パラガスxブロ母2-オンセン惑星湯けむり超慰安旅行その@

-はじまり-
前書き・・・はて?


銀河月食という銀河系にある月衛星を持つ惑星が長期月食に入るという珍しい現象に見舞われる
サイヤ人は月とともに生きる種族
満月のときに力が増大になるとは別にやはり月があるなしとでは心理的なものも違う
その月が長時間完全に翳ってしまうとなるとサイヤ人の活動も制約されてしまう
そんなときにとある小さな研究所の慰安旅行のお話である

私はカリフ
新サイヤ技術研究所に勤める19歳であるa
サイヤ人でありながら戦闘が苦手でも勉強が出来たので研究所に勤めている


私はドア前に立っていた
「失礼します」
一声かけてから
いまどき珍しい自動式でないドアノブのついた扉を開き部屋の中に入る
背の低い大きな机と大きなソファーが対面して並ぶように置かれ
その奥に少し立派な机が置かれているあまり広くはない部屋である
黒髪が肩に触れるくらい伸ばした女性が奥の机に腰掛けている
私の上司、セミサ所長である
セミサ所長も私と同じサイヤ人種族ではあるが
私とは違いエリートクラスの能力を持っていたが
技術研究に興味を持ち一線を退きこの研究所に配属を希望し今に至る
サイヤ人自身若い状態を保つというが年齢不詳の所長で当然歳は秘密だそうだ
「カリフか、どうした?」
私は所長の前に進むと手にしていた書類を差し出す。
「セミサ所長、予定を切り上げて作業日程はすべて終了しました、結果資料です」
セミサは書類に目を通していた手を止め私の手にしていた書類を受け取り
「お疲れ様、予定工程より3日も繰上げとは、さすがカリフ」
機嫌がいいのか予想外のねぎらいの言葉に私は多少驚いた。
機嫌が悪いと、ねぎらいどころか
無理難題を追加で吹っかけられることもしばしばなので私は肩をなでおろした。
「そんな、セミサ所長は私を買いかぶり過ぎですよ」
と、フォローを忘れないこのしたたかさ、さすが私である。
「では、私は作業場に戻ります」
報告以外特に用件もないので機嫌が変わらないうちに私は作業場に戻ろうとセミサ所長に一声かけると―
「ああっ忘れるところだった」
私の言葉に思い出したように声を上げるとともに体がひどく緊張する。
(なんだろう・・・最近失敗はしてないし、技術部門からの達しも来てないし)
少し表情を引きつらせながら振り返る。
「カリフちょっといいか?」
「は、はぁ・・・なんでしょう」
ぎくりとしながら振り返る私。
「立ち話もなんだ座ってくれ」
いつもは冷静、表情を崩さないセミサ所長が柔らかい表情をしている。
ちょっといやな予感がするがソファーに腰掛ける。
備え付けの冷蔵庫から飲み物を2つ持ってくるセミサ
「月食の話は知ってるか?」
セミサはそう言いながら私の前に飲み物を置き、私の向かいのソファーにゆっくりと腰掛ける
「ええ、大規模月食ですよね?あの月食のせいで営業が出来ないってポッドを持ってきた人が言ってましたね」
「そうそう、結構上でも問題になってな・・・仕事にならないからな」
私の言葉に、セミサがうんうんとうなずく
そう、惑星ベジータでもその長期月食は大きく問題となっている通常なら短時間のはずが・・・
「なぜか1週間も月食が続くという・・・まあ自然現象だからしょうがないし、こちらは工場への依頼が減ってるからな」
珍しい、仕事の虫のセミサ所長がこんなことをつぶやくとは・・・
「それで、思い切って上に提示してみた、いろいろと」
なんだろうこの感じは・・・何を提示したんだろう
セミサ所長は『何を提示したのか聞いて』という表情
「し、所長・・・な、なにを提示したんです?」
私の声にフフッと笑う・・・いつもの所長じゃない、いったい何があったんだろう
「休暇だよ、ほとんど休みという休みがなかったからな」
