第19回世界空手道選手権大会

期日:平成20年11月13日(木)〜16日(日)

会場:日本武道館

2年に1度の世界選手権大会が、31年ぶりに東京で開催された。

今年は100ヶ国からおよそ1,000人が日本武道館に集結。
現在WKW(世界空手道連盟)加盟国は178カ国で、オリンピック種目でもこれほどの大きな規模は少ないのではないのだろうか?
今大会、どんなドラマが待っているのか?

11月13日(木) 大会1日目初日

大会初日は女子団体組手準決勝までと、男女団体形決勝、男子団体組手1回戦が行われた。
前大会優勝した女子団体組手の日本チーム(荒賀・新井・佐藤)に波乱が起きた。
1回戦、対韓国戦を(2−1)、2回戦、対ボスニアヘルツゴビナを(2−1)、なかなかポイントがとれず苦戦していた。
3回戦、イタリアと対戦。奇襲の上段蹴りを食らうなどしてリズムを掴めず、(0−2)のベスト16で敗退してしまった。

日本の大会ではポイントをとれた突きが、なかなかとって貰えない。
日本人は至近距離がから素早い反応で突くが、遠間から大きく分かりやすい突きがポイントになりやすいようだ。
お家芸の中段突きもいつもよりも腰を入れて深く分かりやすく突き切っていないと、軽いと言うことなのか?ポイントにならないのだ。我慢しきれず上段を突くも反則を取られたりしていた。

世界大会に出ていていつも思うのだが、その大会ごとにポイントのとり方にも傾向があるようだ。だが日本の選手は海外遠征の経験が乏しく、ジャッジの傾向も分からず、大会に出て初めて知る事となり、直面した選手が一番悩んでいるように思う。

昼から長谷川空手スクールの片田貴士・内海健治・大木格の出場する団体形が始まった。
      
         2回戦対イタリア戦                              応援団も気合いが入る!

この新チームを組んで2年。最大のライバルである、前回大会覇者のイタリアと、なんと2回戦の指定形でいきなり対戦。
いきなりの山場を、見事な集中力のセイエンチン(3−2)勝つと、3回戦 対ベトナム戦ではパイクー(4−1)、準決勝スペインをスーパーリンペイ(5−0)で勝利。決勝戦進出!
長谷川空手スクールからも小学生から一般まで大応援団を編成。「日の丸」をモチーフとした燃える赤い服で一致団結、日本チームのサポーターとして一緒に闘った。
      
           決勝戦 アーナン分解                           銀メダルおめでとう!
夕方始まった決勝戦。フランスのウンスーに対し、日本はアーナン。結果は(2−3)で惜敗。
分解も稽古通りよくきまっていたが。勝負の世界はきびしい。しかし、出来は良かった。胸を張っていっていいだろう。
銀メダルおめでとう!

      
          沖縄トリオのセイパイ                              気迫ある分解
女子団体形の沖縄トリオは前大会の雪辱を晴らすかのように、攻めの姿勢が感じられた。
2回戦 対スロバキアはセイパイ、3回戦、対クロアチアをパイクー、準決勝 対スペインをスーパーリンペイで順当に勝ち上がり、決勝戦ではやはりフランス。男子と同じ、アーナンで挑み、(5−0)で見事リベンジを果たす!
分解も間とタイミング、それに気迫が一段とパワーアップしていたようだ。
金メダルおめでとう!

2日目は個人形、と男子団体組手。頑張れニッポン!
     

11月14日(金) 大会2日目

男子団体組手と男女個人形が始まる。
昨日繰り越された女子団体組手の3位決定戦が行われ、結果は
1位 ドイツ
2位 スペイン
3位 イタリア
3位 フランス

昨日、男子団体組手で1回戦にスイスに勝った日本は、2回戦ボスニア・ヘルツゴビナに(2−3)の惜敗。
先鋒:松久5−0 勝ち
次鋒:井渕2−3 負け
中堅:永木0−1 負け
副将:荒賀4−1 勝ち
大将:平山0−8 負けで2回戦敗退となった。個人戦に期待したい。
松下・荒賀が絶好調!
    
