■ 年賀状とネガイゴト ■
新年。
新しい年。
スタートの年。
お正月の挨拶は、「新年明けましておめでとうございます」って言うんだって事を、去年・・・・もう去年だよね。うん、教えてもらってね、波児に。
なんで波児かって言うと、蛮ちゃんが教えてくれなかったから。
教えてくれなかったって言うのも、なんかおかしいかな。
知ってた?
って聞いたら、ぽかーんって。
もうホントに、演技とかそんなんじゃなくて、マジメに驚く・・・マジメってのはなんか変かな。
とにかく、あいた口がふさがらないってのは、こーゆーことなんだろうなって思ってさ。
俺もさすがに、あんなにびっくりした蛮ちゃんの顔を見るのは久々だったから、あー、これは知ってて当たり前のことなんだな、と学習する。
あ、でもね。
一応フォローしておくと、無限城でもそういう挨拶みたいなのはあったはずなんだよ、たぶん。
俺が全然覚えようと思わなかっただけで。
たしか、カヅっちゃんとかがなんか言ってたような気がするから。
・・・・たぶん、あったんだ。
自信ないけど。
それで。
それでさ、その時ついでに、その挨拶文をハガキに書いてお正月に渡すものが、ネンガジョウってのも波児から聞いたんだよね。
なんで?
って聞いたら、すんごい昔からの風習なんだって。
な、なるほどー。
そんなものを渡すのかー。
だったら。
だったら、来年は俺も蛮ちゃんにネンガジョウなるものを渡そうじゃないか!!
折角、アパートを借りて住所があるんだから。
去年みたいに、住居不明みたいな状態じゃないし。
そう考えて、えっちらおっちら作成した年賀状は。
困ったコトに、いまだに俺のジャケットのポケットに入ってる。
出し忘れたとか。
急にやめたとか。
そんなんじゃなくって。
書き間違いに気が付いたから、出せなくなっちゃったんだよね。
波児からもらった年賀状は一枚っきりだし。
おもいっきりペンで書いちゃったから、なんだかバッテンつけて書き直すのもイヤだし。
だけどだけど、なんか捨てるのはちょっとなぁ、って感じがするから。
カワイソウに、いつまでも俺のポッケの中に収まっちゃってるわけで。
ああ、どうしようかなぁ。
この年賀状。
「初詣って、一月一日に行くもんじゃないの?」
新しい年になって、もう二週目。そろそろ明けましておめでとうの言葉を言うのもどうなのかと思うようなある日。
依頼もなくてスバルくんの中で、あまりにもするコトがなくって、ぼんやりしていると。
同じように、ただ黙って煙草をふかしていた蛮ちゃんが急に、初詣でも行くか、なんてコトを言った。
あのねぇ、蛮ちゃん。
さすがに俺も、お宮参りっていうのは、元旦にするもんだってコトくらいわかってるよ。
こんな、お正月も終って、みんな普通モードにもどっちゃってる時に、なんで今更?
しかも。
「・・・・俺が行きたいって言った時は、めんどくさいからヤだって言ったくせにー」
ぷぅっと頬を膨らませてそう訴えると、とたんに怒鳴り声が降って来る。
「ったりめーだろうが!
なんであんなバカみてぇに人が溢れ返ってる時に、わざわざ乗り込まにゃならねーんだ」
「だけど、元旦じゃないと意味ないから、だからみんなあんな風に一生懸命お参りするんじゃないの?」
「あんなのはなー、とりあえずイベントに参加してぇっつー、日本人特有の妙な使命感からくる現象じゃねぇか。んなもんにわざわざ便乗するなんざ、アホらしくてやってられっか」
「じゃあ、なんで今頃行こうなんて言い出したの?」
それはとっても素朴な疑問だったんだけど。
俺の言葉に、蛮ちゃんは一瞬言葉に詰まる。
「・・・いや、それはだなぁ」
「まさかお賽銭泥棒とか考・・・」
ガッツン!!
さすがに、俺もちょっとイケナイとは思うけど。
これでもかー!!
