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9月23日(日)


5時50分起床。

携帯のアラームに、眠い目をこすりつつベッドから抜け出す。
Rちゃんにおはようと声をかけてから、顔を洗いにバスルームへ。
歯も磨いて、しゃっきりしたところで化粧を… あれ?
Rちゃんが起きてこない。
おーい今日は万里の長城に行く日だよー。6時45分までにご飯食べて準備しないといけな…ガフッ!!?

今何時だろうと時計を見て、ようやく悟った。
携帯を北京時間にあわせるの、忘れてたーーーー(T_T)

北京と日本では一時間の時差があり、日本のほうが一時間早い。
つまり、私は5時50分に起きるつもりで、4時50分に起きてしまったのだ…
がっくり・・・
あと一時間寝ていられたのに!私のバカバカ…(T_T)
Rちゃんに小声で「まちがえた、ごめん;」と謝り、ごそごそともう一度ベッドへ。
くすんくすん。

一時間後(寝られなかった)、今度こそアラームで起き、メイク&着替え。
化粧中、なんだか肌がいつもと違うのに気づく。
なんだこれ…!ぷるぷるしてる…!
北京の水のせいか?いや違う!
昨日のツバメの巣かーーーー!!
感動。

ツバメの巣を食べなかったRちゃんは、「別にいつもと変わりない」らしい。
はわわわわ、昨日全部食べとけばよかった…!
たまにコラーゲンドリンク飲むけど、こんなふうになったことないよ!

顔を触ってムフフフとにやけてRちゃんに呆れられつつ、朝食へ。
朝食は、一階のロビーフロアのレストランでとるようになっている。
レストランは6時からオープンしているらしく、15分に私たちが行くと、すでに半分くらいのテーブルが埋まっていた。
客のほとんどは日本人と欧米人。
こんなに朝早くからご苦労なことだ…と呆れつつ(お前もだ)、ウェイトレスに部屋番号を告げて、早速ブッフェ式の朝食を漁りに行く。

ブッフェはなかなかの充実ぶりで、特に料理の種類が異常に多い。
チーズ、ハム数種、サラダなどの他、焼きトマト、ベーコンなどの西洋風のおかずから、中華系の炒め物や煮物、揚げ物、中華まん、しゅうまいなどの蒸し物、目の前で作る卵料理(みんなオムレツをご所望だったけど、料理人は中華ふうの炒り卵をすすめていた)、おかゆに、山盛りのフルーツ、なにやら正体不明の緑の液体(コーヒーポットに入って温められている)まで。
残念ながらほとんどすべて冷たかったけど、種類だけはめちゃくちゃ豊富。

↑盛り付けが中国っぽい?(笑)

時間がないのでめぼしいものだけお皿にとって、急いでおなかにつめこんだけど、ほんとはもうちょっと時間をかけて全種類制覇したかったなあ〜(笑)
味のほうは、パンがイマイチだった以外は、まあまあおいしかった。
もうちょっと温かければ言うことないんだけど、お皿の下から蒸気が上がってきてたので、もしかして時間が経つと温かくなってくるのかも。

朝食を済ませ、部屋で歯を磨いてから、もう一度ロビーへ。

北京郊外の万里の長城へ行くには、いくつか方法がある。
まずは電車やバスを乗り継いで、個人で行く方法。
一番安価だけど、乗継が悪くて時間がかかったり(一日がかりになることも)、中国語がわからなくて迷ったりして結構大変そう。
次は旅行会社に頼む方法。
JTBでは、一人1000円でバスツアーを旅行に組み込むことができる。安全だし、めんどくさくない。
でも、いろんな旅行記をみると、お土産やに強制的に連れて行かれたり、現地での滞在時間が短かったりと、ちょっとgucciにはあわないかも。
そしてもうひとつは、タクシーをチャーターする方法。
これなら自分の好きなところに行ってもらえ、しかも好きなだけ滞在でき、他人のトイレ休憩に付き合わされる心配もない!ハッピー!(そのかわり高くつくけど)

私たちは、現地の旅行会社「北京散歩」で、日本語を話せるドライバーつきチャーター車をお願いしてあった。
8時間で750元(1万2千円)なり。
事前のメールはとても親切で、「万里の長城はとても混むので、7時前に出発したほうがいいでしょう」とアドバイスしてくれたり、「朝早いのでホテルで朝食がとれない場合は、ドライバーがおかゆの店に連れて行ってくれます」とか「昼食においしいものが食べたければ、観光客向けでない現地のおいしいお店にご案内します」などと書いてあって好印象v
どんなドライバーさんかな、万里の長城まで行く間、いろんな話聞かせてくれるかなあ、あ、昨日のタクシー乗車拒否事件、理由を知ってるか聞いてみよう!

約束の6時45分、わくわくして待つ私たちの前に現れたのは・・・ぬぼーーっとした、無愛想な大男(人のこと言えないけど;)。角刈りでジャッキー・チェンに出てくる敵役みたいなかんじ。
「あ、おはようございまーすv」と愛想よく挨拶した私たちのほうをちらりとも見ず、「アーどうも。じゃあ車むこうなんで」とスタスタスタ。
あ、あれ?朝早いから機嫌悪いのかな…?
思わずRちゃんと顔を見合わせる。

車に乗り込むと、「朝ごはん、セブンイレブンで買ってクダサイ」と言い放つ大男。
あ、あれ、おかゆ… いや、朝ごはん食べたからいいんだけど;
「アーソーデスカ。じゃあ行きマス。・・・・・ハァ〜ッ(ため息)」

「・・・・・」

車内は妙な緊張感で、Rちゃんともお喋りする雰囲気ではない。
それでも、小声で「こんな時間でも結構車いるね」「万里の長城、楽しみだね」とこそこそ後部座席で会話を交わし、慣れたところで意を決してドライバーに話しかけてみる。

「あ、あの…八達嶺(八達嶺:万里の長城の中で一番観光客に人気のある場所)までどのくらいかかりますか?」
「・・・・・・アー。普段なら1時間くらい。今は工事してるからもう少しかかりますネー。ハァー(ため息)」
「そ、そうですか。ところで、昨日、故宮博物院のあたりで、タクシーにことごとく乗車拒否されたんですけど、あれはなんでですか?」
「・・・・アー。わかりませんね」

