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6 本土における旧軍飛行場問題の処理について 本土の同様な問題は、戦後の早い時期に下記のように政治的に措置されている。 記
政府は昭和20年に「緊急開拓事業実施要領」を閣議決定し、不要となった全国242ヵ所の旧陸海軍の飛行場を、戦後の食料難解消のため農耕地として、都道府県或は市町村に払い下げている。(1)緊急開拓事業実施要領の閣議決定による措置 そのなかでも昭和18年以降の軍備拡充政策により、軍が個人から取得した飛行場用地は一定の条件の下に個人に返還している。 このように本土においては、陸海軍が解体し不要となった軍飛行場は、それを保持する行政目的がなく政策的に払い下げ、若しくは旧地主に返還している。 本県の旧軍飛行場跡地も、米軍支配27年という空白が無ければ、本土同様の措置がなされた筈である。 (2)席田陸軍飛行場(現在の福岡空港)の返還
昭和19年に陸軍が建設した席田陸軍飛行場は、戦後、板付飛行場として米軍が使用し防衛施設庁が管理中のところ、旧地主から国家総動員法による強制収用を理由に返還要求があり、大蔵省理財局と調整の上、旧地主に返還されている。更に、同飛行場が建設される際に、軍が小作人に小作権放棄を迫り僅かな離作料で離農させたとして、昭和29年に耕作者組合が小作権存在確認の訴訟を提起している。 訴訟は一審、二審では耕作者組合が敗訴したものの、最高裁では二審判決を覆し、裁判のやり直しの判決がなされている。 最高裁判所の判決要旨は、軍の離作補償が1年分の農作物価格であり、補償金としては低額で補償としては認め難いというものであり、その後、同事件は農林省農地局と和解が成立し適正な補償がなされている。 席田陸軍飛行場の場合、地主は土地代金受領を認めながら国家総動員法に基づく強制収用を理由に返還要求をし、それが認められている。 また、小作人は離農補償を得ながら、それが適正でない事を理由に補償請求をし、適切な補償がなされている。 本県の旧軍飛行場と席田飛行場に対する国及び裁判所の取扱の差は歴然としている。 (3)特別措置法制定による救済
本土では本県の旧軍飛行場問題に類似する問題は、特別法の制定により政治的に救済している。即ち、政府は弁済期が昭和20年8月15日以前の政府に対する求償権に対し、その補償を目的に戦時補償特別措置法を制定している。(別紙添付14) ただし、当時は国家財政が危機に瀕していたため、補償とは名ばかりで実際は戦時補償請求権に基づく請求に対し、同額の戦時補償特別税を課し相殺する手法で、国の債務処理を図る事が目的だったようである。 しかし、土地については同法第60条1項で「国に対し土地を譲渡し、その対価の請求権について戦時補償特別税を課されたときは、国はこの法律施行の際、現に当該土地を有する場合に限り旧所有者の請求により当該土地を現状において、これらの者に対し譲渡しなければならない。」と規定している。 そして、第3項で「土地の譲渡を受けようとする者は、当該土地の対価の価格に相当する金額からその対価の請求権に課された戦時補償特別税を控除した金額に相当する対価を国に支払わなければならない。」と現実的に措置している。 本土においては、同法第60条に基づく手続きにより旧地主に土地を無償譲渡しているが、本県は当時の施政権の関係で、勅令第492号により同法施行の除外地域になっている。 それは当時の国際政治の常識として、戦争で一旦失った領土は永久に帰らないとの認識があり、本県に対し経過措置を謳うなどの配慮が為されなかったからである。 しかし、勅令第492号には憲法上次のような疑義がある。 即ち、本県が県としての法的地位を、そして県民が日本国籍を失ったのは、昭和27年の平和条約締結によるものであり、従って、戦時補償特別措置法施行時(昭和21年)、及び新憲法施行時(昭和22年)には、沖縄県民は日本国民としての法的地位を有し、新憲法に規定する諸権利を享受する権利があった。 憲法第98条に関する判例に「旧憲法下の法律は、その内容が新憲法の条項に反しない限り、新憲法施行後も効力を有し、新憲法に違反する限度においてその全部又は一部が効力を有しない。」とある。 そこで本県を特別措置法施行の除外地域とする勅令は、憲法第95条「一地方公共団体に適用される特別法は地方公共団体の住民投票を要する。」に反し、また県民に対する不平等な取扱により、憲法第14条の規定に違反し無効になると考えられる。 仮にこのような解釈が成り立つのであれば、勅令は無効となり、戦時補償特別措置法は本県にも適用されるべきであり、従って、政治的理由によって戦時補償特別措置法による救済を受けてない本県の旧軍飛行場用地問題は、戦時補償特別措置法に類する特別法の制定により、政治的に救済されるべきであると考える。 本土における同様な事件の解決は、戦後間もない時期ということもあり、それを担当した行政及び司法関係者が、軍事優先社会を身をもって経験し、事件の本質に理解あり地主の権利に配慮した、このような措置がなされたものと思われる。 憲法第29条2項「私有財産は、正当な補償に下に、これを公共のために用いることができる。」との立法趣旨は、正しくこのような戦前の国家権力による私有財産侵害の反省の上にたち、それを排除するため設けられた規定と理解いたします。 |