メッセ-ジありがとうございましたvv


拙いものではありますが、せめてものお礼(↓)です。
少しでもお楽しみいただけますように。













■微熱

額に置かれた冷たいタオルの感触に,ヤマトは重いまぶたを開いた。
タケルがはっとして、思わずひっこめようとした手をヤマトの手が掴まえる。

「起こしちゃったね・・・ごめん」
「いや・・・ どのくらい寝てた?俺」
「うん・・・と・・・二時間くらいかな? 少し熱下がったね」
「・・・・ああ」
ベッドの傍から兄の顔を覗き込んで、少し顔色のよくなったヤマトにタケルがほっとしたように微笑んだ。
「じゃあ、僕、お父さんのご飯つくるから」
「いいよ・・・おまえ、遅くなるから、もう帰れよ・・・」
「え?だって・・・・」
戸惑うタケルに、ヤマトが汗ばんだ前髪を掻きあげながら、少しぶっきらぼうに言う。

「今日は俺、こんなだし、送っていけねえから・・・」

「大丈夫だよ。それに今日は泊まるから」
「泊まるって・・・明日学校だろ?」
「そう。だからお兄ちゃんが寝ている間に宿題と明日の用意とか全部持ってきた」
用意周到な弟に驚いたように、ヤマトがにっこり微笑む可愛い顔を見上げる。
「明日、僕が学校行ってる間はお母さん来てくれるって。今のうちに仕事しとかなきゃって、今、がんばってる」
「母さんが・・・・?」
「・・・・そう露骨に困った顔しないで」
ちょっと自分も困ったような顔で笑んで、タケルが言う。
「悪いよ・・・」
「どうして?」
「どうしてって・・・・」
「だって、僕たち離れて暮らしてたって家族でしょう? ちがう?」
いつになく強い口調に、熱のせいで言葉尻の重いヤマトは返す言葉もなく、ただ黙ってうなずいた。
そして、手に捕らえたままになっていたタケルの腕をそっと引き寄せる。
一瞬だけの深いキスをして、唇を離すと、ヤマトは不思議そうな顔をした。

「おまえ、何食ってんだ?」
「あ・・・・キャンディー お兄ちゃんも食べる? なんか咽喉痛くて」
「うつしちまったかな・・・ いや、俺も咽喉痛いけど」
「じゃあ、あげる」
言うなりズボンのポケットからキャンディーの包みを取りだし、一つをちょっと警戒するヤマトの口へ放りこむ。
少し舐めただけで、ヤマトが表情を崩した。
「甘いって・・・・」
「それ、桃味」
「うわ・・・・ おまえの何だよ」
「僕の? レモン」
「そっちと変えろよ」
「え?」
言うなり、タケルの頭の後ろから抱き寄せ、唇を合わせる。
蜜のように甘いキスをして、舌を絡めて、それからヤマトが低く笑いながら,口の中のものを取りかえる。
タケルが真っ赤になって、慌てて身を引いた。
「そんなに無理やり取らなくても・・・!僕もレモンの方がよかったのに・・!」
苦し紛れに抗議すると、ヤマトが笑う。
「うっせーな。じゃあ、半分返すよ」
言って、口の中でがりっと噛んで、半分にしたキャンディーをまたタケルの口にキスで返す。
タケルはさらに赤くなると、憮然とした顔で言った。

「桃とレモンって、なんか変な味なんだけど・・・」




結局その夜は、父のベッドに寝ろといっても聞かず、そばについててあげると言って譲らず。
タケルはヤマトのベッドの傍らに毛布を持ってきて、一晩中看病するとがんばっていたが、日中の疲れからかいつのまにか眠ってしまった。
タケルが寝付くまで、眠るわけにもいかず狸寝入りをしていた兄は、ようやく眠ってくれた可愛い寝顔にそっとキスすると、布団を敷いてやり、そっと横たえた。


まったく、コイツに看病されるというのも結構ツライよなあ・・なとど贅沢な事を考えながら――。











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