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12月29日(金)

朝、目覚ましが鳴る前に目が覚める。

背中が汗びっしょりで、のどがカラカラ。
昨日も思ったけど、どうやって暖めてるのか、この部屋、異常に暑い!
窓際のヒーターはlowにしてあったはずだし、原因は床暖房か。どこかにコントローラーでもあったのかもしれない。

眠れそうもないので、枕もとの電気をそっとつけて、昨日書けなかった日記を書く。
時計が手元に無いのでわからないけど、6時くらいだろうか。
しばらく日記を書いているうちに、Cちゃんも起きてきたので、出かける準備をする。

化粧をしているとき、またしても事件が。
Cちゃんのアイブロウペンシルがなくなったというのだ。
「どうしてこんなに、ついてないことばっかりおこるの!?」

なぜだ…。
なぜ自分の持ち物をちゃんと保管しておくことができないんだ…(T_T)
「大丈夫、きっと思いもかけないところから出てくるもんだよ、そーゆうのは。とりあえず、gucciの使いなよ…」
旅行3日目、今日も、朝っぱらからCちゃんをなだめることから始まった…;

8時ごろ、朝食を食べに一階へ。

食べながら、今日のプランを考える。
今日はウィーンへの移動日。
私達の電車は昼すぎ出発なので、午前中いっぱい時間がある。
プラハ最後の観光はどこへ行こう?

gucciは、国立博物館や市民会館が見てみたい。映画の撮影にも使われた豪華なホールや、アールヌーボーの建物、素敵じゃない?
そういうと、Cちゃんの機嫌が露骨に悪くなってきた。
…そうですか、入場料がかかるところはイヤなんですね…。

Cちゃんは、ガイドブックを眺めて、ここがいい、とペトジーン公園を指差した。
こ、ここか…。
人にもよると思うけど、gucci的には全くノーマークだった場所。
展望台以外、見るべきものはなにもなく、近くに他の観光ポイントもない。
おまけに、交通手段は徒歩のみ、しかも遠いので、ここに行って帰ってきたら、それだけで午前中潰れそう。
やだな…と思ったけど、もうお金のことでモメるのがめんどくさいし、昨日は結局シナゴーグにも付き合わせたわけだから、今日はCちゃんの行きたいところに付き合おう。うん。

よし、そうと決まれば、しゅっぱーつ!

あ、その前に。
昨日から考えていたとおり、Cちゃんに共同財布を解消しよう、と提案する。
共同財布は、タクシー代やごはん代、入場料、チップなど、細かい出費をいちいち清算する手間を省く、とてもいいアイデアだと思うんだけど、今回に限っては、百害あって一利なしみたい。
共同財布から、余ったコルナの半分をCちゃんに返す。

ホテルを出て、お土産やさんの並ぶ小さなアーケードをくぐり、モルダウ川沿いに南下する。

アーケードのウィンドウに並ぶ、レッドコートとウェリントン。奥にはフランス兵とナポレオン。こっそり萌えーv

なぜか、プラハにはマトリョーシュカが多い。かわいいけど、買って帰って飾るときに場所とりそう(笑)

カレル橋を遠くに見ながらレギー橋を渡る。


観光色が全くない、普通の商店街を通り抜け、てくてくと歩いて山を目指す。
途中、山のふもとに変な銅像たちを発見。

なんだか恐いぞ。

目指すペトジーン公園は山頂にあり、ケーブルカーで登ることができるらしい。
ケーブルカー、ケーブルカーっと。
ガイドブック片手に駅を探していると、突然Cちゃんが「ケーブルカー乗るの? …私、別にそんなにあそこ行きたいわけじゃなかったから、乗らなくてもいいんだけど」。

は?

お ま え が 行 き た い っ て い っ た ん だ ろ

行きたくないなら、なんでこんなとこまで歩いてきたんだ!時間の無駄だろーが…!!

きっと、ケーブルカーに乗っていかなきゃいけない、なんてとこまで読んでなくて、入場料かかんないとこだからここ行きたいって言ったものの、ケーブルカー料金払わなくちゃいけないと知って、やめたくなったんだよねーはははっ。わかりやすいなあ!

