うたへの想い

子がわれかわれが子なのかわからぬまで子を抱き湯に入り子を抱き眠る

                         1980年 「桜森」 河野裕子


立山の雪し消らしも延槻の川の渡り瀬鐙浸かすも

                    大伴家持 万葉集巻十七 四〇二四


君に逢う以前のぼくに遭いたくて海へのバスに揺られていたり

                   1975年 永田和宏 「メビウスの地平」

売比河の早き瀬ごとに篝さし八十伴の男は鵜川立ちけり

鵜坂河渡る瀬多みこの我が馬の足掻きの水に衣濡れにけり


                大伴家持  万葉集巻一七 四〇二三・四〇二二

秋の野に咲きたる花を指折りかき数ふれば七種の花

萩の花尾花葛花なでしこの花 をみなえしまた藤袴 朝顔の花


               
山上憶良  万葉集八  一六三七・一六三八

防人に行くは誰が背と問ふ人を見るが羨しさ物思ひもせず

防人の妻  万葉集二十  四四二五

新たしき年の初めの初春の今日降る雪のいやしけ吉事

大伴家持  万葉集巻二十  四五一六

その1

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