Thursday, September 18, 2003 update





アブとグライダー 2000/7/28

 アブのつらである。こいつの顔はなんでこんなに憎たらしいのだろう。子供の頃、河原やプールサイドで刺されてひどい目に遭ったから余計だろうか。こいつは、うしあぶといって温血動物の血を餌にしている。だから我々人間の血も吸いにやってくる。図体がでかいだけに刺されるととても痛い。後にひく痛さである。おまけに飛ぶのがはやくて、お仕置きしてやろうにもなかなか捕まえることが出来ない。
 私が小学生の頃、父の運転する軽トラに乗り川沿いを走っていたら、こいつが窓から飛び込んできた。フロントガラスの方に逃げようとして、ぶんぶんガラスにぶつかっているアブを父が捕まえた。そして車を止め、道ばたに生えていた草の茎を5cmほどにちぎり、アブの尻に横向けにさした。そして「グライダー」と言いながらアブを放すと、草の茎を尻にさしたまま飛んで青空に吸い込まれていった。私は飛行機など空高くケシ粒ぐらいにしか見たこと無かったのだが、その姿がまるで飛行機が離陸していくかのように見えた。当時は空を飛ぶ乗り物にすごくあこがれていた。これは面白い!と私の目は輝いた(はずだ)。それからは、アブが窓から飛び込んでくるのを心待ちにするようになった。そしてアブを捕まえては「グライダー」に加工し、離陸させた。翼になる棒は、ある時はマッチの軸、あるときは爪楊枝を使った。アブはそのくらいのことでは死ななかった。当時、アブがそのような物を尻にさしているのを見た人があったら、それは私の仕業である。

photo・・・うしあぶ 7/6撮影