第10話「パーと蜘蛛と葛藤とタコ」


スパイダーマン』は2002年に公開して大ヒットを飛ばした映画である。

僕はスパイダーマンの存在ぐらいは知っていたものの、生い立ち等を知ったのはこの映画からであった。

イジメられっこな青年がひょんな事からとんでもないスーパーパワーを身につける。彼はそのスーパーパワーをスパイダーマンとして使い、数々の事件を解決し、ヒーローになっていく。しかし彼は訳有って正体を明かすことが出来ず、スパイダーマンは自分であると言う事が出来ない。何の見返りも無い。青年が想いを寄せている女性はスパイダーマンにぞっこんなのに。『スパイダーマン』は、1人の青年の苦悩を描いた物語である。

 

 須羽満夫という小学生が主人公の有名な漫画がある。

この少年は運動神経が無く、勉強も駄目。女の子にもモテない。そしてガキ大将に苛められる日々を送っていた。

しかしこの少年にも転機が訪れる。空き地で昼寝をしていた宇宙人に突如スーパーパワーを身につける変身グッズを与えられるのである。このグッズを身に付けると、力は6600倍になり、時速119キロで空を飛ぶ事も可能になる。その力で地球の平和を守れと宇宙人から命令されるのであった。しかし正体は絶対に明かしてはいけないし、誰かに見られてしまってもいけないという条件つきである。この変身後の姿をパーマンと呼ぶ。

 パーマンは同じく変身グッズを与えられた仲間達と悪に立ち向かい、平和を守ってヒーローになっていくのだが、普段は相変わらず冴えない生活を送り、ヒーロー扱いされるパーマンが実は自分なのであると言いたいのに言えない生活に悩んでいた。何の見返りも無いパーマンなんて辞めようと悩む回数も1度や2度ではなかった。少年が想いを寄せている女の子はパーマンにぞっこんなのに。『パーマン』と言う漫画は、一見ヒーロー物のコメディに見えるが、実は小学生である主人公の苦悩と葛藤を描いた物語なのだ。

 

 さて。

毎年恒例春のドラえもんの長編映画の同時上映としてパーマンが登場したのは2003年の事でした。

一体どういうスケジュールで併映作品の内容が決まるのかは知りませんが、2002年に『スパーダーマン』を見たスタッフが、これと似たテーマの『パーマン』を作ったのではないか・・・僕はそんな気がしていました。そしてそれは確信へと変わるのです。

 2004年。ドラえもんの併映として再度パーマンが登場しました。サブタイトルは『タコDEポン!アシHAポン!』。

タイトルから分かるか分からないか、今回の敵はドクトル・オクトという、タコで世界征服を企む博士なのです。

 2004年。『スパイダーマン』の続編が遂に公開されます。

今回の敵は原作ファンにはお馴染みらしいドクター・オクトパス。僕は詳しい事は知りませんが、名前からしてどう考えてもタコにまつわる怪人に違いありません。ドクター・オクトパスがスパーダーマンの敵役であると言う事は、1作目の上映が終わった頃には囁かれていた様に記憶しています。

 と言う事は。『パーマン』のスタッフは新作スパイダーマンの敵役がタコである事を知った上で2004年の『パーマン』を作ったのではないでしょうか?

僕にはそう思えて仕方がありません。

 

 『スパーダーマン』のヒットを見てアメコミが次々と実写映画化。しかし『スパイダーマン』程のヒットには及んでいません。ジャパンコミックからは『ドラゴンボール』がハリウッドで実写映画化。『AKIRA』の実写映画化の噂も有ったと思いますが、実は最もヒット確実なのは『スパイダーマン』にテーマの近い『パーマン』のハリウッドによる実写映画化かも知れませんね。

・・・観たい。

 

 

2004年4月10日追記

 大田康湖さんにより、タコに関しては意識の上にあった可能性を示唆していただきました。

僕個人としてはそれだけで満足でるんるんでうはうはです。ありがとうございました。

 

[完]


日記に戻る ホームへ