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ブルーベリーの育て方〔簡易版〕

ここではブルーベリー栽培に必要な最低限のお約束を書いています。詳細はBlueBerryHouseさんあたりを参考にして下さい。

用土...鉢植え、露地植え共に、有機物が多く、水捌けの良い、酸性の用土を好みます。一般には有機物で
    酸性の強いピートモスを主体に、同じく酸性で水捌けの良い鹿沼土を混ぜることが推奨されています。
    酸度調整済みの表記の無いピートモスを、充分に湿らせてから使います。
    ピートモスについては、ホームセンターや園芸店の他、BlueBerryHouse からも入手できます。

    我が家では現在のところ鉢植え主体ですが、鉢の底面は鹿沼土を敷き詰め、側面はピートモス100%を
    使っています。鉢増しを続けていくと底面部分は水捌けが良く、側面は水持ちが良い性質があります。
    ピートモス100%の場合には、一部の品種で育ちにくくなる傾向があるようです。

    育てている苗をよく観察していくと、ブルーベリーの根は酸素の要求が非常に高いことが判ってきます。
    つまり通気性の確保が非常に重要になるということです。最近使い始めている長繊維ピートモスは腐食の
    速度が遅く、長期間良好な通気性が確保されそうなので期待しています。

    水持ちは良いが過湿になり易いカナダ産、水はけは良いが水切れになり易いロシア産と、ピートモスにも
    特徴があるようです。品種によって使い分ける必要があるかもしれませんね。

鉢選び...鉢植えの場合はプラスチックのCSポットをお薦めします。数年使ってみての感想は根巻きが起こりにくく
    水捌け良好です。また軽量で移動がし易いため、雨よけを始め鉢栽培の利点を生かすことが出来ます。
    ブルーベリーを焼き物の鉢で栽培する場合は、通気性は良いのですが乾燥に注意する必要は高まります。
    CSポットは南出が製造・販売していてBlueBerryHouse からも入手できます。
    南出株式会社のホームページ
 http://www.minamidekk.co.jp/

     18cmCSポット+逆向き穴トレー

    今のところCSポットよりも安価で良質のポットは見つかっていませんが、夏場の観察から水捌けの良いと
    されるCSポットでも根腐れを確認しています。今後は鉢栽培に関してはCSポットをトレーを逆向きに使い
    空中に浮かせて底面の風通しを良くする試みをしています。レンガやブロックでも効果は同じと思います。
    夏場の根腐れを防ぐ決定打となることを期待しています。更に穴を開けて空気に触れる面積を増やすのも
    必要かもしれません。

    18cmCSポット+逆向き穴トレーは、水やりを控えることと併せ、効果抜群でした。過湿に敏感なオザーク
    ブルーも素晴らしい根張りで、↓の植え替えに載せている写真と同等でした。(写真はケープフィアー)
    我が家では少なくとも18cmポットまでは、とにかく「根を育てる」を第一にしています。穴トレーは残念ながら
    18cmまでしかありませんが、少なくともここまでは根をしっかりと育てるべきでしょう。 
   

マルチング...乾燥防止、土壌温湿度の安定、雑草予防に必須です。バークチップや針葉樹チップがお薦めです。
    刈り取った雑草や藁、モミ殻でも構いません。マルチングをしない場合、生育は非常に悪くなります。

    WATAHAN INTERNATIONAL デコレーションバーグ 愛用している製品パッケージです。
    問い合わせが多いので掲載しましたが、米松のインテリアバーグなら効果は同様と思われます。

     デコレーションバーグ(インテリアバーグ)

    我が家ではインテリアバークを用いています。理由は鉢植えの為、鉢増しの際にチップを一旦取り除くのが
    簡単だからです。鉢の用土状態や根張り等をチェックしたい時に楽ができます。見栄えも良好。
    このインテリアバークは米松ですが、鉢植えで怖いコガネムシの侵入も防いでくれるようです。

    インテリアバーグは通気性も良い上、ヒノキチオール等の有効成分を含んだエキス(WRCエクストラクト等)を
    散布することで防虫、抗菌効果を維持しているようで、数百本の鉢栽培をしていますが、コガネムシの幼虫を
    発見したことは未だありません。(5年目にして始めて1鉢から発見しました。マルチが無くなっていた部分から
    侵入された様子です。)
 

