糸東会中国空手道普及訪問

2003年9月8日〜12日 於 中国北京

糸東会は中国への糸東流空手道普及を目的に訪中団を組織し、いざ訪中!
歴史的で重要な試みに、長谷川スクールからは演武者として長谷川行光先生、内海健治選手、大木格選手の3名が糸東会より選抜され、大成功のうちに任務を果たす事ができました。
以下に3名のレポートをご覧下さい。


糸東会中国空手道普及訪問に参加して

  長谷川行光

1日目200398
成田空港第2ターミナルビルに、糸東会北京空手普及訪問団が集結した。訪問団員の構成は役員として、団長・久富登喜男会長代行、副団長・橋本岩樹副理事長、岩田源三技術本部長、秘書長・中山雄一事務局長、選手として、長谷川行光、坂栄孝、藤村卓樹、内海健治、大木格、それに加え、糸東会役員、後援会、法人会員の応援団と通訳を含めた総勢20名。45日のスケジュール。1300に全国各地より集結し、出発受付カウンターにて結団式を行った。

結団式にて団長の挨拶を述べる久富登喜男会長代行(中央)
(左:橋本岩樹副理事長、右:中山雄一事務局長)


今回の目的は、中国に糸東会北京支部設立の為の候補施設の視察、糸東流空手演武及び、空手指導会の開催である旨、久富団長より説明があった。中国に正式な流派の設立は初めてという事を知り、背筋が「ピン!」と張る思いで緊張が走った。
機内でワインを飲みながら、選手としてベストを尽くした演武をしようという思いと、初めての訪中に心躍る自分にわずかながら酔っていた。

北朝鮮・韓国の国境付近を通過する際、乗客のほとんどが窓の外を見ていたことも印象的であった。
4時間のフライトで北京に到着。そのままバスに乗り、宿泊先である21世紀飯店(ホテル)へ20分足らずで到着。このホテルは今回の訪問先である、中日青年交流中心(北京国際青年研修学院)と隣接。中曽根元首相の時代に政策の一環として中国と合同出資で作られたホテルらしい。
チェックインのあと、ホテル近くの「無名居」にて夕食。何種類もの本場中華料理を紹興酒とビールで楽しんだ。
帰り際には足つぼマッサージで旅の疲れを癒した。60100元(約1500円)は安い。

2日目 99日 
8時起床。2階「明苑」にてバイキング形式の朝食。肉まん、チャーハン、野菜炒め、ハム、卵、おかゆ、ヌードルスープ等、わりと親しみのわくメニューに安心。
午前中は、糸東会役員の先生方と日中青年交流(センター)の陳松理事長及び、国際青年研修大学幹部との会談。
その間、選手と後援・法人会の方々はショッピングセンターにてしばし買い物。
北京の緯度は日本の青森にあたり、夜は長袖がちょっと欲しいところ、日中は日が差すとまだ暑い。かといって湿気の多い日本とは違いカラッとしている。餃子専門店で昼食を取り、ホテルへもどる。

1600ホテル内3階にある多目的ホールにて演武会が開催された。演武会に先立ち、名誉黒帯、道着贈呈セレモニーが行われた。
そしていよいよ演武会である。日中青年交流中心幹部・関係者及び、学生らおよそ80名が見守る中、試合とは一味違った緊
張感に心が躍る。歴史ある中国武術の発祥の地において、日本の空手道を目の当たりにしてどのように感じ、どう評価されるかが興味のそそるところであった。


演武は岩田源三本部長を中心に以下の通り行われた。


1.岩田本部長による糸東流空手道の紹介と、基本、移動を選手全員で行う。
2.岩田本部長によるクルルンファの形演武と分解
 (分解相手:長谷川行光)

3.長谷川による松村派バッサイの形演武
4.内海健治・大木格選手による組手試合
5.坂栄孝・藤村卓樹選手による組手試合
6.長谷川・内海・大木選手によるチャタンヤラ・クーサンクーの形及び分解

         岩田先生と演武者たち

中国人は自分から好んで拍手はしないと聞いていたが、演武中や演武後に惜しみない拍手を頂く事ができたことは大変うれしく思う。選手としても、ベストの演武を披露できた事、空手道が中国においても評価に値する手ごたえを感じる事ができた。
見学者にプレゼント抽選会の後、引き続き1830より同会場にて歓迎晩餐会。
メインである、演武会の成功を祝って乾杯!

陳松理事長や関係者らからも、空手に興味ある感想を頂き、また日本からの訪問団の方からも「北国の春」を熱唱され、大変盛り上がった。

3日目 910
1030より中日青年交流中心において、北京市政府体育局幹部との会談に参加。
久富団長と政府幹部役員との間で糸東流空手道連盟設立是非の会談が始められ、団長の的確かつ、リズミカルな話の展開で流れがスムーズに進行していくところは、大変勉強になった。
中国側との前向きな回答から、第一歩は踏み出せたことと思う。

各自昼食後、1330より観光。
行き先は天安門、故宮(ラストエンペラー収録地)
山頂にある故宮全景ポイントは圧巻!
歴史とスケールの大きさにただ感動した。

   中国公安部の幹部と握手する久富団長

故宮まめ知識
故宮は紫禁城とも呼ばれ、明・清2代の皇宮であり、1406年〜14020年にかけて造営された。故宮の建築は外朝と内廷の2つに大別される。外朝である太和殿は映画「ラストエンペラー」の実際の収録地としても有名。1987年にユネスコに世界遺産と指定された今は、映画撮影はできないそうだ。






