▼出荷 | ||
りんごを箱詰めにした時、一個腐ると周りも連鎖的に腐っちゃうことはよくある。そういう場合は、腐ったりんごを取り除けば、周りには被害が及ばないで済む。こうやって、不良品を出荷しないように農家の人は日々作業に追われていた。 腐りやすい時期にはこの作業はより重要性を増す。下手すればみんな腐ってしまい、売り物にならなくなってしまうからである。その上、処理するのにお金がかかり、利益はなく、出費だけがかさむ状況となってしまうから、なんとしても腐らせないように気を使う。 |
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▼腐りやすい時期 | ||
しかし、自然条件というものもあり、どうしても腐りやすい時期というものがある。こういう時期には、防腐措置として、温度調節をしたり、防腐剤を使ったりして、なんとしても腐らないようにする。無論、そのための設備投資は惜しまずする。出荷によって得られる利益の方が遥かに大きいからだ。 が、現代はそうもいかない。防腐措置をしても、不景気であり利益の回収が見込めないことも多々あるからである。となると、腐りやすいからといって、余分な出費をするわけにはいかなくなる。 |
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▼リストラ | ||
その上、リストラが追い討ちをかける。検品する人の首を切らざるを得ない現状だ。そうなると、当然細かい所にまでは目が行き届かない。結果、腐り始めていても気がつくのが遅れてしまう。 大量の商品を扱う以上、一部に不良品が生じるのはいたしかたないことだ。だが、現状はあまりに酷い。残念なことだが、「腐っても鯛」というか、なんというか、ろくに検品もせずに出荷するものも当然でてくる。 |
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▼私の「りんご」 | ||
消費者はその点には敏感に反応する。腐っているりんごなんてもんは、売れるわけが無い。結局作っても流通費などの諸経費がかかるだけで、なんの得にもならないのである。お金のかけられる人はこの「一般的な流通」を回避して、多少コストがかかっても、「きちんと流通してくれる業者」に委託すればいい。だが、お金がない人はそうもいかない。
となると、状況はさらにひどいことになる。お金のある生産者は、みんな早めに自分のりんごを抜き取ってしまうものだから、一般流通のケースに残るのはお金のない生産者の腐りそうな、もしくは腐ったりんごだけ。ケースの空きをなくすために、余ったりんごを押し込む。結果、全体が腐るのが加速化される。 |
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▼希望的観測 | ||
多くの生産者がこうして、自分のりんごを回収する事態が生じると、通常の流通ルートにのるりんごの総量が減るから、検品係の仕事が減る。そうすると、腐りそうなりんごにも目が行き届くようになる。適切な処置を早期にすることにより、腐らせるのを防ぐことができるかもしれない。 コストをかけて、別の流通ルートを選んだ生産者も幸せだ。みんながみんな、幸せな世界の到来である。ただ、もとから腐っているりんごがないという仮定、農家のひとたちが生産自体を止めない、そして一般的な流通がなくならなければの話ではあるが…。生産総数自体が少なくなっている中、このような問題が生じているのはある意味皮肉なことかもしれない。 あなたはどう思いますか?コストをかけてでも特別な流通ルートを用いますか?それとも一般的な流通ルートにまかせますか?生産者の気持ちになって考えてみてください。この問題はいずれ必ず直面する問題です…多分。 |