・・・コ ロ ス 。

「……まあ、ここまで来たんだから、行かなきゃね!きっと、上は景色がいいんじゃないかな!?」
引きつる笑顔をごまかしつつ、ケーブルカーの駅へずんずん進む。
四の五の言われないうちに、チケットを券売機で買ってしまう。チケットは一人20コルナ(120円)。
もういい加減、財布からお金が出て行くたびに無言になるのはやめて欲しい…(T_T)

時間になってゲートが開いたので、ケーブルカーに乗り込む。

しばらくすると、他にも数人の観光客が乗り込んできて、ケーブルカーは山頂へ。

ペトジーン公園はだだっ広いだけで、やっぱり特になにもない。(夏は鏡の迷路やなんかがあるみたいだけど)
展望台は、韓国の有名ドラマに出てきたらしく、韓国人には人気があるらしいけど、まだ朝早いせいか、入り口は閉じられていた。

うーん、じゃあ帰るか…と引き返すと、案内板に修道院のマークを発見。
地図を見ると、山を反対方向に下っていけば、ストラホフ修道院に出るらしい。
せっかくここまで来たし、ただ下りるのももったいないので、ストラホフ修道院を見学していくことにする。
細い山道を下りる途中、眼下には美しいプラハの町並みが広がっていた。

朝の新鮮な空気を吸いこみながら、誰もいない山道を散歩…
gucciのささくれた気持ちが、癒されていくのがわかる。
Cちゃんも、きれいだねぇと喜んでいる。
うん、来てよかったな!

のんびり歩いて、ストラホフ修道院に到着。

反対側から団体さんが下りてくるところを見ると、どうやら私たちは修道院の裏口に着いてしまったらしい。
白い建物が並ぶ敷地(ブルージュの修道院にちょっと似てる)を、観光客に逆行して歩く。

ガイドブックによると、ここは神学の間という図書館が有名らしい。
図書館の入り口で、入場料とカメラ持ち込み料を払い、中へ入る。
天井の高い、静かな部屋に、茶色く変色した古い本たちが、ずらりと並んでいた。

この本には、何が書いてあるんだろう。
聖書?天文学の教科書?哲学の本?誰かの日記が混ざってたりはしないのかな。
ここにある本の内容を、全部知っている人はいるんだろうか。
こういう想像をかきたてられる空間って、gucciにはたまらないのよねv
Cちゃんも、何百年も前の手書きの本(鉛筆で下書きして、インクで飾り文字を書いたもの)を眺めて感心している。
よかった、全く関心がないわけじゃないみたい…ホッ。って、これじゃホントに小学生の引率だよ…(笑)


満足して修道院をあとにする。
正門から出て、カレル橋へ向かう。
このへんはウィーンから来た貴族が、たくさんお屋敷を作ったところらしく、パステルカラーの素敵なおうちがたくさん!

↑写ってるのはCちゃん。

ホテルのある旧市街も素敵だけど、この街並みと比べると、下町っぽさは否めない。
日本の企業がCMを撮影する場所としてもよく選ばれるらしく、サントリーDAKARAや日産マーチのCMでもこのあたりが映ってた。

↑踊るgucci。顔をお見せできなくて残念ですが、めちゃめちゃ嬉しそうです。

下り坂の途中、看板の上に木馬を乗っけた、かわいいお店を発見v
入ってみると、店中に木で作ったカラフルなおもちゃが、たくさん並んでいる。

お店のお兄さんも、シャイだけどすごくいい人で、これはこうやって揺らすんだよ、とかこれは色がかわる鉛筆だよ、試してみて、といろいろ説明してくれる。
全部欲しくなったけど、かさばるものは諦めて、小さなサンタの振り子人形と、書いているうちに色が変わる鉛筆を買う。

お兄さんにお礼を言って、再びカレル橋へ。


途中見かけたフランス兵?の看板。トルドロをお勧めしてるんでしょうか。

チェコはガーネットでも有名らしい。町中にアクセサリーショップがあります。私もひとつ…と思ったけど、デザインがイマイチで、買いませんでした;

初めて見る昼間のカレル橋(昨日は朝か夜だったから)は、大勢の観光客で大混雑!

楽器を弾く人、マリオネットを操る人、絵を売る人、そしてそれを見るたくさんの人!