    マルチングにインテリアバーグを試された方からも、確かにコガネムシに侵入されないという話をいただいて
    います。私も5年間使ってみて、まず心配したことはありませんので、ブルーベリーにとって最良のマルチ材の
    一つと思われます。

潅水...ブルーベリーは非常に水を好みます。夏場に水やりを丸一日怠ると、すぐに先端から萎れてしまいます。
    当地で鉢植えの場合の目安は3月〜6月、10月〜11月は1日1回〔朝〕、7月〜9月は1日2回〔朝・夕〕、
    12月〜2月は3〜4日に1回〔朝〕程度です。

    我が家の実績では水捌けさえ良ければ、夏場の潅水は1日3回程度行うと成長はより良いようです。ただし
    肥料分の流出も多くなるので、多めの肥料が必要になります。水捌けについては、ここまでに書いてきている
    とおり、非常に重要なポイントになる為、鉢が軽くなったら与えるというのが正解のようです。

    上記のように書いてきましたが、続けて様子を見ていると、過剰な水やりはピートモス主体の用土の腐食を
    早めてしまうようです。逆に、水やりを鉢が軽くなるまで控えた方が水はけの良さを保つように思います。
    また、水やりを鉢が軽くなるまで控えることで、根の伸長も促されるようです。ただしピートモスをカラカラに
    なるまで乾かしてしまうと、固くなって水を吸いにくくなってしまいますので御注意。

    現在の私の基準は、
    当地で鉢植えの場合の目安は4月〜6月、10月〜11月は2〜3日に1回〔朝〕、7月〜9月は1日1回〔朝〕、
    12月〜3月は雨水のみで水遣りは行いません。

施肥...固形油粕等の緩効性肥料を中心に使われることをお勧めします。葉色が悪い等の肥切れ症状が出た時に
    カンフル的に液肥を使うのも良いでしょう。春先〔2月末〕の元肥、収穫後の礼肥〔収穫後〕、9月頃に追肥します。
    10月以降に肥料を与えると凍害に遭い易くなるので注意しましょう。

    我が家では骨粉入り固形油粕と有機液肥を使っています。鉢植えなので、元肥で鉢の号数の3分の2個
    〔6号鉢なら4個くらい〕、追肥には号数の3分の1個〔6号鉢で2個くらい〕を目安にしています。液肥を多く
    使うと生育は良いですが、ひ弱な感じがし虫が付きやすかったりもします。有機液肥としてはアグリボ、ハイプロ
    グリーンを使っています。やはり有機肥料を施すことで糖度や美味しさにも関係してくる様子です。

    肥料に関しても有機肥料は腐敗しやすく、同じく有機質のピートモスと合わせて根腐れの原因にもなるようです。
    今後は2月末の元肥と液体肥料による追肥は有機肥料でいくものの、5月〜9月頃の施肥は気温も高く腐り
    やすいので緩効性化成肥料を中心に使っていきたいと考えています。

     生理障害が少なく扱いやすい肥料です。

    市販のブルーベリー専用肥料は酸性に調整されており生理障害が起こりにくいため、若干割高ではありますが
    初心者の方や数本程度までの家庭栽培には適した肥料と思われます。これまでも部分的に使ってきましたが
    今年(2006年)は偶然に半額セールで大量に入手できたため、鉢植え栽培の元肥や追肥として使っています。
    油粕等のように虫が湧いたりもしませんので使用感も快適です。

害虫...基本的には無農薬でも栽培可能ですが、最近では根を食い荒らして枯らしてしまうコガネムシの幼虫や
    新哨の先を食べてしまうシャシャンボツバメスガ、刺されると大変痛いイラガ、葉を食べ尽くすマイマイガ等、
    結構多くの害虫が付くようになってきました。ブルーベリーが広く栽培されるようになるにつれて増えてきた
    傾向があるようで、将来は害虫対策が必須になるかもしれません。

    我が家では数百本の苗木を害虫から守る為に、WRC(ウエスタンレッドシダー)等の自然物での害虫対策を
    目指しています。マルチングに米松のインテリアバーグ(効果は不明)や、ヒノキチオール含有成分(WRC等)を
    液肥に混ぜて散布したりしています。農地に囲まれた環境ですがコガネムシの幼虫は見つかっていません。
    アブラムシもいなくなりました。全般に害虫はかなり減少した様です。時々見つける毛虫は次第捕殺しています。
    現在の課題はアザミウマ(スリップス)くらいです。手軽な木酢液等でも良いかもしれません。