セミサのいっている言葉の意味がわからなかった
「はぁ・・・休暇申請は個々でやるのでは?」
私の言葉に
「ここを完全に休みにしてもらうということで話を進めてるんだ」
にこりと笑うセミサ
「えええっ!!?」
私は声を上げた
「カリフ〜どうかしたの?」
壁を通して声が返ってくる
研究所とは名ばかりの大きなガレージと小さなクリーンルームそしてプレハブのようなつくりの狭い事務室
会議室兼所長室とは壁を隔てているものの少し大きな声を出せば、筒抜けである。
「今回の大規模月食は期間が長いからな、上から休暇の了承をもらった」
いつになくうれしそうな所長の顔
「それに・・・最近のお前たちのがんばりを評価してなんだけど・・・こんなのを用意してみた」
おもむろに所長が紙を取り出し私に差し出した。
私は紙を受け取り内容を確認する。
「こ・・・これは・・・」
私は差し出された紙に息を呑む
受け取った紙は書類というよりはパンフレットだった。
「・・・観光惑星オンセンですか・・・オンセン!?」
パンフレットに目を通した私は思わず私は声を上げてしまった。
観光惑星オンセンといえば旅行雑誌や口コミでよく出ていくる一等観光惑星
この世の楽園とも言え、設備・サービスともに5つ星
数多くの有名人などもイチオシするほどだ
「慰安旅行でもどうかな思って」
にこりと笑う所長、まるでお日様のような笑顔
それとは裏腹に私の表情はどんよりと曇っていた。
こんな貧乏で万年金欠な研究所がそんなところを慰安旅行先に選ぶとかどうかしている
そんなお金があるなら設備にまわしてほしい
と私は心底思った。
「ええ、お気持ちはわかりますが・・・予算は・・・?」
思わず口走った私の言葉に、所長の微笑む口が引きつる
「私の計画に不備があると?」
セミサの視線が鋭くなる
「あっいえ、ということはもう・・・」
「全員分手配はしてある」
手配済みとは、ひゅるひゅると口から何かが抜けていく感覚の私だったが
「・・・あと、カリフ」
「はひっ!?」
少し意識が飛んでいたところでで突然声をかけられ声が裏返る
「・・・なに驚いてるんだか・・・カリフずっと人手が足りないって言ってたよな」
「そうですけど?」
セミサは立ち上がり机の上にあった書類を手にとり私に渡す
「開発部兼工場両方担当の助っ人もくれるそうだ」
手に取った書類は配属変更の知らせだった
その書類は若い女性の写真が貼られている
それよりも履歴書の経歴に釘付けになった
「ベジ研・・・ベジ研の人がこちらに来るんですか!?」
ベジ研とは、王立ベジータ総合研究センター通称ベジ研と呼ばれ惑星ベジータで最高峰の総合研究所である
王立だけあって設備・資金ともに優遇されてる研究者なら憧れの研究所である
「一応ウチは提携関係にあるからな・・・まあこの子の歓迎会も含めての旅行ということかな」
フルフルと手が震える
「この人来るのは本当なんですね!」
私はセミサに詰め寄る
あまりの勢いにちょっと引き気味のセミサ
「あ、ああ、実際に会えるのは旅行前日か当日だ、それまでに工場、研究ともにめどはつけておいてくれ」
「はいっ!では失礼します」
浮かれきっている私は部屋を飛び出すと研究室に直行する
「お、おい!カリフ、今回の旅行のみんなへのプラン表の制作配布・・・って聞いてないか・・・」
驚くべき速さで会議室を飛び出していったカリフに頭を抱えるセミサ
「カリフどうかしたんですか?呼び止めたのに聞く耳持たず走っていっちゃいましたけど・・・」
淡い緑色の髪の毛の長い女性があっけに取られながらセミサに話しかける
「レスタか、まったく実直というか見境がないというか・・・」
「そこが彼女のいいところじゃないんですか?何事も前向きに考えましょう」
にこりと笑うレスタ
カリフと気性が似ている彼女に大きなため息をつくセミサ

