結核

■チェック用語

・結核
      結核菌による感染症です。
      結核菌が冒すのは肺ばかりではなく、胸膜、咽頭、腸、腎臓、骨、
      皮膚など、ほとんどの部分を侵略します。
      (肺結核のほかは肺外結核と呼ばれます)

      大正時代から昭和20年代までの日本では、不治の病とされ、国民病と
      いわれ、当時の死亡原因の1位でした。
      1948年(昭和23年)にストレプトマイシン、以後INH(イソニコチン酸
      ヒドラジド)、リファンピシン、エタンブトール、ピラジナミドなどの
      特効薬が次々に出現し、治ゆできる病気となりました。

      順調に患者数は減少していきましたが、昭和50年代から減少傾向が鈍り、
      1997年(平成9年)には38年ぶりに新規発生結核患者数が、前年を上回り、
      その後の改善は横ばいとなっています。

      1999年(平成11年)には厚労省から「結核緊急事態宣言」が出されました。
      宣言では、結核に対する認識の低下、耐性菌の出現、集団感染や院内感染
      の続発、高齢者の患者増加、地域格差などの問題点が指摘されています。
      (WHOでは、1993年にすでに「結核非常事態宣言」を発表しています)

      今でも1日に86人の新しい患者が発生し、6人が命を落としている
      日本最大の感染症です。

・結核菌
      ローベルト・コッホ(Robert koch)が1882年(明治15年)に発見した
      細菌です。

      グラム陽性の棹菌です。
      細胞壁に脂質が多く含まれています。

      感染力が強く、乾燥、酸やアルカリ、消毒薬にも抵抗性があり、
      中途半端な加熱では死滅しません。
      空気感染し、飛び散った結核菌は数カ月も生き残ります。

      結核菌は、1回の分裂に10〜15時間かかるため、培養結果を見るのに
      4〜8週間かかりましたが、最近は遺伝子工学の技術で、少量の菌でも
      数時間以内に検出することができるようになりました。

・多剤耐性結核(multidrug-resistant tuberculosis: MDR-TB)
      抗結核薬は数種類ありますが、その中の代表的なリファンピシン
      (RFP)、ヒドラジド(INH)の両剤に同時に耐性(薬が効かない)
      があれば、多剤耐性結核といいます。
      この2剤は治療の主軸となるので、多剤耐性結核の治療は難しくなります。

      不規則な服薬、副作用などで服薬をやめてしまうことでおこります。

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