長谷川スクールでは応援の練習を外で行い、一致団結。
一生懸命の応援に、自然とギャラリーも集まり、日本のために皆が一つになれる、良い瞬間であった。

午後から始まる個人形には片田貴士と若林春日が出場。
万全を期して挑んだ片田であるが、1回戦の指定形で前大会5位のフランス(ダックミン)と対戦し、2−3で惜しくも敗退。
この判定に会場が一瞬、ざわめく。
フランスも準決勝で前大会3位のベネズエラ(アントニオ・ディアス)に敗れた為、敗者復活のチャンスも巡ってこなかった。

1位 イタリア(ルーカ・バルデシ)
2位 ベネズエラ(アントニオ・ディアス)
3位 フランス(ブダミン・ダック)
3位 エジプト(モスタファ・イブラヒム)
        3連覇したイタリア・バルデジ

女子個人形に出場した若林は1回戦から4回戦まで5−0のストレートで勝ち進んだが、前大会2位のベトナム(ホアン ウガン・ウグエン)に同じチャタンヤラクーシャンクーで2−3で惜敗。

1回戦:対スロバキア(5−0)
2回戦:対マケドニア(5−0)
3回戦:対クロアチア(5−0)
4回戦:対スペイン(5−0)
準決勝:対ベトナム(2−3)
敗者復活3位決定戦:対カナダ(4−1)で銅メダル獲得!

1位ベトナム(ホアン ウガン・ウグエン)
2位イタリア(セアラ・バタグリア)
3位セルビア(マリア・マドザレビック)
3位日本(若林春日)
           銅メダル 若林春日選手

指定形においても、明らかに違った立ち方や受け技などがあっても減点対象がないようにさえに思われる。パワー重視ということであれば日本人は苦戦するだろう。国際大会において、形の判定基準は今、何なのかを考え、日本は今後の対応をしていかなければならないと思う。

しかし、日本の選手の全力で堂々と戦う姿を目の当たりにして、見ているこちらも思わず力が入る。
子供から大人まで応援団も一生懸命、日本にエールをおくった。
    

    

    

    


11月15日(土) 大会3日目

男女組手の個人戦が始まった。
男子−60Kg級 藤元経大選手 1回戦敗退。
1回戦、カザフスタンに敗れ、そのカザフスタンが決勝に進出。
敗者復活戦に賭けたが、セルビアに2−3で惜敗。

男子−65Kg級 二瓶卓郎選手 銅メダル!
    
 相手の動きを良く見据えて、ここ一発で勝負する二瓶選手            2大会連続銅メダル。次は?
1回戦の対スイスから4回戦対オランダまで順当に勝ちあがる。
準決勝対ハンガリー戦では1−1、延長線の末、相打ちともいえる中段突きを放つも、惜敗。
3位決定戦ではイタリアを2−0で下し2大会連続の銅メダル獲得。おめでとう!

女子-53Kg級 藤原菜希 金メダル!ナッキーついにやったー!
大和撫子の気迫のこもった戦いっぷりはカッコイイ!
    
  


1回戦 1−0対カザフスタン
2回戦 2−0対イスラエル
3回戦 0−0対トルコ延長1−0
4回戦 3−2対イタリア
準決勝 6−2対ブラジル
決勝戦   対ドイツ


女子−60Kg 荒賀知子 4回戦敗退。1−0で時間切れで勝利と思われた、残り0秒で相手が繰り出した上段回し蹴りの連続蹴りで、まさかの逆転負け!
調子も良かっただけに、悔やまれる。
1回戦 3−0対ドミニカ
2回戦 9−0対マカオ
3回戦 2−1対コロンビア
4回戦 1−3対セルビア

男子無差別級 平山真也 2回戦敗退。対格差の中、善戦むなしく。
1回戦 3−2対BLR
2回戦 1−5対オランダ

女子無差別級 佐藤祐香選手 金メダル!おめでとう!
緩急をつけた攻撃が相手の技を封じ、自分の組手を維持していた。決勝戦では相手の動きをじっくり見ていたようだ。
    


1回戦 9−0対韓国
2回戦 7−1対ブラジル
3回戦 8−0対イギリス
4回戦 8−1対ギリシャ
準決勝6−3対
決勝  0−0対スペインに判定勝ち!青:副審2本、赤:副審・主審で優勢勝ち!
     W優勝で喜ぶ監督コーチと藤原・佐藤選手


上る日の丸を見つめ、君が代を口ずさむ、日本選手団。
最終日も、ここに掲げよう!

