死に花
いやー、驚いた。山崎努、青島幸男、谷啓、宇津井健、みなさんもうかなりな年齢なんですね。通りでいかりや長介が死ぬ訳です。森繁久彌は何歳でも特に驚きませんが。
自分の葬式を演出して死んだ、計画好きな源さんが遺した日記には、銀行の金庫襲撃計画が書かれていた。
主役の老人達は、もともとお金には全く困らない人種なのだが、その計画を実行に移す。狙う金額は17億円。欲しいのはお金ではなく、生きがい。ステキなお話しではありませんか。そもそも、金庫破り資金に必要な数千万円がすぐに用意出来てしまう辺り、見ていて気持ちが良い物です。用意出来る経緯には少しドラマが有るんですけどね。そして、名優が揃って出演する程度の映画だと思っていたら、ラストに待ち受けるは大スペクタクル。娯楽映画として、かなり良質だと思います。少しだけ品が無かった気もしますが。
僕はまだまだ自分の「死」について具体的に考えるような年齢ではありません。でも例えば、戦争映画等と観るとそれなりに「死」について考える事があります。この映画ではまたそれとは別の意味で「死」について考えさせられましたね。今のところ戦争も無く、平和に過ごせる日本で年を取って天寿をまっとう出来るなら、人生は楽しんだ者が勝ち。
第2次世界大戦を実体験として語れる年代は最早この映画の主役達の年代になってしまっているんですね。
劇中、さらっと会話の中で流されるだけの東京大空襲ですが、たまたま今僕が読んでいる本のテーマが東京大空襲だったので、歴史に疎い僕にしては必要以上に感情移入してしまう場面がありました。単に娯楽で金庫襲撃を目論む戦争経験者の彼等は、それが出来て本当に幸せなのだと思います。自分の葬儀を自分流に演出しようと考える等、とてつもない贅沢ですね。
青島幸男さんは黒髪な人だと思っていたのですが、この作品ではすっかり白髪でした。
・・・カツラだってのは有名なんですか?
2004年5月8日鑑賞