流動資産・固定資産を買い取り、次に、A会社にこの代金でハイリスク・ハイリターンの証券投資を行わせた。ところが、証券投資は失敗に終わり、A会社の破産手続が行われた。 設問1.A会社の破産管財人X1は、Y1会社とA会社との間におけるA会社の資産の売買契約を否認することができるか。 設問2.A会社の債権者X2は、Y1会社および取締役Y2に対して、A会社が債務超過となり業績回復の見込みもなくなった時点で清算されていれば得られたであろう金額と、破産手続の配当で受けた金額との差額につき、損害賠償請求をした。X2の請求は、認められるか。 |