女子は団体戦で発揮できなかった分を、しっかり個人で取り返していた。
マイペースで、試合に挑めることが大事である。

      君が代歌い、日の丸を見上げる日本チーム

11月16日(日) 大会4日目最終日

いよいよ大会最終日。
残る5階級で1つの金メダルと、2つの銅メダルを確保した。

男子-70Kg級 永木伸児 銅メダル!

1回戦 シード
2回戦 7−3 対ノルウェー
3回戦 4−1 対ベルギー
準決勝1−4 対アゼルバイジャン
3位決定戦
      優勝したアゼルバイジャンのアガエフ

男子-75Kg級 松久功 2大会連続銅メダル!
途中、唇が裂けるほどの負傷を追ったが、気迫で勝ち進む!

1回戦 シード
2回戦 3−1 対ドイツ
3回戦 3−0 対イラン
4回戦 8−0 対カザフスタン
準決勝 3−7 対チリ
3位決定戦 4−0 対スペイン
         銅メダルの松久選手

男子−80s級 井渕智 初出場、初優勝!おめでとう!
    
        決勝戦 対ロシア                                優勝の瞬間!

1回戦 シード
2回戦 4−3 対アルメニア
3回戦 4−3 対アルメニア
4回戦 1−0 対エジプト
準決勝 5−3 対アゼルバイジャン
決勝戦 1−0 対ロシア
    男子唯一の金メダルを獲得した井渕選手

女子+60kg級 新井彩可 2回戦敗退
2回戦 0−1 対スイス

男子+80s級 志水亮介 1回戦敗退
1回戦 3−5 対チュニジア

総合成績
  金    銀    銅    国 名
  4     1     4     日 本
  2     2     3     フランス
  2     1     4     イタリア
  2     0     0     アゼルバイジャン
  1     1     2     ロシア
  1     1     2     トルコ
  1     1     1     ドイツ
  1     1     0     アメリカ
  1     0     1     クロアチア
  1     0     0     チリ
  1     0     0     ベトナム
  0     2     3     スペイン
  0     1     4     エジプト
  0     1     2     セルビア
  0     1     1     カナダ
  0     1     1     カザフスタン

日本は金メダル数もメダル数ともに1位。、
開催国の日本で、日本を倒す!という海外勢の勢いは感じらるなか、日本の選手は皆よくがんばったと思う。
世界のルール動向はヨーロッパ主導型で、形の判定基準や、組手のジャッジなど、国内の大会との相違は感じられたが、選手は世界の流れを感じ取り、自身で情報を集め、海外遠征などの経験を積んだ方が良いと思う。
日本人は世界大会に出て初めてこの判定基準を体験した訳だが、次に活かすようにしていってもらいたい。

    
 左から三宅アナ、林氏、永井大、土屋氏(あと若井氏も) 

今大会の模様はBSフジで連日放送され、元ナショナルチームのメンバーが解説者として貢献していた。
が、2階席のプレミアムシートにはほとんど客がいなく、寂しい状況だったのが残念。世界大会は通常、満員となり、盛り上がるものであるが海外の人達はどう思っていたのであろうか?

今回スクールの大応援団で来た生徒たちも、有名選手のサインをもらったり、海外の人達と交流ができ、また実際に生の目で世界大会を見れたことは貴重な体験であったと思う。
    
       サインをもらって喜ぶ生徒たち

大会終了後は、新高輪プリンスホテルでサヨナラパーティーが盛大に行われ、交流を深めていた。
海外の選手たちはその後も積極的六本木に繰り出し、ダンスで盛り上がっていたようだ。
私もたまたま六本木にいたところ、選手団が次々と集まり、会場は欧米の選手であふれ、踊る隙間もないほどだった。
何人か顔なじみの選手と話をしたり、ダンスの情報交換?をしたりしたが、みなパワーがある。

また、外国人選手同士が団結していて、仲が良い。言葉は違えど、ダンスは共通。
私も負けじと、ダンスの中に入り、親睦を深めたが、日本の選手は誰もいないのが寂しかった。

試合の判定基準件も、選手の親睦にしても、日本は「鎖国状態」にあり、情報が得られないこと。それと言葉の弊害。コミニュケーションが足りないように思う。
また今回のジャッジについても選手は積極的に海外に出て、国際審判に顔を覚えてもらうことも、ある程度必要ではないか。世界に染まれとは言わないが、実情を把握してアンテナを張ることも今後、世界で勝つ為には必要だと思う。
       ダンスカフェは選手が集合!


次回、日の丸をメインポールに!