通り抜けるので精一杯だ。

聖ヤン・ネポムツキーもこの通り。近づけない!

やっとのことで、旧市街側の橋塔にたどり着く。

ついでに、橋塔にも登ってみることにする。
細い石のらせん階段をぐるぐる登り、入場料を払って、またぐるぐる登る。

塔の天井。なんと、木組みです。


人がすれ違うのも難しいほどの最上階(というより屋上)からは、カレル橋とプラハ城の素晴らしい景色を見ることができる。
すっきりと広がった青空、遠くに見えるプラハ城、お城にのびる美しい橋。
まさに絵葉書のような眺め!



きれい…

そして寒!!

指先から伝わった冷たさで、身体の芯まで凍りそう!
いいね〜vこれぞ冬!(つねづね、ショートジャケットに生足で歩ける名古屋の冬は、生ぬるいと思っているgucciです)

橋塔を降りて、見納めに旧市街広場へ。

昨日見学時間が過ぎてて入れなかったティーン教会を、少しだけ見学する。
白と金のデコレーションが豪華な印象。でもそれよりも、観光客がわんさかいて、早々に退散する;
やっぱり年末だからか、どこも人が多い!

そのかわり、昼間の旧市街広場は、にぎやかでとても楽しげ。

昨日と同じく、たくさんの屋台が出ていて、そこかしこからおいしそうな匂いがただよってくる。
Cちゃんは、今回の旅行で3個めのトルドロを買っていた。
トルドロ、お店によって味が全然違ってて、でもどれもとても美味しいのだ。

青空にそびえるティーン教会を目に焼き付けて、急いでホテルに向かう。
いそげ、タクシーが迎えに来るのは12時半!
広場の角を過ぎるとき、なんだかやたら混んでるなあと思ったら、みんな、正午に動くからくり時計を待っているらしい。

満員電車のようにぎゅうぎゅう詰めで、とても反対側に抜けられそうもないので、からくり時計が終わるのを待つことにする。
しばらくして、時計の針が重なり、そして、離れた。
群集は、思い思いの方向に散っていく。
・・・あれ?
からくり、終わったの?
なにが、どう動いたんだ!?
まったくわからないまま、人の流れに乗ってホテルまで帰る。
(これ、プラハのガッカリ名所らしいです(笑)サイズのわりに、仕掛けの部分がちゃちなんだって)

↑上の、二つの小窓から人形が顔を覗かせるらしいです。

ホテルに着くと、私の顔を見るなり、フロントのお兄さんが「スーツケース降ろそうか?」と声をかけてくれた。
イエス、プリーズ!と答えて階段を駆け上がる。
忘れ物はないか確認して、スーツケースを降ろしてもらい、チェックアウト。
エキストラベッドの追加料金は取られなかった。
実は、ネットで予約する際、フロントマンとのメールのやり取りの中で「友達の寝相がひどくてダブルベッドじゃ無理そう」と伝えたら、じゃあエキストラベッドサービスしてあげるよvと約束してくれたのだv
(ついでに「赤い部屋じゃなきゃいや〜ん」とわがままを言ったら、これもきいてくれた)
このメールの相手じゃなかったら、もしかしてエキストラベッド料金取られるかも…と思っていたのだけど、ちゃんと伝えてくれてたみたい。

フロントのお兄さんにさよならを言って、ホテルの入り口で、頼んであった送迎サービスを待つ。

店の前のオープンカフェで、観光客にあったかいココアとホットワインを販売している。
ココア、いいなー暖まりそう。…でも今買うと迎えが来るまでに飲みきれないよね。いいなー。
5分遅れでドライバーが到着。少し離れたところに停めてあった車に乗り込む。(ホテルの前は「王の道」でめちゃくちゃ観光客が多いため、車が入れない)

さようなら、金の木!