あ、そう…。

ダメだこりゃ;
仕方ないのでドライバーさんと話すのは諦め、Rちゃんと私は、万里の長城に備え睡眠体制に入る。
朝早かったせいで、乱暴な運転にもかかわらず、気持ちよーく夢の中へ…

ふと目が覚めると、車がとまっていた。薄目を開けて窓の外を見ると、どうやら渋滞にはまったみたい。
カーラジオが低い音で音楽を鳴らしている。DJなのか、ときどき中国語が混ざる。
寝返りをうとうと、身動きすると、ドライバーさんは慌ててラジオのスイッチを切った。
なんでー? 別に聞いててもいいのに。会社から客の前ではラジオ禁止とか言われてるんだろうか。

しばらくして、渋滞を抜けた車は高速へ。
高速のゲートをくぐってすぐ、大きな案内板が見えた。
中国語はわからないけど、漢字の印象から、この先工事中 二手に分かれよ みたいなことが書いてあるんじゃないかと思った。
ドライバーさんは迷わず右手に進入。
早く着くといいな…。

次に目が覚めると、またしても車は止まっていた。
今度こそ、一ミリも動いていない。そして全く動く気配なし。
Rちゃんも目が覚めたらしく、「全然動いてないよ」と窓の外を指差す。
なるほど、前も後ろ横もバカでかいトラック、トラック、トラック…。
「すごいねートラックばっかりだ。オリンピックのために国中で工事やってんのかな」
「いやいや、万里の長城、今作ってるんだよ」(←さすが関西人)
「(笑)でも早い時間だからかなー観光客の車全然いないね。朝早く出てきてよかったよね。これで8時出発のJTBのツアーなんかに参加してたら、一体何時に到着することか…」

と、対向車線のほうを見ると…!!!
欧米人の観光客をたっくさん乗せた大型観光バスや、明らかに日本人ツアー客満載のワゴン、中国人の家族連れの乗る自家用車が、おそらくは100`近いスピードで、八達嶺方向へびゅんびゅん飛ばしていく。

な、な、なん…!?

Rちゃんも私も、一瞬のうちに悟った。
コイツ(運転手)、観光客がいないほうが早いとかコずるいこと考えて、トラック専用レーンに入ったんだ…(T_T)
思惑は見事にはずれ、私たちはでっかいトラックや工事用車両にはさまれ、ほとんど封鎖状態の高速道路の上で、全く身動きが取れない。
トラックの運転手たちは、こりゃ〜長期戦になるな〜と車から降りてタバコ吸ったり、ラジオを持ち出して日向ぼっこしている。
私たちのドライバーは、車から降りて先を見に行って帰ってきて、携帯で誰かと怒鳴りあいながらイライライラ・・・

怒りたいのはこっちだっつーの(T_T)
ちゃんと正規のルートを通っていれば、今頃万里の長城登ってるはずなのに!一体何時に着くんだろう!?
Rちゃんも私も、怒りの目でヤツの後頭部をにらみつけるも、相手は日本語がわかるので悪口は言えない。
ああーーーもう、分離帯乗り越えて、観光バスをヒッチハイクしたい!!!!!

すいすい走っていく観光バスを横目に見つつ、閉じ込められること一時間以上。
もうJTBのバスはとっくに八達嶺に着いてるだろうなあ…(遠い目)

やっと車が動き出した。
トラックが多いせいで、まったくスピードが上がらない。
あーあ、完全に裏目だよコリャ。
こいつに、短気は損気、急がば回れと教えてやりたい。

ようーやく、ようーやく、高速の出口に到達。
他に降りる車はほとんど無いところを見ると、ここは八達嶺に一番近いインターじゃないのかもしれない。
でもこの渋滞を抜けられるなら、なんだっていい!
車は、細い山道を登っていく。
途中から、万里の長城の一部が見え、テンションが上がりまくる。
あんな目にはあったけど、とにかく万里の長城に着きそうなことですべてを許せる気がする(笑)

車は裏道のような細い道路から、万里の長城入り口前の駐車場に到着。
かなり遅れをとったから、駐車場の空きがないんじゃ…と思いきや、運よく入り口前のベストポジションに停めることができた。
あまり大きくない駐車場だったから、大型バスは入れないのかな?
とにかくラッキーv

ドライバーさんは、車の中で私たちが戻るのを待つらしい。
チケット売り場でチケットを手に入れ、トイレに行って(数年前まで、ここはドアがないという例のトイレだったんだって)、いざ、万里の長城へ!

入場ゲートを通って、石段を登ると、そこがもう万里の長城。

ここから右に向かうと緩やかな傾斜が続く女坂、左に進むと急な傾斜の男坂。(これは日本人観光客の中だけでの呼び名)
ガイドブックでは、絶景を見たかったら迷わず左へと書いてあるけど、万里の長城としてよく見る写真は女坂の写真だったりして、どっちへ行ったらいいか迷う。
この位置から見る万里の長城は、断然女坂のほうが素敵だし…


しばし朝もやの中の長城を眺めたり写真に撮って堪能する。
ようやく、男坂のほうへ行こうかと話がまとまって歩き出した私たちに、突然話しかけてきた人が…
「日本カラキタ?(←英語だけどめちゃめちゃわかりづらかった;)」
そうだと答えると、写真を撮らせて欲しいという。
この時点でRちゃんはすーーっとどこかへ消えていってしまった。
その若い男の人は、バッグからなにやら絵葉書のようなものを出して、ポストカードにナンチャラ、とか言っている。

な、なんなの?絵葉書の押し売り?でも写真撮るとか言ってる…観光地によくある、写真を勝手に撮っといて売りつける、アレだろうか?
明らかに不審げな顔の私に、根気よく説明するお兄さん。
後ろを指差すので、振り返ってみると、でっかいカメラを携えた男性や、同じようにポストカードを持った女性が。
なんだか物売りの雰囲気とは違う。
よくよく話を聞いてみると、彼らは来年の北京オリンピック関係の取材のため、各国からの旅行者に北京へのメッセージを書いてもらっているのだという。
なーんだ、取材ですか!


