どんどん橋、落ちた
綾辻 行人
ネットが出来なくなって、読書に没頭していた2週間あまり。
積読状態の本も着々と片付き、残るは長編のみとなったとき、
なんか短編集読みたい・・・との衝動に駆られ、再読しました(^^)
これは5つの作品が収められている短編集なのですが、
どれも『読者への挑戦』がついた、『犯人当て』になっています。
綾辻先生ご自身も登場していたりするので、
ほかの作品とはちょっと違った楽しみもあると思います(^^)
『どんどん橋、落ちた』
1991年の大晦日の夜、ミステリ作家・綾辻行人の下へ、奇妙な来客があった。
確かに見覚えはあるけれど、はっきりと思い出せない『彼』は『U』と名乗り、
綾辻行人は彼を自宅へ招き入れる。
彼の持ってきた一冊のノート。
それは彼の書いた推理小説『どんどん橋、落ちた』だった。
Uくんはそれを綾辻行人に渡し、『犯人当て』に挑戦して欲しいという。
綾辻行人は犯人をすばり的中することが出来るのだろうか(^^)
このUくんの書いた『どんどん橋、落ちた』、読んでてちょっとした違和感みたいなものがあるんですよね。
ちょっと注意して読めば、あれれ?って気づくことがあるかも〜です。
私はまるまる騙されたクチです(笑)
ホント、解決編を読んでも、犯人はそうだろうと思っても、納得できない〜〜っていうか(^^;
ここには一人と一匹の、重要な証人が出てきます。
『悩める自由業者・リンタロー』と『飼い犬・タケマル』です。
このリンタローの証言もポイントですね〜。
面白いのは、悪ガキが一人でてくるんですが、その名前が・・・
リンタローやタケマルっていうのも、どこぞで聞いた名前ですよね♪
この作品にもいろんなところに伏線があるので、見逃さないでくださいね!!
とにかく、先入観を捨てて読み進めたら、結末が見えてくるかも知れません(^^)
冒頭に結構なヒントも隠されていたりするかも〜だし。
または、私のように『そんなんあり?』と思うお仲間も、増えるかもしれません♪
読み終わったあとの脱力感はたまりませんでした(笑)
『ぼうぼう森、燃えた』
『どんどん橋、落ちた』の出来事から2年たったお正月の夜。
またしても綾辻行人のもとへUくんがやってきた。
これまた彼が書いたという推理小説を携えて(^^)
タイトルは『ぼうぼう森、燃えた』
今回もまた綾辻行人に『犯人当て』をやってもらおうということらしい。
2年前のリベンジを果たせるのでしょうか(^^)
今回も設定が変わっていて面白いです♪
『悩める自由業者・リンタロー』も『悪ガキ』も出てきます。
ただ、リンタローのペットが、猫のミドロさんになってます。
タケマルは・・・もちろん登場しますが、今回はリンタローのペットじゃありません。
登場するものたちの特性が大きな鍵になっているのかなと思います(^^)
なんか『ガラスの仮面』を読んでいる方には、ピンとくるものがあるらしいです。
私は読んだこと無いので、なんのヒントにもなりませんでした(^^;
当然のように、これも読み終わってからの脱力が・・・
いい意味での〜ですよ(^^)
なんか、もっといろいろと感想書きたいけど、書くとネタバレしそうになるので、
こんな感じでご勘弁を(^^;
『フェラーリは見ていた』
デビュー以来お世話になっている編集者・U山さんの別荘に招かれた綾辻行人。
そこでU山さんの奥様・K 子さんからある事件をきかされる。
近所で起きた事件で、葛西さんというおじいさんが可愛がっていたシンちゃんが殺されたという。
その真相はいまだ解明されておらず、綾辻行人とK子さん、新しい担当者のA元くんの3人での推理が始まった♪
推理の結末を読み進めていると、またしても脱力してしまいました(^^;
先入観は捨てるべし!
