パニック・ルーム(原題:Panic Room)

 


 緊急時の避難スペースとして超堅牢な作りになっている部屋、「パニック・ルーム」を持つ物件に引っ越してきた母と娘。「パニック・ルーム」は換気扇完備、非常用物資豊富、そして家全体を監視できる監視カメラのモニター付き。そんな物件に引っ越してきたその夜、強盗達が押し入り、母メグと娘サラはパニック・ルームに逃げ込むのだが、犯人達の目的はそのパニック・ルーム内にあったのだ。

 

 限られた空間と限られた登場人物で、緊張感を最後まで保たせ、最後まで観客を飽きさせない映画でした。まったく監督の手腕が凄かったんでしょうね。超大作ではありませんが、充分に楽しめました。『フォーン・ブース』しかり、こう言った限られた空間の、舞台でも出来そうな物語って言うのは発想だけでは観客は呼べないですよね。映画ファン歴の浅い僕は、この映画の監督であるデビッド・フィンチャー監督などちっとも知りませんが、凄い人なんだなぁ。オープニングも、かなりのセンスでしたね。

サラが糖尿病なのはしばらく気付かなかったけど、これは僕の知識不足ですよね。

 

 でも、僕はこの映画を手放しでは誉められません。どうしても好きになれない部分があるのです。

映画なんて物語なんだから、何でもアリで良いはずなのですが、この映画のこのシチュエーションは、僕には「何でもアリ」では許せないのです。現実では有り得ない完璧な避難部屋へ引っ越して来たその晩に、空家だと思っている強盗が押し入るだなんて、偶然に偶然が重ならないと物語りが始まりません。この映画で見せたい物は、パニック・ルーム内外の戦いです。「偶然」をテーマにした物ではありません。なのに、偶然に頼って物語を進行させる事が、どうしても僕には許せないのです。それこそ『少林サッカー』よりも有り得ない物語だと思っています。

 

2002年5月19日鑑賞


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