第21話「ヌード・フェスティバル」


 祭りってのは面白いものだ。

特に祭りについて色々調べた事がある訳ではないので偉そうな事は言えないのだが、変わった祭りってのは地域ごとにいくつか有るのではないだろうか。そもそも、祭り自体が日常ではないのだから『変わった』と付ける事自体がおかしいのかも知れない。比較対象もはっきりしないし。

 

 ともかく、変わった祭りという物はそこかしこで見られる。僕の地元には『甘酒祭』と言う祭りがあるのだが、名前だけ聞くと飲酒パーティーの様な催しかしらと考えてしまう。実際はどんな物なのだろう。行った事が無いからわからない。更にローカルな話しになってしまうが、近所の盆踊りでは荻野目洋子の『ダンシング・ヒーロー』が未だに定番曲として使われている。しかも一晩に何度も踊るのである。大人気ではないか。盆踊りにJ-POPである。どうなのだろうか。いや、もとい。『ダンシング・ヒーロー』など甘っちょろい。『タケちゃんマン音頭』が未だに定番曲なのだ。ご先祖を迎える祭りでビートたけしが「なはなは」と高笑いするのである。こんな現世は楽しそうだからご先祖もさぞかし急いで帰ってくることだろう。

 

7月頃になると、七夕祭りを商店街で結託して催している地域は多いのではないだろうか。僕の地元はこれがちょっと有名で、毎年人口が倍になるぐらい人が集まる。しかし内容は毎年代わり映えがしないので、地元民はほとんど行かないのではないだろうかと思っている。僕ももう何年も行っていない。中学生の頃、ちょっと背伸び気分で親と一緒ではなく友達同士で行った時には「もっと大きくなったら、仲が良くなりたい女子と一緒に2人きりで来られたりするのかな」と妄想していたのだが、未だにそんな日は来ない。これだからガキは困るのだ。責任を取れ。

 

さて、地元からちょっと足を伸ばすと、自称なのか公称なのか知らないが『天下の奇祭はだか祭り』をやっている神社がある。何千人という厄年の男達が褌一丁で、その中に1人だけ存在する『神男』に触れて厄を払う為に奔走する祭りである。ちなみに、神男の目印は、無毛で一糸まとわぬ姿の者である。褌すら締めない。ただし、ダミーもいるので気を付けられたい。クライマックスでは何千人もの男達が、たった1人の神男に触れる為に1ヶ所に集合して我先にと動こうとするので、危険極まりない。実際毎年何十人かは負傷者を出しているのだが、過去50年間死者は出ていなかったそうだ。そう。去年までは。

 

2003年のはだか祭りでは2名の重傷者が出てしまったのだ。内1名は数ヶ月後に亡くなっている。それ程の重傷者を出したのだから、祭りの後は新聞やニュースを賑わした。

大学で知り合った友人の1人は現在東京で働いている。その友人の実家ははだか祭りの行われる神社の近所なので、去年のはだか祭りの数日後にその友人に携帯電話からメールを送った。

以下がメールの内容である。

勝竜「今年のはだか祭り、大変だったみたいだよ。知ってる?」

友人「“裸男がもみ合って転倒”こんな見出しを書かれると、何やってんだか勘違いされちゃうよ」

なるほど。奇祭には違いない。

 

[完]


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