RIN’s 武道大会!
それでは只今より、 ギル VS カイン 戦を行ないます!
応援凄かったね、お姉ちゃん!
そうねー!一気に会場が盛り上がった感じね。
後は何ごともなく、このまま終れれば良いんだけど・・・。
ま、このまま突っ走りましょうか!
試合、開始!!
第三試合
ギル VS カイン
舞台に立ち、それぞれの得物をかまえる二人。
言葉をかわす様子もなく、互いに互いの隙を狙っている。
ギルはバスターソードを、カインはエメラルドの剣を真っ直ぐにギルに向けている。
二人は同時に地を蹴ると、相手に向かい大きく武器を振りかぶった。
会場内に、大きく刃物がぶつかる音が響く。
二人は剣を交えたまま、互いに押し合う。
刃物と刃物が甲高い、耳障りな音を立てるが、二人にはその音すら聞こえていないようだ。
得物の大きさからして押され気味であるカインは、小さく舌打ちをすると、
剣を交えている部分を支点にして後ろへと飛び、ギルとの間に間を空けた。
そして、着地すると同時にもう一度ギルへと向かって駆けた。
自分に向かい駆けてくるカインの道筋を読むと、
ギルは、カインが駆けてくる道の上に剣を振るった。
しかしカインはそれを、少しだけ走るスピードを落とす事で避け、
バスターソードを振り切ったギルに、エメラルドの剣を下から上へと振り上げた。
ギルは、しかし右へと振り切る直前のバスターソ−ドに力を入れ、今度は左へと振った。
鈍い音を立てて、エメラルドの剣はバスターソードに弾かれ、
バランスを崩したカインに、ギルは剣を振り下ろした。
直前に迫るバスターソードを、カインは片手を使い後ろへと転がると、
その場に片膝を立てた状態で剣を横へと凪いだ。
カインを逃がしたギルが一歩踏み出そうとした時、エメラルドの剣が切っ先に足を掠めた。
一瞬、足を止めたギルに、カインは右下から斜め上へと振り上げた。
走るエメラルドの剣を上体を反らして逃れると、ギルはもう一度足を踏み込みバスターソードを下から上へと振り上げた。
甲高く澄んだ音が響く。
その手から弾かれたエメラルドの剣が、中を弧を描いてカインの正面にいるギルの後ろへと突き刺さる。
それでもなお、ギルの様子を覗うカインは、一歩づつ確実に後ろへと後退すると、右手の指で小さく紋章を書き、
「風!(フウ)」
言葉を紡いだ。
風の刃は真っ直ぐにギルに向かい飛んで行く。
しかし、ギルはそれを避けると、何時の間にかひらいてしまったカインへと走っていく。
「氷!(ヒョウ)雷!(ライ)」
自分に向かってくるギルを見ながら、カインは今度は二つ続けて小さな紋章を描いた。
すると、カインの前には稲妻を纏わせた氷の塊が浮き上がり、ギルへと狙いを定め勢い良く飛んでいく。
ギルは一瞬だけ躊躇すると、真っ直ぐに走りながら、バスターソードで飛んでくる氷の塊を受けていく。
次第に切っ先から凍っていくバスターソ−ドが、柄の部分にまで及びそうになった時、
ギルは自分の指が凍りつく前に剣から手を放し、
目の前にいるカインに右足で横から蹴り上げた。
魔法が間に合わなく、体を反らせてギルの蹴りをよけたカインが、一歩後ろに後退した時だった。
ギルから逃れるために舞台の隅に移動したカインの足は空を踏み、バランスを崩して舞台外へと体を傾けてしまった。
「・・・っ!」
「!!?」
とっさに手を伸ばした時、カインは丁度触れたそれを掴み、体勢を直そうとしたが、
掴んだそれもバランスを崩し・・・。
カインと、カインに足を掴まれたギルは仲良く舞台外へと落ちた。
「いって〜・・・。」
「・・・重い。」
『最悪・・・。』
第三試合
ギル VS カイン
両者 ドロー