車は20分ほど市街地を走り、ホレショヴィツェ駅に着いた。
裏口なのか、人けがなくて、うさんくさいかんじ。
そこへ、さらにうさんくさい自称ポーターがやってきて、荷物を運びますという。(もちろん「結構です」とお断りした)
ほんとに、ここ、鉄道の駅?
ドライバーに聞くと、そうだという。
半信半疑だったけど、スーツケースをひきずって進むと、確かにそこは駅構内だった。でも…なんだか暗い。
壁が灰色でくすんでいるせいもあるかもしれないけど、狭くて雑然としてるし、構内にあるケバブのお店は、お昼時だというのに閉まったまま。というより、廃墟になってるかんじ。
待合室は見当たらず、発車を待つ人たちは、片隅のピンボール台の脇にあるベンチに腰掛けて所在無げにしている。

電車の出発時間までは、あと30分。
私たちも、そのベンチに腰掛けて電車を待つことにする。
余ったチェココルナを消費するために、自販機で自分の分とCちゃんの分のココアを買う。ココア、ココアv
自販機は日本のものと違っていて、お金の投入口がゲームセンターのメダルゲームのようになっていた。
金属のスリットにコインをはさんで、機械に押し込むと、コインが入っていく。
紙コップが機械の中から出てきて、3つの爪でできたカップホルダーにはさまり、その中に勢いよく熱いココアが注がれる。
ふちまで一杯に入った紙コップを・・・どうやってとるんだ?(汗)
しばらく待ったけど、爪が開く様子がないので(紙コップが宙に浮いた状態)、力技で紙コップを抜き取る。
ああ熱っちィィイ!!!(T_T)←ココアがこぼれました
こ、この自販機、すげー使いにくい!ツッコミどころありすぎだよ・・・!!(笑)

↑gucciがこぼしたココア。

ちなみに、ココアだけで6,7種類ありました。
全部チェコ語だったので、なにが違うのかわからなかったけど、字面から推測するに、ミルク多め、とかプレミアムなんとか、なかんじだと思います。
私が買ったのは、一番目と二番目にあったココア(笑)

Cちゃんとふたりでココアをすすっていると、Cちゃんがそわそわしだす。
「ちょっと、私電話してくるね」
言うなり、荷物を放り出して、公衆電話に走っていく。
もおおおお、またか…。
いや、いい、別に彼に電話するのはいい。
でもCちゃん、観光しててもご飯食べてても、何をしてても目で公衆電話を探してるのだ。(ソフトバンクの海外でも使える携帯を持っているけど、料金が高いから使いたくないらしい)
その度に、Cちゃんの電話タイムが終わるのを待たなくてはいけないし、観光してても「うん、うん、そうだね…あ、公衆電話あった!ちょっと彼に電話してくるね!」と気もそぞろで、しらけてしまう。
おまけに、街中でトヨタ車やニッサン車を見かけるたびに、「うちの子(彼の子だけど)」の情操教育にvと前後左右から写真を撮りまくるので、たった100メーター歩くのに、すっごく時間がかかる。
もう…(T_T)旅行のときくらい、彼のこと考えるのは控えめにしませんか。
それと、車の写真ならディーラーに行けばいっぱい置いてあるから!

ため息をつきながら、Cちゃんの荷物の見張り番をしていると、すぐにCちゃんが戻ってきた。
おや、今回は早かったな。
「どうしよう、どうしよう…彼が電話に出なかった。何かあったのかも」。
日本は今、夜八時。お風呂にでも入ってるか、ご飯でも食べに行ってるんじゃないの?明日またかけてみたら?
「…やっぱりもう一回かけてくる」
はあーーーーーーーーーーっ(ため息)。
そんなに毎日一緒にいたいなら、なんで旅行になんて来たんだ…!

電車の出発時刻が近づいたので、Cちゃんを公衆電話から引き剥がし、ホームへ急ぐ。

ホームにはすでに、スーツケースをひきずった人たちがたくさん。
私たちの乗る電車、EC173ウィンドボナ号も到着していた。
(ウィンドボナはウィーンの昔風の言い方なんだって。尾張とか越後みたいなかんじ。こんなふうにチェコ・オーストリアでは列車に名前がついている。スメタナ号とかメンデル号とか)


私たちも早速乗り込もうとしたけど、チケットに書かれた車両番号を見て、ちょっとびっくり。
にひゃく…258号車?
しかし、ここでも旅行記で読んだ知識が役に立つv
車体に大きく書いてある「2」は2等車両のこと、ドアのガラスに小さく書いてある数字が車両番号。
ちなみに、この数字は順番に並んでいるとは限らないらしい(←これヒドイよね(笑))

261、260…と先頭に向かって進んでいき、258号車を発見v
車両の内部はコンパートメント式になっている。
わー、ハリーポッターみたい!

