なつやすみのしゅくだい。 1・・・なつやすみのおもいでのえ、1まい。 2・・・かんじのれんしゅうちょう。 3・・・さんすうのドリル。 4・・・にっき。 5・・・じゆうこうさく。 6・・・いえのおてつだい。 7・・・すいえい、13メートルおよげるようになること。 8・・・かんさつにっき。(なんでもよい) 忠直はプリントを眺めながら考え事をしていた。 『1』から『4』は特別難しい事ではない。ママが新聞や本を読んでいる隣でやれば良い。解らなければ、教えて貰おう。『5』はパパに教わっておもちゃを作ろう。迷路の中で玉を転がすっていう物を。『6』は何時もやっている事、問題は無い。元々泳げるから、『7』も問題は無い。残りは『8』。これは何にしよう?たつやくんはアリの巣、まさとくんはアサガオ。けいちゃんは茄子を栽培するって言っていたし、りょうくんは飼っている犬が子犬を産んだからそれを観察するって言っていた。同じ物を観察したって面白くない。じゃあ、何にしようかなぁ? とその時、閃いた。身近に面白そうな対象ブツが有るではないか? 「これならだれかとかさなることはない。よし、きめた!」 これで宿題はばっちりだ。にっこり。 |
『―――忠直のかんさつにっき―――』 |
かんさつしゃ・・・源忠直 かんさつたいしょうぶつ・・・・・・父、源頼忠 もくてき・・・・・・源頼忠のしこうかいろのぶんせき 8月某日(金よう日) あさ6じ ママをキスで起こす。 ママ「ふつうにおこしてください!」 頼忠「これがいちばんはやくてかくじつです。」 ママ「声だけでもおきますってば。」 頼忠「おいやですか?」 ママ「・・・・・・・・・。」 頼忠「・・・・・・・・・。」にっこり。 6じ30ぷん 頼忠、ちょうしょく。 頼忠「おいしいです。」にっこり。 ママ「そう?よかった。」にっこり。 7じ 頼忠、おちゃをのみながらしんぶんをよむ。が、キッチンにいるママをチラチラとぬすみみ。 7じ30ぷん 頼忠、ママからほおにキスしてもらってえがおでしゅっきん。 よる8じ 頼忠、きたく。 頼忠「はい、おみやげです。」 ママ「あら、きれいな花!ありがとう!!」 頼忠、くちびるにキスしてもらってごきげん。 8じ15ふん 頼忠、ゆうしょく。 頼忠「これ、おいしいですね。」 ママ「ほんとう?これね、ざっしにのっていたの。こういうあじつけははじめてだから、しんぱいだったんだけど。」 頼忠「おいしいです。」にっこり。 ママ「よかった。」にっこり。 8じ45ぷん 頼忠、ぼくとおふろ。 9じ30ぷん ぼくはしゅうしんじかん。 10じ ねたふり。それであんしんさせて、あとからこっそりとおき出す。そしてリヴィングルームをのぞく。 頼忠、ママとおしゃべり。ママのかたにうでをまわして、あたまをなでている。 ママ「でね、こういうことがあったの。――――――。」 頼忠「・・・・・・・・・。」にこにこにこ。 ママ「その人ったら、そんなこといってね―――。」 頼忠「・・・・・・・・・。」にこにこにこ。 ママ「さわぎになっちゃってたいへんだったの。」 頼忠「・・・・・・・・・。」にこにこにこ。 8月某日(土よう日) 頼忠とおとこのかいわ。 ぼく「たまにはママとおふろにはいりたい。」 頼忠「だめだ。」 ぼく「なんで?」 頼忠「忠直はおとこだ。ママはじょせいだから、おとことはにゅうよくしない。」 ぼく「そうなの?」 頼忠「じょせいはおとこにはだを見られるのは、はずかしいんだよ。忠直が気をつかってあげなさい。」 ぼく「じゃあ、なんでパパはママといっしょにねているの?