<新日本プロレス 05’3.26両国国技館大会「NEXESS」>
<会場入り>
開場時間17:00。その時点ではまだ席はガラガラ。しかし、試合開始時間18:00に近づくにつれ席が埋まってきて、最終的な”観客動員”は9,000人というそこそこの客入りでした。
<試合開始>
(第1試合)
△藤波辰爾(15分00秒時間切れ引き分け)西村修△

藤波の2年3ヶ月ぶりの”復帰試合”。藤波は思っていたより”動き”が良かったので何よりです。久しぶりに”新日本の原点”的な試合を見る事が出来、大変”感動”しました。今の”新日マット”ではあまり見られなくなってしまった、”四つ手体勢→力比べ→押し倒し→ブリッジによる起き上がり”、”リバーススープレックス→ブリッジによる起き上がり”、”サーフボードストレッチ→力比べ→反動を利用しての切り替えし”等等・・・。こういった試合こそ、従来の”新日本プロレス”だったんですよね。あと西村が
”ボー&アロー”を出したり、コブラツイスト合戦”があったり・・・。でも、やはり”エキジビション”的な試合でもあったので、試合時間が短かったのが悔やまれます。試合後、藤波は「西村、今日は本当にありがとう。自分の35年間のレスラー人生の集大成のつもりです。あと何試合するか決まっていませんが、しっかり戦います。」とコメントを残し去っていきました。

(第2試合)
○金本浩二、井上亘(10分54秒 ムーンサルトプレス→片エビ固め)中嶋勝彦、石森太二●

石森って選手は、”小柄(身長163cm”な割りには中々の選手でした。いや”小柄”だからこそ、”動き”が素早いし、”空中技”も”ピカイチ”でした。中嶋も”キック”に更に”磨き”がかかってきましたね。しかし、ここは金本&井上が”王者の貫禄”を見せ、余裕の”勝利”を奪いました。

(第3試合)
タイガーマスク、○エル・サムライ、垣原賢人(10分45秒 チキンウィングアームロック)マスクドCTU−L、マスクドCTU−T●、マスクドCTU−G

マスクドCTU・・・、正直はじめは誰が誰だかわかりませんでした(汗) しかも、4人いるし。この時点で”邪道&外道”がいるな、という事だけはわかりましたけど。まぁ、”試合”が始まれば”技”や”動き”ですぐ誰だかわかりましたけどね(笑) でも、まさか一昔前の「ワールドプロレスリングオープニングテーマ(テレビ朝日スポーツテーマ)」で”入場”してくるとは。
でも、やはり変なマスクかぶってるせいか、実際は結構試合がしにくかったのでしょう。マスクドCTU−T(おそらく田中稔)が、最近すっかり”脇役”に回ってしまったサムライに珍しく負けてしまいましたからね。

(第4試合)
○棚橋弘至、吉江豊(7分13秒 スライディング式巻き込み前方回転エビ固め)●柳沢龍志、真壁刀義

真壁は入場早々、相手の棚橋、吉江チームに対して「おい、棚橋、吉江、今日はお前らをぶっ潰してやるからな!」とマイクで叫び、吉江の”入場テーマ曲”がなるや否や、真壁が棚橋、吉江に対して突っかかっていきました。真壁のこういった部分には”共感”がもてるんですがね・・・。
でもって、この真壁の”先制攻撃”に起こった吉江が、今度は真壁をコーナーに追い詰め”ストンピング攻撃”の洗礼! さらに、吉江は”全日マット”での”世界タッグ王者決定戦”でジャマールに見舞ったコーナーに追い詰めての”ランニングヒップアタック”を真壁に見舞っていました。
しかし、どうも一人だけ浮いていた感のあった柳沢が棚橋にあっさり丸め込まれて”敗退”。試合後、吉江は「おい、真壁、お前は結局その程度なのか!?」と挑発。今後の両者の”因縁”に注目です。

(第5試合 IWGP挑戦者決定トーナメント)
○天山広吉(12分17秒 アナコンダクロス)中西学●

やはり、”天”は中西には”味方”してくれませんでした(哀) 当初、”第三世代”の中では最も”時期エース候補”だった中西ですが、とうとう彼一人だけが取り残されてしまった用ですねぇ(悲)
序盤は、この両者にしては珍しく、”レスリング”的な緊張感のある”攻防”でスタート。その後、中西が”水車落し”を決めてから、一気に中西ペース。豪快な”チョップ”、”スープレックス”、”ジャンピングニー”、”スピアー”、それから”アルゼンチン→ストマックブロック”、天山を場外に落としてのエプロンからのジャンプしての”手刀”など。どう考えても”流れ”は中西にありました。なのに、なのに、何故なんでしょう。中西は”アナコンダバイス””アナコンダクロス”を全然克服していません。というか、その”研究”を全然していないという事でしょう。普通”苦手技”というものは、”研究”に”研究”を重ねて”克服”していくものなんです。でも、中西にはそこら辺の”応用”が全然出来てないんです。彼のそういった部分が、今回の”最後のチャンス?”さえも逃してしまった最大の原因なのでしょう(悲)
(第6試合 第10回ヤングライオン杯決勝戦)
○後藤洋央紀(9分55秒 ゴー・トゥー・ヘブン→片エビ固め)伊藤博之●

