第24話「1999年9月11日を語る」


 鼻伸び掲示板にて、たま〜に「伊藤さん」なる人物が話題に上っていますね。

「伊藤さん」とは僕がとても大好きな歌手。インディーズの歌手なのです。姓は「伊藤」で名は「多賀之」。フルネームで「伊藤多賀之」。活動の様子はこちら(公式サイト)から。

 

さて、伊藤さんはずっとインディーズでやっているのかと言うと、実はメジャーデビューしていた過去があるのです。

メジャーでやっていた頃は2人組で、相方は細根誠くん。そのユニット名は『ブリーフ&トランクス』。かの、サイモン&ガーファンクルにあこがれ歌いだしたそうです。だからユニット名もそっくりでしょ?「&」の辺りとか。

 

 ブリーフ&トランクス、略してブリトラと僕との出会いは、まだ大学生だった1999年の秋の事でした。

友人に突如貸し出されたブリトラの3枚のアルバムがきっかけだったのです。ファーストアルバムの1曲目のタイトルを見た時は「なんだ、イロモノ歌手か」と思いました。ファーストアルバム1曲目の曲名は『さなだ虫』です。イロモノ歌手の歌なんか聴いてもしょうがないな〜・・・と思いながらファーストアルバムを聴き始めました。しかし、そのイロモノ歌手に一気に魅了されてしまった自分がいたのです。確かに面白い系の歌が多いですが、イロモノの一言で片付けてしまえる曲作りではありません。

 

曲のテーマを「身の回り半径5m以内」と定めた彼らの歌は、どれも面白おかしく、共感出来、時にしみじみとさせるのでした。

まずデビュー曲の『さなだ虫』に驚きます。

こんなタイトルの曲でデビューさせるレコード会社にも驚きますし、この曲にまつわる様々な話しも有りますが、とりあえず曲のインパクトはかなりの物です。さなだ虫の視点で語った曲など今までにあったでしょうか?そして伊藤さんと細根くんの絶妙なハモりが感動を誘います。簡単な作りの曲なのに、いざ自分で歌ってみようと思うと意外に難易度が高いのです。しかしそんな感じなど微塵も感じさせずに歌うブリトラ。物凄いです。

 

 『青のり』はもしかしたらブリトラを知らなくても曲だけはご存知の方が多いかも知れません。ブリトラの代表曲の1つと言えるでしょう。

伊藤さんの肺活量にはしばし驚かされますが、その肺活量を最初に世に知らしめたのがこの曲ではないでしょうか。と言ってもこの曲の聴き処は肺活量ではありません。初めて聴くと、抱腹絶倒を体験出来る事うけあいです。単純明快な内容なので、つける曲を間違えたらここまで笑える歌にはならかったでしょう。この歌詞にこの曲にだから、ここまで笑える。ブリトラのセンスに脱帽します。

ちなみに、肺活量と言えばインディーズになってから2枚目に出したアルバムに収録されている『ムンクの叫び声』でしょう。

 

 ブリトラの魅力は笑える曲だけではありません。しんみり真面目系の曲も見逃せないでしょう。

代表は『石焼イモ』でしょうか。とりあえず黙って聴いておけ、です。人生の節々を歌ったこの曲、いろいろ考えさせられるかもしれません。

 

 とにかく僕は、借りた3枚のCDを夢中になって一気に聴いてしまい、大ファンになっていました。

そして、聴き終わったサードアルバムのライナーノーツを開いて、とある物を見付けたのです。

それは、名古屋にあるタワーレコードで、ブリトラと友人が並んで写っている写真だったのです。

 なんだ、これは。ブリトラは名古屋に来ていたのか?すっかり大ファンになっていた僕は少し取り乱しました。しかも一緒に写真を撮るチャンスまであったとは!一体いつ来たんだ?と写真を詳しく見てみると、そこにはサインと共に「1999年9月11日」と書かれていました。1999年9月11日に名古屋のタワーレコードで、サードアルバム発売記念のインストアライブが行われた訳です。

 

 なんて事だ。9月11日は僕の誕生日だぞ。僕の誕生日にブリトラが名古屋に来ていたなんて。

しかもその日は土曜日で、本来ならアルバイトをしていたはずなのに珍しく休んでいた日だったのです。

確かに、9月11日の時点でブリトラの事は知っていませんでしたがね、物凄くショックでした。せっかくの誕生日に・・・はぁ。

 

そして僕の誕生日伝説が始まるのでした。

 

[完] か?


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