う〜ん。何故にアークが死ぬかな?

それはともかく。
すみません変なもので。最初の方とかものずんごく自分の趣味だけに突っ走って、物語そのものは考えてませんでしたからねぇ。
物語考えてから書くタイプじゃないんですよ。私。
こんな物語ですけど、感想を貰うととても喜びますので、簡単でいいのでお願いします。
彼等の次の物語など考えたりしてるんですけど・・・。  
見たい人、いますか?

あとがき。

・15

月夜

小さな部屋へ

 アーク・フィアが、カインに会いに行った。
 
止める事は出来なかった。
あんな状態のやつに、長い間おとなしく待っていろとは、言えるような状況じゃなかった。
笑っていた。
カインもアーク・フィアも、幸せそうに笑いながら未来へ行った。
未来で会えると信じて、笑って行った。
あのロザリオはカノトが持っている。
いつか、カインに渡して欲しいと、アーク・フィアが渡した。
カノトは泣いていた。
術者は、自らに術をかけることが出来ないと、泣いていた。
 
 「はあ。」
本日何度目かのため息をカノトがついた。
あれから、俺もカノトも家に帰る気になれず、今は主がいなくなったこの家で、何をするでもなく二人で生きていた。
死のうとは思わない。
あの二人を未来で見つける事が、俺の役目だと思っているから。
未来までの道のりを歩いていく事が、俺の役割だから。 そう、思うから。
 「は〜あぁ。」
 「んな、ため息ばかりつくなよ。」
こっちまで気が重くなるだろうが、ただでさえ重いったらありゃしねーのに。
 「・・・・・だって、私だけ置いてきぼり。」
確かにカノトは人間だから、後何百年も生きている事など不可能だな。
 「・・・ずるい。私も二人の力になりたいのに・・・。」
口を開けりゃあ、いつもこれ。
分かるんだけどよ、だけど、・・・なぁ?
方法は一つあんんだけど、俺は個人的にこの方法は好きじゃねぇ。
けど・・、聞いてみるだけ聞こうか?
いや!ぜってーこいつは賛成する!
カインとアーク・フィアに会うために。 ・・・その後の人生を、人を、止めてしまうだろう。
けど、だからと言って、言わないのも嫌な感じなんだよな。
・・・言うだけ、言っておこうか・・・・。
たとえ、化け物となってでもカインとアーク・フィアに会いたいのか。
 「会いたいに決まってるでしょ!!」
怒鳴られた。
 「よく考えろよ・・、人間止めちゃうんだぜ?」
 「いいじゃない!そんなの私の勝手よ!未来に行くの、二人が未来で出会えるように手助けしたいのよ!!」
何か言葉の響きに、一人は嫌だ、と言っているように聞こえるのは気のせいか?
 「・・・本当にいいんだな?俺、しらねーぞ?」
 「いい。私、人間より貴方達の方が好きだから。」
・・・・本気だな。
 「分かった、やってやるよ。お前も知ってるだろ?俺の種族がどんなのか。・・・仲間を作るのが得意な種族だってことをさ。」
カノトはすごく嬉しそうに、ゆっくりと満面の笑みで笑った。
庭の奥に、初夏に咲く花を見つけたのはその後。
青いつる草の紫の花。 風に揺れている、季節外れの時計草。
笑っているかのように、ゆらゆらと、風に揺れていた。
 
長い緩やかな時の流れの中、世界が変わり、世の中が変わり、無かったものが現われて、あったものが失われて
少しずつ、少しずつ・・ お前たちのいる未来へと、近づいて行くんだ。
時が止まる事など無いのだから、必ず会える。
会えたら、何て言おうか?
泣いちまうかもしれねーよな。
あ、安心しろよ! 絶対にお前らの顔忘れねーから! 絶対に、見つけ出してやるから。
今度こそ幸せに、ずっと一緒に生きて行こうぜ。
俺ら二人邪魔かもしれねーけど、四人で。
喧嘩してもいいんだぜ?仲直りさせてやるから。
わがままだって聞いてやるぜ?
大丈夫。幸せになれるぜ。絶対。幸せにしてやるよ。だから待ってろよ。
 
 
時が、  長い長い時が   流れていく   穏やかに   幸せな未来に向かって・・・・・
 
 
 
 
 
 
 ―――アーク?俺、カイン。 これからよろしくな。―――
 
 ―――あぁ、カイン。これからはよろしく頼む。―――
 
 ――― 一緒に。 ―――
 


終わり。
 
 カインが、何処かに行ってしまった・・・・
 
さっきまでこの腕の中にいたはずなのなのだが・・?
 
あの子の嫌がる事を、私は何かしたのだろうか?
 
変だな?
 
そう言えば、私はいつから人形なんかを抱いているのだろうか?
 
・・・カインにそっくりな人形だ・・。
 
あぁ、似ているというだけで、こんなにも粗末に扱えない・・・
 
カインがこの人形を見たら驚くだろうな。 
 
カインの部屋のベットに寝かせておこう。
 
そしたら、カインを捜しに行かないとな、変なことにすぐ巻き込まれる子だから、なるべく早く見つけないと・・・。
 
大切なロザリオも持っていかずに、何処に行ったのだろう?
 