オモシロソー!と快諾して、ポストカードとマジックを受け取る。
遠くで見ていたRちゃんを説得して一緒に石段に座り、メッセージを書こうとすると、カメラマンが、ひとり立って書いてくれと注文をつける。
私は石の壁を使ってカードを書き、Rちゃんは座ってひざの上で書いているところを、後ろから、横から激写(連写!)される。(記者会見する気分ってこんなかんじ!?)

お礼を言うカメラマンに葉書を渡し、いよいよ万里の長城登りを再開。
まだ緩やかな坂を、朝の冷たい空気を吸い込みながらぶらぶら歩く。
後ろを振り向くと、朝もやの中に山肌にへばりついたジッパーのように、女坂が浮かんでいる。
すごい…。


長城には、ところどころに物売りがいて、版画やTシャツ、帽子、おもちゃなんかを売っている。
まだ早い時間のせいか、観光客はまばらで、聞こえてくるのは日本語ばかり。
ほんとーに、ここは日本か?!と思うくらい日本語しか聞こえてこない。
こんな朝から観光に精を出す、勤勉な民族は日本人だけか…(笑)

傾斜はだんだんきつくなってくる。
途中、坂って言うか階段!?つーか、はしご!?みたいなトンデモない場所に遭遇。

手すりにつかまりながら一歩一歩登っていると、上から降りてきた男子グループが「すいませーん写真とってください!」とカメラを渡してきた。
こわごわ振り返ってカメラを構えるも、ほとんど垂直に覗き込むような格好になり、足がガクガク。
こえーんだよっ!(笑)

この坂を境に、他の日本人観光客と妙な連帯感が生まれ、はぁはぁ言ってると、降りてきたおじちゃんおばちゃんに「がんばれ!上はすごいよ!」と励まされ、並んで登る若い男性たちに「どこから来たんですか?がんばりましょう!」と声を掛けられ、お互いに写真を撮りあう。
なんだこの連帯感(笑)
楽しいぞ。

ようやく一応の頂上にたどり着く。
もう、息は上がりまくり、汗は額からポタポタと滴り落ちるほど。
でも空気が冷たくて乾燥しているので、不快感は全然ない。
頂上には石造りの見張り小屋のようなものがあり、さらにそこを通り抜けると今度は下り坂が続いているのだけど、ほとんど先へ進む人はいないみたい。まあ戻ってくるのも大変だしね。
小屋の中はひんやりとして涼しく、持ってきたペットボトルのお茶を飲みながらしばし休憩。
小屋には「万里の長城登頂記念」なる証明書を有料で発行してくれる店があった。
こういうのってどこでもあるよね。

肝心の万里の長城の頂上から見る景色は、まあまあといったかんじ。
登りきったところより、途中で振り返ってみた女坂の景色が美しかったなあと思った。
しばし女坂を眺めていると、隣で同じく眺めていた関西人とおぼしき男性が、しつこく声をかけてきた物売りに日本語で反撃している。

(投げるとびよよんびよよんと音が出るおもちゃを薦める物売りに)
「そんなもん万里の長城で買うやつおらんやろ!?なんでそんな重いもん、こっから運ばななあかんの。万里の長城で買う意味ないしな!日本持って帰ってどうすんの、万里の長城でこうてきたーいうんかい!」
日本語がわからない物売りは、めげずにびよよびよよとおもちゃを投げて、男性にアピールアピール。
「だからな!」と日本語でエキサイトする大阪人。

もーそれみてRちゃん(←関西人)大爆笑!
男性が隣にいるのに、「そりゃそうだ!」とげらげら笑っている。
すると男性、「そやろー!」と一緒に大爆笑。
…わからん、関西人の感覚ってわからん!!(笑)

名古屋人のgucci的には、そんなん「いりません」って知らん顔しとけばいいのに、って思うんだけどな〜(笑)
(いや、聞いてる分には面白いけど、物売りがかわいそうになっちゃうんだよね)

トップオブ万里の長城から見た景色。関西人のおっちゃん、ジャマです(笑)

長城の景色を十分堪能し、そろそろ戻ることにする。
帰るのがもったいなくて、ときどき足を止めて写真を撮ったり眺めたりしながら、ぶらぶらと万里の長城を降りていく。
途中、行きに上ったはしごのような階段を下りなければならず、降りるときのほうがもっとコワイな、とビクビク。


高度が下がったからか、日が高くなってきたからか、だいぶ気温が上がってきたみたい。
下から上ってくる観光客の食べているアイスが羨ましくなり、私たちも万里の長城を降りたところにある売店で、棒アイスを買って道端に座り込んで食べる。
50円くらいの安アイスなのに、意外においしいv
今や万里の長城は欧米人の観光客でいっぱいで、写真を撮るのにも苦労しそう。
やっぱり早く来て正解だ。日本人万歳。

↑帰りに見たチケット売り場。

万里の長城、思った以上によかったよね〜!とRちゃんと話しながら、駐車場の車に戻る。
楽しい気分のまま、お待たせしましたー!楽しかったですー!とドライバーさんに声をかけると、車の中でマンガを読んでいたらしいドライバーさんが、不機嫌そうにのっそりと起き上がる。
あ、やっぱりこういう人なんだ…; せっかくの楽しい気分が台無しだよ(T_T)

車をチャーターしてあるのは8時間分。
このあとは胡同めぐりツアーの場所まで送ってもらうことになっている。
しかしそろそろお昼時なので、ガイドブックを見てRちゃんと相談して決めたお店「北京茶城 九門小吃」にまず行ってもらい、ランチを取った後、胡同まで行ってもらうことにする。
本当は、ジモティが行くような安くて美味しいお店を、ドライバーさんに教えてもらいたかったのだけれど、この様子では期待できない。

北京市内まで一時間と少し。帰りはほとんど渋滞にあわず(ていうか寝てたから知らなかったのかも)、気がついたら北京市内。
ドライバーのオニイチャンはこのお店を知らなかったようだけど、ガイドブックの地図を見てお店の近くまで行き、パーキングに車を停めて店まで連れて行ってくれた。

中に入ると、そこは中国人の若者でいっぱい。
ガイドブックによると、ここは比較的最近できた店で、小吃の老舗のお店を集めて屋台街風に並べたフードコート。手軽な値段で小吃(小皿料理?)を食べられるところらしい。
店内はトレイを持って徘徊する人と、テーブルに小さなお皿を山盛りに並べてがっつく客で満員。

