水やり器のコンセント駆動化

動機

出張中でも世話している植物を枯らさないために、電池式の自動水やり器を使っています。この水やり器のホースをつなぎ変えて洗濯機にも使っています。この水やり器にはケータイと同じような電池メータが付いています。
この電池レベルが2になるとLCD表示が正常でも、時間が来ても内部のバルブが開かずに水が出なくなることがあります。気が付いたのは2ヶ月くらいの出張から帰ってきてプランターを見ると、なぜかしおれて枯れ始めていました。あわてて水やりを開始しようとしてボタンを押しても水が流れる音がしない!! 植物の水やりにも必要ですが、日々の洗濯にも使うので非常に困ります。電池の持ちは半年くらいでしょうか。
使おうとしているACアダプタは携帯の充電器は、5.4V 600mAです。合わなければジャンク屋で漁ればそのうち手に入るでしょう。

問題点

  1. 電池レベル2で動作しないのは、電池がもったいない。
  2. 電池式なので出張中にいつ切れるか非常に不安。
  3. 電池を買うのがわずらわしいのでACアダプタで駆動したい。

実験内容

  1. 水やり器に実験用定電圧電源器を接続して、電源電圧と電池レベル表示の関係を調べる。
  2. ACアダプタ化に備えて、水やり器の動作電流を調べる(水やり器単体と、実際に水を流す時とで比較する)。

準備

電池もどき まず水やり器に電池の代わりに実験用定電圧電源器(以降、電源器)を接続するために電源コードを引き出さねばなりません。
中を開けて電池端子にハンダ付けしたいのですが開かない。さすが屋外用。ネジが無ければツメも無し。3分であきらめました。
今度は中をあけないで済む方法として、電池もどきを入れてそこから電源器へのコードを引き出してみようとしました。割り箸にビニルテープを巻いて電池と同じ太さを作って引き出し線を作りました。とにかくテストなので安く簡単に、本番では円筒形のアクリルなどでちゃんと作ります。電極の部分を少し手直しして、多少不安定ながらもok。

電池レベルの測定

さて、10年振りに取り出す電源器。中学からやってた電子工作の通信教育(新聞の下によくある、植木職人とかパッチワークみたいなものですな)で、高校生のときにキットを買って作ったものです。最大出力電圧 DC20V、最大出力電流1A、電圧安定化回路とヒューズと回路による過負荷保護付き。小さい電子機器のテストなら十分なスペックです。電子回路の電源電圧は普通は1.5,3,5,6,9,12,15Vなので、これ一台で大抵の自作回路のテストはできます。
これとテスタを使って、「何Vで電池レベルがいくつに変わるか?」を調べました。大して低くない電圧で電池レベル2になることがあれば、非常に電池がもったいない機器ということになります。この水やり器の電源は単三電池4本です。つまり定格電源電圧は6V。
表1 電源電圧と電池レベルの関係
電池レベル321LCD全消灯
電源電圧5.94V以上5.94V〜5.1V5.1〜4.65V4.65V以下
意外と簡単に電池レベルが2に下がりそうです。
また、電池レベルの表示は水やり操作を終えたときに更新されることもわかりました。

無負荷テスト

水やり器を水道の蛇口に付けずに単体でバルブの開閉をやってみて、そのときの消費電流値を測定しました。バルブ開の瞬間にコイルに流れる突入電流が最も高く、開いた状態を保つために待機中よりも大きな電流が流れると思われます。電源器にも電流計が付いているのですが、目盛が小さいのでテスタを接続しました。テスタで電流を測るときはヒューズが飛ばないかドキドキです。
表2 水やり器の無負荷運転中の消費電流
電源電圧待機中バルブon中バルブ開瞬間バルブ閉瞬間
6.01V34〜40μA35〜40μA330mA70mA
4.92V44〜47μA47〜50μA250mA120mA
注)1mA=1000μA(マイクロアンペア)
バルブon中の電流値が思っていたよりもずっと低いのが驚きです。バルブ閉にも大電流が流れていることから、バルブは開と閉の動作瞬間のみにしか電流が流れていないようです。
電源器で4.92V(電池レベル1)に設定してみても、水やり器の中のバルブが動作する音が聞こえます。
電池を使っていた時は、電池レベル2でもバルブが動作しなかったのに。
どうも電圧の降下ではなくて、電池の劣化による内部抵抗が増えたためにバルブ操作時に必要な電流供給できなくなることが、バルブが動作しない原因になっていると思われます。
ACアダプタの出力電圧が低くても必要なだけの電流を出力できれば正常動作しそうです。
電池の内部抵抗を考えないで設計したのでしょうか?

実負荷テスト

測定風景 単体と、蛇口からの水圧にさらされているときとでは動作電流は違うはず。
実際に使用するように蛇口を開いて洗濯機に水を送るようにして測定してみました。
待機中とバルブon中は変わらないと思うので、バルブが動作する瞬間のみの測定です。
表3 水やり器の実負荷運転中の消費電流
水圧電源電圧バルブ開瞬間バルブ閉瞬間
最大6.01V550mA以上550mA以上
6.01V400mA550mA以上
最大4.9V550mA以上550mA以上
テスタの電流測定レンジがオーバしたので、正確な値はわかりません。電源器についている電流計を見ても、500mA程度流れているようです。
電源電圧よりも水圧で電流が決まるようです。

次は・・・

ACアダプタ保護のためにコンデンサを付けてみる??


更新履歴

2004.10.6 原稿作成
2004.10.10 文字修飾・イメージ追加