病気...ブルーベリーではある程度育った苗木を枯らしたり、果実を全くダメにしてしまう程の病気はありません。しかし
    葉に斑点(炭疽病)が出たり、枝に黒っぽいシミ(糸状菌)が出来たりと、生育を阻害する病気がいくつかあります。
    特に苗木の数が増えてくると、苗木の密度が高まって通気性が悪くなったり病気を媒介する昆虫等も増えて
    こうした病気も発生しやすくなります。病気を防ぐには苗木の密度を減らして風通しを良くすることや、鉢植えなら
    鉢の位置を高くして感染源の雑草やドロ跳ねから遠ざけることです。葉が重ならないように剪定することも重要。

    物理的に病気に罹り難くする方法を書きましたが、栽培条件によっては殺菌効果のあるエキスや薬剤も必要と
    感じています。ただ落葉後の石灰硫黄合剤剤は強力ですが、庭に散布すると建物をはじめ様々な金属を腐食
    させてしまいます。WRC(ウエスタンレッドシダー)も殺菌作用はあるようですが、1.000倍で週に一回、半年に
    渡って散布したものの、病気に対しての直接的な効果は認められませんでした。今後も農薬を含めて効果の
    ある薬剤等を試していきたいと考えています。

    

剪定...込みすぎた枝や下向きの枝等は適当に間引くことが必要です。勢いのあるシュート〔徒長枝〕は、そのまま
    伸ばしておくと先端近くから枝が出て車枝〔風車みたいな...〕になります。基本的には株立ち状で山型の
    樹形が理想的で、先の徒長枝は半分以下の高さで切り詰めると脇から太く良い枝が出てきます。

    もったいない気もしますが、我が家では樹の下の方から出てきた細い枝や、横へ伸びる枝は枝元から間引き
    しています。こうすることで上の方へ伸びる力を分散させずに済みます。切った枝は挿し木用にしています。

    鉢栽培の場合、10号以下の鉢植えで剪定せずに大量の実を付けてしまうと、夏越しが難しくなります。
    実を大きくする為にも春先の選定で各枝の花芽を2個〜3個程度まで減らすことが重要です。減らさなくても
    実は付きますが、隔年結果や生育不良となる等、樹へのダメージは見過ごせないものが出てきます。

    花芽については2年生程度で5号鉢以下の場合に多くの実を着けると、大抵の場合樹に元気がなくなって
    しまいます。最近は大粒品種が多い為か樹にかなりの負担がかかるようで、我が家でもパトリオットや
    ブルークロップが実を着けた後、葉を落として瀕死状態になってしまいました。特にハイブッシュ系の大粒
    品種は要注意です。ハイブッシュ系でも小粒の品種やラビットアイ系では生育が抑えられるだけで影響は
    少なくて済みます。大粒の収穫を狙いたい場合は、春先に花芽を各枝2個〜3個程度まで減らすことが
    必要です。我が家の場合は6号鉢で花芽が10個程度、8号鉢で20個程度が目安です。


    現在の私の基準は、6号鉢は全ての花芽を取り去り、8号鉢で花芽が10個程度、10号鉢で20個程度に
    剪定しています。ハイブッシュ系では全ての品種で、結実は4年生以降として方が安全と思います。

  
 8号(24cm)鉢、フロリダスターの中程度の剪定例です。細い枝や内向き、上から見て重なる枝を落とします
  
 剪定後。正直まだ甘いのですが、このくらい剪定しておけば果実の肥大や夏バテ防止につながります

    剪定量は品種ごとの特徴、樹勢、樹齢、鉢栽培なら鉢の大きさ(根量)によって変わります。乱暴な言い方を
    すれば、一般に花芽を半分程度まで減らせば、果実の肥大や樹勢が落ちず夏越しが容易になります。
    休眠期の剪定時期は12月〜2月あたりが適当ですが、剪定枝の挿し木(休眠枝挿し)を考えると2月後半が
    良いのではないでしょうか。もちろん挿し木を行わない樹は休眠期ならいつでも大丈夫です。
    なお大きな切口にはトップジンMペースト等を塗り、病気の防除や枯れこみを防ぎましょう。