ドライバーのオニイチャンは屋台の間をずんずん進んでいく。
私たちが人ごみにもまれてついていけなくなってもお構いなし。
????
テーブルを見つけてくれようとしてるのかな?
ドライバーは店内をぐるっと一周したところで、ようやく私たちに気づいたみたいに振り向いた。
「? お客さんたちは自由にしてていいですよ」。

なんじゃあそりゃあ!
案内してくれるつもりじゃなかったんかい!
自分のために見て回ってただけか…;
ムカついたけど、英語の表記が全く無いここで放置されても、支払いの方法やテーブルの確保方法もわからない。
気を取り直して、この店でどうやってご飯を食べたらいいか尋ねる。

この店、まずプリペイドカードを買ってお金をチャージし、そのカードでそれぞれの屋台でお金を払うらしい。
使わなかったお金は、最後に戻ってくる仕組み。
それだけ説明すると、ドライバーは「終わったら車に戻ってきてください」と言って去っていった。

仕方が無いので、とりあえずテーブルを確保することにする。

空きそうなテーブルの後ろで待ち、席を立ったところですかさずゲット。
店員にテーブルを片付けてもらっている間に、先にRちゃんがカードを持って買い物に行く。
いろんなもの食べたいから、好きなものなんでも取って来て!

はーい!と旅立っていったRちゃんは、しばらくして何も持たずに帰ってきた。
あれれ?なにも買ってこなかったの?

「ショウロンポウを買ったけど、中国語でなんか言われたの。でも、誰も英語を話せる人がいなくて困ってたら、どんどん人が集まってきて、気がついたらすごい大勢の人に取り囲まれてた〜!」。
みんなで一生懸命説明してくれるんだけど、全部中国語でわかんないっつーの!とのこと。
かろうじて英語を解するらしい黒いTシャツの店員が呼ばれてきて、ようやく、みんなが説明してくれてたのは「ショウロンポウができるまで10分くらい待ってください」だったと知ったらしい(笑)

テーブルで待てと言われたRちゃんからカードを受け取り、今度は私の番。
屋台で気になったものを片端からカードで購入していく。

(この写真は帰り際に撮ったものなので閑散として見えますが、お昼時は満員電車のようでした…)
焼肉とか、麺とか、すごくすごく気になるんだけど、たぶんあれ、羊の肉だったり内臓系の肉が乗ってたりで、私が食べられないものなんだよね…(T_T)
並んでいる料理の中には、まったく味が想像できない料理もたーくさん!
全部を試してみたいけど、あまりにも食べられないものだったりすると悪いので、どれを買うかヒジョーに迷う。
なんとなく惹かれたものを、指差してトレイの上に乗せてもらう。英語は本当に全然通じない。
「ありがとう」と日本語でいうと、「が、外国人!?」みたいなかんじでビビッている(笑)
(中国顔なので、喋らないとバレないんだよねーオレさま(笑))

トレイに山盛りにして持って帰ると、あまりの量にRちゃんびっくり。
だってえー食べてみたかったんだもんv
しばらくしてショウロンポウもやってきて、美味しそうな匂いにおなかがグ〜ッ。
さあ、食べるぞ〜!
…と、手を伸ばして気づいた。
箸がない。
ぐるりと見回しても箸は置いていないようなので、店員さんに頼んで持ってきてもらうのかもしれない。

近くにいたウェイトレスさんを呼びとめて、箸を持ってきてくれるようお願いする。
…が、やっぱり「○×△◎★…!」(態度から察するに、「ええっわかんないよ〜!」)と困っている。そしてやっぱり例の黒いシャツの店員(英語可)を呼びに行ってしまう。
箸!箸が欲しいだけなんだってば〜!ボディランゲージでわかってくれーい!(笑)

黒いTシャツの男の子が、いそいそと私達のテーブルにやってくる。
「May I help you?」vv
えっとー、だから箸!
ようやく意志が通じた;

それと、ついでにお茶も注文する。
数種類のお茶メニューの中から、烏龍茶(Rちゃんはジャスミンやプーアル茶が苦手らしい)をセレクト。お茶はもちろん別料金。
日本ではお茶や水はタダだけど、中国ではどこでもお茶代をとるらしい。
ただし、バカデカイポットにたっぷり持ってきてくれる。そしてたぶん、お湯の継ぎ足しもしてくれるみたい。

早速かぶりついた中国の庶民の味は… えぇと… 不思議な味?
まずくはないんだけど、日本にはない野菜や肉、スパイスに、ついていけないかんじ(笑)

手前のパンみたいなものは羊肉のバーガー。
その隣の濁った液体は豆汁。
もう一回言います。
 豆 汁 。
朝、ブッフェにあった、コーヒーサーバーに温められていたものはコレだった…!!!
なんか生ぬるくて酸っぱいです。リアル…!(笑)
左奥の、わっか(固い揚げパン)を浸して食べるそうです。これが飲めないと北京人じゃないとまで言われるらしい。ごめん、飲めなかったよ、豆…!!
そして右中は杏仁豆腐(普通に美味しい)、右奥は杏仁茶。杏仁風味のお茶らしいのですが、注文するとおわんに粉とお湯、トッピングを入れてくれるのをかき混ぜて飲むのですが、放置しておいたら固まってしまい、ぼやけた味の杏仁豆腐になってました。
真ん中のは、皮も具も野沢菜おやきに似ています。が、その中身が…!味付けなのか、食材自体の味なのか、ミントみたいな、すーっとする香りがあり、食べられませんでした…;
最後に一番奥は、とってもおいしかった!ミルクたっぷりのふわふわ揚げパンで、砂糖をかけていただきますv子供が大好きな味v


慣れない味をお茶で流し込んでいると、なんだか視線を感じる。
振り返ると、女性店員が私達のテーブルをちらちら窺っている。
雰囲気としては、この外国人、ちゃんと食べれてるかしら?ハラハラ…といったかんじ?
昨日に引き続き、私たち、そんなにめずらしい?(笑)
Rちゃんと、やっぱり観察されてるよねー。北京って日本人観光客多いはずだよね?と不思議がる。
私はこういうのを面白いと思っちゃうんだけど、Rちゃんは居心地悪いみたい。

食事を終え(全部は食べ切れませんでした;)帰る前に、とかわるがわるトイレに行く。
トイレもジモティ仕様で、先に行ったRちゃんは興奮気味に「普通じゃなかった!」と戻ってきた。
どれどれ、普通じゃないって、どんな…

