「勝俣君、はじめましてだな」
「何言ってるんですか竜善寺課長」
「いや、何故だか我々の会話を聞いている人間が今までとは違う気がするのだよ」
「は?何の事ですか?もしかしてこれがmixiとやらなんでしょうか?」
「そうだな、少なくともいつもの『鼻が伸びちゃうよ』と言う名の半死サイトではなさそうだな」
「一体何なんでしょう。物凄くメタな事を言っている気がしますが」
「勝俣君、難しいカタカナ語は使わないでくれたまえ」
「あぁ、なんかやっぱりいつも通りな感じがしてきました。ちなみにメタとはメタフィクションの略で」
「いや、そんな事はどうでも良いから勝俣君。君に聞きたいことが有ったのだよ」
「どうしたんですか?竜善寺課長」
「エーブイって何の事だ?」
「は。出し抜けに何ですか」
「実は最近、息子がエーブイとやらに興味を持っているらしくてな」
「え、息子さんですか?確か18歳の息子さんがいらっしゃいましたよね?その息子さんが何ですって?」
「だからエーブイだよ」
「は、はぁ、なんかオープンな家庭ですね。18歳にもなれば興味があって当然じゃないですか?」
「そうなのか?だからつまりエーブイとは何なのだ?」
「えぇとですね、多分一般的にはアダルトビデオを略してAVと言うと思うんですけど」
「な、なんだと?息子がそんな厭らしい物に興味があるだと?」
「いや、僕に言われても。だいたいAVがどうしたんですか?」
「息子が買ってくれと言うのだよ」
「え?普通そういう物は友達同士で貸しあったりする物だと思ってましたが・・・え〜と、いや、もしかして息子さんは映像音響設備にご関心が?」
「いや、別にそういう物に関心は無さそうだが?」
「そうですか。一応オーディオ・ヴィジュアルの略でAVと言ったりもするんですけどね」
「そう言う装置の話しでは無かったぞ。1巻とか2巻とか言っていたからな」
「え、1巻とか2巻?」
「ボックスとかも言っていたな」
「あの、それって本当にAVですか?AVの前に何か付いていたりしません?」
「そう言えば何か付いていた気もするが・・・」
「OAVでは?」
「そう、そうだよ勝俣君!それだ。よく分かったな」
「ボックスってのがヒントになりましたね。まぁ、元々はOAVではなくOVAと呼ばれていたはずなんですけどね」
「そうなのか?で、それは一体何なのだ?不健全なのか?」
「一概に不健全とは言えないと思いますが、そうですね、ビデオには違いないです。」
「オーエービデオと言う事か」
「そうですね。Oはオリジナルの頭文字ですよ」
「ふむ。オリジナル・エーなんとか・ビデオって事だな?」
「そんな感じです」
「そして真ん中にはエーが頭文字の単語が入ると?」
「そうですそうです」
「エーは『あ』と読むよな」
「お、竜善寺課長、勘がさえていますね。」
「か、勘とは失礼な。じ、実力であるぞ」
「本当ですか?じゃぁAは何だと思います?」
「実はもう分かっているぞ、勝俣君」
「さて、お答えをどうぞ!」
「オリジナル・兄貴ビデオだ!」
「ひえ、息子さんにはそんなご趣味が?」
[完]
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