ゲロッパ!

 


 井筒監督の最新作で、しかも自信満々で宣伝していていましたから、まぁ、いろいろ話題はあったと思うのですよ。

でも、愛知県民にとっては、2002年に愛知県蒲郡市に鳴り物入りでオープンした「ラグーナ蒲郡」でロケが行なわれた事なのですよね。ラグーナと言えば、ディズニーシーのパクりか?と囁かれたテーマパークです。一体、年間どの位の入場者数がいるのか知りませんが、僕の身の回りには行った事がある人は1人もいませんし、行きたいと言っている人もいませんね。そんな、県民すら興味を抱かないラグーナに惚れ込んだ井筒監督。こりゃもう話題騒然ですって。

 

 収監を2日後に控えたヤクザの親分、羽原組組長にはやり残した事が2つあった。1つは25年前に生き別れた娘に再会する事。もう1つはジェームズ・ブラウンの名古屋公演に行く事。力なくした羽原親分を見た弟分の金山組組長は、子分に「ジェームズ・ブラウンをさらって来い」と命じるのだった。

 

 父娘の再会とジェームズ・ブラウンの誘拐が絡むこの映画、細かいエピソードまで色々が良く出来ていたと思います。大まかな筋の展開はご都合主義でしかありませんが、それもこの映画の場合は良さの1つなのでしょう。井筒監督作品だけに、随所で笑わせてもらうつもりでいましたが、それが不発に終わったのは実に残念。心から笑えるシーンはほとんど無いです。でも、ストーリーがそれをフォローしていた様に思います。ま、両方上手く出来ているに越したことはないのですけどね。

 

 さて、ラグーナ蒲郡ですが、どうなんでしょう。この映画じゃぁ、一体どんな場所で物語の後半が展開しているのか分からない程度にしか登場していなかった気がします。本当に監督はこの場所に惚れていたのでしょうか?誘致されて来たんじゃないかなぁ。あと、登場する名古屋弁が不自然のなんのって。運送屋のおじさんが名古屋弁を話しまくるのですが、下手で下手で気分悪かったです。この役は、地元タレントの宮地佑紀生あたりを起用していれば、地元民へのサービスになったでしょうし、おかしな名古屋弁を全国に聞かせる事も無く済んだのだと思います。これはリサーチ不足だったでしょう。

 

 ところで、全体で上位に来そうなギャグであるはずのタクシーのシーンで僕はかなり泣きそうになってしまいました。あれ、ある意味笑えない。

 

2003年8月31日鑑賞 


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