(写真は到着前に撮ったもの。日没後なので暗いです;)
チケットと、コンパートメント入り口の予約表を照らし合わせる。
ヨーロッパでは、指定席車両と自由席車両は分かれておらず、指定されてない席は自由席。
予約されている席には、その予約区間を書いた紙が入り口に貼ってあるのだ。

難なく私たちの席を発見。

3対3のコンパートメントの、一番奥、窓際の席ふたつ。
同じコンパートメントには、新聞を読みふけっている若い女の人と、優しそうなおじいさん。
どこの国の人だろう。ドイツ人かな。
この列車は国際列車で、3つの国を通ってくるらしい。最初の駅はドイツ、ハンブルク。チェコを通ってオーストリアに抜けていく。
おじいさんは、しきりに‘スーツケースを棚の上にあげてあげようか’とジェスチャーで言ってくれたけど、いいえ大丈夫です、ありがとう、とお断りする。
海外だと、年配の男性がとても優しくて、荷物を持ってくれようとしたり、席を譲ってくれたりするんだけど、日本人の私は、そんな、お年寄りに重いものを持たせるなんてとんでもない!と思ってしまう。脳出血したらどうするの!(笑)
でも、レディーファーストが徹底してるってことだよね。うらやましい。日本の男性も見習えよ!

結局、重すぎるスーツケースは、コンパートメントの外の通路に置いておくことに。
列車が走り出してしばらくして、予定通り食堂車でランチすることにする。
食堂車は私たちの車両から3つほど前の車両にあった。
私たちの他には2組が静かにランチを楽しんでいるだけ。

席に着くと、たった一人しかいないウェイターが、メニューを持ってきてくれた。メニューはドイツ語版、チェコ語版、英語版がひとつに綴じてあるもの。

私はヌードル入りイタリアンスープ(もうこのネーミングでいけてない予感(笑))、オムレツを注文する。
イタリアンスープは、トマト味のスープに、のびきったパスタ(ソフト麺みたい)がどっさり入っているもの。おまけに、上には生クリーム。

どう見ても、これが「スープ」のカテゴリに分類されるとは思えない量。
オムレツはとにかくしょっぱくて、食べているうちに唇が痺れてくるほど。


数年前、卒業旅行で行ったイタリアの食堂車はよかったなあ。
人気があるので予約をした時間にしか食べられず、しかも相席になったりするし、全員コース料理を注文しないといけないんだけど、前菜、メイン、デザートと、ちゃんとしたものが出てきたっけ。さすがグルメの国イタリア。

それでも、流れる景色を眺めながら、ファーストフードでない食事ができるというのは素晴らしい。
窓の外は、プラハを出てからどんどんと、雪の量が増えてきて、いまや一面の雪景色。

凍った川や池で、アイススケートしている子供がいて、びっくり。雪をどけて、手製のホッケー場を作っている子供もいた。
いいなあ!
私たちが子供のころは、今よりももっと寒くて、田んぼに貯まった水が凍ったときもあった。妹と、スニーカーでスケートの真似をしたっけ…。でも、田んぼだから稲を刈った後の切り株があって、ひっかかってうまく滑らないんだよね(笑)

食堂車は、私たちが来た後からどんどんお客さんが増えて、テーブルが全て埋まってしまった。
一人しかいないウェイターはてんてこ舞いだ。
お勘定をお願いしたくても、なかなかウェイターがつかまらないので、食後のコーヒーを飲みつつ、のんびりする。
ウィーンまでは4時間半。急いだって仕方がない。

と、ここでまたCちゃんが「どうしよう、携帯がない!」と騒ぎ出した。
バッグをひっくり返し、ポケットをひっくり返し・・・
ない、ない!先に部屋へ帰るね!と半泣きで走っていった。