ってくらいの特大の拳骨を頭のてっぺんから振り下ろされて、俺はじんじんとする頭を抱えて蛮ちゃんを見上げた。
「誰が何するために、真昼間からのこのこ神社に繰り出すと!?」
ぴきっとこめかみの辺りを引きつらせてる蛮ちゃんの顔に、俺は慌てて作り笑いを浮かべて。
「そ、そうだよねー。いくらなんでもねー」
「そもそも、どうせ賽銭泥棒すんだったら、ちんけな神社じゃなくてもっとでかいところ行くっつーの」
「・・・なんで?」
「あー?
でかい方が賽銭箱に入ってる札の数が多いからに決まってんだろうが」
「・・・・・・そうなの?」
「札束抱えて宮参りってのがうじゃうじゃいるからな」
「ふーん」
そういうもんなのか。
てか、蛮ちゃんなんかそーゆーとこも妙に詳しいよね。
そんなコトを思って、蛮ちゃんの顔をじっと見てると。
行かねーんか?
なんて言葉をもらってしまったから、俺はぶんぶんと思いっきり首を横に振った。
新宿西口公園からちょっと歩いたところにある、小さめの神社にたどり着いた俺達は。
お正月もとっくに終って、しかも平日の昼間ってせいもあってがらーんとしてる境内を歩いて。
賽銭箱の前に、並んで立つ。
「ほれ」
蛮ちゃんは、ポケットからおもむろに10円玉を二枚取り出して、一枚を俺の手のひらにのせた。
どうしたらいいかわかんなくて蛮ちゃんを横目で見てると、目の前にある賽銭箱にぽんっと放り投げ、手を二回叩いたから。
大急ぎで、俺もそれを真似する。
二回手を叩いたところで、それからどうするのか、もっかいちらっと蛮ちゃんを盗み見れば。
なにしてんだ、って顔で見られた。
「えーと・・・そんで、どうすんの?」
「あー、賽銭入れたら、後はカミサマってヤツに願い事でもしとけ」
「願い事?」
「依頼がきますようにとか、金ががっぽり入ってきますように、とか」
ふーん。
そういうコトをお願いするんだ。
そうか。
俺は、ちょっと悩んで。
「蛮ちゃんがこれ以上パチンコで負けませんように」
思いっきり大声で、お願いした。
とたんに。
隣で手を合わせていた蛮ちゃんが怒鳴ってくる。
「バッ!!
てめぇ、それはイヤミか!!」
「だって、取り合えずそれが一番じゃん!!
お仕事とか、俺もそれ思ったけど、でも今蛮ちゃんが先に言っちゃったし!!」
「アホ!!
先に言うとか、んなもん関係ねぇ!!」
「でも、同じことお願いしたら勿体無いよ!!
勿体無くない?」
「何が勿体ねーんだ、何が!!」
「10円が」
「あ?」
俺の言葉に、蛮ちゃんは眉間に皺をよせて。
その後、ふいに表情を和らげて、苦笑した。
「・・・別に同じじゃねーけどよ」
「うそ!
じゃー蛮ちゃん何お願いしたの?」
「さーな」
「うわー、なんかやらしー」
「何がだよ」
「言えないよーなコト?」
俺がそう問いかけると、蛮ちゃんは『アホ』と一声返してきた。
「・・・だってそうじゃない。それに、別のにしてもやっぱり同じコトお願いしちゃったりしたら、なんか勿体ないじゃんか」
「んなもん、好きなだけ願いごとでもなんでもしときゃいーだろうが」
肩をすくめてそんなコトを言う蛮ちゃん。
好きなだけ?
俺は、ふとある疑問が頭に浮かんで、思わず尋ねる。
「ねー蛮ちゃん。こーゆー時のお賽銭の金額って、決まってないの?」
「あ?
決まってるわけねーだろ。あんなもん個人の自由だ」
「だったら。だったら、すんごいいっぱいお金入れた方が、願い事はいっぱいかなえてもらえるわけ?」
「・・・いや、だからよ。こんなんは子供だましの・・・あー、だったらもっかい賽銭入れてなんか願っとけ」
そう言って、蛮ちゃんは俺にもう一枚10円玉を投げてきた。
「え、もう一個?
あと一個は・・・」
「それからな、別にこういうのは口に出さなくてもいーんだよ」
「そうなの?」
「ついでにもう一個言っとくけどな」
いい加減、うんざりしたような蛮ちゃんだったんだけど、そん時ばかりはふいにマジメな顔になって。
「金貰わなきゃ願い事も聞いてくれねーようなカミサマに、本気で願うような事なんざするだけ無駄だ」
そんなコトを、吐き捨てるように言った。
・・・・そう言われちゃうと。
俺はもう、なんも願えなくなっちゃうじゃんか。
それに、だったらなんで蛮ちゃん、お参りしようなんて言い出したわけ?