パパはおとこなんだから、ひとりでねたほうがいいんじゃない?」 頼忠「ぐっ!」いっしゅんことばにつまった。「ママはこわいゆめをよく見るんだよ。そういうとき、だきしめてあげないとかわいそうだろう?」 ぼく「ぼくだってだきしめてあげられるよ?」 頼忠「からだが大きいほうが、つつみこんであげられるからあんしんするんだ。忠直はまだ小さいだろう?」 ぼく「ふ〜〜〜ん・・・・・・。」 8月某日(日よう日) ママがどうそうかいでお出かけ。 ママ「なにかあったらけいたいでんわにかけてね。」 頼忠「ゆうがたにはおかえりになるのでしょう?ごしんぱいいりませんよ。」 ママ「それもそうね。じゃあ、いってくるね。」にっこり。 頼忠「ゆっくりしてきなさい。」にっこり。 パタン。 頼忠「・・・・・・・・・。」 ドアがしまったとたん、えがおがきえた。ふだんママがいるリヴィングルームの中をさみしそうに見まわす。ママがよんでいるざっしをパラパラとめくったり、ひざにのせているクッションをだきしめたり、まがってもいないおきものをおきなおしたりと、おちつきがない。するととつぜん立ちあがった。 「そうじをしよう!」 まどをぜんかい、はたき、そうじきをかけてぞうきんでふいて。ママがまい日しているのだからそんなにゴミもホコリもおちてなんかいないのに、いっしょうけんめいにやっている。こういうのをいっしんふらん、むがむちゅうっていうんだろうな。――――――パパ、おひるごはんは? 頼忠「すまない、わすれていた。」2じちかくになっていておどろいたようにいった。「チャーハンでいいか?」 ぼく「なんでもいいよ。」 で、チャーハンをつくってくれたけど。 ぼく「ごほっ!けほっっ。―――から〜〜〜い。」 コショウがおおい・・・・・・・・・。けど、パパはもくもくとたべている。気がついていないみたい。 頼忠「こっちもそうじをするか。」 さらあらいのついでってかおでキッチンのそうじもはじめた。けど、ガスレンジまわりからかんきせんまで、こまかいところからそうじのたいへんなばしょまでぜんぶ。しんけんなかおをしていっしょうけんめいに。 おふろばのそうじもおわってしまってやることがなくなってしまったからか、5じからのぼくが見ているアニメをいっしょに見はじめた。ぼくは大わらいしているのに、そのよこできまじめなひょうじょうのままで。―――なんだかぶきみ。 6じをすぎたころからそわそわ、とけいをすうふんおきにかくにん。かぜでまどがガタガタとなるたびにピクリとはんのうをする。そのうちにけいたいでんわとにらめっこ。―――そんなに気になるのなら、パパからでんわをかければいいのに。 ピロピロリ〜ン♪ すぐさまはんのう。にこにこのえがおであいてがママだとわかる。 「はい。―――はい。では、おむかえにまいります。お気をつけて。」 ぼく「ママ、なんだって?」 頼忠「7じはんごろえきにつくって。むかえにいこうな。」 ぼく「うん。」 頼忠「よし、したくをしよう!」 ―――スキップしておどりだしそうなかんじ。はしゃぎすぎだよ。 そのよる。 トイレにおきたときにリヴィングルームをのぞくと、ママとおはなししていた。 ママ「でね、あいこちゃんがアメリカのだいがくにりゅうがくしているんだけどね―――。」 頼忠「・・・・・・・・・。」にこにこにこ。 ママ「さっちゃんのこどもが、忠直とおなじとしでね―――。」 頼忠「・・・・・・・・・。」にこにこにこ。 ママ「やすよちゃんがこんどけっこんするんだって―――。」 頼忠「・・・・・・・・・。」にこにこにこ。 ―――よっぽどママとはなれていたのがさびしかったんだろうな。ひざにのせてぎゅっとだきしめているんだから。いいおとななのに、あまえんぼうだ。 8月某日(月よう日) きょうはりょうくんがあそびにきていた。そのときのことをパパにはなす。 ぼく「それでりょうくんがね―――。」 頼忠「うんうんうん。」にこにこ。 ぼく「でね。りょうくんがね、ママのことをかわいいってほめていたよ!」 頼忠「そうかい。」にこにこにこ。 ぼく「むかえにきたりょうくんのパパもかわいいってなんどもいっていたんだよ。」 頼忠「りょうくんのパパが?」とたん、かおいろがかわった。 ぼく「そう。えがおがかわいいねって。」 頼忠「・・・・・・・・・。」 ぼく「パパ?どうかしたの?」 頼忠「忠直。」声がひくくなった?「やさしそうなかおをして、しんせつなふりをしてちかづくにんげんもいるからきをつけるんだよ?」 ぼく「ちかづいてどうするの?」 頼忠「いじめるんだよ。」 ぼく「えっ?!」 頼忠「だから、ママがいじめられないようにまもってあげようね?」 ぼく「ママがねらわれているの?」 頼忠「ママはやさしいだろう?そういうところにつけいるやからもいるんだ。」 ぼく「・・・・・・・・・。」 頼忠「ママがなくようなことがないように、ちゅういしてあげようね?」 ぼく「うん!ぜったいにまもるっ!!」 頼忠「そうだね。ふたりでまもろうね。」うんうんうなずく。「忠直じしんも、きをつけるんだよ?忠直がいじめられても、ママはかなしむから。」 ぼく「わかった!」ママになかれるのはいやだ。「パパもきをつけてね?ママのために。」 頼忠「ぐっ!」きみょうなかお。「―――そうだな。わたしたちふたりとも、ママをなかせないようにしような。」 ぼく「うん!」 ちかいあう。 8月某日(火よう日) ママ「いたっ!」 ゆうしょくをつくっていたママがゆびをきった。 頼忠「どういたしましたか?―――たいへんですっ!」 どんなにとおくにいてもママの声はきこえる。すっとんでいったとおもったら、きゅうきゅうばこをとりにはしってもどってきた。 ママ「ちょこっときっただけだから、バンドエイドでだいじょうぶだってば。」 頼忠「だめです。きちんとちりょうしないと。」 しょうどくをしてほうたいをまいている。 ママ「おおげさだよ。よけいにわるくなっちゃうよ?」 くしょうしているけど、パパはきくみみをもたない。 ママ「これじゃ、なにもできないよ。」 頼忠「わたしがやります。花梨はむこうでやすんでいてください。」 ママ「だいじょうぶだってば。なんどいったらわかるの?」 頼忠「ねんのため、です。」 ママ「もう、頼忠さんったら・・・・・・・・・。」キッチンからおいだされたママ、こまっている。「じゃあ、せんたくでも―――。」 頼忠「とんでもありません!」さすがパパ、ひとりごとでもママのことばはききのがさない。「それもわたしがやります!」 ママ「ぜんじどうだからできますってば。」 頼忠「おとなしくしていなさい。」もんどうむよう。「忠直。ママがなにもやらないように見はっていなさい。」 ママ「ちょっとっ!」 ぼく「まかせといて!」 頼忠「よし。」 ママ「忠直!」 ぼく「ママ。あきらめたほうがいいよ。」 ママ「・・・・・・・・・。」 ―――パパはママのことになると大さわぎだ。こうなったらママにかちめはない。 8月某日(水よう日) よなかにみずがのみたくなってめがさめた。キッチンにいくとちゅう、ママのへやからなき声がきこえた。 ママ「・・・・・・うっ。」 頼忠「花梨?」 ママ「あ・・・・・・。やだぁ。」 