なぜだ・・・どうして自分のものをちゃんと管理できんのだ・・・。

やっとのことでウェイターをつかまえ、残っていたコルナで会計を済ませて、Cちゃんの後を追う。
コンパートメントに行くと、Cちゃんが早速携帯で彼にメールしていた。
携帯はダウンジャケットのポケットに入っていたらしい。
やれやれ・・・。

列車はどんどん暗くなる雪景色の中(日没は16時)、順調に走っていく。
国境付近でパスポートコントロールがあると聞いていたのを思い出し、コンパートメントの外で、スーツケースに入れてあるパスポートを引っ張り出していると、隣のコンパートメントのアジア系の女の子と目が合った。
思わずにこっと笑いかけると、向こうもにこっ。
一人旅かな。日本人ではないみたいだけど、中国人かな?

コンパートメントに戻り、かわりにCちゃんが席を立った隙に、隣の席のおじいちゃんに話しかける。
このおじいちゃん、暇を潰すアイテムを持っていないらしく、ずっと私たちに話しかけたそうにしてたから。
さっき新聞を読んでた女性は、カバンの中から新しく数種の新聞を取り出して、一心不乱に読みふけっている。どんだけ新聞好きなのか!(笑)

(おじいちゃんに)どこから来たんですか?
「・・・?(にこっ)」
英語わからないのかな。じゃあgucciの貧弱なドイツ語でトライ!
ボーヘアコメンジー?イッヒコメアウスヤーパン。
「・・・?(にこっ)★○△×□◎▽?」
ド、ドイツ語でもなかったか。
おじいちゃんは、一生懸命コミュニケーションをとろうとしてくれたんだけど、結局、時間切れ。
国境近くの駅で、バイバイ、と笑って手を振って降りていった。
そうか、プラハからチェコ国内という移動もあるもんね、国際列車だからって国境を越えなくてもいいんだよね。今のおじいちゃんはチェコ人だったのか。チェコ語でさよならくらい、言えたらよかったなあ。

列車はオーストリアへ入国。
もうあと少しでウィーンに到着してしまう。
いつまで待ってもパスポートコントロールが来ないので、もしや食堂車にいたときに飛ばされてしまった?と不安になり、前の座席の女性(まだ新聞を読んでいる)に聞いてみる。
もうパスポートコントロールは来ちゃったの?

女性は、流暢な英語で、パスポートコントロールは来ないわよ。クリスマス休暇は乗客が多いから、免除になってるの、と教えてくれた。
そ、そんな〜。
列車で入国したことを示す、電車マークのハンコが見たかったのに(T_T)

定刻を15分ほど過ぎて、6時半ごろ、ウィーン南駅着。
列車から降りるとき、後ろから、隣のコンパートメントにいた女の子に話しかけられる。
「@*+%&$??」
えっ?
なんて言ったの?
英語で聞いても、首を振って、何語かで話しかけてくる。
わかんないよ… 一人旅で話し相手が欲しいのかな?
もう一度、簡単な英語で聞いても、やっぱりどこかの言葉で喋るばかり。
ごめんね、わかんないよ、と困った顔をしても、こちらが言葉を理解できないのがわからないみたいに、何度も話しかけてくる。
列車を降りたあと、女の子は、同じコンパートメントにいたらしい年配の女性のスーツケースを持とうとして、NO!と断られていた。明らかに警戒されているみたい。
確かに、ちょっと変な感じの子だったな。
英語もできないのに、一人旅?しかも、小さなショルダーバッグひとつで国際列車に乗ってきた?
精神障害がありそうだったけど、どうやってここまで来たんだろう。不思議…

ウィーン南駅は、夜だということもあるけど、なんだか暗い雰囲気。
タクシーで今日のホテル、HOTEL SAVOY GARNIへ。

(写真は次の日の朝撮ったもの。到着時は真っ暗でした)

ウィーンには三泊する予定だけど、このホテルに泊まるのは今夜だけ。
明日、明後日はカウントダウンイベントに便利なシュテファン広場近くのホテルを確保してあるのだけど、今夜の分のホテルは予約が取れなかったのだ。
立地と値段を検討した結果、レストランの多いマリアヒルファー通り近くのこのホテルになった。
ちなみに、一部屋116ユーロ。年末のカウントダウンに向けて、ホテルの料金が2倍にも3倍にもなるこの時期、この立地とこの値段はかなりお得。
グッジョブ俺様。(誰も褒めてくれないので自分で褒める(笑))

