第45話「スクリーンデビュー」


 勝竜には夢がある。

あー、別にジョジョの奇妙な冒険を真似ている訳ではないのですけど、夢があるのです。その夢とは「映画好き人間として生きているからには死ぬまでに1度ぐらい映画に出てみたい」と言う物です。映画好きとして生きているなら、1度で良いから自分の姿をあの巨大なスクリーンの中に焼き付けておきたいと思う人は少なからずいるのではないでしょうか。実は、僕の人生の中で一度そのチャンスが訪れた事があるのです。それは僕がまだ中学3年生の頃で、今の僕みたいに映画を好きになるずっと前の事です。確か、1学期の期末テストが始まる直前頃でした。あの天下の映画会社東宝さんから僕のもとへ映画出演依頼が舞い込んで来たのでした。

 

 出演依頼が来た映画は『ゴジラvsメカゴジラ』です。平成ゴジラVSシリーズ第4段のこの映画は「この戦いですべてが終わる」と言う衝撃的なキャッチコピーに、人気怪獣メカゴジラとラドンの復活と、正に話題騒然でした。そんな作品への僕の出演依頼内容は、怪獣から逃げ惑う群衆の1人です。格好良く言うならばエキストラです。出演に対する報酬は弁当支給と言う、なんとも破格対応だったのです。しかし、当時受験生であった事と、場所が遥か遠方の幕張(確か)だった事で出演を断念したのでした。この出演辞退を、映画好き人間になった今、後悔しているのです。この時、オファーを受けていれば、今願っている夢が、願わずとも叶っていた事になるんだけどなぁ。と言うか、実はこの年、ゴジラは三重県四日市市と鈴鹿市に上陸しており、ここでもエキストラの撮影があったのですが、ここのエキストラ募集がいつされていたを知らないのです。或いはこちらなら行けたかも知れないのに。

 

 最近では『ラスト・サムライ』が日本人のエキストラを募集していたようですな。報酬は1週間で約8万円。うわぁ。しかも、10週間以上続けられる人には約12万円のボーナス付き。これ、今普通に働いているより断然儲かるではないか。このエキストラ募集は当時から察知していたのですが、なんせ現場がニュージーランドだったものですから・・・ねぇ。

 

と言う訳で僕の夢が叶う日はいつか来るのか。乞う御期待。

 

[完]


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