なんて。
浮かんでくる疑問とか、なんかもやもやしたのはいっぱいあったけど。
蛮ちゃんがあんまり聞いてほしくなさそうな顔をしてるから、それは俺の心の中にしまっておく。
煙草に火をつけながら、さっさとその場を離れてく蛮ちゃんの背中を見送って。
俺は、どうしようかと悩んで、しばらくその賽銭箱を見つめた後。
貰った10円をジャケットの上着につっこんで、蛮ちゃんの背中を追いかけた。
本当は、お願いしたいコトは一つ思い浮かんだんだけど。
俺は、それが本気だったから。
少し考えて、やめとくことにした。
その後、なんかお腹すいたねって話になって。
家に帰る前に、マックによる。
とは言っても、セットとか頼むようなリッチな状況じゃないから、ダブルバーガーを単品で二つのみ。
会計を済ませようと、蛮ちゃんが財布を取り出すのを黙ってみてると。
蛮ちゃんが、チッと軽く舌打ちをした。
「どしたの?」
「小銭が10円たんねーだけ」
そう言って、確か最後の福沢諭吉さんを取り出そうとした蛮ちゃんを見ながら、俺はふとさっき蛮ちゃんが俺に渡した10円がまだポケットにあるコトを思い出す。
「あ、俺10円持ってる」
そう言って、ポケットから10円を取り出そうとしたその時。
ひらり、と何かが足元に落ちた。
「あ?」
怪訝な顔をする蛮ちゃんに連れられて、それを確認した瞬間。
ボワッッ!!
と顔が真っ赤になる。
う、うわぁぁぁ。
ハガキ!!
年賀状落ちっ・・・
「だー!!
み、見ちゃダッ・・・」
「なーに隠し持ってんだおめーは」
「違っ、俺!!
それ俺のだから!!」
「そらおめーが持ってんだから、おめーのだわな・・・って、何隠してんだ。見してみやがれっ」
最初は呆れたような顔をしてる蛮ちゃんだったんだけど、俺があまりにもベタにしゃがみこんでそれを押さえ込んじゃったもんだから、急激に態度が変わる。
「だ、ダメだってばぁぁぁぁ!!」
「あー!?
てめぇ、俺様に見せらんねぇようなもんなのかよそれは」
「見せられないわけじゃないけど、見せたくないっていうか、違うんだよコレはー!!」
「てめぇの力で俺様に敵うと思うなよ!!!」
マックの店先で怒鳴りあいながら、落ちた年賀状を奪いあう俺達を、お店の人やお客さんは少し遠巻きに見つめていて。
その中央で、俺は床に張り付いたまま、蛮ちゃんにハガキを奪われるのを必死で防ぐ。
「んなろ!!
この場で犯されてぇかっっ!!!」
「な、なななななな何言って!!!!」
「だったら見せろってんだっっ!!!」
イヤだー!!
蛮ちゃんと睨みあったその直後。
つんつん、と肩をつつかれて。
ちょっと今は他の人と話してる余裕とか、そーゆーのないんだけど!!
と思いながらも、失礼だから一応振り返った。
そこにいたのは。
「メェェェェェェェ」
・・・・・・・・・ヤギ。
な、なんでこんなトコにヤギ!?
どうしたの?
マックでヤギ!?
ほとんどパニック状態の俺だったんだけど、そういえば!!
と思い出す。
ヤギって、確か紙食べるんだよね。
そしたら、この年賀状もちょっと勿体ないけど、蛮ちゃんに見せるよりはヤギさんのお腹を少しでも満たしてあげた方がいいよね、うん。
そうだ、ヤギさんに食べてもらおう。
それが一番いい。
何がいいんだか、テンパっててよくわかってない俺は、両手でハガキを持つと。
「ど、どうぞ」
床に座り込んだ状態で、目の前のヤギにハガキを差し出した。
「メェェェェェェェ」
ヤギは一声鳴いて、パクリとハガキを口に咥える。
そして、そのままむしゃむしゃと食べ・・・。
「ジャスト1分だ」
・・・・・・・・へ?
