CASSHERN

 


 1973年から1974年までの間、テレビアニメで放送されていた『新造人間キャシャーン』の実写版映画です。

このアニメが放送されていたのは僕が生まれる遥か前なのですが、大学生の頃、深夜に再放送をやっているのを数回見た事がありました。いや、ただ単に深夜に再放送をしていただけでは、それを見る事はなかったでしょう。色々事情があって、関心を持たされていたアニメだったのです。正確には覚えていませんが、キャシャーンの敵による「姿かたちは人間だが、その実態はアンドロイドキャシャーン」と言う台詞がとても印象的でした。子供向けのヒーロー物のアニメかと思いきや、テーマが案外重く、ドラマ性に長けた作品だったと思います。

 

 ひと昔前のアニメの実写映画化が流行っている昨今、その中ではおそらく唯一元になったアニメを知っている作品です。

果たしてどの様な作品になっているのか、製作発表を聞いた時からとても楽しみにしていました監督は有名な歌手の旦那らしいですが、そんな事は知ったこっちゃ有りません。

 実写版の『CASSHERN』は『新造人間キャシャーン』の様々な部分を引き継いでいました。

主要キャラの名前が完全に引き継がれていたのは、物語を追う上ではそれほど重要では有りませんが、嬉しい物です。ブライキングボスら、アニメでは「アンドロ軍団」と呼ばれていた敵キャラ達が映画では新造人間となっていたのはアニメとは違いましたが、新造人間の解釈がそもそもアニメとは違っていたので、それも有りだったでしょう。敵がアンドロ軍団だろうが新造人間だろうが人類にとっては同じ事なのです。いや、アンドロ軍団vs新造人間と言う構図より、新造人間vs新造人間の方がキャシャーンの背負う物は映画のほうが重くなっていたかも知れません。

 物語はアニメ同様、かなり重たかったですね。ただ、物語りが進むにつれてどんどん何かが狂っていくのは気になりました。なんと言うか、どんどん難解になると言うか・・・キャシャーンが活躍する勧善懲悪のアクション物を最初は予想していたので、少し面食らいました。いや、『CASSHERN』をアクションに重きを置いた作品にしてしまうよりは、こう言う方向の方が僕には嬉しかったんですけどね。

 映像はCG丸わかりシーンの連発ですが、色彩を落としたりと実写パートにも工夫が見られ、CG丸わかり場面に上手く実写が馴染んでいました。いや、実に斬新な映像表現でしたよ。日本でも工夫したらこれぐらい出来るんだと。アクションシーンでは漫画表現を取り入れてスピード感を表現したりね。集中線とか。

 

 しかし、新人の若造監督の作品なのに随分と豪華なキャストが集まったものです。

皆、かなり熱の入った演技をしていたと思います。雨上がり決死隊の宮迫さんも難しい役どころをしっかり演じていましたね。そんな中で主人公とヒロインだけがどうもパッとしない。完全に回りに飲まれている感じでした。しかしそれでいて作品のバランスが崩れていなかったのは何故なんでしょう。

 

 キャシャーンがヘルメットをかぶっていなかったのが残念でなりませんな。

 

2004年4月25日鑑賞 


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