心霊現象のナゾ。

- 2001.02.25 -

▼心霊現象    
 

 毎年夏になると世間を騒がす「心霊」特集。私はこの「心霊」についていくつかの疑問を持っている。第一に、人間以外の動物に人間の霊が憑く事はないのか、もしくは、人間以外の動物の霊は人間にしか憑くことができないか、ということである。第二に、なぜ取り憑いた霊は悪さしかしないのか。ということである。

 この2つの疑問に真っ向から考えるのはあまり生産的ではないかもしれないが、一応現段階での私の考えを示してみたいと思う。当然この考えが正しいなんてことはないのでそのつもりでお読みいただきたい。なお、以下では人間以外の動物を動物と表記し、人間と区別している。

 
▼狐憑き    
 

 人間に動物が憑くことは、「狐憑き」という造語があるようにないわけではない。日本では狐、ムジナ、狸などの動物霊の憑依から、神霊、人間霊が憑く場合まであるそうだ。では、逆に動物に人間霊が憑くことはないのか、という疑問が生じる。また、狸に狐の霊が憑くことはないのか、そもそも哺乳類以外の動物霊が人間に憑くことがないのか、ということも派生的に生じる。何か実証する手段はないだろうか。

 例えば、過去にどの動物霊が人間に憑いたか、ということを調べれば、進化の系譜からみて、どのあたりから霊として憑依される可能性があるかわかる。もしかしたら絶滅動物や新種の動物がみつかるかもしれない。ダニとかに憑かれたという報告はないから、それなりに脳が発達している動物である必要があるとは思うが、実際はどうなのかは不明だ。

 また、動物に人間が憑くのは実証が難しいが、人語をしゃべる、高い知能を有する伝承上の動物(九尾の狐)の類を調べれば、何かわかるかもしれない。そもそも憑いたとしても、脳機能の水準が低ければ、それを行動として表わせないから、実際には人間が憑く事はあっても、それとは気付かれないだけなのかもしれないが、これもどうだか不明だ。

 
▼悪さをする    
 

 人間、動物、どちらにしろ、憑かれた場合は、あまりいい結果をもたらさない。モノを破壊したり、人を殺したりとやけに破壊衝動が強くなる場合がほとんどである。エジソンの霊がついて、発明のヒントがどんどん出てくる、なんてことはないのである。

 大抵、このような憑きものとしての霊は、この世に未練を残して成仏できないから、助けを求めて彷徨っている。なんていわれることが多いが、発明者や研究者も志半ばで力尽きたものは多い。殺された人もいるが、それでも霊として人間に憑くなんてことはない。攻撃的な霊しかいない、というのは何を意味しているのであろうか。

 
▼憑き物?    
 

 まとめてみると、結局憑き物は人間特有の現象であり、憑かれると非生産的な行動しかおこさない、ありがたくもなんともないものである。しかも、憑いた霊の目的は破壊に特化しており、考えて行動したりすることはない。ハンドルを奪って暴走させるようなものである。

 よく、戦争で亡くなった人の霊についての話題がなされるが、太平洋戦争で亡くなったのであれば、なぜ敵国の人に憑かず、自国民に憑くのか。外国は遠いからであろうか。国を守る使命を持っていたのに、その国民を苦しめる。こんなバカなことを行っているのはおかしい。憑いたところで、双方にメリットはないのである。 

 貧乏で餓死した者が望むのは裕福なくらしなのだから、誰かに憑いてその人に金儲けさせるよう働きかければ成仏できるだろうし、志半ばで倒れた発明者の望むものはすばらしい発明なのだから、憑いた人にアイディアをひらめかさせるよう働き、実現できればいい。このような生産的な霊がいないのはおかしい。

 
▼霊って?    
   結局、霊がいたとしてもその霊の力は我々が思っているほどすごいものではなく、ただ「人間の正常な思考」を停止させる程度の働きしかなく、地理的制約もある万能な存在とはほど遠い。ま、憑かれた人でないと、真価はわからないとは思うが…。

 ん!?そもそも一人一霊なんて規則があるのか。背後霊との相性はどうなるのか。霊になるのはどうしたらいいのか。複数憑いた場合、どの霊がメインなのか……うーん、ナゾは深まるばかりだ。霊能者の方は個別事例の説明ではなく、ここらへんを解説してくれ…理論的に。

 ただ、人間も霊もその存在が認められてはじめて、存在できるという点では、儚いものであるということだけはわかった。これらの問題は深く考えても生産的ではないだろうが、たまに考える分には面白い問題である。

 

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