『―――日本の懐かしの風景〜友雅〜―――』 |
「縁側で日向ぼっこをしているお爺ちゃんお婆ちゃんは、膝に子猫を乗せてお茶を飲んでいる、か。」簀子の端に座って暖かい日の光を浴びた友雅は、お茶代わりの白湯を飲んで大きく息を吐いた。「中々風情のある光景だねぇ。」 「・・・・・・・・・。」あかねが、困ったように友雅を見上げた。「何をお爺ちゃんみたいな事を言っているんですか?友雅さんは隠居するには若すぎます。」 「いや、私は姫君よりも長い時間を生きているのだよ。」にっこりと艶やかな笑みを浮かべる。「残りの人生、君と二人きりでのんびり過ごしたいのだけど。」 「・・・・・・後、三百年は生きられますよ、友雅さんなら。」 「ん?何か言ったかい?」 「えっと、何でもありません。」慌てたようにソッポを向く。 と。 「くっくっくっ!」 武士団の若者が笑いを堪えながら通り過ぎた。 「それより!」あかねは頬を紅くして、友雅を睨み付ける。「膝に乗せるのは子猫です。私は子猫ではありません!」身体を捻り、何とかして友雅の膝の上から降りようとするのだが。 「確かに君は子猫ではないね。」ぎゅぎゅっと抱き締める。「子猫なんかよりもずっと可愛いよ、あかね。」 「可愛くないもん!」 「甘えてじゃれてくるなんて、可愛いねぇ。」 「逃げようと抵抗しているんですけど。」 「そうかい?思い通りにならない私の可愛い姫。」 「姫じゃな〜〜〜い!!」 「ほらほらほら。暴れたらあかねが教えてくれた『日本の懐かしの風景』にはならないよ?」 「そんな事知りません。それよりも、恥ずかしいから放して下さいよ〜!」あかねは真っ赤な顔でじたばた暴れるが、友雅にとっては子猫がじゃれているようなもの、てんで相手にならない。「ちょっと誰か、助けて下さ〜い!」 何時もの痴話喧嘩。 もう呆れ諦めた女房、武士団の者達、あかねを助ける者はここにはいない――――――。 |
注意・・・友雅×あかね 京ED。 このサイトでは全く需要の無い『遙か』で『友雅×あかね』。あかねが別人ですね。可愛くない。だけれど、このネタだとこの二人が一番似合いそうだったから。つーか、頼忠ではイメージが浮かばなかったから。(そんな理由かい!?) 2005/05/13 22:19:18 BY銀竜草 掲示板から再掲。 2006/01/16 BY銀竜草 |