でもさすがに安いだけあって、ホテル周辺はあまり人が歩いてなくて、ちょっと暗い雰囲気。
階段を上り、二階のフロントへ上がると、意外にも中は明るくてかわいらしいかんじだった。

金のシャンデリアや豪華なソファ、ピンクのカーテン、化粧は濃いけど、かんじのいいフロント係のおばさんが迎えてくれる。

夕飯はまだ?と聞くので、そうだというと、おばさんはウィーンの地図を取り出して、ディナーするならここ、LUXっていう店よ!と印をつけてくれた。

小さなエレベーターで部屋(22号室)へ。
ドアを開けるとまずシャンデリアのある廊下があり、右手にトイレ(バスルームと別)、突き当たりにバスルーム。

左手のドアを開けると、シャンデリアの下がったパステルグリーンの素敵なお部屋v


リビングスペースにもシャンデリアがあり、とってもかわいらしい雰囲気。
枕もとの絵も、なんだか萌えーv(笑)



一息ついて、夕飯を食べに外へ出る。
寒い!
プラハより、だんぜん寒い。
暗い道を5分ほど歩くと、ホテルのおばさんが言っていたように、バーやレストランが集まる通りに出た。
まず、おばさんオススメのLUXを見てみる。
建物の2階にあるらしく、中は見えない。
普通、メニューが通りから見えるところに張り出してあるものだけど、それもない。
大体、おばさんは何で聞かれてもいないのに、この店を薦めたんだろう。
ホテルと提携してるんだろうか。あやしい・・・

付近をぐるっと歩いてみる。
Cちゃんは、イタリアンが食べたいと言って、角にあったお店がいいと言っている。
私はせっかくウィーンにいるんだし、オーストリア料理が食べたい。昼間のスープを思うに、どうもこの辺のイタリアンのレベルは高くなさそうだしね…。
このままだと、どちらを選んでもどちらかが不満を抱きそう(そしてたぶんそれはgucciになると見た)なので、「こういうときは、あいだをとって、おばさんオススメの店にしよう!」とLUXに決定。
もしまずくても、二人でおばさんの悪口を言えば気も晴れるしね。

ビルの狭い階段を登って、LUXのドアを開ける。
入ってみると、中は大勢の人で賑わっていた。

あれ、案外まともそうだ(笑)
私たちは、かろうじて空いていたテーブルに座ることができたけど、後から来た人たちの中には、断られていた人もいた。
メニューを見ると、オーストリア料理もイタリアンもある。なんておあつらえ向き!
英語が上手な、キュートなウエイターが、ドイツ語で書かれたメニューの説明をしてくれた。
私は黒板メニューから、シャンパンとスープ、魚のソテーを注文。


これがまた、ふつーに美味しくてびっくり。
なんだ、あのおばさん、ただ親切で自分のお勧めを教えてくれただけだったんだ。
疑っちゃってごめんなさい;

店は、夜が更けるにつれてどんどん混んできて、私たちがお勘定を済ませたいと思っても、店員がなかなか来てくれなくて困ったけど、久しぶりにまったりと楽しい時間を過ごせた。(Cちゃんもお金のことを言わなかったし)(って、もしかしてユーロ→円の計算ができなかっただけなのかも)

外の寒さに震えながら、ホテルへ帰る。
スーツケースの整理をしていたら、Cちゃんが「ああっ、アイブロウペンシル、あったぁ!何でこんなところに入ってたんだろ?gucciの言うとおりだったよ!」と喜んでいる。
ま、よかったよかった。
Cちゃんには、もうちょっと、自分のものを管理する方法を覚えて欲しいよ…(笑)

お風呂に入って、就寝。

・・・と思ったら、Cちゃんが朝4時半に目覚ましをセットしている。
な、なんで!
「だって、彼と今日話せなかったから、明日いっぱい話したいんだもん。今かけたら、彼を起こしちゃうし。」
友達を朝4時半に起こすのは、いいのね…

「…そ、そう…。なるべく私まで起こさないでね」
ムカムカしつつ、寝る。
困ったもんだ…