確かに、普通じゃなかった(笑)
ドアはなく、カーテンで仕切られている。

便器は初めて見るカタチ。
和式トイレを前後逆にとりつけたようなかんじ。

私はカーテンのほうを向いてしゃがみこんだけど、これが正しいのかはわからない(笑)
水を流すレバーは後ろにあった。

トイレから戻ってみると、テーブルの横に黒Tシャツの男の子が立っていて、Rちゃんとなにか話している。
どうしたの?というと、Rちゃん、顔だけ笑いながら「なんかわかんないけど話したいみたい」。

男の子は、拙い英語で(私もぜんっぜん人のこと言えませんが)「ふぇあ・あー・ゆー・ふろむ?」と言う。
「えーとね、日本。名古屋。知ってる?」と聞くと
「あい・らいく・じゃぱん!」
あ、そう(笑)
にこにこ笑って「あい・あむ・あ・べいじん・ゆにばーしてぃ・すちゅーでんと!」。

北京大かー(日本で言う東大)、へえー頭いいんだね!というと、
嬉しそうに「さんきゅう!」
にこにこしてテーブルを離れない。そして今度は

「ふぁっつ・ゆあ・ほびぃ?」

う、うーん、だんだん中学生の英語の勉強の相手をしているような気分になってきたぞ。Rちゃんはやっぱり顔だけ笑いながら「さっき私もそれ聞かれたよ」と言う。
え、えーと、趣味、趣味ね…海外旅行かな?(「私もそう言った」とRちゃん)

「まい・ほびー・いず・うぉっちんぐ・むーびー!」

そ、そう…。
海外旅行は行ったことないの?日本へは?
「のー・あい・でぃどんと!あい・わん・とぅー・びじっと・じゃぱん!」
ハハハ…。そうだよね、教科書にそういう例文載ってたよね(笑)

英語で外国人とコミュニケーションをとる黒Tを、他の店員の女の子は憧れのまなざしで見つめている。黒T、得意顔(笑)
おまえ〜女の子にかっこいいとこ見せたいだけちゃうんかー!?

でもそうか、普通の中国人は簡単に外国になんて行けないんだよね。金銭的な理由もあるけど、ビザがおりないこともあるみたい。
Rちゃんが留学中に会った中国人の女の子は、ビザがおりないからみんなと気軽に旅行ができなかったそう。
「それでも、その子は、相当に裕福な家庭(留学させてもらえるくらい)に生まれたんだろうなあと思った」と言っていた。

黒Tはもう少し話したそうだったけど、いいかげんRちゃんがうんざりしてきていたので(私もさすがに疲れた(笑))、もう行かなきゃいけないから、と店を後にする。
黒Tは、出口まで送ってくれて、写真まで撮ってくれた。
うーん、イイコだ。お勉強がんばれよ!

↑黒T。


店を出て、車に戻る。
車は予定通り、胡同めぐりツアーの発着所へ。


胡同とは、四合院造りの古い家が並ぶ地域のこと。
歩いて回ることもできるけど、せっかくなので人力車に乗ってまわりたい、とツアー手配をお願いしてあったのだ。
ドライバーは、ツアーが終わるのを待っていると8時間におさまらない、一時間ごとに超過料金を取ることになるけど、どうするか、というので、胡同に置いて行ってもらうことにした。
ドライバー、(やった、一時間得した!)と初めて笑顔を見せる。
なんかムカつくぜ…。

人力車(とはいっても京都にあるようなやつではない。三輪自転車に後部座席がついたようなもの)が並ぶ通りに車を停め、ドライバーが小さな事務所のひとつに声をかけると、中から、中国人らしからぬ髪型をした、今どきっぽい男の子が出てきた。
どことなく、ヨン様似。でもちっちゃい(笑)
こんなんが人力車を運転できるのか!?

ヨン様と二言三言言葉を交わし、ドライバーは車で去っていった。
ヨン様は流暢な日本語で自己紹介し、じゃあこれから胡同めぐりに行きますねーと私たちを人力車に乗せた。運転席に座るのは別の中国人。明らかに、日本語や英語を話せそうなかんじではない。
あ、あれ?これガイドつきツアーじゃないの??
運転手さんはなんにも言わず漕ぎ出して、ずんずん進んでいく。
…まあ英語くらい話せるのかな。
なんだか聞いてた話と違うなーこれもチャイナルール?

…とそのとき、後ろからもう一台の人力車がやってきた。
やはり別の中国人が運転している。
しかしその後ろの座席には、ヨン様が!!

はー、なるほど!
別便ですか!!
ヨン様は頭脳労働担当なのね!
「ポイントに着いたら説明しますね〜!」とヨン様。
よかった、これで安心して風景を眺めていられる(笑)。

〜世界の車窓から〜
北京人力車編。

だらけすぎ!

新郎新婦多すぎ!写真撮影でしょうか、数メートルおきにいました(笑)

人力車は、漕ぐのが大変そうだった。
私たちが(主に私が)重いせいで、運転手さんはぜえぜえ言っている。
なんだかひどいことをしているようで、申し訳なくなってくるなぁ;
スピードが乗ってくると、そんなに大変そうではなくなったように見えたので、ちょっとホッ。

しばらくして、最初のガイドポイントに到着。
人力車を降りて(空の人力車はどこかへ走っていった)、胡同の湖のことや、有名な橋のこと、老舗のレストランのこと(奥さんが日本人なんだって)をおしえてもらう。
ヨン様は日本語がかなり流暢で、私達の冗談も完璧に理解して反応してくる。
なのに、日本語は大学で勉強しただけで、日本には一度も行ったことがないという。すごい、かしこい!
まさか、北京大?