聞き慣れた声と台詞に、目をパチパチとさせれば。
ヤギさんの姿はどこにもなく、俺は自分の両手を差し出したまま、マックの床に座り込んでいた。
目の前には、にやりと笑っている蛮ちゃん。
しかも、俺がヤギに差し出したはずのハガキを、手にもってひらひらと・・・
あ、あれ?
え?
ヤ、ヤギさんは・・・
「夢は見れたかよ」
その言葉を聞いてはじめて、俺はあっさり蛮ちゃんの邪眼にひっかかっていたんだというコトに気が付いた。
「あ・・・なっ・・・ひ、卑怯だぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「あのなぁ。そもそもヤギが出てきた時点で気づけバカモノ」
「だって紙はヤギさんが!!!
ってか、返してよぉぉぉぉ」
「邪眼まで使ってんだから、ハイそーですか、なんて返すわきゃねーだろ。どれどれ」
「ば、ばんちゃぁぁぁん!!!」
取り返そうと手を伸ばすと、紙を持ってない方の蛮ちゃんの腕にがっしりと身体を抱えられて身動きがとれなくなる。
しかも、抱きかかえられるとかそんなカワイイもんじゃなくて、突進した猪なんかの腹の部分を横抱きにするようなカタチで。
おかげで俺は蛮ちゃんの顔色も伺えないどころか、驚いた顔で俺を見下ろしている店員さんとしっかりばっちり目が合っちゃってるという、どうにも情けない状態。
「あ?
美堂蛮さま・・・おー、よく間違わずに俺の漢字書けたな、おめぇ」
「う、裏見ちゃダメ!!
裏は見ないで!!!」
「・・・・見ろって言ってるよーなもんだろーが、それ」
ハッ!!
慌ててフォローしようかと思うものの、もう何をどう言えばいいかもわからなくて。
おたおたしてると、蛮ちゃんが『は?』と変な声をあげるのが聞こえた。
あー、もう。
だから見ないでって・・・
「『明けましておめでとうございます』・・・っておい、年賀状かよ、ただの」
「あ、あの!!
年賀状をね、書く・・・書こうと、思って波児にハガキを!!
でもそれホントは間違えて捨てる予定で!!」
「『来年も、よろしくお願いします』・・・・・・・・・・来年!?」
うわー。
読まれた!!
こんな大勢人がいる前で読まれた!!!
「だ、だってそれ、去年のうちに書くじゃんか!!
そ、そしたらなんか・・・来年とか・・・」
ギャラリーの誰かが、プッと吹き出すのが聞こえて、俺はさらに真っ赤になる。
あーもう、恥かしい。
だってさぁ、年賀状って難しいんだよ。
年明けにつくのを考えて文章書かないといけないじゃない。
でも、書いてるのはやっぱり年が明ける前だから、なんかこんがらがって。
だからそれは、去年の段階での俺の気持ちなわけ。
ポストに入れる直前に見直して、ようやく気付いて。
こ、こんなの出したらまた蛮ちゃんにバカだのアホだの散々言われるに決まってる。
そう思って、ポケットに入れっぱなしにしてたら、なんかもう出すに出せなくなっちゃったんだよね。
誰かが吹き出したのがキッカケになったのか、笑い声は少しずつ数が増えていって。
なんかさらし者みたいになっちゃった俺は、目の前の店員さんに仕方なく愛想笑いを浮かべてみた。
店員さんは、さすがというべきか。
俯いて、必死で笑いを堪えているように見える。
うわーん、もうハンバーガーいらないからさっさと帰りたい。
お昼抜きでも我慢する。
蛮ちゃんにそう訴えようと、口を開こうとしたその時。
「えれぇ先取りだな」
どこか呆れたような、でもなんかすごい優しい蛮ちゃんの、よく通る声が店内に響き渡った。
俺を拘束してた腕の力が抜けたのを感じて、ようやく身体を起こして蛮ちゃんと向き合えば。
苦笑しながら、蛮ちゃんが俺の頭を軽く小突いた。
そして。
俺のポケットにおもむろに手を入れてくる。
「な、何?」
「10円」
へ?
