第5話「冬のソナタを見るのだ」


 『冬のソナタ』と言う韓国ドラマがある。
詳しい事は知らないのだが、2003年の4月にBSで放送され、2003年の秋から冬頃にもBSで再放送されていたらしい。
2003年の再放送の頃から、僕の身の回りにいる一部の人は『冬のソナタ』に熱中している様子が伺えた。どうやら面白いらしい。
しかし、面白いらしいと思っただけで、僕はそのドラマに特に関心を抱かなかった。そもそもテレビはほとんど見ないのだ。
 状況が変わったのは2004年になったばかりの頃である。母が突然「冬のソナタ」と言い出したのだ。どこかであれは面白いとでも吹き込まれたのであろう。関心がある様だったので、僕は『冬のソナタ』に熱中した人達の中の1人からDVDを借りてきて母に見せてやった。それでも僕は見なかった。母は1人で熱狂した。それがいけなかった。
今、我が家のリビングには『冬のソナタ』のDVDボックスが全巻置かれている。これは借り物を返さずに置きっ放しにしている訳ではない。1度借りて見たDVDを、1回見ただけでは飽き足らず購入してしまったのだ。専業主婦につき無収入の為、絶対に贅沢などしない母がDVDのボックスを買ってしまう。これは我が家では歴史の1ページを飾るぐらいの一大事なのだ。一体『冬のソナタ』の何が母を熱狂させてしまったのだろう。母は韓国ドラマの特集本まで買い込んで『冬のソナタ』に熱中している。そして、『冬のソナタ』の知識が一切無い家族へ毎日毎日『冬のソナタ』の何かを語りかけてくるのである。そして言い出した「あなたも見なさい」と。
 そもそも、僕と言う人間は他人から薦められた物を素直に試してみようとはしない性格である。あ、あなたもそうですか?
だから母から『冬のソナタ』を見よと言われても正直気が進まなかった。しかし毎日毎日見ろ見ろと言われるともう根負けするしかないのだ。

家の中に誰もいない事を確認すると僕はDVDプレイヤーにディスクを差し込む。別にエロビデオをこっそり見る訳ではない。『冬のソナタ』を見るのだ。
世の中に熱狂的なファンを持つドラマの事を云々書くと、後が怖いかも知れないのだが一応感想文を書いておく。文句は言わないで下さいね。・・・おぉ。初めて日記らしいではないか。
 とりあえず第1話だけを見た。立派な大人がバッチリ化粧をして学校へ行くシーン。そうか。大学の物語なのかと思って見ていると、実は高校生である事がわかる。いや、実は皆大学生でもちょっと無理があるかも知れない顔をしているのだが。これではまるで日本のバラエティ番組でコメディアンが高校生コントをやっている様ではないか。明らかに外見がおかしい。まぁ、ニコラス・ケイジが『天使のくれた時間』で学生の役を演じている様子も観ているので『冬のソナタ』だけに突っ込みを入れるのはフェアではないので止めておこう。本当はニコラス・ケイジにも突っ込みたかったんだけどね。韓国人は日本人より大人びて見えるんだ、と自分を騙しておきます。
突っ込みをするか否かを悩んでいる間にもストーリーは進んでいく。これは・・・日本の古き良き学園青春物ではないか。高校が男子校だった僕は、高校では青春らしい青春をしていない。だからこういったストーリーにはちょっと弱いのだ。おや?最初は主人公だと思っていたサンヒョク君がどんどんわきに追いやられて行くではないか。嫌なヤツだと思っていたチュンサンって結構良いじゃん。もしかしてコイツがDVDのパッケージに描かれている人なのか?チェリンは学園ラブコメディには無くてはならない役回りだな。今後の活躍に期待しよう。ユジンはどう譲歩しても高校生じゃないだろう。お前がヒロインか。主人公か。
あ、終わった。
学校では普通に体罰がある様子を見ていると、まるで噂に聞く一世代前の日本の様だ。
さて、今後どうなるのかな。ひと波乱もふた波乱もありそうだな。
ところでふと思ったんですけど、転校生が現れて優等生の生活環境が掻き乱されると言う展開は、『ジョジョの奇妙な冒険』の第1部の展開に似ていますね。
今回の日記のタイトル、既に「1」と有る時点で連載になる物と思われる。果たして本当に「2」は登場するのか。
悩みますよ。自分でも。

[完]

日記に戻る ホームへ