パラガスxブロ母2-オンセン惑星湯けむり超慰安旅行そのB

-仕事が終わって-


研究所兼工場ではみな帰宅の準備を始めていた
「うーん、今日もおわった、おわった」
私は大きく背伸びをし
研究室の隅に設置してあるロッカーを開く
愛用のウエストポーチを腰に巻き
三日月のような形の首飾りを首に通す
それを見ていたルーケが
「・・・前から思ってたんですけど主任、
 その首からぶら下げてる大きなもの、肩こりません?」
女性には大きすぎる無骨な装飾品である
ルーケは不思議に思っているのであろう
「肩はこらないけど?
 この服ってアクセントも何もないから
 こういうのがあったほうがかわいいと思わない?」
私の着ているもは服というよりサイヤ人の戦闘服でもあるアンダースーツ
耐火、衝撃などに強く伸縮性も優れる素材である
見た目タイツのようなものなので飾りっけはない
私の言葉にルーケは少し考えて「そうですね」とそっけなく答える
といいうものの、これは自分で買ったのではなく
初めて異性からプレゼントしてもらったものなのだ
しかも、私なんかでは会うこともないであろうエリートの方からもらったとなれば
何か特別なものを感じるじゃないですか
白馬に乗った王子様的な何かを
褐色の肌・たくましい筋肉・エリートらしい紳士的な振る舞い
もらった相手、エリートサイヤ人のことを思い浮かべ
首飾りを見ながら少しニヤニヤしている私に
「まだ帰らないのですか?」
ルーケの声にわれに返り、はっと振り向くが
ルーケはスカウターの改良のためのデータをいじっている
ニヤニヤ顔は見られていないようだ
ほっとする私
「あ、きょうもお疲れ様〜、…ルーケさん残業頑張ってね」
私は少し気遣いながらルーケに声をかける
「はいはい、おつかれ」
愛想なく声だけを返すルーケ
「ルーケさんもほどほどにして早く帰りなよ」
スカウターのデータ処理をしているルーケに
私が声をかけると「はいはい」と声だけが返ってくる
研究室を出るがもくもくと仕事をするルーケを見ていると不安になってきたので
「納期近いのなら手伝おうか?」
入り口から顔を出して声をかけると「別に必要ない」と無愛想に返す
一人のほうがやりやすいから帰るならさっさと帰れと言わんがばかりのルーケ
追い出されるように研究室を出る
帰り道でもある研究所の隣にある公園を歩いていた
周りはすでに薄暗く該当が公園の道を所々明るく照らしている
私はのんびりと空を眺めながら公園を歩く
日が落ちるときの青からだんだんと濃い紫へ染まっていく空を眺めているのは好きである
すでに日が落ち空はきれいな青から深い紫色へ染まり小さな金平糖のような星が夜空で輝き始める
結構広い公園で周りの明るい町のイルミネーションに空を照らされ夜空を埋め尽くすほどの星は見えないものの
大気の清浄化により思った以上に星はきれいに見える
ふと周りを見ると公園に設置されたベンチには若いカップルが多く見られる
見回すとカップルばかり、少し気まずい
(週末だっけ今日?何でこんなに多いのよ)
帰り道ゆっくり空を見ながら歩くのあきらめ
私は早足で公園を抜けようとするが―
なるべく周りを見ないように急いだのが悪かった
人影に気づくのに遅れたのである
あわててよけようとしたが早足の勢いもあり思いっきりぶつかってしまう
どしーんっ!
下手によけようとしたものだから勢いよく相手にタックルをするような形になってしまった
勢いよく倒れる私とぶつかった人
すぐさま私は立ち上がり
「あわわっ、すいません、すいません」
頭をぺこぺこと下げる
「こちらこそ失礼を・・・むぅ?」
なにやら聞き覚えのある声
下げた頭をゆっくりと上げる
「ぱ、パラガスさん!?」
私は素っ頓狂な声を上げた