植え替え...鉢植えの場合は、できれば毎年1回〔当地で11月頃、寒地では春先〕は植え替えたいところです。
    2号程度大きくすると翌年の成長はとても良好です。大きくしたくない場合は一部の根を削り取り用土を
    足して、枝を強めに剪定した上で同じ鉢に戻します。最低でも2年に一度は植え替えが必要です。
    露地植えの場合は毎年樹冠の外側に穴を掘って新しいピートモスを加えます。

     充分に根を張った苗木(ケープフィアー)

    当地のような暖地では6月〜8月頃の植え替えには注意が必要です。苗が暑さや結実でダメージを受けて
    いますので、さらに痛めつける結果になりかねません。休眠枝挿しのポット上げについても、この時期は
    風通しの良い半日陰に置いて秋まで待った方が安心です。成功率が高いとされる休眠枝挿しでも、当地で
    記録的な暑さだった2004年は約半数が夏を越せず枯れ死してしまいました。

    我が家の植え替えの目安...根が上の写真程度に充分に育っているかがポイントです。
    ハイブッシュ系
    1・2年生(18cmポット)→1〜2年→3・4年生(24cm)→1〜2年→5・6年生(30cm)→1〜2年→成木(40cm以上)
    ラビットアイ系
    1・2年生(18cmポット)→1〜2年→3・4年生(30cm)→1〜2年→5・6年生以降・成木(40cm以上)
    

品種...厳密には土地ごとに適した品種は異なります。当地ではサザンハイブッシュ系かラビットアイ系が向いて
    います。しかしハイブッシュ系が育たない訳ではありません。初心者の方は樹勢が強く育てやすい品種を
    選ぶのが良いでしょう。当地ならラビットアイ系なら全ての品種が育てやすいといえます。慣れてきたら
    ハイブッシュ系やサザンハイブッシュ系を導入すると6月初め〜9月末まで4ヶ月以上も収穫できます。    

    苗木は品種名が明示された、大きめのもの〔枝、鉢共〕を選びます。ポットを抜いて根張りも確認します。
    やや価格は高くなりますが、大きく育った苗木は枯れ死するリスクが少なく早期に収穫できます。
    栽培経験のある方なら小苗で様々な品種に挑戦するのも良いでしょう。このあたりは各人の自由です。

    苗木の購入先は品種にこだわりを持った信頼できる業者から購入すべきです。ホームセンター等では
    かなり品種違いが多く、間違った品種がさらに増殖されてしまう現実があります。今後は、個人的には
    ホームセンター等の苗木は購入せず、正しい品種にこだわって入手していきたいと考えています。
    ブルーベリーの品種間の差異は他の果樹に比較して小さいですが、美味しい品種と美味しくない品種は
    確かに存在します。せっかく育てるのなら美味しい品種で収穫を楽しみたいものです。

挿し木...冬から春先の落葉期に行う休眠枝挿しと、初夏から秋口までの成長期に行う緑枝挿しがあります。

    最も重要なことは、挿したばかりの挿し穂には根がありませんので、乾燥にはとても弱いものです。
    発根するまでの間は特に水切れに注意して、かつ風通しを良くして挿し穂が腐ってしまうのを防ぎます。
    挿し木の環境は屋外で半日陰程度が適当です。発根が確認できる頃まで(2〜3ヵ月程)は、ビニール等で
    カバーをかけることで乾燥や水分の蒸散を抑えることが出来ます。なお、カバーの一部は開けておきます。
    休眠枝挿しで八割程度以上、緑枝挿しで六割程度以上で発根が確認でき、鉢上げすることが出来れば
    成功といえます。

    我が家では一本ずつ7.5cmCSポットにカナダ産ピートモスのみを入れて管理しています。弱い幼木の根を
    鉢上げで傷めないようにという理由です。また各系統とも休眠枝挿しが簡単で、成功率も優れています。
    緑枝挿しは花芽が形成されることがあり、ただでさえ小さい苗を剪定して痛める結果になるかもしれせん。
    基本的には休眠枝挿しをお薦めします。


    挿し木の時期(休眠枝挿し)
    挿し木開始(2月下旬〜3月初旬)→カバーを外して施肥(5月初旬・GW)→鉢上げ(8月中旬・盆〜順次)

色々と書いてきましたが慣れてこれば各人の好みで栽培方法はOKです。収穫の楽しさが経験できれば面倒な水やりもきっと大丈夫。〔笑〕