CTUに続いて、洋央紀もまた”ヘンテコリン?”な”入場テーマ”で登場! CTUのより更に古い「ワールドプロレスリングオープニングテーマ(旧テレビ朝日(NET?)スポーツテーマ(であろう))で入場!
試合の方は、第一試合の藤波VSに西村以上の”昔の新日”を報復させるスリリングな”グラウンドの攻防”からスタート。その後、高阪率いる”チームアライアンス”の伊藤の得意な”打撃攻撃”で洋央紀は”絶体絶命”! しかし、洋央紀はそういった伊藤の”打撃攻撃”を意地で耐え、最後に彼の”新技”である”ゴー・トゥー・ヘブン(足をクラッチしての変形スラム)”で伊藤を下し、念願の”ヤングライオン杯”を制しました(祝) これで、晴れて彼も”出世街道”を歩み、将来的に中邑や棚橋に肩を並べる事が出来るでしょう。

(第7試合)
○ロン・ウォーターマン、鈴木みのる(14分03秒 タイガードライバー→エビ固め)佐々木健介、飯塚高史●

ロン・ウォーターマン、やはり彼も”プロレスラー”としては正直”期待はずれ”でした(汗) ”レスリング出身”の割には、”レスリング(アマレス的なもの)”さえ出来ておらず、本当に”大味”な技しか出してませんでした。そう考えると、初期のスティーブ・ウィリアムスの方がまだましだった気がします。
でもって、この試合の”核”となったのは、普通なら鈴木みのる若しくは健介のはずですが、今回は”選手会長”になって再び”勢い”に乗ってきた飯塚でした。鈴木を”フロントネック”や”スリーパー”で”失神寸前”に追い込むなど、久しぶりに”魔性の飯塚”を見ました。しかし、その飯塚もしょっぱいウォーターマンの”力技”に苦戦。飯塚がロープワークを使って攻撃しようとした所を”パワーリフト”でマットに叩き落され、最後にはタイガードライバー”であっけなく敗退(哀) 
ウォーターマンの”馬力”は確かに認めますけど、それだけじゃ”プロレス”としては成立しませんからね(汗)

(第8試合 特別試合)
○高阪剛(4分41秒 スリーパーホールド→T.K.O)永田裕志●

序盤は物凄く”好勝負”になる気配がしました。結構”グラウンド”を中心とした”レスリング”が展開されており、途中まではちゃんと”プロレス”として楽しめるものでした。しかし、「これから!」という所で、突然高阪が足を押さえながらマットでのた打ち回り、そこで”ゴング”が鳴りました。その時点では「永田の勝ち?」と思ったのですが、よく見ると、その横で永田がうつぶせになって倒れていました。結果は”スリーパーによるTKO”で高阪の”勝ち”です。はっきり言って”一瞬”の出来事だったので、何が何だかよくわかりませんでした。
試合後、高阪はマイクを掴むと「こんな試合、誰が納得出来るか! おい、永田裕志! あんたは俺の足を破壊したんだよ。でも、あんたは俺に負けた。あんたこれでええんか!? 俺は納得せえへんぞ!」と永田に対してアピールしましたが、永田は”失神”状態。という事は”再戦”もありうるのだろうか?

(第9試合 IWGP挑戦者トーナメント決勝戦)
○天山広吉(19分02秒 アナコンダクロス)蝶野正洋●
序盤はいつもながらの蝶野の”ケンカキック”でじわじわ責めていく展開。天山が”チョップ””ヘッドバット”などで対抗するが、いつもの彼らの”ワンパターン”の展開でした。
しかし、蝶野が天山を”場外”へ落として天山に”鉄柱攻撃”を仕掛け天山の額から”流血”下辺りから、少し”流れ”が変わっていきましたね。蝶野がマンハッタンドロップ、シャイニング・ケンカキック、STFなどで執拗に攻撃を仕掛けますが、天山は何とかこらえ、”バックドロップ”などで対抗。最後に執念の”アナコンダクロス”で蝶野を下し、”IWGP次期挑戦者”に決定しました。
それにしても、天山はこういった時には、”勝利”をもぎ取りますなぁ。しかし、それを”持続”出来ないのが彼の”欠点”である事は言うまでもない。何か”起き上がりこぼし”みたいな感じです。されど、天山は”起き上がりこぼし”ににはなれても、”難攻不落の城”にには中々れない所が天山の”弱点”なんです。それを克服してもらって”絶対王者”になる事を期待するか、それとももはや”第三世代”は見限るべきなのか。いずれにしても”絶対的エース”が現れない事には、新日本にはまだまだ”明るい未来”は訪れませんから。
(第10試合 IWGPヘビー級選手権)
△小島(王者)(60分00秒 時間切れ引き分け)中邑△