ごそごそとさぐって10円を見つけた蛮ちゃんは、それをぽんっとレジに置いて。
ダブルバーガー二つ、だなんて、何にもありませんでしたって顔で注文を繰り返すから。
店員さんもぽかんとしちゃって、蛮ちゃんの顔を凝視してる。
数秒の間の後。
ふいに我に返った店員さんが、大慌てでダブルバーガーを二個用意する姿を見ながら。
俺は思わず、蛮ちゃんの上着の裾をぎゅっと掴んだ。
「・・・大爆笑されるかと思った」
ダブルバーガーを齧りながら、家に向うスバルの中で。
あの後、ホントウに何にもその話題に触れない蛮ちゃんに、俺が恐る恐るそう切り出すと。
蛮ちゃんは、食べ終わったダブルバーガーの紙をくしゃくしゃに丸めて、俺に投げつけてきた。
「ゴミ投げないでよ!!」
「来年もよろしく、ってか」
「・・・だから、それはさぁ・・・」
「大した自信だな」
はい?
思いもよらなかった蛮ちゃんの言葉に、俺は思わず首を傾げる。
自信?
何が?
「まー、間違いなんだろーけどよ」
「来年?」
「おう」
「今年すっとばして、来年って書いたコトが?」
それが何で自信になるんだろう。
蛮ちゃんが何を言いたいのかがよくわからなくて、俺は更に頭の上にハテナマークを並べて。
蛮ちゃんの顔をじっと見つめた。
ヒント、頂戴。
そう目で訴える。
俺のその視線に気付いたのか、蛮ちゃんはフッと鼻を鳴らして。
「明日どーなるかもわからねーってのによ」
そんな事を言った。
ああ、なるほど。
それで、自信って・・・。
とたんに、俺が間違えて書いた文字に、なんかすごい意味ができたような気がして。
それまで恥かしくてたまらなかったその年賀状が、ちょっぴり誇らしく思えてくるから不思議だと思う。
蛮ちゃんすごいや。
だから。
だから俺は、思い切り胸を張る。
「・・・当たり前だよ」
「あ?」
「そんな自信、あるに決まってるじゃない」
蛮ちゃんがイヤだって言わない限り。
そんなの、揺らぐわけもない。
「だったら、ずっとって書けばよかった」
「・・・は?」
「そんなさぁ、今年とか来年とか言わずに。ずっとヨロシクお願いします、って」
「・・・・・・まー、都合のいい言葉だわな、ずっとってのは」
書き間違いもねーですむからよ。
にやっと・・・やっと、いつものように笑った蛮ちゃんに、俺はなんかすんごい胸がぎゅってなって。
二人して笑いながら、いつもと同じ街並みを横目で見送った。
本当はね、こうお願いしたかったんだ。カミサマに。
今年も、いい年でありますように、って。
だけど。
今だったらきっと、違うコトをお願いする。
今年も。
そして来年も。
その後もずっと。
いい年で、ありますように。
『オニキス』 高斑 空さまからいただきましたv
わーい空ちゃん、あけましておめでとうございまーす!って何月ですか!!! もう、本当にお仕事遅くて遅くて申し訳ありませーん(号泣) こんな素敵なお年賀SSをもらっておきながら、私感想でヤギがヤギがヤギがってヤギばっかり(まだ言うか/笑)でヤギウケしてしまって、肝心な感想をお伝えしてなかった気がします! ごめーん;; なんだか新年早々ほっこり心あたたまるお話を読ませていただけて、とっても幸せでした。空ちゃんの銀ちゃんは、とにかくいつも元気いっぱい一生懸命で、蛮ちゃんもなんだか年相応な男のコの部分も多分に見せてもらえて、すごく等身大の二人っていうのがお気に入りですvv そして、「来年も」と読んだ時の、蛮ちゃんの反応がとても好きです。きっとなんだか信じられないようなくすぐったいような、そんな気分だったんだろうなあv ごく自然に当たり前のように、銀次にさらにもう一年先を示されて、「この先ずっと」なんてこともチラリと考えてみたりして…? 蛮ちゃんが神社でお願いした「死んでも口に出せないようなこっぱずかしいコト」が大変気になりますvv もしかして、”そういうコト”なんじゃないのかい〜?vと想像してにやけてみたり。素敵なSSを本当にどうもありがとう、空ちゃん!!!v またイベントで会ったら、なでなでぎゅー!ってさせてねえvv
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モドル
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