そう思っているのに、どうしてもそれが出来ないんですよね〜。
と思っていると、なにやらまた脱力の気配が・・・
してやられた〜〜ってことばっかりなのですが、それがまた気持ちよかったりする私って(^^;
でもこの作品の最後の感想は・・・『ふ〜〜ん』でした(笑)
このお話の中にホームズの『銀星号事件』がちらっと出てきます(^^)
お。ホームズ♪と喜んでしまった一瞬でした♪
『伊園家の崩壊』
某国民的明るい平和な家族とは関係ありません。
と言われても、どうしても結び付けてしまうこのお話(^^;
『あちら』の世界に住んでいる小説家・井坂(いさか)先生から、
『こちら』の世界に住んでいる綾辻行人の下へ、電話が入る。
隣家の伊園(いぞの)家で起こった殺人事件の謎を解いて欲しいと言う。
急いで井坂先生の下へ駆けつけた綾辻行人は、そこで起きた悲劇を聞かされる。
井坂先生が書いた『小説』と言う形で。
それを『読者への挑戦』という意味でのミステリとして読み、推理する綾辻行人。
彼が導き出した結末は・・・
あの家族がこんなことになるなんて・・・と思わずにはいられないお話。
旦那様に設定を話して聞かせたら、なんと大笑いしておりました(^^;
いえ、確かに笑ってしまうんですよね・・・
悲劇が次々と襲ってくるし、おまけに殺人までおこるのに・・・
笑っちゃいけないけど、なんか笑える(^^;
お話の中で、綾辻が井坂先生に『本格ミステリにおける基本的なルール』を語ります。
その中に『コナン資料館』でも紹介されている『ノックスの十戒』と『推理小説の二十則』が出てきます。
おさむさんも書かれていましたが、こちらでも『現代では殆ど通用しない』と書かれていました(^^;
なんか『コナン資料館』と繋がってるものが見つかって、嬉しかったり♪
普段何気なく生活しているけれど、歯車がひとつ狂うと、うまく回らなくなるものなのかなあと思いました。
ここで狂った歯車は、大きすぎる代償を残してしまうのですが・・・
そして最後の最後まで悲劇は続くんです。
ある意味重いお話かも・・ですね。
某国民的明るい平和な家庭。
いつまでも平和であって欲しいです(^^)
『意外な犯人』
この作品は、もしかしたら映像でご覧になっている方もいらっしゃるかもしれません(^^)
1994年の読売テレビ深夜番組『真冬の夜のミステリー』で放送されたものをネタに、
書かれた作品だそうです。
物語は5年ぶりに綾辻の元をUくんがたずねてくるところから始まります。
今回Uくんが持ってきたものは、以前綾辻行人がテレビの推理ドラマのために書いたものだと言う。
どうしてもそれを思い出すことが出来ない綾辻は、
『犯人当て』の小説として、これを読み進めてみることにした。
これはシナリオみたいな構成になっていて、頭の中で映像化しやすい感じでした。
ここではまたまた『コナン資料館』で紹介されている三つの言葉が出てきます。
『ハウダニット』『フーダニット』『ホワイダニット』
『コナン資料館」のアニメの感想にて、初めてこの言葉を教えてもらって、
おばばちゃんと『なんて意味??』って騒いでは、おさむさんにお聞きしたことを思い出しました〜。
早い段階で犯人に気づく方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか(^^)
私は後半になってやっと気づいたんですけど(^^;
でも完全な答えじゃなかったのが、残念でした。
もっと深く読み込めよ〜〜とは自分への突っ込み(笑)
『意外な犯人』とは誰なんでしょうか(^^)
と、5つの『犯人当て』がつまった作品集です。
この手のお話がお好きな方は、是非読んでみてはいかがでしょうか(^^)
短編が苦手ってかたも、これなら楽しめるかも〜とも思います。
なかなか面白いお話ばかりなので、お勧めしたい一冊です〜♪