第52話「メンズ差別考」
伊藤多賀之によるサードアルバム『ゴリラから逃げてる時でも聴きたくなるCD』が発売された。 このCDの中の1曲に「メンズ差別」と言う曲があるのだが、これは、女性差別同様、男性も差別されているのではないか?と言う疑問点を、伊藤君が新しい手法で歌い上げている物である。確かに、僕もこの曲のテーマには共感できる部分が有る。
例えば、最近地下鉄等で増えてきた「女性専用車輌」なる物が有る。名古屋市を走る地下鉄でも朝の時間帯にのみ一部路線で採用されている。これは女性が優位に扱われると言う意味では立派な男性差別ではないだろうか。だからと言って別に「男性専用車輌」を作れと言っている訳ではないのだが。そもそも女性だって女性が優位に扱われる事を差別だと思っているだろうに・・・と僕は思ったのだが、調べたところ「女性専用車輌」に関して言えば、そう思っている女性はあまりにも少ないらしい。 他にも、温泉では女性の浴場の方が作りが立派だと言う話も良く聞くし、飲み会で酔いつぶれても男は誰も介抱してくれない。ちょっと見方を変えれば、女子トイレには赤ちゃんのオムツ替え用のベッドが有るのに対し、男子トイレではほとんど見掛けないのも差別ではないだろうか。男にだってそれぐらいやらせろってもんだ。
ともかく、男の性を持つ事による差別は存在している。 ある日、会社でOLに 「男なんだからこの荷物をどこかにどかしてよ」 と言われた。そこで僕は、それは男女差別だ。これぐらい女性でも持てるだろうと言い返したら 「そうだね。そういう男差別もあるよね」 と返してきた。なるほど、こいつは話が分かる奴だと思い、僕は、そうだ男性だって差別されているんだ。男にも生理休暇をよこせと言ってみた。すると 「男には生理無いし」 と、素で返されてしまったのですかさず僕は言った。それじゃぁ射精休暇だ。 「そ、そんなの毎日でしょ!」 ・・・ほぅ、名門国立N大学出身のお前の彼氏は毎日なのか。覚えておこう。 「だって、夢精って毎日するんでしょ?」
おいおい、射精と夢精を一緒にして話す男性はいないと思うぞ。 だいたい毎晩夢精していたら、ちょっとかなりなことになってしまうのではないだろうか。想像すら出来ないが。 ともかく、この様な誤解がある限り、女性差別も男性差別も無くならないのかも知れない。
[完] |