思わず聞いてみると、「いえいえ、そんなに頭良くないです(笑)」。
いやいや、十分頭いいでしょう!私なんて、中学校から何年も英語を勉強してたのに(義務教育だけど)、全然話せないよ!
ヨン様はとてもフレンドリーでいじりやすいので、観光そっちのけでいろいろと質問攻めにしてみる。

Rちゃんは、昨日のタクシー乗車拒否事件の真相がどうしても知りたい!と、どうして北京のタクシーは乗せてくれないの!?と怒って聞いていたけど、ジモティのヨン様も「行き先を言う前に拒否されたんですか?…うーん」とわからない様子。
うーむ、ほんとになんだったんだろうねえ…

話の中で、ヨン様が「秋葉原に行ったことありますか?」と聞くので、あるよ、秋葉原行ってみたいの?もしや、オタク?とからかうと、「ち、違いますヨ〜!でも、メイドカフェ行ってみたいです」とのこと。やっぱり、オタクじゃん!(笑)

よくよく聞いてみると、彼は日本のアニメが大好きらしく、私の知らないアニメのタイトルや声優の名前を、知ってますか?と聞いては、無知な日本人にがっかりしていた(笑)
ごめんよ、アニメは守備範囲外なんだよ…;

現在も大勢の人が暮らす胡同の町並みを歩き、四合院造りの家や飾りが象徴するものの説明を聞く。

真ん中の男性がヨン様(仮)。

これは、お金持ちの家。今は、イギリス人が買って住んでいるらしい。
扉の上の青い飾りは、家の眉といって、位を表すそう。多ければ多いほど、偉い人。家の前の一対の石の置物は、その家の主人の職業を表してるんだって。

四合院は、高い塀をめぐらせた敷地の中に、中庭を囲むようにぐるっと住居が建っている、中国の伝統的な造りをいう。(たぶん)
そのうちの一軒の呼び鈴を押すと、家の中から人が出てきて、私たちを中に入れてくれる。
どうやら、ヨン様のツアー会社と契約していて、観光客に自宅の中を見学させているらしい。

この家では中庭でざくろがなっていて、ガイドさんが「ざくろは縁起がいいです」と教えてくれた。
でも日本では「みが割れる(=身持ちが悪い)」と言って庭に植えるのはあまり縁起が良くないという地方もあるよね。私の生まれた新潟はそうだったな。
そういうと、そんなはずない、とびっくりしていた。


中庭のプラスチックの椅子に座ってしばし待つと、もう一組の日本人観光客が入ってきた。そのグループを案内しているガイドさん(中国人。ヨン様の部下らしい)も一緒に座る。
と、日本人観光客の一人が、おもむろにタバコを取り出して、その場でスパスパ吸い出した。
風下にいる私たちはもろに煙を浴びてしまい、超〜〜〜最悪な気分。
煙草を吸わない人がいる場所では、控えるなり、風下に行くなりするのが礼儀だと思うが如何に。第一、ここ人んちだぞ!ムカムカ。

しばらくして家のあるじだというおじさんが出てきて、自分たちの暮らしを説明してくれる。
いわく、この家には数家族(もちろん親戚だけど)が住んでいて、自分の仕事は切り絵をつくることだと。
仕事場はそこで、寝室はそこで、…と説明したのを、もう一組についてきたガイドさんが日本語にして伝えてくれる。
ヨン様は部下の日本語ににやにや笑いながら、ときどき日本語の間違いを注意して笑っていた。

説明が終わると、ガイドさんに引率されて、部屋の中を見せてもらうことになった。
どの部屋も中庭に面していて、それぞれの部屋はつながっていたりいなかったりで、一度中庭に出ないと他の部屋に行けない場所もある。
それぞれの部屋は大きいとは言えず(ダブルベッド一台とテーブルが置ける程度)、この広さの家に数家族が住むのはかなりきつい…。
それぞれの家族に部屋がひとつずつ、といったかんじ。

最後にご主人の仕事場に案内された。
いろんな切り絵の作品が壁につるしてあったり机に並べてある。
すばらしいでしょう、と言われてそうですねと答えたけど、絶対にこれは売りつける気だ!と身構えていたら、あっさり開放されてしまった。商売らしい言葉は何も言わなかった。
あらら、疑ってゴメン;

四合院造りの家を出て、中国の少数民族の民芸品を売る店が並ぶ通りを歩く。

ヨン様が、お店の中を見たかったら遠慮なく見てもらっていいですよ、時間はまだたっぷりありますから、としきりに言ってくれるけど、私もRちゃんも今回は全く買い物をする気が無かったので、ただ見るだけで通り過ぎる。
だって家族も友達も、中国製品のお土産は絶対にいらないから!って言うんだもん(笑)

通りを抜けたところに、私達の人力車と運転手さんたちが待っていたので、もう一度それに乗り、最初のポイントまで戻る。
料金を払って(一人130元)、ヨン様とはお別れ。

さて、これで今日予定してた観光はおしまい。
あとはフリータイムだ、どうしよう。
とりあえず、お茶でもすっか、と湖を取り囲む什刹海(シーチャーハイ)エリアを散策する。
湖のほとりにはおしゃれなオープンカフェが立ち並び、欧米人観光客も多くて、まるで中国じゃないみたいにいい雰囲気v(笑)

ぶらぶら歩くと、カフェが並ぶ通りの端に、中国風のスタバを発見!

中国限定メニューはあるかなあ?と思わず入ってみたけど、特に変わったのはなさそう。
店内は日本とほとんど変わりなかった。
のどが渇いていたので、アイスカフェラテにしようと思ったけど、あまりにいつもどおりすぎ?とRちゃんのまねをして季節限定のフラペチーノを頼んでみる。
一口飲んで、やめときゃよかった…と後悔。
生クリームどっちゃりのフラペチーノ、実は苦手だったんでした…(T_T)
飲めば飲むほどのどが渇く、悪魔の飲み物を三分の一ほど消費し、あとはゴミ箱へ。ごめん、フラペチーノ。君に罪はないんだよ…

スタバで休憩しながら、ガイドブックを見て、次にどこに行くか相談する。
見たいところ(=万里の長城)は見てしまったので、頑張って観光する必要も無い。
夕飯までの間に、マッサージにでも行こうかということになった。
ガイドブックに載っていた「ロングアイランド」に決定。

スタバを出て、タクシーを拾うべく、道路に向かって歩く。
振り返ると、湖にボートが浮かんでいて、湖面がきらきら輝いてとてもきれい。
写真を撮って欲しいなーとRちゃんを振り返ると、Rちゃんはひとりでさっさと歩いていってしまう。
仕方がないのでデジカメで湖の写真を撮ろうとすると、バイタクのおじさんが「どこ行きたいの?乗っていく?」と話しかけてきた。
どっちみちタクシーかバイタクを使わないといけないんだし、とガイドブックを見せて「ここなんだけど、わかる?」と聞いてみる。
おじさんは、うーん、ここは遠いからタクシーを使ったほうがいいよ、と教えてくれる。
「わかった、そうするよ」と答えて、ついでに写真を撮ってと頼んでみる。
おじさんは快く引き受けてくれた。

