夢モノガタリ。 
(GetBackers/蛮×銀次+WILD ADAPTER/久保時)






これは、私が見た初夢を元にした煩悩SSです(笑)
蛮銀+久保時コラボになっておりますので、
ダメという方は絶対に読まないでくださいませー。

お読みになった後の苦情等は一切受け付けませんので、
ヨロシクよろしくお願いします(滝汗)



























「ねえねえ、蛮ちゃん! おでん買おうよー、寒いっ」
「おでんだぁ? スバルのシートに汁こぼすんじゃねえぞ」
「わかってるよ! ねえ、3つぐらいなら買っていい?」
「おう、好きにしろや」
「じゃあ、えっとー。オレ、厚揚げとー大根とー、あとウィンナー巻き!」
「アーホ! ウィンナー巻きは高ぇだろが! こんにゃくか白滝にしとけっての!」
「ええっ、んじゃあ、はんぺんは!?」
「却下! 100円以内のにしろ!」
「もう、蛮ちゃんのけちー」
「しょうがねえだろが! なんせ手持ちが1000円しかねえんだからよ!」
「はあ〜。お正月早々、なんかわびしーなあ。せっかくお仕事がんばってきたのにー」
「文句ぬかすな。おら、握り飯はどれにすんだ?」
「あ、えーっと。こんぶ…、あ、やっぱツナマヨ!」
「へいへい」


新年早々軽めの仕事をこなし、蛮と銀次はとりあえず、有り金はたいて腹ごしらえにと、たまたま通りがかった「7」のマークのコンビニに立ち寄り、遅すぎる夕食の買い物にいそしんでいた。
時間は、既に日付の変わるころ。
店内には、雑誌を立ち読みしている長身の男が一人と、その連れらしい少年が一人、スナック菓子を物色しているだけだ。
時間のせいもあってか、他に客の姿はない。


「蛮ちゃーん。ねえ、蛮ちゃん。お菓子はだめ?」
「あったりめーだろが! 金ねえって言ってんだろ、我慢しろ」
「だって、蛮ちゃんは煙草買ったじゃん」
「オレ様は、いいんだっての」
「ええ、そんなのズルイよ!」
「ズルかねえ! だいたいなー。まだこちとら、新宿までスバル転がして帰らなきゃなんねーんだぞ。隣でがーがー寝てられる、お気楽野郎と一緒にすんな!」
「うー」
蛮の言いぐさに、思わず銀次が口を尖らせてぶーたれる。
確かに、蛮の言う通りなんだけれども。
その拗ねた子供のような表情に、蛮がやれやれと肩を竦める。
それでも宥めるように、ぽんぽんとその金色の頭を軽く叩いた。
「金の受け渡しが、明日ヘヴン経由でって約束だかんな。ま、明日まで我慢しろや。明日になりゃあ、たんまり…ってほどでもねえが。まあ寿司ぐれえは食わせてやれんぜ?」
その言葉に、銀次の顔がぱあっと明るくなる。
「本当!? 本当に!? 蛮ちゃん!」
「おう、って、こら抱きつくな!」
「わーい、なんか久しぶりだねえ、お寿司!」
「ああ。そういや、最近食ってねえな」
「でもさー、今年はしょっぱなからトロが食べられるなんて縁起いいかもねっ、蛮ちゃーんv」
「ああ、わーったから! いつまでも抱きついてんじゃねえ! 重え!」
さも嬉しそうに背中から蛮の首に抱きついてくる銀次に、蛮が重いだ何だとぼやきつつも、それを見返し破顔する。



静かな店内に二人のじゃれつく声が響きわたり、先ほどからのそのやりとりを、商品の棚越しに別に見るともなしに見ていたらしい少年が、スナックの袋を手に持ったまま、眉間に縦皺を寄せるとぼそりと呟いた。







「ホモくせぇ…」







その瞬間、蛮の頬がぴくっと引き吊り、額にぴきっと怒りマークが浮かび上がる。
首に銀次の腕を巻き付かせたまま、ずるずると引きずるようにして大股にその前に行くと、同じ年頃らしいその少年に向かって思いきり怒鳴りつけた。

