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A-106-1 Xtreme Filter
A-106-1 Xtreme Filter 詳細画像

¥16,800(税込¥17,640)

MS-20を元にした、12dBのローパスフィルターと6dBのハイパスフィルターの複合モジュール。ローパス/ハイパスそれぞれ独立した信号入力/レベルコントロールを備え、幅広いサウンドのバリエーションが得られます。リニアではないカーブ、設定によって激しく歪む、「極端(Xtreme)な」サウンドを持つ個性派フィルターです。
WIDTH : 14 HP
消費電流:30mA

Overview

A-106-1は、KORG MS-20のフィルター部のクローンを製作した時の経験に基づいて設計されたモジュールです。
有名なオリジナルMS-20は、特殊な設計の12dBローパス6dBハイパスの2つのフィルターを直列に接続しています(MS-20のハイパスフィルターは時々12dBと解説されていますが、これは正しくはありません)。
回路のリサーチの途中で、我々は同一の回路内でローパスとハイパスのそれぞれのフィルターに異なるオーディオ信号を入力すると、非常に面白い結果が得られることを発見しました(これはA-101-1と良く似ていますが、MS-20の特殊な回路とはサウンドが大きく異なります)。このため、A-106-1ではローパス(LP)とハイパス(HP)の各フィルターへの、独立したレベルコントロールを備えたオーディオ入力を用意しました。HP入力に何もプラグを接続しない状態では、LPに入力された信号はHPにも同様に接続されます。HP入力にプラグを挿すとLPからの信号は分断され、それぞれ異なった信号が入力されます。HP入力のレベルは正/負両方向にコントロールすることが可能です。これはLPの信号に対しHPの信号を正相(+側)、逆相(-側)の何れの極性でも加えることを意味します。この機能により、ノッチ(+側)/バンドパス(+側)フィルターの特性を作り出すことが可能なのです。我々の観点では、この方式は以下の機能を実現するための最もフレキシブルな方法であると言えるでしょう。

ローパスフィルター
オーディオ信号はLP Inに入力、HP Levelコントロールはゼロ、LP Levelコントロールは任意のレベルに設定します。

ハイパスフィルター
オーディオ信号はLP InまたはHP Inに入力、LP Levelコントロールはゼロ、HP Levelコントロールは任意のレベルに設定します(この設定のみ、HP Levelの極性はどちらの方向に設定しても差異はありません)。

1種類のオーディオ信号でローパス/ハイパスをミックス
オーディオ信号はLP Inに入力、HP Levelコントロール及びLP Levelコントロールは任意のレベルに設定します。

  ○設定例1:LP/HP Levelコントロールを同じ極性(HP Levelが+側)で歪みが無いまたは僅かな歪みを伴う同一のレベルに設定した場合、〜ノッチフィルターとなります(ここで生成されるノッチフィルターは他のA-100システムのノッチフィルターとは異なり完全なものとは言えないため、"〜"を付けています)。
  ○設定例2:LP/HP Levelコントロールを反対の極性(HP Levelが-側)で歪みが無いまたは僅かな歪みを伴う同一のレベルに設定した場合、〜バンドパスフィルターとなります(ここで生成されるバンドパスフィルターは他のA-100システムのバンドパスフィルターとは異なり完全なものとは言えないため、"〜"を付けています)。
  ○設定例1/2の特記事項:オリジナルのMS-20の回路はノッチ/バンドパスでの使用を想定した設計となってはいません。〜ノッチ及び〜バンドパスの各フィルターは、あくまで上記の欠点を持ったオマケとお考えください。こうした不完全な特性となる理由には、ローパス/ハイパスのそれぞれのカーブが12dB/6dBと異なっている点が挙げられます。これにより、他のフィルターと同様に単純に加算/減算を行っても「完全な」ノッチ/バンドパスフィルターを生成できないのです(90度のフェイズシフトが残ってしまいます)。より良いノッチ/バンドパスフィルターを使用したければ、他のA-100フィルターを使用するか、2基のA-106-1を直列(バンドパス)又は並列(ノッチ)に接続し、適切な特性/カットオフ周波数の設定に調整して使用する必要があります。

ローパス/ハイパスに異なるオーディオ信号を入力
2種類のオーディオ信号をLP In/HP Inにそれぞれ入力、HP Levelコントロール及びLP Levelコントロールは任意のレベルに設定します。HP Levelの+/-コントロールは、2つのオーディオ入力信号の位相が揃っている場合(同一のVCOの異なる波形やディバイダーで分割されたオクターブ違いの信号等)と位相に関連の無い場合(異なる2つのVCO等)とで働きが異なってきます。前者の場合は+方向/-方向それぞれで異なるフィルターの特性が得られます。後者の場合はどちらの方向でもサウンドに差異はありません。

この設計は、更に特殊な機能を生み出しています。例えば、ローパスフィルターの信号が歪んでいないのにハイパスの信号が歪んだ状態(またはその逆)で正相/逆相でミックスすることが可能です。このためには、LP Levelコントロールを信号が歪まない小さい値に設定し、HP Levelコントロールをより大きな値(+/-両方向)に設定し、信号を歪ませます。
こういった設定の組み合わせにより、他では得る事ができない様々な特性/サウンドを作り出すことが可能です。

このモジュールの開発の過程でオリジナルMS-20を解析している途中、我々は興味深いことを発見しました。オリジナルのMS-20はフィルターの出力段の正/負両側にダイオードが1個づつ取り付けられており、これがリミッターの役割を果たし最大出力が約±0.7Vのレンジに制限されていました。試しにこのダイオードを一つ、または二つとも取り除くとフィルターは非常に興味深い動作をしたのです。リミッターが無くなったことによる出力レベルの増大やレゾナンスの動作、非対称形増幅による独特の歪みなど、オリジナルのMS-20では得られないサウンドが得られました。

A-106-1ではこのダイオード部分をCL+/CL-の二つのノブでコントロールできる様にすることで、ノーマルのMS-20から過激な動作まで、自在にコントロールすることが可能になりました。CL+/CL-の値を極端に変えることにより起きる非対称形増幅の状態では、レゾナンスの自己発振はサイン波ではなく独特の短いパルス派を生成します。またCL+/CL-とインプットレベルの特定の値の組み合わせではダーティでノイジーなサウンドが得られます。各々のコントロールは相互に密接な関係にあり、組み合わせ次第で無限のサウンドバリエーションが得られるのも大きな特徴と言えるでしょう。

レゾナンスのインサート端子も様々な使い方が可能です。フィルターのレゾナンスとは、フィルターの出力を入力にフィードバックする量を示します。この経路にVCAをインサートすればレゾナンスのCVによるコントロールが可能ですし、様々なサウンドプロセッシングモジュールをインサートすることで通常とは異なるレゾナンスの動作が得られるのです。