タキシード(原題:TUXEDO)
吹き替えで観たい映画ランキングのナンバー1がジャッキー・チェン作品だそうだ。
そんな良くわからんランキング結果を触れ込みに、この作品はそこもかしこも吹き替えしか上映していませんでした。字幕で上映している劇場を探すのに物凄く苦労しました。画面に出ている俳優の口の動きと、実際聞こえてくる声を出すのに必要な口の動きが明かに違う状況ははっきり言って好きになれません。僕が字幕至上主義者である所以です。字幕を見ていると、映像の何割かは目に入らなくなると言われていますが、それを差し引いてでも僕は字幕を選びます。きょうび、アニメだって口の動きはバッチリだから出来れば吹き替えは観たくないんです。
また、この作品は『スリーピー・ホロウ』に続きスーツ姿で観た映画の2作目です。黒いスーツに白のカッター。そして黒のネクタイと。ま、要するに喪服なんですけど。あ、こちらに深い意味はありません。映画のタイトルは『タキシード』ですが。
さて、スピルバーグがジャッキーに「君にしか出来ない作品がある」とラブコールを送って作られた作品だそうです。今回のジャッキーの役柄はアクションなど出来ないフツーの人です。それがスーパータキシードを着ると、タキシードの能力でスーパーマンの様になってしまうと言う趣旨の物語です。
タキシードが自分の意思とは別にハードなアクションをこなしてしまうので、それを着ているジミー(ジャッキー演じる主人公)は物凄く途惑った表情でアクションをする事になります。これは普通では有り得ない事態ですね。いくら演技でも、顔と体の動きが全く正反対な事をするのは難しいでしょう。これはジャッキーの経験が物を言ったからこそ出来たんでしょうね。見処の1つです。
ただ、だから、ハードなアクションをそれなりに危な気なくこなす格好良いジャッキーが見たいならこの作品はひたすら物足りないです。
一定の水準は充分にクリアした作品だとは思うのですが、ジャッキーが演じた事によって物足りなくなるなんて皮肉です。いっそのこと体部分はCGにして、ジム・キャリーが主役をやった方が面白かったかもしれないですね。
ダンスシーンは見事でした。
2003年3月24日鑑賞