「おい、今なんつったテメエ!」
「ば、蛮ちゃん?!」
いきなり怒鳴られたにも関わらず、フンと気の強そうな瞳でそれを睨み返し、負けじと少年も怒鳴り返す。
「んだよ! ホモくせえからホモくせえっつっただけだろうが!」
「なぁんだと――! もっかい言ってみやがれ! だーれがホモだと!? ええ!?」
「あーそっか。ホモくせぇんじゃなくて、本物のホモかよ! そりゃ悪かったなー!」
「んだと、ゴラァ!」

「ばばばば蛮ちゃんっ! やめようよ、ねっねっ」

思わず掴み合いかかる二人に、銀次が慌てて後ろから蛮を羽交い締めにする。

「んな夜中に、ヤロー同士でいちゃついてんな! バーカ」
「ば…! このガキ! 大人しくしててやりゃあ、いい気になりやがって!」
「お、大人しくしてないよ!? 全然大人しくないってば、蛮ちゃん!」
「うるせえ、テメエは黙ってろ!」
「なんだよ、やろうってのかよ!」
「うわー、やりませんっ、やりませんってば」
「離せ、銀次!」

レジで店員がおろおろしだすのをちらりと見、雑誌コーナーで立ち読みしていた長身の男が、ゆっくりとそれを戻し、肩越しにのんびりと、その騒ぎの張本人たちを振り返った。
そして、はあーと溜息を1つつくと、のんびりとした足取りで、揉み合っている3人に近づいてくる。
口調は、さらにのんびりとしていた。


「やー、すみませんねぇ。ウチの子がどうもー」


「は? ウチの子だ?」
おっとりした声に水を差されたような形になって、蛮が思わず少年の背後に現れた男を見る。
見上げる視線の先で、男が細い目で笑むと、後ろから少年を抱き寄せるようにして蛮から引き剥がした。

「おわ!? く、久保ちゃん!? 何すんだよっ」
「時任ー。ほら、やめなさいって」
「んだよ。離せよッ、久保ちゃんッ!」
「はいはい、どうどう」

「ど、どうどうって、あの…」

「馬じゃねえぞッ! 俺様は――!」
「はいはい」

ちっとも力を入れてそうに見えないというのに、軽々と少年を蛮から引き離すと、上から見下ろし、たしなめるように少年を見る。
ちょうど背後から胸に抱き寄せられる体勢になって、少年が真上に男の瞳を見、やや頬を染めた。
「ほら、落ち着きなって。時任」
「だってよー、久保ちゃん」
穏やかな声音に答える声は、どう聞いても多分に甘えを含んでいる。
時任と呼ばれた少年が、長身の久保田の腕の中で上体を捻るようにしてその瞳と見つめ合うと、なんとも言えない雰囲気が辺りに漂った。




「――あの…。えーっと、これって…」




その様子に何か見てはいけないものを見たような気がして、銀次が少々赤面しつつぽりぽりと頬を掻く。
同じものを感じたのか、蛮が眉間に縦皺を寄せて、見たままをストレートに口にした。


「んーだよ、テメエらのが、よっぽどホモくせえじゃねえか」


「ばばばば蛮ちゃんっ!!」
「ん――だとお!?」
「あー、ソレ言えてるかも」
「く、久保ちゃんっ…?!」
「まー、いいでないの。どっちでも」
「よかねえって! だいたいこのウニ頭がだなぁ!」
「だーれがウニだ! このクソチビが!」
「ああ!? この時任様にむかってチビだとぉ!?」
「チビにチビっつって何が悪いってんだよ!」
「テメエこそ、頭ウニにして身長稼いでやがんだろうが! ったくセコイねえ!」
「な〜〜〜んだと〜〜〜!! テメエ表出ろ、オモテぇ!!」
「おう、上等じゃねえか!」


結局掴み合ったまま、店の外に出た蛮たちに、銀次がはあ…と大きな溜息をつく。
まあ、それでも。
外では、特に殴り合うわけでもなく、"ホモ"だ"ウニ"だ"チビ"だと、なかなかに低レベルでありつつも壮絶な毒舌合戦が続いているだけで、特に害はなさそうだ。
何となく止める気も失せて、とりあえずは気が済むまで待とうと、銀次がやれやれと肩を落とす。

「まったくもう…」
「"やれやれ"だよねぇ。でも、なんかー」
「はい?」
頭の上の方からのんびりとした声がして、銀次がいつのまにか横に来ていた久保田を見る。
こちらも煙草に火をつけたところで、のんびりと観戦の構えらしい。

