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記録帳 2015(4、5、6月)

本やら音楽やらの摂取録&スケッチ、ときどき夢日記。
2015.06.14. 日々
真夜中の鐘 蝙蝠の羽音 夜会服のベラ・ルゴシ。
単純と言われようとも、マニアに鼻で笑われようとも、美しいのはベラ・ルゴシ。


と、言いつつ。ベラ・ルゴシは大人になってから知りました。
私にとって最初に知ったドラキュラ伯爵はクリストファー・リーです。
そして幼い頃、最も怖れた存在が吸血鬼(=ドラキュラ伯爵)でした。
サンタクロースの存在をただの一度も信じず、毎年練習して上演したキリスト誕生劇を何一つ理解していなかった幼稚園児(カトリック系の幼稚園だったのだが)は、何故か吸血鬼の存在だけは激しく信じ込み、夜になると恐慌状態に陥りニンニクを買って吊すと駄々をこねて母親を悩ませたものです。

恐怖とともに相当に心惹かれていたらしく、小学生の頃は何度も夢にみたものでした。
夢の一場面だけは今も朧気に覚えているけれど…それはさんざん怯えたクリストファー・リーの牙に血を滴らせるドラキュラ伯爵の姿ではなく、桃色に彩色された多賀新の世界のような断片的な映像であり、荒俣宏氏が絶賛する<解剖学の天使>の世界のようでもあり…と、はっきりと思い出せないからこそ、ずいぶんとグロテスクでエロチックな夢だった気がしてなりません。

ブラムストーカーのドラキュラよりも、キム・ニューマンのドラキュラよりも、獲物に熱っぽく欲情を囁くレ・ファニュのカーミラの方が好ましい。
……と思うものの、今現在はキム・ニューマンの三部作を無性に読み返したいです。
2015.06.13. 日々
クリストファー・リーの訃報に驚く。
そして更に驚いたのは周囲の人間でドラキュラ伯爵を知っている人が一人もいなかったという現実(ただ一人、読書の趣味がおそろしく合うなあと思っている友人のみと衝撃を共有)。ドラキュラといえばクリストファー・リーってのが世界の法則みたいなものだと思ってました。常識だと思い込んでいるものはローカル・ルールに過ぎないことが多い、ということを再認識。

シュオッブ全集は既に予約完了。さあ、この腕に来るがよい。

□【萩原朔太郎詩集】三好達治選 岩波文庫
一気に読めるようなものではないので、ゆっくり少しずつ読む。怖いけれど心惹かれる世界。なんというか、咀嚼しあう世界?ちょっと違うか。おしゃぶり、という観念が浮かぶ。
2015.06.07. 日々
白黒帳に一点「架空の年代記:黒大公」更新。


週に一度は覗いている大型書店の棚に、アトウッド【侍女の物語】の文庫本が置いてあるという光景は、今もって何となく不思議。最初目にしたときは、復刊とは知ってたけど平積み!?とビビりました。

数年前。とあるきっかけで知ったこの本を閉架図書から借り出した(この辺りで何となく禁書っぽい雰囲気)のが新潮社版。初っ端から、カサカサに乾いているかと思えば湿っぽい赤い靄にまとわりつかれるような、尾を引く何かにうなされるような気分で中断することも出来ず夢中で読み耽ったことを思い出すと、なかなか購入に踏み切れません。近未来デストピア、なんて単純に割り切れる内容では無かったな…。心に突き刺さるというか、胸に沈殿していくような感じ。あまりに塞がった世界なので、それと気付かずに薄く口の端で笑ってしまうしかないような。気になる箇所を何行も書き写してあるのですが、どの断片を読み返しても……と、感想を語るのではなく、一人噛み締めたくなるタイプの物語だと思います。そして、購入をためらうもう一つの明快な理由は、新潮社版の装丁が好みだから、というのもあります。

ちなみに。この本屋さんは、かなり田舎の我が地区で果敢に攻める品揃えなので大変重宝しております。どうやら同じような趣味の人が複数いるらしく、一歩出遅れると手にし損なって取り寄せ注文ということが多々あります。荒巻義雄メタSF全集の第6巻【神聖代】を、発売日から数日経ってのこのこと買いに行ったら品切れでちょっとだけ闘争心を燃やした記憶が新しいです。……正直、同じ趣味の人がいるかと思うとちょっと嬉しい。