私がカメラに向かってにっこりした瞬間、Rちゃんの「gucci(仮名)ー!早く来てーーッ!」という金切り声が聞こえてきた。
な、何事!?
いそいでカメラを受け取り、Rちゃんのいるほうへ走っていくと、Rちゃんがバイタクの運転手2人に取り囲まれている。
「もうっ、gucciが遅いから客引きにからまれるじゃんっ!」とめずらしくぷりぷり怒っている。
そ、それはごめんよ、でも私から離れてスタスタ行っちゃったのはRちゃんでわ… ついでに英語が堪能なんだから自分で断れば…
…とは思ったけど言いませんでした(笑)

近くに停車していたタクシーにガイドブックを見せ、ここまで行ってくれるかと聞く。
答えはノー。場所がわからないから行けないと言う。
昨日の悪夢がよみがえる。
早くもめげそうになりつつ、2台めにトライ。
今度は、勝手に後部座席に乗り込んでから地図を見せて、ここに行ってくれと頼んでみる。
運転手さんは「知らない」と困った顔をしていたけど、「じゃあとりあえず近くまで行ってくれればいいから!」と言うとなんとか発車。
お店の近くで降ろしてもらって、あとは自分で探してもよかったんだけど、運転手さんは付近をぐるぐる回って見つけてくれた。
よしよし、それでこそタクシーだ!

ロングアイランドは観光エリアから少し離れた場所にあった。
入り口から半地下へ降りると、中はバリ風(リゾート風?)のインテリアで、水が流れていて薄暗く、いいかんじv
カウンターのお姉さんに予約はしてないんだけど、というと、いいですよ、メニューを選んでくださいと言って表を見せてもらう。
メニューは豊富にあり、せっかくなのでエステもしたいし、でもマッサージも捨てがたい…とああでもないこうでもないと悩んでいる間にも、あとからあとからお客さんが入ってくる。
現地の若い女性や欧米人の男の人など、常連さんぽいかんじ。

ようやくメニューを決めた。
Rちゃんは60分のタイ式マッサージ、私は90分のスペシャルマッサージ。
お姉さんにお願いすると、コンピュータでなにやら調べたあと、「ごめんなさい、今部屋がいっぱいで、二人同時にはできないの」。
ええー。残念。でも仕方ないから別々の部屋でもいいです。Rちゃん、終わったら30分待っててね…
「いえ、そうではなくて、スタッフの数が足りないので、おひとりが終わったらもうひとりを始めることになります。コースを変えるか、少し待っていただければお二人同時にできると思いますが…」
どうやら、それぞれのメニューに専門のスタッフがいて、しかも部屋の数も決まっているために、一度にできる客の数が決まってくるらしい。
仕方ないので、コースを妥協してリクエストしてみるも、なかなか空きのあるコースがない。

だんだんいらいらしてきたRちゃん、もういいよ、帰ろう、と言い出した。
いやいやいや、せっかくタクシー乗って来たんだからさ、マッサージしていこうよ!;
二人でできるメニューはどのくらい待てばできるの?と聞くと、30分後にアロマボディスクラブマッサージができるという。
もうそれでいいです、ねっ、30分待って一緒にやろうよ!
少々強引にRちゃんを説得して、ウェイティング用のバリ風ソファ(ベッドみたいなやつ)に座らせる。

カウンターのお姉さんは、待っている間にどうぞ、とスイカの生ジュースを持ってきてくれた。(ジュースはオレンジやマンゴーなど5種類くらいの中から選べる)
このスイカジュース、フレッシュでとってもおいしかった!
機嫌の悪かったRちゃんも、これには大喜び!買って帰りたいくらい、と感激していた。
フロントのお姉さんは丁寧で親切で、これぞサービスというかんじv

30分後、スタッフに誘導されて、奥の部屋へ。

ぼんやりとした間接照明が灯る廊下の突き当たりに、完全な個室があり、中へ入るとひろーいリゾート風のお部屋に、オットマンつきのソファがふたつ、壁にはテレビ、マッサージ用のベッドが2台、洗面所にはシンクが二つ、シャワールームがあった。おおっ、ゴージャス!

ソファに座って待っていると、若い女性スタッフが二人入ってきて、飲み物のメニューを渡された。これは別料金らしい。
アルコールもあったけど、私たちは烏龍茶を頼む。
でも、いつ飲むんだろう?(笑)

若い女性は、私たちに身振りで服を全部脱いで、紙のパンツをはくように言った。
(といっても英語が全く通じないので、お互い中国語と日本語。&ボディランゲージ(笑))
そうだよね、スクラブだもんね。脱がないとね… って、おねーさんたちの前で脱ぐの!?

ベッドの上の紙パンツとおねーさんたちを交互に見つめてみたけど、出て行く気配がないので、諦めて思い切り良く脱ぎ始める。
慌てて外に出て行くおねーさん(笑)。
Rちゃんはシャワールームにこもってお着替えしてる。
なんだよー。

しばらくしておねーさんが戻ってきて、ベッドにうつぶせになるように言う。
うつぶせになると、背中や足、うなじまで、なにやらざらざらしたものできゅうりをいたずりするかのように、こすられる。
終わったら裏返してざりざり。
くまなく撫で終わったところで、起きて、と助け起こされ、バスタオルを巻かれ、シャワーを浴びるように言われる。

え?もしかして、これで終わり?;
これであの値段は納得いかないんだけど…!
シャワーを浴びに立ったRちゃんも、憮然としている。
Rちゃんはこれでもう終わりと思ったらしく、かなり長い時間をかけて体を洗っていた。
その間、私は待機(シャワーブースはひとつしかない)。

すると、女性スタッフが新しいバスタオルと紙パンツをバスルームの前に置き、ベッドの上をもう一度新しいタオルでメイキングし始めた。
あ、なんだ、やっぱりこれからが本番なんだ(笑)
ほっとしてRちゃんを待つ。
出てきたRちゃんも、きれいになったベッドを見て一安心。