「似たもの同士、ってカンジかなー? あれは」
「あー、そうですね。なんか本当にそんなカンジ」
「大変だねえ、キミも」
「あはは。まあ、大変ってほどではー。時々困っちゃいますけど」
「そーねー」
「苦労します? そちらも」
「んー。でも、その苦労もまた楽しいっていうか。可愛いしねー」
「あ、わかります! オレも、そういう蛮ちゃんもまた好きかなあって。結構子供っぽいし可愛いトコもあったりして。あ、でも、いざとなったら、すんごく強くてカッコよかったりもするんですけど!」
「ふーん。そうだねぇ。…あれ? 結構好みとか似てる?」
「あ、そーですねv」


のんびりと二人で談笑しつつ、ガラス越しに、さらにコドモの喧嘩みたいに"バーカ、バーカ"とどんどん低レベルになっていく蛮と時任の掴み合いに、二人同時にはあ〜と溜息をつく。


5本目の煙草を吸い終わったところで、思い出したように久保田が言った。


「あ。それはそうと。おでん、冷めちゃうけど」
「んあ! そうだ、レジんとこ置いたまんま!」
いきなりはっと気づいて慌て出す銀次に、くすりと笑って久保田が言う。
「じゃー、そろそろ連れて帰るから。ごめんね?」
「あ! いえ、こちらこそ! スミマセン」

ぺこりと頭を下げる銀次に、軽い笑みを一つ返して、久保田が扉を開き、さすがにぜいぜいなっている二人に向かって歩いていく。
銀次が、"あ、オレも"と慌てて、その後を追った。


「時任ー。帰るよー」
「え? 何だよ久保ちゃん! まだ決着が…! って、うわあ離せ久保ちゃんッ!」
「ほら、蛮ちゃん! 帰るの夜中になっちゃうよー。おでんのお金もまだ払ってないんだから!」
「お、何だ! こら銀次! 離せ、ゴラァ!」


「じゃあ」

ひょいと時任を担いで歩き出す久保田が、肩越しに銀次を振り返り、片手をひらひらとさせる。
それを蛮を羽交い締めにしつつ見上げると、銀次もにっこり笑顔になり、ぶんぶんと片手を振った。


「はいっ、すみませんでしたぁ! おやすみなさーい!」


「おやすみー」



「おやすみじゃねーよッ、何馴れ合ってんだよ!」
「はい、いいからいいから」
「くーぼちゃん!」



「お前なあ、銀次! こら、離せっての! ったく、馬鹿だけあって、馬鹿力なんだからよ!」
「もー蛮ちゃんったら、ヒドイなあ」
「ひでーのはテメエらだろうが! まだ決着ついてねえってのに!」
「あれだけ言い合ったら、もうすっきりしたでしょー。まったくもお、おでん冷めちゃったよー」
「うるせー、テメエの食いもんまでオレが知るか」
「もう、蛮ちゃん自分勝手ー」




でもまあ。
自分勝手な"猫気質"で、本当に我が儘な"俺様"なんだけど。
そういうとこも憎めないし、というか、そういうとこも大好きなんだよねー。



蛮をまだ羽交い締め、というよりは抱きつくようにしながら、暗い歩道に小さくなっていく二人の後ろ姿を見送って、銀次がこっそりと胸で呟く。
またどこかで、彼らと会えることがあったら楽しいのになーなどと、密かに思いつつ。




今度は、あの「時任」ってコと話してみたいなあ。
久保田さんとは、いったいどういう関係なんだろ。
オレと蛮ちゃんみたいに、仲良さそうだったなー。
蛮ちゃんと似てるってだけで、なにか凄く親近感かんじちゃうんだよねー。










新年早々、何だかほこほことあったかくなる心を抱いて。
銀次は、蛮を引き擦るようにして、「7」と書いた扉をもう一度開いた。







おでんはやっぱり、すっかり冷めていたけれど。
心は、新宿に着いて寝入る頃まで、ずっとほこほこしてあったかかった。










END



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エライ長いお話になってしまいましたが(汗)
実際私が見た夢は、時任くんの「ホモくせえ」の前後だけでした(笑) 
捏造してる方が多いじゃん(苦笑)
でも、とっても楽しかったですv

しかし、私の今年をまさに暗示するような夢ですねえ。コレって。




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