□【ルパン、最後の恋】モーリス・ルブラン/平岡敦訳 ハヤカワミステリ
□【サルバドールの復活(上下)】ジェレミー・ドロンフィールド/越前敏弥訳 創元推理文庫

【サルバドール】は、いかにもなゴシック的要素を散らつかせ、登場人物たちの過去現在を奔放に駆け巡り、関連の無さそうで鍵になりそうな挿話をあちらこちらに点在させ、膨れ上がった物語のオチ(結末というより、あれはオチとしか言いようが無い)は「ポカン」とするものだった。激怒する人もいるかもしれないけれど、私は大いに笑った。ある意味、とんでもなく怪異な物語。
2015.05.31. スケッチ&日々
タニス・リー死去。なんてこった。哀悼。
【闇の公子】で覚えた目眩。
無邪気なファンタジーしか知らなかった学生に、麗しい幻想というものは甘苦いものでもあることを教えてくれた一人でした(私にとっては二人か。訳者の浅羽莢子さんも欠かせない)。
ダーク・ファンタジーの女王、か。それだけでは物足りないような、そのものズバリのような。

2015.05.19. スケッチ&日々


永遠に噂のまま終わると思っていた、シュオッブ全集が遂に実現されることを知る。
さすが国書刊行会。僕らの国書刊行会。あいらぶ国書刊行会。
つい先日、思い切って【教皇ヒュアキントス】買ったばかりで、お財布的にだいぶアイタタタな状態だけれど絶対買う。予約して買う。
期待しすぎて胃が気持ち悪くなるぐらい愉しみでたまりません。
2015.05.10. 日々
白黒帳に一点「夜、想う」更新。


ぷっくりとした果実を毒々しい赤で装い甘酸っぱさで満たし、きらきらと光る水飴を纏ったアナタ。久しぶりに邂逅したアナタはなんと高いところに昇られたことか。
あんず飴(という名のすもも)一個300円也。衝撃。
2015.05.05. 日々
白黒帳に一点「架空の年代記:英雄像」更新。

□【貴婦人と一角獣】トレイシー・シュヴァリエ/木村哲夫訳 白水社
□【オレンジだけが果物じゃない】ジャネット・ウィンターソン/岸本佐知子訳 国書刊行会

【オレンジ…】は再読。作者の半生の物語(なかなか強烈な半生)、でありつつ幻想小説のようでもある。淡々と、そしてほのかに不思議な香りを放ちながら流れていく河のような感じ。
【貴婦人…】は娯楽としての歴史小説として読むと面白い。主人公格のニコラにはさっぱり好感は持てないが。
2015.05.04. スケッチ
2015.04.29. スケッチ&日々


■【メンデルスゾーン「交響曲第4番:イタリア」&ビゼー「交響曲第1番」】ストコフスキー
■【モーツァルト「ピアノ協奏曲第26番:戴冠式」&「第23番」】ペライア
■【MAHLER SYMPHONY NO.6 "TRAGIC"】SZELL
■【One Touch of Venus】Original Broadway Cast
■【THE SUPREME QUARTET】John Coltrane

画集や写真集を眺めてごろごろして、画集や(以下リピート)。
2015.04.05. 日々
白黒帳に一点「琵琶法師」更新。

【罪と罰】を図書館で二回もお世話になったので、所有するべきだろうと本屋へ。
角川文庫@訳米川正夫と新潮文庫@訳工藤精一郎とで悩みに悩む。【戦争と平和】を「うわ!ちょー面白い大河ロマンじゃん!!」と新潮文庫で貪り読んだ過去があるので、ここは新潮で揃えるべきか。でも角川のデザインと、ちょろっと読んだ米川版の雰囲気も捨て難い。
古本屋行って両方揃えれば良いんじゃね?という発想もぷかぷか浮かび、保留にしておく。

□【西東三鬼全句集】沖積社
ぱらぱら拾い読み。
2015.04.03. 夢日記&日々
古色蒼然たる本棚に囲まれた一室にて人間が人間である条件を延々と問答するナニカを傍観している、という前日読んだ本と映画の影響をもろに受けた夢を見て、目覚めにちょっと苦笑した。この感情すらも(むしろ、どの感情も)突き詰めればただの電流、と思えば逆に感動を覚える。

◆【イノセンス】
背景(建築)に対するフェチ魂(?)に痺れる。押井守がゴーメンガーストを撮ったらどうなるのだろう。
2015.04.02. 日々
□【わたしを離さないで】カズオ・イシグロ/土屋政雄訳 早川書房
◆【GHOST IN THE SHELL-甲殻機動隊-】

「今頃!?」と知人に驚かれながら読む。感想はいろいろあるが、あまりに底が浅い己自身を曝け出しそうで怖いのでやめておく。とりあえず、「好み」。読後感は【渚にて】に似ている、と思った。理不尽な世界に憤りを感じずにはいられないのに、諦めというか、静謐な詩情が……以下略。
二章と三章の合間に、録画しておいた【攻殻機動隊】を久しぶりに観る。