頼忠「だいじょうぶですよ、花梨。わたしにしがみついて。」 ママ「ふぇ・・・・・・。もうダメ・・・・・・。」 頼忠「花梨。花梨。花梨。」 ママ「―――ひゃん!」 頼忠「・・・・・・・・・。」 ―――またこわいゆめでも見たのかな?しんぱいだけど、パパがずっとだきしめてあげるからだいじょうぶっていっていたっけ。きょうはまかせよう。でも、大きくなったらぼくがママをなぐさめるんだ。 8月某日(木よう日) ママのおようふくのおかいもの。 ママ「ねぇ。これとこれ、どっちがいいとおもう?」 頼忠「そうですね・・・。どちらもよくおにあいですよ。」にっこり。 ママ「それじゃ、わからないよ!」 頼忠「しかし、どちらもにあっているのでえらべません。りょうほうともおかいもとめになりますか?」 ママ「だめ!1まいだけ。どちらかえらんでよ?」 頼忠「しかし・・・・・・。」小さな声でひとりごと。「花梨はかわいいから、なにをおめしになられてもおにあいになられるなぁ。」 ママ「むぅ〜〜〜。」 頼忠「う〜〜〜む・・・。」 ママ「・・・・・・・・・。」 いつまでたってもきまらない。てんいんさんもこまっている。 8月某日(金よう日) ママはふだんリヴィングルームにいるけど、ぜったいにいるとはかぎらない。 頼忠「あれ?ママは?」 ぼく「ベランダ。」 頼忠「そうか。」いそいそとベランダにいく。「花梨。なにかてつだえることはありませんか?」 ほかのときも。 頼忠「あれ?ママは?」 ぼく「おとなりさんちにかいらんばんをもっていったよ。」 頼忠「そうか。それならすぐにもどってくるな。」いそいそとげんかんまでおむかえにいく。「あ、おかえりなさい。」 こんなことも。 頼忠「あれ?ママは?」 ぼく「おトイレ。」 頼忠「そうか。」さすがにそこまではむかえにいかないけど、ドアのほうをチラチラ。「・・・・・・。」 8月某日(土よう日) かいすいよく。 ママ「どう?このみずぎ!」 頼忠「花梨!」ばさばさとタオルでママをつつむ。「そのようなかっこうをしてはなりません!」 ママ「ちょっとぉ!ここ、うみだよ?およぐの!」 頼忠「ダメですっ!わたしいがいのおとこに、そのようなおすがたを見せてはいけません!」 ママ「だれも見ていないってば!」 頼忠「ダメなものはダメですっ!」 ママ「頼忠さんてば、わけわからないよ。」 頼忠「ダメです!」 けっきょく、パパのかち。ママにうわぎをきせることにせいこう。 ママ「せっかくあたらしいみずぎをかったのに。」ふきげんそうににらむ。 頼忠「こんどふたりきりのときにゆっくり見せてください。」にっこり。 ママ「ばかぁ!」 タオルをパパになげつけた。―――なんでママはまっかなかおでおこっているの? かんさつけっか。 源頼忠はママ、源花梨がだいすき。 テレビで見た、なんとかちゅうどくのかんじゃとおなじで、あたまの中はママのことでいっぱいだ。むいしきのうちにひきよせられ、そばにいないとせいしんがふあんていになってそわそわとおちつきがなくなる。 けつろん。 頼忠は「花梨ちゅうどく」だ。 この宿題を見た瞬間。 先生は飲んでいたお茶を拭き出し、同時に持っていた茶碗を落とし、その拍子に椅子から転げ落ちて腰を打ったそうだ。 御免なさい御免なさい御免なさい! 某サイト様の日記で「宿題が終わらない〜!」と書かれていて、其処から連想→妄想してしまいました。てへっ♪ 宿題に苦しむ人に捧げます。(捧げられてどうなると・・・・・・?) しかし・・・平仮名ばかりだと読むのが大変ですね。 2005/08/13 23:50:34 BY銀竜草 |