   絶景!故宮一望する長谷川、藤村、鎌形、内海

1830 北京にきたらこれしかありません。北京ダック専門店(団結湖北京焼鴨店)にて夕食。次から次へと出てくる料理を抑えながら、メインを待った。(本格中華はどれもおいしいので、ついついメインの前に満腹になってしまうのだ。)
そしていよいよメインの北京ダックと共にシェフがじきじきに登場。巧みな包丁さばきで、皮が切り取られゆく。その皮の厚さ56mm。「こんな皮、何がうまいんだろう?」と、初体験である北京ダックを一口、放り込んだ。
すると、「なんてうまいんだろう!!」皮とは思えないジューシーな食感。まるで大トロを食べているかのように噛むたびに香ばしいにおいと口の中でとろける感覚は絶品であった。後で聞くと、そこは北京でも最高級店であることを知らされ、死にたくないけど「もう死んでもいい!」とさえ思いたくなった。
心身ともに充実した3日目であった。
                      カリッ!ジュワー〜の北京ダック

4日目 911830 バスにて万里の長城(金香嶺万里長城)観光へ出発。

途中、渋滞もあり到着はお昼の
1200であった。3,000kmに及ぶ歴史ある道をできる限り多く突き進もうと気合を入れる。が、どこまでも果てしなく続く石の道。階段も高く、狭い場所もあれば平たんな場所もある。入り口からついてきた、モンゴル系のもの売りがしつこくついてくるが、彼らなりに観光案内しているらしく、(言葉は全く分からないが)いつの間にか情さえ湧いてくる。袋いっぱいに詰め込んだジュースを肩に担いでいた憎めない顔をしたおじさんの根気に負け、ジュースは売れた。しかしパンフレットを50元(約750円)で押し通すおばちゃんは、我々が買う気がないと判断するやいなや、今までやさしそうな顔が一転、プイッ怒るように顔を変え、他の観光人の所に移動してしまった。
集合時間の1430に集合し、再び北京へと移動。
万里長城にて、現地人に同化してしまった橋本先生

帰りも帰宅ラッシュ!
中秋の名月という事もあり、再び渋滞に巻き込まれた。4時間かかった。中国では十五夜は日本以上に特別な日らしく、家族や恋人とすごく習慣があるらしい。
1830 北海公園にて宮廷料理を食べた。国宝の建物の中にある料亭で実際に皇帝が食事をした由緒ある場所で晩餐会が行われた。

今回の北京空手道普及訪問に参加させていただいて、関係者の皆様の力添えですべてがうまく進行できた事をまず述べておきたい。
これまでには、前もって中国側と入念な折衝をして準備が整っていた事。また、国際交流事業の団代表である木村文司先生をはじめ、現地スタッフの龍さん、張さん達。通訳の水江由崇さん、木村佳代子さん、本当にお世話になりました。
それと自称、通訳?として場を盛り上げてくれた「とっつあん」こと鎌形公美さんもお疲れ様でした。
また糸東会の諸先生方や法人会員の皆様にも良い環境を与えて頂き、選手を代表して感謝の意を申し上げます。
本当に人と人とのつながりの重要性、「和」を感じられた訪中でした。
これからも精進を重ね、糸東流空手道発展のために努力していきたいと思います。
長谷川 行光


中国空手訪問団に参加して

内海 健治

僕は今回の中国訪問は人生2度目の海外だったのですが、特に不便な事も無く言葉は通じませんでしたが、簡単な英語とジェスチャーで相手に意思が伝わったときは嬉しくて、かえって楽しかったです。また文字は漢字なので日本語の漢字の意味と照らし合わせてみるとなんとなく意味が分かります。

中国で一番驚いた事は、交通マナーが日本と比べるととても悪かった事です。中国人からしてみればそれが普通なのですが、中国を初めて訪れた日本人はびっくりすると思います。
実際4日間で交通事故を2件も見てしまい、2件とも死者が出ていました。信号機も少なく、僕たちも車道を横断して渡ることが多かったです。ちなみに車も歩道を走ります(笑!)
中国では日本では味わえないような楽しさがいくつもありました。
まず初日の夜、訪問団全員で、足つぼマッサージに行きました。痛くされるのかと思い、ドキドキしていましたが、これは最高に気持ちよくて癖になりました。結局、残りの3日間も毎晩マッサージに行きました。
                                                  久々の日本食に笑顔の選手たち   

またニセブランドを売る市場にも行ったのですが、これがとても面白かったです。商品には値段がついていません。まず店員に「
How much?」と聞きます。すると店員は値段を言います。そしてその値段から値切って、値切って値切りまくって商品を買うのです。僕は買いません?でしたが、○レックスの腕時計を350元(約5,000円)を150元(約2,000円)。ルイ○ィトンの財布を約700円で買ってる人もいました。(笑!)“値切る”という、ことが日本では味わえない楽しさでした。

今回の中国訪問はとても貴重な体験をさせて頂き、演武会も大成功に終わり、とても楽しい5日間でした。


中国空手訪問団に参加して

大木 格

今回の中国空手訪問団の目的は中国にまだない空手連盟を発足する事と、空手道のオリンピックへの競技化でした。僕たち選手団の役割は、空手を知らない人たちの前で演武をすることでした。その為、普段の試合の時とは違う緊張感がありました。演武が終わるとたくさんの拍手を頂きました。後で聞いた話では、「中国人というのはあそこまで拍手することが無いのでめずらしい」との事でした。その話を聞いたはすごく嬉しかったです。
また、次の日には会合もあり、普段では参加できないような事に参加をさせてもらいました。役目が終わった後は、観光で万里の長城と天安門広場へ行きました。両方ともすごスケールが大きく、いろいろ中国の事を知ることができてとても楽しかったです。他にも料理はおいしく、マッサージも気持ち良かったです。
また機会があれば参加させて頂きたいと思いました。

今回は本当に楽しかったです。

  天安門広場にて、坂、大木、鎌形、長谷川