これは私が持っているより、カインが持っていた方がいいのだろうに・・・、
 
私は冷たい人形を抱え、椅子から立ちあがった。
 

 
扉を開け、部屋を出た私に、扉のすぐ近くにいたマトリとカノトが驚いたような顔を見せた。
いつの間に居たんだ?
 「こんな所で何をしている?中には入らないのか?」
私がそう言うと可笑しなことに、二人は息を呑んだようだ。 
 「俺ら、結構前から、いたんだけど・・・」
 「なら、何故こんな所いる?」
またも二人は変な顔をした。困っているような、悲しんでいるような・・、変なやつらだ。
 「ねぇ、カイン、どうするの?」
私の腕の中の人形を見ながら、カノトが呟くように言った。
 「カインの居場所を知っているのか?」
 「・・居場所?」
 「ああ、カインが何処かに行ってしまった。」
 「あ。何言ってるの?何処かに行ったって、じゃあ、その抱えてるのは何なの?」
マトリは訳が分からないみたいに、カノトは何処か怒ったように、私に話しかけてくる。
 「分からない。何時の間にかこの人形があった。」
またしても二人は言葉なく、ただ悲しそうに私を見つめた。
 「アーク・フィア。目、覚ませよ。カインは死んだんだぜ?お前まで壊れちまったら、俺らどうしていいかわかんねーよ・・・」
 「何を可笑しな事を言っている。それよりカインは何処へ行った?」
 「カインはいない。死んだんだよ!あいつの弟の毒にやられたんだ!!もう、何処にもいないんだ!分かれよ!!」
 「マトリ、いい加減にしろ。言っていい事と悪い事がある事ぐらい分からないのか」
 「アーク!!」
ふざけている。つまらない冗談なんかに付き合っていられない。 カインを捜しに行かないと行けないのだから。
私が無言で、二人の側をすり抜けようとしたとき、カノトが囁くように言った。
 「カインの居場所、教えてあげようか?」
振り向く私を、カノトは無表情で迎えた。
 「教えてあげる。先にカインを横にしてからね。行きましょ、カインの部屋に行こうとしてたんでしょ?」
そう言うと、カノトは返事も聞かずに先に行ってしまった。
カインはカノトの家にでもいるのだろうか?
やはり私は、あの子を怒らせるようなことをしてしまったのだろうか。
ぼんやりとしていた私の背を、マトリが軽く叩き、「行こうぜ」と小さく言い、私を促した。
私は、カインにそっくりな人形を見た。
人形はとても冷たく、生き物ではないことを感じさせたが、その表情は穏やかで、幸せそうで、・・・人のようだった。
 
人形をベットへ横にすると、まるでカインがそこに寝ているかのように見えた。  
いつもしてやるように髪を梳くと、さらさと、私の手のひらから零れ落ちた。
その感触が本物と同じで、私はなんだか怖くなり、カノトに顔を向けた。
早く、暖かいカインに触れたかった。
 「・・・カインの居場所、でしょ?分かってるわよ。 カインはね、・・・未来にいるわ。」
 「は?」
私が何か言葉を言うのより先に、マトリが間抜けな声を出した。
 「カノト、遊んでいる時間はないんだ、すぐにでもカインを・・・」
 「未来にしかいないわ。」
私の目をしっかりと見つめ、そう断言するカノトの言葉に、私は言いかけた言葉を最後まで口にする事が出来なかった。
 「・・・何の話しをしているんだ」
 「カインは私が未来に送ったわ。あなたが人形だと思っているのは、カインの抜け殻で、カイン本人よ。」
 「おい、カノト、未来って?カインを送ったって、どう言う事だよ?」
 「私、片親が巫女をやってるの。私もその血を受け継いだわ。難しい術だって、使えるの。」
わけが分からない。
カインを未来に送ったとはどう言う事なんだ?なぜ私の側にいない?ずっと側にいると、誓ったはずじゃなかったのか?
 「転生の術を使ったの。成功したのかどうかは分からないけど、何もしないよりはいいと思って。」
そう言うカノトは真っ直ぐと前を向き、堂々としていた。
 「未来になれば、分かる事だわ。」
 「・・・未来とは、いつの未来だ?」
明日か?来年か?今の次はいつでも未来ではないのか?
カインがいなければ、一分一秒すら長く思える私に、未来まで会うなと言うのか?
・・・・待てるわけが、ないだろう。
 「少なくても、私は生きてないわ。きっと、何百年も先の事よ。」
 「その術は、誰にでもかけられるのか?」
考えるよりも先に口が、自分の望みを告げていた。
 「私にもその術をかけて、殺せ。」
 
今までぼやけていた頭が今、動き始めたような気分だ。
カインがいないからと言って、恐れる必要は何も無いじゃないか。
カインが何処かに行ってしまったのなら、私が行けばいい。
それだけの事だ。 何をぼんやりとしていたのだろう?
ああ、早く会いに行かなくては。
 
 「カインに会いに行く、私を、殺してくれるだろう?」
私から会いに行く。
考えただけで、自然と笑みが零れた。