SFCRPG名作24将・17

アクセス37000記念

〜魅惑のトランスファーシステム〜

ヘラクレスの栄光W〜神々からの贈り物

(1994年・データイースト)

容量・16M
購入価格・1600円
物語★★★★★
容量★★★★★
内容★★★★★★
操作★★★★★★
絵柄★★★★★
音楽★★★★★★
調整★★★★★
特殊★★★★★
総合★★★★★★
キャラ・
難易度・

壮大なるギリシャ神話の4作目。前作の究極ストーリーから一転、
ゲームシステムに重きを置いた内容になっている。
100人以上もの体に乗り移れる「トランスファーシステム」、ギリシャ世界を彩る音楽、
爽快なテンポが、最もファンタスティックなRPGを予感させる。


シナリオ・ストーリー

前作のような意外性はないが、今回もその練りこまれたストーリー展開は速いテンポと
相まって飽きさせない。肉体をなくした青年が主人公というところからして面白い。
敵は「パンドラの箱」のネタだが、人の心に潜む煩悩や悪意の心情だ。
無気力、見栄、苦しみ、悲しみ、恨み…それら打ち倒し、冒険の間にかいま見ることの出来る
傲慢な気高き神々と出会うことで物語の真相が見えてくる。

しかも、いったんエンディングを迎えても、まだ終わらない。
まだまだ人間の負の心は尽きない。ある洞窟に潜む悪心の数々。
彼ら(?)の最後に待ち受けるものは、もはや逃れられる運命にあるものなのだ。

さて、ゲームのテンポは世界一速い。大まかなイベント数が40にもなるというのに、
14、5時間でクリアできてしまう。しかし前出のストーリーなきクリア後のシナリオが
もう1つの独立したゲームといえるほどのダンジョンゲームになっている。
クリア後のダンジョンが用意されたRPGは多いが、「トルネコの大冒険」をヒントに
繰り返し楽しめるダンジョンを搭載したのだ。
こちらのほうが本編より時間がかかる。


システム・操作性

SFC史上最も大規模でファンタジックな「トランスファー・システム」。
既述どおり主人公は肉体を持たない男だが、冒険の先々で出会う人々や生き物に
乗り移ることができる。その肉体を使って独自のイベントを体験したり、彼らの持つ
特殊能力を戦闘に役立てることも出来る。

その数なんと100体以上。

彼ら全てが様々な能力を持っており、アビリティポイントを稼ぐことで覚えていく。
その数は多彩で、全てを極めたいという気持ちにさせてくれる(本編ではまず無理)。
ほとんど役に立たない奴もいるが、まあご愛嬌だろう。

他の基本的なシステムの洗練もなされている。適切な移動速度と切り替わりの速さ、
バトルテンポの良さと、スピードが全般的に優れている。
掛け声作成(ボイスがあるわけではない)や竪琴も、遊び心を意識したシステムといえよう。


グラフィック

滑らかで爽やかなグラフィックがプレイヤーを迎えてくれる。
前作の正直荒れていた絵を磨き、石を珠に変えたのだ(←大げさな)。
おかげで国ごとの特徴も前作以上にはっきりし、リアルさというものを除けば、
全く問題ないクオリティとなった。ただ、総的に軽い感じがするのが気になる。


音楽

ギリシャ神話の世界、各国の特徴を的確に捉えている。
国ごとに街の曲が違うのは勿論、冒頭の過去世界のBGMを変えるなど演出、
バラエティ共に富み、イベント曲や、他のRPGではやや地味にする傾向がある
ダンジョン系もしっかり創られている。
メロディアスでありながら芸術性にも優れ、そのパフォーマンスはSFC界随一。

しかし、気になる点がある。グラフィックと同様で、どうも音が軽量なのだ。
曲は壮大なのだが音が壮大でないため、迫力に関してはSFC後期のビッグタイトルに
劣ってしまうのが非常に残念。


バランス・難易度

乗り移れる体が豊富どころの騒ぎではなく、それらに伴う特殊能力の数もハンパじゃない。
よく16Mに収まったものだ(このために音質が貧弱になっているのだったら残念だ)。
技の個性も強く、一見強そうでもまるで役に立たない奴がいたり、ラスボスさえ瞬殺できる
技が存在したりする。

そもそもテンポが良すぎるから、大して育成もせずにラスボスまで行けてしまう。
じっくりやりこまずとも、例えばファイナルファンタジーXのジョブなどはそれなりの数を
マスター出来るが、このゲームでは厳しい。

そうなるとクリア後のシナリオで極める他はない。
ちなみに、このシナリオで登場するボスの中には
本編のラスボスなど歯牙にもかけない奴が多数存在する。楽しいぞ。


まとめ

前作のVは究極に練りこまれたシナリオと終盤の逆転劇でプレイヤーを酔わせてくれたが、
このWではゲームシステムで酔わせてくれる。Vでは見た目の悪さ、
WではVのストーリーに慣れた人が禁断症状を起こすかも知れないが。

ちなみに発売当時の某電撃SFC(言っとるやんけ)の某レビュアーが
「これはもう輝けるB級」と評していた。けだし名言である。
巨大企業の作品でないため、バリバリのメジャーとはいえないが、燦然と輝く一品なのだ。


(この項・了)

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