落ち着いた感じの小さな個室にテーブル
目の前には小さなキャンドルがほのかに私とパラガスの顔を照らしている
どこかの上品なレストランのようである
「では何かありましたらこちらをお使いください」
正装をした男がパラガスに小さな電子メモを渡すと頭を下げて部屋から出て行く
どうしてこうなった
私は混乱していた
パラガスさんにモーレツなタックルをぶち当てた後から
あまりの動揺に記憶が飛んでいる
何が起こったかよく覚えていないが
「夕食まだなのかな?」
と誘われたところは覚えているが
気づくと、テーブルにはグラスやナイフなどが置かれている
しばし呆然としていたが
はっとわれに返る私、突然立ち上がり
「先ほどはすいませんでした」
再度私が頭を下げる
「そ、そんなに気にすることはないのだが・・・」
突然の私の行動に戸惑いと苦笑いのパラガス
わたわたとあわてて席に座り
頭をぺこぺこ下げる私
すごく恥ずかしい気持ちである
「まあ落ち着いて、食事でもいかがかな?」
パラガスが先ほど受け取った電子メモを指ではじく
そして目の前に見たこともない
豪華な料理が大量に置かれていく
戦闘民族であるサイヤ人の食欲は半端じゃない
普段何もしなくてもどんどんカロリーを消費してしまうのだから
それを補うためにたくさん食べる本当にたくさん食べる
まあ私は営業ではないので小食なほうであると思ってはいるが
職場の(サイヤ人ではない)仲間からはその体系でそこまで食べるのかと驚かれる
太るといやなので少なめにしてるつもりなのだが・・・
「むぅ?口に合わなかったか?」
とそんなことを考えているとパラガスが目の前の料理に手を伸ばしながら私に問いかける
「え?そ、そんなことはないですよ」
再度頭がパニック状態
落ち着こうとグラスに手を伸ばし一気に飲み干す
一瞬のど元が熱くなり、だんだんと何か気分が高揚してくる
しまったこれはお酒だったか
生まれて初めて飲むお酒であったわけで
特に飲酒についてサイヤ人には規制等はないらしい
書物等で若いうちに飲むのはお勧めしないとあったので私は20歳超えるくらいまでは飲まないと考えていた
もうすぐ二十歳というまでにこんな場面で飲んでしまうとは
そんなわけで初めてのお酒は味とかそんなものはわからなかった
ただ、頭がポヤ〜っとしてなんだか気持ちがよい
しばらく、ふわふわとした気持ちがよい状態で天井を眺めている私
「大丈夫か?」
様子の変化に気づいたパラガスが心配そうに私に声をかける
「え?ええ、大丈夫です・・・」
呂律もはっきりしているし、気持ちが少し大きくなっている意外は大丈夫に感じていた
「そ・・・そうか」
肉の餡かけのような料理に手を伸ばす
ぱくっ
(お・・・おいしい!!?)
今まで食べたことのないような食感
口の中で広がるこの風味
一瞬にして幸せを感じ顔がほころぶ
そしてパクパクと口に運び始める
そんな私の表情を見てフッと笑うパラガス
私は顔を真っ赤にして動きが止まる
「そんなかしこまらなくてもいいぞ」
パラガスは目の前の料理を素手でつかみ豪快に口に運ぶ
「むひろ、そうひてもらったほうが、わたひも食べ…」
あわててグラスに手を伸ばし飲み込む
「んぐっ・・・ぱぁっ」
口に食べ物を含んだまましゃべっていたためにのどに詰まらせたようだ
「誘ったのも何なんだが、あまりかしこまって食べるのはオレはなれてないんでね」
ハハッと笑うパラガス、釣られて私も笑みがこぼれる
ゆったりと流れる時間
エリートサイヤ人はもっと厳格な方かと思っていたのが
パラガスからはそういう感じは感じられずむしろ親しみやすい砕けた感じがした
お互いある程度食事が進んだところでパラガスが食事の手を止める
私をちらりと見ては視線をそらすのに気づく
なにやら考え事をしているように見えた
しばらく落ち着かないパラガス
「あの、大丈夫ですか?何か落ち着かないようですけど」
このとき私は結構お酒が入っており気が大きくなっていて
妙な間に耐えかねた私はパラガスに聞いてしまった
「しゅわっと!?失礼」
パラガスの顔が赤くなっているのがわかる
何か気まずい空気
なぜかドキドキしている
すごく長い時間互いに目をそらしていたように感じていたが
パラガスはこちらをじっと見ると口を開いた
「・・・お、お前のことが知りたい」
「ほへ?」
予想だにしないパラガスの言葉に
私はものすごくふぬけた声を出してしまう
そして、ボンと頭の中で何かが爆発したかのような衝撃を受け
みるみる体が熱くなるのを感じた
パラガスも私にあまり視線を合わせない気がする
これはもしや告白!?
心臓が飛び出そうなほどドキドキしているが冷静を装うようとパラガスに話しかける
「あ、あの・・・パラガスさん・・・その・・・私の何を?」
何、確認するようなことを言ってるんだ、私
「ああ、すまない・・・立場上こういうことを聞くのはどうかとは思っていたんだが・・・」
何を聞くつもりなんだろう
しばしの間に私は息も止まりそうな気分だった
ほんの一瞬の間だったと思う
けれど私には永遠と思えるほど次の言葉が長く感じられた
「主任をしているということは、やはり部下もいるんだよな?」
・・・?状況が読めない
「え?ええ、どちらかというと部下というより仲間ですけど・・・」
「そ、そうか、仲間か、うむ」
なぜか少しあわてるパラガス
「おほんっ・・・あー新しい仲間を迎える際うまくやっていくにはどういうふうにやっているんだ?」
んん?私は突然のことに整理がつかない
はっと思い出し
ポーチから所長から預かった慰安旅行のパンフをパラガスにわたす
「今度新しい仲間を迎えることになったので、こういう企画をうちではやりますね」
パンフを手に取りまじまじと眺めるパラガス
「うむ、これはどういうものなんだ?」
パラガスが異常なほど興味を示す
「え?・・・私も初めてなことなので、何だろう、きっと普段のしがらみから離れて
 温泉や食事など食べて親睦を深めるとかじゃないですか?」
ああ!私、何偉そうなことを言っている
落ち着かせようとグラスに手をかけ一気に飲むが―
しまったこれはお酒だった
そんな私尻目にうなずくパラガス
「ありがたい、参考になった」
軽く笑顔を見せると何事もなかったかのように食事に戻るパラガス
あれれ?それだけ?
ものすごく舞い上がっていた私
ものすごい落胆と先ほど飲んだお酒が一気に回ってくる
「あは、どういたしまして」
ありえない期待していた自分がものすごくはずかしかった
その後も会話などしたのだが記憶がほとんどない
ただ口に運ぶ食事はおいしかったのだが何か悲しい味がしたのだけは覚えている




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