私もスクラブを流すだけのシャワーを浴びて、おねーさんに促されるまま、もう一度ベッドでうつぶせに。
女性スタッフは終始笑顔で物静かで、礼儀正しく、とてもここが中国の店とは思えない。
マッサージを始めるのも私たちが二人揃うのをじっと待ち、待っている間もペチャクチャお喋りするわけでもない。

ベッドの下のアロマランプからはすごーくリラックスできる香りがただよい、うつぶせの背中を絶妙の力加減でアロマオイルでマッサージされ、もう夢心地…

ときどき「痛くないですか?」とか「気持ちいいですか?」と聞いてくれてるのか、中国語で優しく話しかけられるんだけど、あまりの気持ちよさにとろとろと半分眠ってるような状態の中、私もRちゃんも、出てくる答えは「ンーむ…」だけ(笑)
おねーさんたちはふふふっと笑って、低い声で二言三言会話して(ニュアンス的に「日本語わかんないよね…」とかそんなかんじ)、またひたすら静かにマッサージ。

頭の先からつま先まで、全身くまなくマッサージされ、もうすっかり夢心地。
終わりました、と起こされたときには、よだれが出てたかもしれません(笑)
Rちゃんが先にシャワーを使っている間、スタッフが先ほど注文した温かい烏龍茶を持ってきてくれる。Rちゃんの分はソファ横のテーブルの上に。
頭ぼっさぼさで、寝ぼけ顔で烏龍茶をすする。
その間にも、スタッフはてきぱきと新しいバスタオルを用意し、一礼して部屋から出て行った。

はーーーーー気持ちよかったあ…
もう1回やって欲しいくらい!
シャワーから出てきたRちゃんも、「すっっっごい気持ちよかったぁー!近所にこのお店があったら、絶対通ってる!」と大絶賛。
途中から、マッサージしている手がぽかぽかと温かくなってきて、それがコリをほぐしていくのがたまらなく気持ちよかったらしい。
よかったぁ、説得してマッサージを一緒に受けてもらった手前、イマイチだったら責任感じちゃうもんね。

シャワーを浴びて、ソファに座り、烏龍茶を飲みながらまったりする。
ようやく重い腰を上げてフロントに向かい、清算を済ます。
ついでにタクシーを呼んでもらう。
タクシーが来るとフロントの男性がちゃんと呼びに来てくれて、見送ってくれた。
最後まで、気持ちいいサービスでしたvvv

タクシーで王府井へ向かう。
今日の夕飯は、四川料理の有名店、四川飯店の予定v
タクシーは四川飯店の目の前にとめてくれた。
すぐ店に入るつもりだったけど、王府井は歩行者天国になっていて、食べ物の屋台がずらりと並んでいる。
串ものあり、得体の知れないデザートものあり。面白そうー!
Rちゃんは屋台で夕飯済ませてもいいよ、と言ったけど、せっかくなので屋台はあとのお楽しみにとっておく。

四川飯店に入ると、入り口のところに案内係のウエイトレスが待っていたので、二名だというと、片手をポケットにつっこんだまま、めんどくさそうに先に立って歩き始めた。
う〜ん、これぞ中国人。

階段を登ると、2階には中国風の大広間に円卓が並んでいた。
円卓はひとつに10人くらい座れるデカいやつ。
円卓では酔っ払ったおやじがつばを飛ばして大声で談笑していて、無愛想なウエイトレスがバカでかいお皿をどん!と円卓に置いたり、食べ残しのあるお皿を何十枚も重ねて運んだりしている。
有名店というからには高級店なのかと思いきや、かなり庶民的な店みたい。
まあ屋台で食べることを思えば、これも高級店なのかもしれないが(笑)
Rちゃんは「これだよこれ!私が想像してた中国のレストランは(笑)」と大喜び。


私たちは厨房に近い小さなテーブルに案内された。
メニューから適当に何品か選び、青島ビールを飲みながら店内の人間ウォッチング。

こんなでっかいテーブルを一グループで埋めるのは、団体ツアーでもなければ大変だろうから、きっといくつかは相席なんだろうと思っていたら、驚いたことに、帰るときはテーブル全員が席を立っていく。
お、同じグループなんだ;
靴下まで脱いで酔っ払っていたオヤジの集団(地元民)も、私たちのビールがきたあたりで全員が帰っていった。

そしてもうひとつ驚くことがあった。
どのグループも、呆れるくらい短時間で食事を終えて出て行くのだ!
途中に入ってきた日本人のツアー客が、さっさと出て行くのは当然として(ほんと早かった。座った瞬間にすべての料理が並んだ)、中国人客(家族連れも一グループ10人の大所帯)も爆撃機のようにテーブルの上を食べつくして30分ほどで出て行く。

はー面白い…(笑)

隣のテーブルに座っていた日本人の夫婦(すごーくすごーく地味だったので、日本語を聞くまで中国人夫婦だと思ってた(笑))と、唖然として眺めてしまった。
料理は、四川料理に慣れた日本人の好きな味。
辛くて脂っこくて、高級、洗練には程遠い味だったけど、そこがまたおいしかった。


中国人客の3倍くらい時間をかけて、食事を終える。
店を出ると、屋台はますますにぎわっていた。

わくわくしながら、屋台をひとつひとつ眺める。

串ものの店では、せみの幼虫やヒトデ、サソリを刺して売っている店もあった。

こんなの、ほんとに食べるやついるのか?!客寄せじゃないの?
面白いけど、絶対食べたくないぞ!

きれいな色をしたゼリーを一つ買ってみる。
(というより、眺めていたら買うのだと思われて、砂糖をかけてくれてしまったので買わざるを得なくなった)

キウイ味のはずだけど、キウイの味なんかほとんどしない。
うすーい砂糖水をうすーい寒天で固めただけの味。
まずかったのでちょこっと食べてゴミ箱行き。
いいの、経験することに意味があるんだもん(笑)

ホテルまで歩けない距離ではなかったけど、疲れていたのでタクシーを拾う。今度はちゃんと乗せてくれた。
すっかりタクシー不信に陥っている私たち(笑)

ホテルに帰り、お風呂に入って、寝る。
まだ9時くらいだったけど、二人ともベッドに入るなり爆睡。