パパは奪還屋G-2(3)より、ちょっと抜粋
陽が次第にビルの間に消えていく街を、歩道橋の上を歩きながら見下ろして、オレはどうにもたまらなくなって、唐突にその場にしゃがみこんでいました。
後ろから歩いてきた人が、そんなオレに躓きかけて、舌打ちしながら追い越していきます。
ごめんなさい。邪魔だよねー。
でも、もう動けない。
なんだか、もう・・・。
「・・・・・っ・・・・え・・・・っえ・・・っ・・・ひっく・・・」
大きな図体して、歩道橋の真ん中でしゃがみこんで俯いて泣いてるオレは、さぞかし道行く人たちには滑稽で情けなく、しかも不気味に見えたことでしょう。
でも、いいやもう。
歩けない。
歩けないもん。
蛮ちゃん・・・。
「ばーか」
・・・・え?
「なぁに、泣いてんだよ。オメーは・・」
頭の上に、ぽんと小さな手が置かれました。
目の前に、小さい靴。
半ズボンの膝小僧。
白いシャツ。
ゆっくり見上げていくと、オレの目の真ん前に消えていく夕日を背景に、悪戯っぽく笑っている蛮ちゃんの顔がありました。
オレがしゃがんでいるので、同じ目線で笑ってくれてる。
「でけえ図体して、んなとこで泣いてんじゃねーよ。ばか銀次」
口は悪態ついてるけれど、頭に置かれた手はくしゃくしゃと髪を撫でてくれてます。
やさしい手。
オレの目から、ぼろぼろっとまた涙が零れ落ちました。
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