ゴングが鳴ると、中邑は”ミドルキック”や”飛びつき式腕ひしぎ”などで”先制攻撃”を仕掛け、小島の”度肝”を抜いた攻撃をしたのは良かったのです。その後”ギロチンチョーク”を決め、レフェリーの”制止”を無視したり、こういった”攻撃”は確かにいいんです。でも、だったら終始徹底してこういった攻撃を仕掛けていけば絶対勝てるはずなのですが・・・。
やはり、中邑には”足りないもの”が大きく分けて2つあります。一つは”技”と”技”の”つなぎ”です。これは”プロレス”にとっては、実は最も”重要”な要素ではないでしょうか。”レスリング”とは、単に”関節技””締め技”を決める事を指すのではなくて、その”過程の攻防”を指すものだと思うんです。それがあってはじめて”プロレス”というものは成立するのではないでしょうか。”ハンバーグ”は”つなぎ”があってこそ”ハンバーグ”たりえる訳であって、”プロレス”も”つなぎ”があってこそ”プロレス”たりうるものだと思うのです。中邑は確かに”一つ一つ”の技の”技術”は素晴らしいものがあると思うのです。それに”切り替えし”の”テクニック”とか。彼には生まれ持った”運動神経”が備わっているのは事実です。でも、その”一つ一つ”の技が”バラバラ”なんですよね。それらが”連携”していないんです。
もう一つは、”技の引き出し”です。特に”プロレス技”の方の引き出しが無さ過ぎるんです。小島は、全日に移籍してから、武藤、川田、それから三沢との”戦い”の中から得た技を”切り札”として出してきます。しかし、中邑にはそういたものが殆ど無い。まぁ、この辺は”キャリアの差”といってしまえばそれまででしょうが、しかし、だからといって”モンゴリアンチョップ”は出しちゃまずいでしょう(汗) まぁ、小島に対する”心理作戦”の意味もあったのでしょうけど、でもあの技は”パワー””体格”のある選手がやってこそ”絵”になる技であって、ヒョロヒョロ”の中邑がやるのは正直みすぼらしいです(苦笑) あと”関節技”、”締め技”ですけど、この手の技をやるのはあくまでも”30分以内”に決着がつく試合でないと意味がありません。試合時間30分を過ぎてから、この手の技を執拗に仕掛けた所で、もはや相手に読まれている訳ですからね。それと、自分の”スタミナ”もロスしています。それでは、時間が経つに連れて技は効かなくなるのがオチです。その”結果”が今回の”フルタイムドロー”になったのは言うまでもありません。かつて、猪木はビルロビンソン、それからドリー・ファンクJrと”フルタイムドロー”の試合をした事がありましたが、これらの試合は、あくまでも”プロレス”として”完成”され過ぎていた故のものであって、小島VS中邑の場合は”プロレス”として”未完成”だったからこそのこうした”結果”だと思うのです。
試合後、またもや天山が登場! 「小島、次は俺がお前を倒す! 俺がそのベルトを絶対取り戻すからな! それまで、そのベルトを大事にして待てろよ!」と挑発すると、小島は「次に俺とやって勝てると思ってるのか。世の中そんなに甘くないんだよバカヤロー!」と一喝! かくして、5.14は小島VS天山の”IWGP戦”が決定しましたが、果たして猪木の”口出し”を誰が阻止するのだろうか? ここで、天山自ら猪木の所へ乗り込んで行く勇気があればいいのだが・・・。

<試合後の感想>
今回の大会は、新日にとっては久しぶりの”好カード”でしたが、”蓋”を開けてみたら、まだ何か”物足りなさ”を感じる大会でした。本当の意味での”試合内容”が、まだ”完全復活”出来ていないように感じられました。”部分的”には”かつての新日本”的な試合もありましたけど、序盤”好勝負”と思われた試合があっけなく終わってしまったり、何かもう”一ひねり”欲しかったですね。
やはり、中邑、棚橋、それから後藤洋央紀辺りが本格的に”主役”になるまでは、”混迷”が続きそうです。されど、その日が来るまでには、少なくとも後”5年”の歳月が必要でしょう。

<平成17年3月27日現在>