私は研究室の戸を開け部屋に飛び込む
研究室というものの部屋はあまり広くなく
いろんな機械がひしめき合っている
その奥には申し訳ない程度の広さのクリーンルーム(というか箱)が設置されている
研究室の一角に設置された作業机のには痩せ型の男が座って本を読んでいる
私に気づきこちらに目線を向けたと思ったら、またすぐに本に視線を戻す
「ルーケさん!助っ人!助っ人来ますよ、ベジ研からですよ!ベジ研!」
「そうですか」
あまりのうれしさに声を上げる私とは裏腹にあっけない返事
ごちゃごちゃと機器が置かれているとはいえきれいに整頓されている部屋
無口で無愛想だが、まめな性格で部屋の整理整頓は彼、ルーケがやってくれている
「ああ、主任、前に頼んでおいたデータまだ届いてないんですが手配したんですか?」
顔をこちらに向けることなく本を読みながら私に問いかける
「データ?」
ルーケに何か頼まれたのか思い出そうとする
その表情を読み取られたのか
「忘れてませんよね?性能強化のためのサンブルデータですよ?スカウターの」
戦闘用スカウターの性能向上のためのデータを取り寄せてほしいと頼まれてたんだっけ
「ああ、それだったら、受付のレスタさんに頼んだからあとで―」
はっとする、さっきレスタさんに呼び止められた気がしないでもない
研究室の戸が開くとともに髪の長い女性が入ってくる
「はい、はい、カリフ〜私を呼びましたか?」
ニコニコと笑顔で入ってくる背の高めの女性、レスタである
がしゃんと奥で音がするとともにルーケが立ちあがり
「れ、れすたさん!?な、なんでここに?」
あきらかに緊張しているルーケ
「あ、レスタさん研究室に顔を出すなんて珍しいですね」
私の問いに少し眉をひそめる
「何言ってるのよ、呼んだのに所長室から勢いよく飛び出してそのまま行っちゃうんだもん」
少し膨れ気味にレスタは私に箱とカードメディアを抱えている
「メディアは先日頼まれたデータ、後箱は例の試作サンプルといえばわかるって言ってたわ」
「え?」
それを聞いた私はレスタの持っていた箱とメディアに飛びつく
「ちょっとカリフ?きゃっ!」
私は抱きつくように箱とメディアをレスタから取り上げる
「はい、ルーケさん」
ルーケにメディアを投げ渡し、
そしてわくわくしながら箱を開く
「・・・スカウター?」
箱を覗き込んだレスタが口ずさむ
確かに箱の中にはスカウターが入っていた
スカウターとは耳掛け式の片目のアイゴーグルのような機械で
主に敵の戦闘能力などを計測したり位置を確認したりすることに使うレーダーのような機械である
ほかにも通信や目覚まし機能、ゲームなどちょっとした便利機能も備えている
「レスタさん、これはただのスカウターじゃないんですよ」
私は自慢するようにスカウターを手に取りレスタに見せる
とはいえ、少し前に私が戦闘用の詳細な数値を出すためのデータの試験データモジュールを提出したときに
技術者用の多機能スカウターという企画をあげてみた
データリンクや書き換えなどの戦闘には必要ない機能などを搭載し、機械をいじるのには最適な機器という企画書だったが
通常のスカウターとは使い方が違って軍事ではないという部分に先方も興味を持ったようで―
「接続モジュールと機械センサー系が増えてるようですね・・・」
さすがにルーケも興味を持ったようでスカウターをまじまじと眺めている
ふと、箱の中に入っていた手紙をルーケが手に取り読み上げる
「カリフ、手紙が入ってるよ・・・えっと
『カリフ様、いただいた資料を元に多機能スカウターについて
 試作機を製作してみましたので試用していただき感想をいただきたい、
 機能詳細はスカウターのヘルプに記載しています』
 だって」
「ふむふむ、ありがとルーケさん」
ルーケさんGJ、危うく手紙に気づかないところだった
スカウターを良く見ると接続端子がいくつか追加されているのに気づく
端子の形状から汎用コネクタなら取り付けることが出来そうだ
早速スカウターを装着してみる
通常のスカウターと違いグラスの部分に表示される情報が圧倒的に多くなっているのに加え
映っている映像をタッチして操作できる空間タッチパネルも搭載している
まずはヘルプで機能を確認しようと耳当て部側面のボタンを押す
ピコッピピピッ
音ともに大量のアイコンと情報が吐き出される
「うわわっ」
私は思わず声を上げた
まだ情報の選別等が出来ていないらしく大量のデータが出てくる
大量に宙に浮いているアイコンからヘルプを見つけ出し
一通りの新機能と操作法を理解する
「思いのほか手を焼きそうなものだわ・・・」
私はつぶやく
そんな私をレスタやルーケはポカーンと私を眺めている
状況を説明するためにスカウターをモニタ接続し、スカウターの現状の映像を映し出す
周りがほとんど見えないほどに表示されたアイコンや情報にルーケとレスタは笑い声を上げた
私がスカウターをいじってる間、レスタは暫く研究室のもので遊んだ後、飽きたのか帰っていった
帰る間際に忘れることなくセミサ所長からさっきの旅行のプラン表の制作を私に頼んでいった
レスタが居なくなるとルーケは届いたデータをパソコンに取り込み何事もなかったように作業に戻る
特にやることのない私はいらないアイコンと情報を整理する
(後でポッドとのデータリンクでもして実用性を試してみよう)
そう思いながら大量に表示されているアイコンと格闘する
(今日はなんて良い日なんだろう、こんなに幸せなことが続くなんてめったに無いわ)
私はそう思った
「カリフ、言われたこと忘れないようにね」
ニヤニヤしながらスカウターをいじる私に
見透かしたようにルーケが釘をさした



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